この素晴らしい世界にポケモンを   作:ハリケーン改

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女の子カルテット帰還


この悪徳貴族との再会に祝福を?

「コーヒーをお持ち致しましたカズマ様」

 

「ケーキも頼むよハイデル」

 

「セバスチャンです……あっ」

 

セバスチャンではなくハイデルがケーキを取りに行くと

 

トントン

 

ドアをノックする音が聴こえ、ニヤニヤと笑いながらカズマはドアの前に

 

勿論ズボンを履いてはいない

 

「来たか………お早うメアリー、だがそう簡単に俺がシーツを取り替えさせると思うなよ?

 

早くシーツを取り替えたいならこう言うんだ、ご主人様どうか」

 

メイドのメアリーの赤面する顔を見ようと勢い良くドアを開き

 

 

「随分と元気そうだな」

 

1週間ぶりに会ったダクネスの見た事が無いぐらいの真顔を目の当たりにする、そして後ろに控えるアクアとめぐみんとセレナは呆れた顔を浮かばせ

 

 

「…………お久しぶりです………皆さん」

 

 

そんな彼女達にカズマは美しいDOGEZAを見せていた。

 

 

 

「ご主人様どうか………何を言いたかったんだカズマ、私達全員で聞いてやるから早く続きを言え」

 

「ご主人様……どうか私にご主人様の匂いが染み付いたシーツを……シーツを」

 

「シーツを何だ?

早く続きを言え、セクハラはお前の十八番だろうが」

 

「う……うぅ……お許しを……て………何でお前らが居んだよ此所に!!!!

 

この部屋は王宮の人間しか入る事が許されない聖域だぞ!!!!」

 

「お前とサトシ達を連れ戻しに来たんだ!!!

 

最初は数日だけとレイン殿から連絡が来たというのに、あれよあれよと1週間も長期滞在しおって!!!!

 

どうせお前がアイリス様やサトシ達を言いくるめたんだろ、安易に想像出来るぞ

 

全くお前はどうしてこう私の予想の斜め上の行動を取るんだ……めぐみんやセレナはお前達が厄介事に巻き込まれたのではないかと、この数日は心配で夜も眠らずお前達の名前を呟いていたんだぞ!!!」

 

「ちょっ!? ダクネス何で私の部屋の声聞こえて……あぁいや、べべ…別に心配してた訳じゃ」

 

「そそ…そうです!!タマタマこの数日は寝付けが悪かっただけです、誤解を招くような事を言わないでください!!!」

 

 

「その件にはついてはめぐみんと後でゆっくり語り合うとして、悪いが俺とサトシも帰られねえぞ」

 

言い訳をしているアークウィザードコンビを取りあえず置いておき、DOGEZAを辞めたカズマが床に座り始める

 

 

「俺とサトシはアイリスとティアラの遊び役兼ティアラのお兄ちゃん探し隊の隊長と副隊長に就任したんだ、任務を終えるまでは帰らねえ

 

そしてずっとこの城で面白おかしく楽しく暮らすんだ!!!!!」

 

「そんなふざけた役職はこの国には無い!!!

 

大体誰だティアラとは!!!」

 

「そうよ、貴方達だけお城で優雅な暮らしだなんて不公平だわ!!!アタシ達も住まわせて!!!」

 

「アクア!!お前は少し黙っていてくれ話が脱線する!!!」

 

『アゥアゥ♪』

 

「あぁイブずるいわよ!! アタシもベッドでトランポリンやりたい!!」

 

「ベッドで遊ぶな!!!

 

とにかくワガママ言ってないで早く帰るぞ!!!リオル!このバカを担ぐぞ!!」

『リオリッ!!』

 

「そんなに帰らせたいなら俺達を力ずくで引っ張るんだな!!

 

ナマケロ!!」

 

『ナンマァァ!!!!』

 

『バケェ!?』

『フォクシィ!?』

 

「ええぇ!? ナマケロが立ってる!?」

 

「しかも何かオーラみたいなの出してますよ!?」

 

 

「ナマケロ! 話は聞いてたな!!」

 

『ナンマァ!』

 

「俺達の安住の地と暮らしを脅かす奴をぶっ倒すぞ!!!」

 

「抵抗するか、ならば望み通り力ずくで王宮から引っ張り出してやる

 

リオル! ナマケロの相手は頼んだ」

 

『リオリオッ!』

 

「良いのかダクネス、今日は何時もの鎧じゃなくてオ綺麗なドレス姿じゃないか

 

そんな薄着なら俺の必殺窃盗ですっぽんぽんにしてやるよ」

 

「やれる物ならやってみろ、軽いセクハラは出来ても一線を越える事は出来んヘタレが」

 

「……………ナマケロ、ダクネスの相手もお前に任した!!!」

 

 

「逃げたわ」

「逃げましたね」

「やっぱりヘタレねカズマさんったら」

 

「ウッセェ!!! いけナマケロ!」

 

 

いざ戦闘開始

 

と思われた瞬間ドアが開かれる

 

 

「待ってくださいお兄様!!」

 

「アイリス様?」

 

勢い良く開かれたドアから、勉強を終え騒ぎを聞き付けたアイリスが中に入ってくる

 

「止めないでくれアイリス!! コレは俺とナマケロの人生とポケ生が掛かってるんだ!!」

 

「違います! ララティーナとポケモンバトルをされるならワタクシにやらせてください」

 

「なに?」

 

「一昨日の不戦敗から葬儀やお勉強にお稽古と中々時間が取れなく、昨夜も折角サトシからお誘いを受けたのにオジャンになってしまいましたが、やっと今時間が空きました

 

なのでワタクシもポケモンバトルをやりたいんです、ドキドキワクワクしたいのです!!」

 

「あの……アイリス様」

 

「そうかそうか、妹から頼まれたんなら仕方ないな

 

よしナマケロ、アイリスの指示を聞いてくれ」

 

『ナンマァァァ!!!!!』

 

「ありがとうございますお兄様!!

 

さあララティーナ!

 

えっと……勝負の前には……よろしくお願いします!!」

 

「アイリス様ちょっとお待ちください!!!

