地球は青かった。
私たち人類の中で初めて宇宙で有人飛行を成功させ、
地球へと帰還した時のインタビューでそう言ったと雑誌で読んだ事がある。
雑誌は休日にたまたま通りかかった本屋で立ち読みできるような本を探していた時に、
何となく目に着いた一冊だった。
それを手に取り、パラパラとページをめくっていくとこの人物の話が掲載されているページを見つけた。
そのページには宇宙から見たとても大きくて綺麗な青い星、地球の写真が大きく掲載され他にも各国から
集まった宇宙飛行士の集合写真もあった。
皆楽しそうに笑っていた写真であった事は今でも覚えている。
(宇宙・・・か。行ってみたいなあ・・・)
当時の私は宇宙には空気が無く、重力が無い等の浅い知識しか無かった。
それでも宇宙は海と同じようにどこまでも果てしなく続いていて、無数の星があるとても綺麗な世界
だと信じて疑わなかった。
私・・・私たち艦娘・・・いや地球に住むほとんどの人は本当の宇宙なんてものを知らない。
知っているのはこの地球の青い海と美しい自然が豊かな地上の世界だけ。
太陽や月より先の世界は教科書や宇宙に関する本、映像の上でしか学んでいない人がほとんどだろう。
だから憧れや魅力を抱くことができるのだろうと私は思う、私もそうなのだから。
・・・突如として現れた深海棲艦。
それを倒す世界の正義の味方として私たち艦娘は生まれた。
その最初の第一号が私、吹雪だった。
人間にかつての大戦で使用された艦の部品や武装を装備させることで、
常人よりも遥かに身体的能力を飛躍させた少女、・・・いや人体兵器が完成した。
その代償としてなのか私達は年をとらなくなった。
永遠にその容姿を保ったまま生きるというあまりにも大きな呪いを背負う事になったが、
それでも私は後悔はしなかった。
これで皆を守れるなら、誰も死なずに済むのなら良かった。
私が誕生して以降、次々と新しい艦娘が誕生していき次々と各地の深海棲艦を殲滅させていった。
長い年月をかけて私たちは敵の本拠地へと総攻撃できるくらいにまで敵を減少させ、
遂に本拠地を陥落させる事に成功した。人類が勝利と平和を掴んだ瞬間だった。
それからというもの私達艦娘はそのまま軍へと残る事となった。
また深海棲艦のような正体不明な敵が出てきても困らないようにとの、政府からの直々の命令だった。
陥落させてからは毎日のように艦娘を英雄だと世界は称えてくれた。
その声は賞賛のものばかりでとても心地良かったのを今でも覚えている。
テレビに出ている有名人がその辺を歩いていると人が自然と集まり、
チヤホヤされる感覚と似ているだろうか、とにかく毎日が楽しかった。
・・・しかし時の流れというものは残酷であるという事を神様は私に教えてくれた。
年をとらないという呪いのせいで、
いつの間にか私の周りの人々はそれを気味悪がる者しかいなくなっていた。
中には化け物扱いする人までいたっけなあ・・・石も投げられたりしたっけ・・・
何十年、何百年経ってもそれは変わらなかった。
変わらないのは私達艦娘だけだ。
・・・そして世界は大きく様変わりした。
人口があまりにも増え過ぎたため、地球の人口を宇宙へと移民させる宇宙移民計画が始まった。
そして次第に人はコロニーと呼ばれる宇宙の集落で生活するようになり、
その生活に憧れ自ら宇宙へと望んで出て行く者も多数いた。
私もその中の一部・・・だったら良かったのだが。
軍の命令で私は憧れていた宇宙へと飛び立つことになった。
地球連邦軍という軍隊に所属して早々にコロニーへ行くよう辞令が下ったのである。
でもコロニーへ行く宇宙船で味わった無重力のフワフワとした感覚や果てしなく広がる宇宙、
だんだんと遠のいていく青い地球・・・地球生まれの私には何もかも新鮮だった。
コロニーに入って初めて中身を目にした時、私は地上を裏返して筒状にしたような感じだと思った。
人工的に作った物とはいえ、
地球と同じ自然があって人が生活しているなんて昔じゃ考えられなかった。
・・・なんて事を思いながら私は宇宙船から降りて目的地である連邦軍基地へと向かった。
歩き始めて気付いたことだが、ここにも地球ほどではないが重力があるようだ。
コロニーそのものを回転させることで遠心力を生み出し擬似重力を得る、という原理らしい。
(あぁ、そっか。それでスペースポートで浮いて移動する人がたくさんいたのか・・・)
周りを見渡すと地球と同じように人が歩いていて車が走っていたりしている。
地上と何ら変わりない光景がそこにはあった。
そんな光景をみて安心すると同時に、昔・・・今となっては西暦か。
あの頃の事を思い出していた。
記録日・・・U.C 0002 4/1 17:50
記録者 地球連邦軍所属;旧世代人体兵器カンムス・フブキ
どうも皆さん、如何だったでしょうか?
書いている時、コロニーの仕組みがよく分からずググッてました。
調べて見ると原理が分かって面白いですね。
・・・さて一話はこんな感じです。
次からMSが出てくる・・・かもしれません。
よろしくお願いします。