 

色々と聞きたい事があるのですが、お兄様とは……ま…まさか……」

 

ダクネスの顔色がどんどんと青くなると、またもドアが開く

 

 

「あっ!

 

聞いた事ある声だなって思ったらやっぱりダクネスだ、それに皆も」

 

『ピィカピ! ピィカァ!!』

 

『1週間ぶりロト』

 

「良かった、サトシも元気そう……で」

 

ピカチュウやロトムと共に室内に入って来たサトシを見てセレナが固まってしまう

 

何故なら

 

『♪♪♪』

 

赤髪でツインテールの可愛い女の子を、彼がお姫さま抱っこしているからである

 

「あああ…あの……サトシ………その子は……誰?」

 

「ティアラだよ、俺達の新しい家族♪」

 

「げ…げ……現地妻よ……サトシさんが現地妻を拵えてる!!!!」

 

「ゲンチヅマ?」

『???』

 

「………………バタン!!!」

 

「セレナァァァ!!!気をしっかり持ってください!!!!」

『マフォク!!! フォクシィ!!!』

 

「えっ!? どうしたんだセレナ?」

 

『ピカピ!!!』

『説明を省きすぎロト!』

 

 

 

「アイリス様!!! 何かありましたか!?」

 

騒ぐアクアや気を失うセレナを介抱するめぐみんとマフォクシーの声を聞き王宮の兵達が集まり始める

 

 

「ララティーナ達とサトシ達が、1週間ぶりの再会でバンバンと騒いでるだけなので気にしないで下さい」

 

「そうでしたか、分かりました失礼致します」

 

 

兵達全員が去るとアイリスは改めてダクネスの方を振り向く

 

「さあナマケロ初めましょう!ガンガン行くわよ!」

 

『ナンマァァ!!』

 

「待ってくださいアイリス様!!!!我々にご説明を!!!」

 

色々と聞きたい事が山のようにあるダクネスの必死の叫びにより、ダクネス達にも事情を説明する。

 

 

「なるほど………要するにカズマの妹が欲しいという欲望を、あろう事か王女様とポケモンで叶えてしまったという訳ですか」

 

「俺だけのじゃない、可愛い妹が欲しいなんて全世界の男全員の願望だ」

 

「脚色し過ぎですよ」

 

「そうでもないわよ、アタシの教徒の男達全員が妹を欲っしてるもの」

 

「アクシズ教徒の価値観を一般人の価値観と一緒にしないでください……」

「アイツらと一纏めにされるのは癪だが、妹が欲しいって欲を抱く気持ちだけは賛同してやるよ」

 

 

「この子ラティアスだったのね……ホッ……良かった」

『マフォク、フォクシー♪』

 

 

「うん、一緒にゲームやってたんだけど俺負けちゃってさ、それで罰ゲームに抱っこで運んでくれって」

 

『♪♪♪』

 

『サトシは力持ちだからロトね』

 

『ピィカピィ』

 

「まさかクレア殿が話されたモンスター達がポケモンとは

 

 

それでアイリス様、彼女……ティアラの兄は見つかりそうなのですか?」

 

「いいえ、お兄様とサトシ達が王都の周辺をザッザッと探してくれて居ますが見つからないようなの」

 

「では私達もご協力致します、アイリス様の願いは私の願いでもありますから」

 

「ララティーナ♪」

 

微笑みながら手を握ってくれるダクネスに、アイリスは心から感謝し笑みを見せる

 

 

「良く言ったダクネス!!

 

(アイリスだけでなくダクネスもバックに付いた以上、コレであの女騎士に邪魔されなくアイリスやティアラと遊べるぜ)

 

よーしアイリス、今晩はコイツらの歓迎会にドドンとパーティーでもやろうぜ」

 

「はぁ?何を言っているんだお前は、今すぐアクセルに帰るぞ」

 

「はぁ?

 

何言ってるんだはお前だろ、今ティアラの兄ちゃん探すの手伝うって言ったばかりだろうが」

 

「そうだよダクネス!!

 

ラティオスを探すのに何で俺達直ぐに帰るんだよ!」

 

『ピカピカ!!ピィカァピイ!!!』

 

「お前達でこの辺りの周辺は探したが見つからないんだろ?なら王都周辺以外も探すべきだ

 

それに………リオル、ティアラと遊んで来てくれないか」

『リオリィ?』

「まだ話は続きそうなんだ、彼女も退屈しているだろうし頼む」

『リオリオッ!』

 

『バケバケ! バケチャバ!』

「おや? もしや貴女も遊びたいのですかバルスリン」

『バケェ!』

「分かりました、伝説のポケモンである彼女に未来の伝説のポケモンである貴女の凄さを見せつけて来るのです!!」

『バケバケ!!』

 

 

『リオリィ、リオル!リオリィオ!』

『バケバ、バケバケン!バケチャバ!』

『♪♪♪』

 

自己紹介を終えリオルとバルスリンと一緒にティアラは室内の端でボール遊びを始める

 

彼女がこの場から離れたのを確認し、ダクネスは話の続きをするため口を開く

 

 

「あの子には酷な話だが、ラティオスはボーマンダやサザンドラというポケモンに捕まった可能性もある」

 

「っ!?」

 

「ソイツらを探すにしろラティオスを探すにも王都周辺以外も探すべきだろ」

 

 

「いや待て、ティアラだって狙われてんなら俺らが側に居ないと危ないだろうが」

 

「なら彼女をゲットし我々の屋敷で暮らして貰うのはどうだ?

 

もしラティオスが王宮に来たとしても、アイリス様に我々の元にティアラが居ると話して戴ければ良い

 

極悪モンスターと認識されている王都よりも、アクセルの方が彼女達兄妹も安心して再会出来るだろ?

 

それにカズマ、お前はラティアスをゲットしたいんだろ?なら良い機会じゃないか」

 

『それが駄目なんだロト』

 

「駄目?」

 

『ピカピカ、ピィカピ!ピピカチュウ』

 

『ティアラはピカチュウと同じでモンスターボールを嫌がってるロト、だからゲットする訳にはいかないロト』

 

「そうなの?」

 

「あぁ、俺達の国に居た時から沢山のトレーナー達がティアラ達をゲットしようと、ずっと追い掛けて来てモンスターボールを投げてきたせいで嫌いになったって」

 

「いわゆるトラウマって奴ですね」

 

「あぁだからゲットはしない、それに……俺はもうあの子をポケモンとは見れないんだ……俺の膝の上にチョコンと座り上目遣いで遊ぼうってせがんで来る……何処に出しても恥ずかしくない立派な妹だ!!!」

 

「アタシの睨んだ通りね、やっぱりカズマさんはロリコンだけでなくケモナーの節もあるわ」

 

「ケモナー言うな、せめてシスコンって言え!」

 

「言っとくけどイブにそんな目を向けたら聖なるグーを食らわせるわよ」

 

「向けないから安心しろ」

 

「ちょっと!!! イブが可愛くないって言いたいわけ!!!」

 

「向けて欲しいのか欲しくないのかどっちなんだ!メンドクセェな!!!」

 

 

「な……ならポケモンとして見れなくとも、妹として可愛がってるなら自宅に招き入れたいだろう」

 

「御断りだ、俺はティアラだけでなくアイリスも愛でたいんだ」

 

「なな…な…何を言っているんだお前は!?

 

王族のアイリス様を愛でたいなど上から目線にも程があるぞ!?

 

ん!?

 

アイリス様……何故頬を赤くしているのですか……まさか満更でもないのですか!?」

 

「ち…違います!!!でも少し胸がドキドキ!ドクドクはしましたが」

 

「おぉ愛らしいな我が妹よ♪

 

 

良いかメイド」

 

「メイド………私の事か!?」

 

「俺達は既にアイリスから信頼されている、その信頼に応える為に王宮に残り続けるべきだ

 

そうだよな、我が弟にしてティアラのお兄ちゃん探し隊の隊長サトシよ!!!」

 

「ダクネスの言う通りにしようよカズマ」

 

「良く言った流石はティアラのお兄ちゃん探し隊の隊長……おおぉぉい隊長!!!! 何でこのタイミングで裏切んだぁ!!!」

 

「裏切った訳じゃないよ、でもダクネスの言う通り王都以外も探した方が早くティアラとラティオスを会わせてあげられるかなって

 

 

それに……」

 

「何だよ?」

 

「今朝もクレアさんが何時お帰りになるんでしょうかって言って来たし、確かにもう帰った方が良いかなって」

『ピィカピィカ』

 

 

「バカ野郎!!権力に屈するな!!!

 

どうせアイリスの世話係のポジションを奪われそうだから、妬いたあの女が追い払いたいだけだ」

 

「残念ながらクレア殿やレイン殿からお前達への苦情が来ている、だから私に即刻迎えに来てくれと連絡してくれたんだ」

 

『ピィカ………』

 

苦々しい顔で語るダクネスに、何故かピカチュウが頭を抱えてしまう

 

「えぇぇ!?カズマはまだしもサトシにまで苦情が来てるの!?」

 

「おい、俺への苦情はさも当然だと思う理由を聞こうじゃねえか」

 

「さっきダクネスに言い掛けた事をメイドさんに言おうとした時点で分かるわ、王宮の女性達にセクハラしたんでしょ?」

『フォクフォク』

 

 

「…………」

 

「この男……コラ!!目を反らさないでください!!!」

 

 

「あとアイリス様の勉強の妨害や、セコい戦い方や無駄な知識に……エ……あっちの話をやたらと教え込もうとしているとも聞いたぞ」

 

 

「ホラだから俺言ったじゃんか、竹トンボをアイリスの勉強部屋の窓にぶつけたりしたら叱られるから辞めようって!!」

 

「サトシ、お前もカズマの事は言えないぞ

 

アイリス様が最近やたらとお前の真似をして、やたらと擬音で説明するから辞めて欲しいと」

 

「えっ? 外の人達は

 

バンバン、ハキハキとこの様に感情を表現するのではないのララティーナ?」

 

「違います………所でサトシ……

 

 

ポケモンバトルやろうぜ!!

 

と言いながら昨夜の深夜2時に窓からアイリス様の部屋に侵入したと聞いたが、流石にそれはデマ………で合ってくれ」

 

「誘いに行ったよ、でも驚いたアイリスの声を聞いて入って来た兵の人達に追い出されたけど」

 

『ピカピ………』

 

「流石にあの時はビックリしてしまい……つい悲鳴を」

 

 

「サトシぃぃ!?」

『フォクシ!?』

 

「何やってんですか!?」

 

「だってアイリス凄くティアラと一緒にバトルやりたがってたから、夜なら誰にも見られないから大丈夫かなって」

 

「だからと言って王族の女性の部屋に侵入する奴が居るか!!!!」

 

『アチシとピカチュウは止めたけど、勢い付いたサトシは止められなかったロト』

 

『ピカ……』

 

「サ……サトシ……流石にソレはマズイわよ」

 

「何でだ? ただバトルの誘いに言っただけなのに?」

 

 

「この野郎!! 何でそんな胸熱イベントの時に俺を誘わなかった!!!」

『ナンマァ!!!』

 

「声掛けたけど、カズマもナマケロも寝てて起きなかったんだよ!!」

 

「王族に夜這を掛けに行くだなんて、やるじゃないサトシさん」

 

「ヨバイ?」

 

「カズマもアクアも黙っていてくれ!!話がややこしくなる!!!

 

 

 

とにかく!!

 

さっさとアクセルに帰るぞ、ボールが嫌なのは分かった、ならあのまま彼女を連れて行く」

 

「待ってダクネス、ティアラはこのまま王宮に残してあげて欲しいんだ」

 

 

「なに?」

 

「確かに俺やカズマ達にティアラは凄く懐いてくれたけど、でも……ティアラが一番信頼してるのは」

 

 

『♪♪♪♪』

 

「ティアラ?」

 

リオルやバルスリンと遊んでいたティアラが、いつの間にかアイリスの腕を掴み彼女を引っ張ろうとしていた

 

 

『お稽古終わったんなら、お姉ちゃんも遊ぼうだってロト』

 

「………ゴメンね、まだお話しないとダメだからあの子達と遊んで待ってて」

 

『!!!』

 

分かったと頷き、リオルとバルスリンの元に戻る

 

 

「ティアラが一番信頼してるのはアイリスだから、この王宮に残してあげたいんだ」

 

「そうかもしれないが……しかし、彼女を王宮に残すのは……その……」

 

理由は分からないが、ボーマンダとサザンドラがティアラを捕まえようとしているなら、彼女を王宮に残せば再び王都で争いが起きてしまうと考えるダクネスだが

 

彼女のせいで王女のアイリスが危険にさらされる等、アイリス本人やポケモンの気持ちを尊重しているサトシには言えず口ごもってしまう

 

 

「ララティーナ、ワタクシからもお願い……ティアラをワタクシと一緒に居させて」

 

「アイリス様……しかし……」

 

「心配は無用よ、王族が強いのは貴女なら知ってる筈でしょ?

 

ティアラを狙うポケモン達が現れてもワタクシが返り討ちにするわ」

 

 

(アイリス………くぅぅ……か弱い王女様なのに、そんな強がり言うなんて……何て愛らしいんだお前は)

 

「アイリス様……無礼を承知でお聞きしたいのですが、何故そこまで彼女の為に?」

 

「あの子とお兄様は、襲撃者から逃れる為ワタクシに助けを求めに来たの

 

救いを求めに来たのならば、人間やモンスターといった種族に関係無く助けるのが正しき王族の姿

 

それにラティオスから直接ティアラを任されたのはワタクシ

 

何より、ティアラはワタクシの妹だから」

 

そこに居るのは先までの赤面したり恥ずかしがっている少女アイリスではなく、凛とした立ち振舞いでダクネスを見下ろすベルゼルグ王国の第一王女、ベルゼルグ・スタイリッシュ・ソード・アイリスの姿であった

 

「分かりました、それがアイリス様の成すべき事ならば私には否定する権利も無ければ考えも起きません

 

しかし事が起きた場合は、ご自分だけで解決はせず誰かにお声を掛けてください

 

クレア殿やレイン殿にはティアラの正体を話す訳にはいかないなら、せめて私達だけにでも……お願いします」

 

 

「ありがとう♪

 

勿論よ、その時は魔道具を使って直ぐララティーナに連絡するわ」

 

 

「えっ………いやアイリス、道具なんか使わなくても、俺達がこの城にずっと居れば直ぐ助けに行けるぞ」

 

 

「ごめんなさいお兄様、本当はワタクシ自身が探しに行きたいのに……ワタクシは王女として自由に外を歩けない身………だからお兄様とサトシには、ワタクシの代わりにラティオスを探す為、王都以外も調べて欲しいのです」

 

「いや……ちょっと……ちょっと……あの」

 

「任せてくれ!! 必ず見つけてみせるからな」

 

「おぉぉい隊長!!!」

 

「ララティーナ………今晩だけは王宮に居て欲しい、2人の……お別れの晩餐会を開きたいの」

 

「勿論です♪」

 

 

「お別れ…………そんなぁぁぁぁ!!!」

『ナマァァァ!!!!!』

 

同時に大泣きしながらカズマとナマケロは床にブッ倒れる。

 

《その日の夜、王宮内のパーティー会場》

 

急遽決まった晩餐会にも関わらず、沢山の貴族達が参加したパーティー会場にて

 

豪華な料理や酒、最近ハマっている趣味や美味しい儲け話、参加している貴族令嬢達やメイドに鼻の下を伸ばすと多種多様な楽しみ方をしている貴族達

 

そんな貴族達の醸し出す雰囲気や佇まいから、明らかに浮いている一団が居た

 

 

「何コレ!? メチャクチャ美味しいわ!!

 

イブも食べてみて、天然物のメロンに生ハムを乗っけたこの料理

 

まだピチピチしてて凄く新鮮よ♪」

 

『モグモグ

 

アゥアゥ♪』

 

 

「ファクアほれもおいひいれふよ<アクアこれも美味しいですよ>

 

ゴクン

 

酢飯にプリンを乗せてワサビ醤油を掛けた奴、ネットリしてるのにマッタリした不思議な食感です」

 

「あら良いわね、それじゃあ早速『モグモグ!!ガツガツ!!』

 

あぁぁぁ!? バルスリン食べないでよ!!」

『アシマァ!!!』

「私の分まで!!!食べ過ぎですよ!!!」

 

『ガツガツ!!モグモグ!!』

 

「何だこのカボチャは!?」

 

「ワタクシのパスタが!?」

 

「ちょっと!! 待つのですバルスリン!!!」

 

「良くもアタシの酢飯にプリン乗せた奴を!!!

 

イブ!! みずでっぽう!!」

 

『アシィィ!!』

 

「ぐあぁぁぁ!!!」

 

「冷たいぃぃ!!!」

 

 

周りの貴族達に嘲笑されているのも知らず、初めて食べる豪華な料理に浮かれまくる2人と2匹の起こす騒動から目を反らし、カズマとピカチュウは隣でご飯を食べるサトシに声を掛ける

 

 

 

「おいサトシ、あいつらと他人のフリするぞ」

『ピィカァ、ピカァチュ』

 

「…………」

 

『ピカピ?』

「どうした?」

 

サトシがボーと何かを見ており、ピカチュウとカズマが彼の目線の先を追う

 

 

「いやはや、まさかパーティー嫌いの貴女が今回参加なされるとは

 

どうしたのですかダスティネス卿」

 

「今回のパーティーの主役が私の冒険者パーティーの仲間ですので」

 

「そうでしたか、もしや隣の美しいお嬢さんでしょうか?」

 

「え……えっと……」

 

「彼女も仲間の1人ですが、主役の仲間は男性達です」

 

「ほぉ貴女がダスティネス卿のお仲間ですか」

 

「どこの家のご令嬢でしょうか?」

 

「ご令嬢!? 違います、私は普通の市民です」

 

「何と!?」

 

「私はてっきり名のある貴族のご令嬢か、何処かの国の王族かと思いましたよ」

 

「いやはや美しい女性だ」

 

「あ……ありがとうございます♪」

 

沢山の貴族達に囲まれ賛辞を受けているダクネスとセレナが目に入り、カズマの額に青筋が浮かぶ

 

 

「おうおう、ダクネスもセレナも金髪の爽やかイケメン貴族様達にヘーコラしやがってよ

 

ケッ! 面白くねえ」

 

 

「…………そうだね」

 

『ピッ?』

「ん?」

 

ボソリと呟いたサトシに、ピカチュウとカズマは一瞬キョトンとしてしまう。

 

 

 

 

そんなパーティーを様々な楽しみ方をしているサトシ達に、3つの目線が集まる

 

 

 

 

 

 

「ジャリガールカルテットを追ってみれば、ジャリボーイの奴こんなお城に隠れてたのね」

『ソォォナンスゥ!!』

 

 

「羨ましいねぇ、こんなゴチソウを毎日食べてよ

 

アン! モグモグ

 

うーん子供の頃を思い出す懐かしい味だな、マネネも食べてごらん」

『モグモグ

 

マッネネェ♪』

 

『でもこの動くメロンはちょっと不気味ニャのニャ』

 

「不気味?

 

アタシ達の世界でも動くんじゃないのメロンって」

 

「いやいや、俺らの世界じゃメロンは動かないぞ」

 

「そうなの?

 

メロンなんて産まれてから1度も見た事ないから動くんだと思ったわアタシ、あぁん!!モグモグ

 

甘いわねぇ♪」

『モグモグ

 

ソォォナンスゥ♪』

 

『ニャ!? ニャアのを取るんじゃニャース!!』

 

ポケモン達も行った貴族風の衣装や付け髭による変装で侵入を無事に果たしたロケット団、勿論狙いはサトシのピカチュウ……だが

 

目の前に広がる料理を前にしては、ピカチュウよりも空腹の胃袋を満腹にする欲が勝りパーティーの料理を次々に食べていく

 

 

 

「してダスティネス卿、先程から気にはなっていましたが

 

何故モンスターをお連れに?

 

それもメイド姿の」

 

「お連れのお嬢さんもアークウィザードの様なキツネのモンスターを連れておりますが、大丈夫なのでしょうか?

 

数週間前に此処でモンスター達が暴れたとの事ですが」

 

「この子達は私の仲間のモンスターマスターが召喚したモンスターでして、凄く人に慣れた心優しい子達なので安心『ガツガツ!!モグモグ!!』「本当逃げ足早いわね!!こうなったら合体技いくわよイブ」『アシマァ!!』「待ってくださいアクア!!こんな所で貴女とイブの合体技なんか使ったら折角の料理が粉々になります!!!」……た…多少ヤンチャな子達も居ますが」

 

『リオリィオ、リオル』

 

『フォクシ、マフォクシー』

 

 

「おぉ……モンスターとは思えんほど美しい作法だ」

 

「良く見れば中々に愛らしい顔付きもされていますな」

 

「「ありがとうございます」」

 

美しい礼儀作法で挨拶するリオルとマフォクシーに負けじと、ダクネスとセレナも上品な作法で礼を返す

 

 

「しかしモンスターにそれ程の礼儀作法を教え込むのがお上手ならば、ダスティネス卿がご結婚なされ御子息様が産まれても立派に育てられるでしょうな」

 

「大した事は教えていませんよ、この子達は元から礼儀正しいのですから

 

さて、では我々は仲間の元に」

 

「まぁまぁダスティネス卿、久しぶりにパーティーの場でお会いしたのですからもう少しお話を

 

出来れば婚約の話をしたいのですが」

 

 

 

「ダスティネス卿ならば既にいらっしゃるのではありませんか、居るなら是非この目で拝見したいですなぁ

 

しかし、万が一居ないのならば是非ワタクシを」

 

「何を言うか、お美しかったお母様にどんどんと似ておられて来てますからね何十人もいらっしゃるのではありませんか

 

しかし、もしもという事も有り得ますね

 

その時は是非是非自分を」

 

「いえいえ、その様な人など居ませんし今は冒険者としての自分を楽しみたいので」

 

(ダクネスがイライラしてる……早く助け船を出さないと)

 

頬の辺りがヒクヒクと動き始め、彼女がイライラを我慢していると察し助け船を出そうとするセレナだったが

 

彼女よりも先に、男性の声が貴族達に向けられる

 

「バカか貴様らは、ここ最近多大なる功績を上げられているダスティネス様に相応しいお相手など決まっておるだろうが」

 

でっぷりとした体型に、立派な髭を生やした中年の男性が貴族達を押し退けダクネスの元に

 

 

「アルダープ………殿」

 

「お久しゅうございますダスティネス様」

 

 

「ゲッ!? 何でオッサンが此処に居んだよ!!」

 

「オッサン言うな!!

 

き…き……貴様がデストロイヤーのコアをワシの屋敷に送り付けたせいで、今も屋敷を修理しておるから王都の別邸で暮らしているんだ!!」

 

「それはそれは、アンタも大変だな」

 

「貴様のせいだぞ何故他人事なんだ!!

 

大体ワシは貴族だぞ、平民の分際でアンタ呼ばわりしよって!アルダープ様と呼ばんか!!!」

 

 

「ねぇ、この人カズマの知り合い?」

 

「あぁ、お前らが来る前にちょっと面倒事があってな

 

そん時に揉めた貴族のオッサンだ」

 

かつて裁判を掛けられ、下手をすれば死刑になっていたかもしれない案件で揉めた、アクセルの町の領主アルダープの事をセレナに説明する

 

勿論、聞こえたら煩く喚かれそうなので彼女に耳打ちで伝えるカズマ

 

 

「してアルダープ様、ダスティネス卿に釣り合う殿方とは一体誰の事なのでしょうか?

 

もしや御子息のバルター様でしょうか?」

 

「違う、現在国王陛下と共に魔王軍と戦っておられる第一王子ジャスティス様だ」

 

「ジャスティス様!?」

 

「確かにご立派な殿方だ!!」

 

「そうだろう、以前より魔王軍と戦い多大なる功績を上げられているご立派なジャスティス様と

 

ここ最近魔王軍の幹部を討ち取っているダスティネス様

 

実に似合いの2人ではないか」

 

「た……確かに」

 

「悔しいが……納得出来ます」

 

 

「はぁ……皆様盛り上がってる所を申し訳ありませ「おいララティーナ、それじゃあ俺との爛れた関係はどうなるんだ!!まさか……俺を捨てるのか!?」………はぁ?」

 

「なっ!?」

 

「今あの男……何を言った」

 

 

「そもそも何者だ……貴族ではないだろ、あの顔じゃ」

 

「妙なネクタイもしておるしな」

 

(ウッセェなイケメンは、一々人を顔面偏差値で語るな!!

 

あとコレはネクタイじゃねえナマケロだ!!!)

 

 

「なな……何を言われますかカズマ様、またお前……貴方様の悪い癖である妄想癖が発動したのでしょうか」

 

「おっと」

 

口止めしようと迫る彼女の手を交わし背後に回り込む

 

 

「おいおい酷いじゃないかララティーナ、共に同じ屋根の下で暮らす男に対してそんな態度」

 

 

「カズマ、辞めた方が良いわ……というか早く逃げた方が」

 

「いいや辞めないね、何故なら俺はただ本当の事を貴族様達に世間話として話してるだけなんだ

 

 

共に風呂に入り、互いのありのままの姿を見せ合い

 

先週は俺に対し頬を赤らめながらご主人様と呼び、卑しいメス豚ですぅぅぅぅ!!!!」

 

「おやおやカズマ様どうされたのですか、ただ肩を掴んだだけなのに大の男が情けない声など出して」

 

「いぃぃぃのかぁあぁララティーナ!!

 

こんな大衆の前で見せて良いのか、お前のバカ力ぁぁぁぁ!!!骨骨骨骨骨がぁぁ

 

セ…セレナ!!頼むコイツを止めてくれ!!!」

 

「忠告したのに無視した貴方が悪いわ、それに今のダクネスは誰にも止められないわ

 

リオル、ダクネスは暫く忙しいから私達と一緒にご飯食べましょ」

 

『フォクシ、マフォ!』

 

『リィオ?』

 

 

「ちょっ!?待ってぇぇぇ!!!」

 

 

 

 

「か……関わらん方がいいな……おいお前、さっさと肉を持って来い」

 

「はい、かしこまりましたアルダープ様」

 

逃げるようにアルダープはその場から去り、使用人らしき格好をした黒髪の長髪で骸骨の様な細い体の男に肉を持ってくるよう命じる

 

 

「おやアルダープ様、新しい使用人を雇ったのですか?」

 

「あぁ、気は小さいが中々役に立つ便利な男だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「サトシ、一緒に食べましょ」

 

「うん………」

 

「どうしたの?」

 

「なあセレナ、さっきあの人達と何を話してたんだ?」

 

「綺麗な人ですねや貴族か王女様ですかって言われたの、フフフ笑っちゃうでしょ全然そんな風に見えないのに♪」

 

「そんな事ないぜ、俺オシャレとか良く分かんないけどミロカロスみたいに綺麗だよ今のセレナ」

 

『ピカピ!? チャァ…』

 

『マフォク……』

 

<いつくしみポケモン>ミロカロスは世界一美しいポケモンと呼ばれているが、それを人間に言うのは果たして褒めているのかと感じピカチュウは相棒の発言にやっちゃたと頭を抱え、マフォクシーは呆れてしまうも

 

 

「ありがとうサトシ♪」

 

セレナは純粋に喜び笑みを見せる

 

 

「所で、何で私が貴族の人達と話した内容を知りたかったの」

 

「うーん……何でだろ?」

 

「だぁ!! 私に聞かれても分からないわよ」

 

『リオリ! リオオ! リオリィオ』

 

「あっ! 料理持って来てくれたのか、ありがとなリオル♪」

 

『リオリオリィ♪』

 

 

リオルから料理の入った皿を受けとるサトシとセレナを見て、遂に奴らが動く

 

 

 

 

 

「おいムサシ、ニャース

 

ジャリボーイがピカチュウから離れてる、今ならピカチュウゲットでチュウのチャンスだぞ」

 

「パクパク モグモグ

 

ちょっと待って、後あのケーキだけ」

 

『このスープ美味いのニャ』

 

『ソォォナンスゥ!!』

『マネッマネッ!!』

 

 

「おいおい………まぁでも確かに……もうちょっと食べてからやるか」

 

「な……な……」

 

「ん?」

 

肉の置かれたテーブルにコジロウが向かうと、汗をダラダラと流しながら立ち尽くす男性に目が止まる

 

 

「あの大丈夫ですか?顔色悪いですよ?」

 

 

「い……いえ……ちょっと人が多くて熱いなと思っただけですので……お…お気になさらず」

 

そう言いながら慌てて男性はコジロウの元を立ち去る

 

 

「確かに人口密度高いけど、あんなに汗欠くぐらい暑いか?」

 

 

 

 

 

 

 

「アルダープ様」

 

「遅いぞ!!もう肉ではなく魚の気分になってしまったわ!!!」

 

「申し訳ありませんが、私だけ先に帰らせてください」

 

「はぁ!?何を言っている!!使用人の分際で主を置いて行くというのか!!!」

 

「騒がないでください、あ……あの時の少年と少女が…この会場内に居ます……」

 

「少年と少女?

 

例のお前の邪魔をしたという奴らの事か?」

 

「は……はい……まさか……此方に居るなんて……顔を見られれば必ずや私を捕らえようとする筈、もし王宮内で戦闘となれば、また兵や冒険者達の邪魔が入り幾らコイツらでも勝率が下がる恐れが」

 

「ちっ!

 

貴様がどうなろうがワシの知った事ではないが、そのモンスター達を失うのは勿体ない……分かったさっさと屋敷に帰れ」

 

「ありがとうございます」

 

 

《王宮のバルコニー》

 

「痛ぇ……ダクネスの野郎…本気で握って来やがって、ほんの冗談で言ったってのによ」

 

月夜に照らされるバルコニーに設置されたベンチに座り、ダクネスの凄まじい力で握られた肩を夜風で冷やす

 

 

「というか……良い加減元気出せよナマケロ」

 

『……………ナマァァ』

 

アイリスと今夜でお別れという現実を未だに受け入れられず、カズマの首に巻き付きながら泣いているナマケロ

 

 

「そりゃあパーティー始まる前は俺も一緒に泣いたけどよ、流石にもう吹っ切れたぞ」

 

「何をですか?」

 

「アイリスとティアラと離れる事をだよ、不本意だけどな」

 

「本当はずっと居たいのですか?」

 

「当たり前だろうが……って!アイリス!?」

 

 

 

いつの間にか隣に座るアイリスに面食らってしまう

 

 

『ナンマァ~ナマ?』

 

「しぃ~」

 

「わ……悪い」

 

良く見れば座る彼女の膝にティアラが横たわり寝息を立てていた、それが見えてか彼女に抱っこを求めようとしたナマケロが抱っこを諦め再度カズマの首に巻きつく

 

 

「どうやら疲れたようです」

 

「そりゃコレだけの人間が居るんだ、バレたらどうしようって緊張したんだろ」

 

「そうですね

 

所でお兄様は何故バルコニーに?しかも右肩を服から出されて」

 

「さっきとんでもない怪物と戦ってな、その傷を癒してたんだ」

 

「フフフ、聞こえたらまたその怪物に左肩を襲われますよ」

 

「知ってたか……まあそりゃ目立つわな」

 

『アイリス!

 

あれ? カズマも居たロト』

 

「居ちゃ悪いかよ、というかロトムお前今まで何処行ってたんだよパーティー始まっちまったぞ」

 

『アイリスからの頼まれ事をしてたロト、完璧に現像出来てるロト』

 

「本当ですか、さっそく見せてください」

 

『どうぞロト』

 

「わあ♪ありがとうロトム♪」

 

ロトム図鑑の背中から一枚の紙が現れ、それを受け止め中を見るとアイリスは満足げに頷く

 

「現像って、もしかしてお前の撮った写真をプリントしたのか?」

 

『そうロト、アチシ達が王宮に来てから撮った写真の中からプリントして欲しいのをアイリスに選んで貰ってたロト』

 

「ほぉ……因みにどんな写真だ?

 

ンゲッ!? 俺とサトシがアイリスとティアラにボードゲームでボロ負けしてる所じゃねえか、何でこんなのプリントしたんだよ」

 

『アイリスがコレが良いって言ったロト』

 

「あんなに遅くまでゲームをしたのは初めてだったので、ワタクシの貴重な思い出だから残しておこうかと」

 

「ま……まぁアイリスがどうしてもって言うなら、頼むからダクネス達には見せんなよ

 

つうかポケモン図鑑って本当便利だな、スマホの機能だけじゃなくてこんなパソコンみたいな事まで出来てよ」

 

「スマホ?パソコン?」

 

『サトシの図鑑は最新機種だから機能が沢山あるロト、写真のプリント以外にも動画を映す事も出来るロト』

 

「益々パソコンだな……」

 

「あの御二人共、スマホやパソコンに動画とは何なのですか?」

 

「スマホとパソコンは簡単に言うならロトムみたいに色んな機能が付いた機械だ、特にスマホは便利だぞ色んなゲームが出来るだけでなく、どんなに遠くに居ても話す事が出来る通信機みたいなもんだからな

 

俺の故郷じゃアイリスよりも年下の子達でも持ってるぐらい普及されてんだ」

 

「そんなまさか、通信出来る魔道具は王族ですら入手困難なのですよ

 

お兄様、ワタクシが世間知らずだから、からかっているんですか」

 

「本当だよ、もしスマホが此所に合ったら毎日アイリスに電話して声聞きたいぜ」

 

「もー、またからかって」

 

プクゥと頬を膨らませるアイリス

 

「からかって無いよ本当だぜ、そんで動画ってのは写真の動いてるバージョンだな」

 

「動く写真なのですか!?」

 

「あぁ、声や音なんかも聞けるぜ」

 

『その通りロト』

 

「うーん……お兄様だけなら、またからかってると言いたい所ですが、ロトムが言うなら本当なのですね」

 

「アイリス……お兄ちゃん……泣いちゃうよ」

 

『論より証拠、何ならアチシの撮った動画を大画面で見て見るロト?』

 

「是非!」

 

「大画面って、テレビもパソコンのモニターも無いのに何処で映すんだよ?」

 

『空ロト』

 

「マジか!? それは俺の故郷のスマホやパソコンでも無理な機能だ」

 

『だから言ったロト最新機種って、と言っても月の光を利用して映し出せるから満月の夜にしか使えないマイナーな機能ロト』

 

「いやいや、月夜の空に動画流すとか最高じゃねえか

 

見せてくれよ」

 

『了解ロト、取れたての動画を映すロトね』

 

ロトムの背中から出現した光の線が月夜の空に向かう

 

〔おやおやカズマ様どうされたのですか、ただ肩を掴んだだけなのに大の男が情けない声など出して〕

 

 

「ゲッ!?」

 

 

まるでホログラム映像の様に肩を握るダクネスと痛がるカズマの姿が空に映し出される

 

〔いぃぃぃのかぁあぁララティーナ!!

こんな大衆の前で見せて良いのか、お前のバカ力ぁぁぁぁ!!!骨骨骨骨骨がぁぁ〕

 

「ストップ!ストップ!!」

 

『えぇ!? 此所から面白くなるロトよ』

 

「お前は身内の恥を城下町の皆さんに流すつもりか!!

 

早く止めろ!」

 

『分かったロト』

 

「ほ…本当に先のお兄様とララティーナの出来事が綺麗に再現され、しかも空に流れるなんて……凄いです♪」

 

『他にも沢山動画があるロトよ、次はめぐみんから絶対消すなと言われたカズマがユキメノコに』

 

「そうだロトム! お前プリントしてて飯食ってないだろ、さっさと食ってこないとバルスリンとめぐみんに全部食われんぞ!」

 

『えぇ!?

 

まだアチシ何も食べてないロト、情報提供ありがとロトカズマ!』

 

大急ぎで会場内に戻って行く

 

 

(危ねえ!!!

 

流石にユキメノコにメロメロにされてんのアイリスや城下町の皆々様に見られたら………俺……もうこの街で歩けない)

 

 

 

「フフフ♪お兄様達と居ると本当楽しいですね、初めての事を沢山体験出来て凄く心踊ります」

 

賑やかな会場を互いに眺めながら、アイリスがぼんやりと口を開く

 

「明日から王宮は静かになります、ワタクシに色々な事を教えてくれた兄弟達や友人達が帰ってしまいますから」

 

「なんだったら弟も此所に呼んで3人でプチお別れ会やるか?

 

(ロトムは変な動画流すかもしんないからピカチュウに面倒見て貰うか)」

 

「構いません、今お仲間の女性とご飯を食べられていますし邪魔は出来ませんよ

 

 

所でお兄様、あの女性もワタクシの妹なのですか?」

 

「いいやアイツはママだ」

 

「お母様でしたか、後でご挨拶をしないと」

 

「おう、俺の居ない所で頼む」

 

「はい……あっ

 

そろそろパーティーがお開きになりますし、中に戻りましょうお兄様」

 

「あれ?もう終わりか?」

 

「料理が殆ど失くなりましたからね」

 

(バルスリンのせいじゃねえか!!

 

ちゃんと止めろよめぐみん………ってお前もバク食いしてんのか!?)

 

バルスリンの隣で負けじとパクパクと料理を食べ、更にタッパーに料理を詰める彼女を見て頭を抱える

 

「何時ものパーティーは長く感じるのに、今日のパーティーは凄く短く感じちゃいました」

 

「そりゃあ大食いがいっぱい居るからな」

 

「そうではありません、レインが楽しい出来事は時間の経過が早く感じると言っていましたが本当だったのですね

 

今日のパーティーだけではありません、この1週間はワタクシの人生で一番早く感じた7日間でした」

 

 

再度ベンチに座り、眠るティアラの頭を撫でながら会場を見るアイリスの表情が段々と寂しい物に変わっていく

 

 

「安心しな、また遊びに来るよ

 

(本当は残りたいけど、ダクネスを説得するのは難しそうだ)」

 

「えぇ!お待ちしています、でないとサトシとのポケモンバトルの約束を破ってしまいますから」

 

「そっちか……俺は別に良いって事かい」

 

「勿論お兄様もいらっしゃってください、お兄様やナマケロともポケモンバトルをやりたいですし

 

あのゲームの決着だって付けたいですから」

 

「そうだな、このままじゃ俺の勝ち逃げだもんな」

 

「何を言っているのですか?

 

勝率的にはワタクシの勝ち越しの筈ですよ」

 

「クレアに止められたり俺のくしゃみで駒がひっくり返ったのを引き分けにすれば、勝率は五分五分だ」

 

「やっぱり……お兄様は子供です

 

ナマケロ、肩なら大丈夫ですよ」

 

 

『ナンマァ』

 

ナマケロが先から寂しそうに自分を見ているのに気づいていたアイリスが、抱っこはティアラが寝ているので出来ないが肩に乗るなら可能だと伝え、喜んで御言葉に甘えるナマケロであった

 

 

「ララティーナが羨ましいです、好きな時に外にポケモンを探したり色んな場所に行けリオルみたいな可愛い子をパートナーに出来て」

 

「可愛い子をパートナーなら、ティアラが居るじゃねえか」

 

「この子はゲットされるのが嫌と言っていましたからパートナーには出来ませんよ、何よりお兄様を見付けたらサトシの故郷に帰らないと……此所は魔王軍が襲ってくる危険な場所ですから」

 

「…………そっか

 

(そんじゃ俺が残ってお前達を守る………と言いたいが、最弱職の俺じゃ魔王軍に総攻撃されたら返り討ち食らっちまうわな

 

というか明日には帰らないといけねぇしよ……はぁ……魔王軍と戦わなくともアイリスとティアラを助ける事は出来るだろうし、何とかして王宮に残れないだろうか)」

 

 

「もし平和になったら、ワタクシも冒険者になって旅に出たいです

 

流石にララティーナの様なクルセイダーは無理ですが、サトシみたいに沢山のポケモンと冒険するモンスターマスターになってみたいですね

 

もしくは盗賊とか……クレアやレインは反対しそうですが、今、巷で噂の義賊みたいな事をしてみたいです♪」

 

「…………ん?

 

アイリス……今何が巷で噂になってんだ?」

 

「知りませんか、王都に暮らす評判の悪い貴族の屋敷に侵入し、悪どいやり方で手に入れたお金を盗み、全てエリス教団の経営する孤児院に寄付する盗賊……義賊が居る事を」

 

「義賊……」

 

「貴族御抱えの兵だけでなく、王宮の兵ですら捕まえる所か姿すら見る事が出来ない凄腕みたいですよ」

 

「……………コレだぁぁぁ!!!」

 

『!?』

 

「お兄様!? ティアラが起きちゃいましたよ!!

 

えっ!? 何処に行くのですか?」

 

 

大急ぎでパーティー会場に戻り

 

「ダクネス!! ダクネス!! 何処だ!!」

 

 

走りながらダクネスを探し始める

 

 

「一度手合わせをお願いしたいですダスティネス卿」

 

「喜んで」

 

「ダクネス!!!!」

 

 

「わぁぁ!? どうしたカズマ?」

 

「やっと見つけたぞ、おぉ!クレアも一緒か丁度良い!!」

 

 

「な……何でしょうかカズマ殿」

 

 

「アイリスから聞いたぞ、最近王都で凄腕の義賊が暴れ回ってるってな」

 

 

「義賊? あぁそう言えば、そんな輩が最近王都に現れたと父が言っていたな」

 

「確かに多数の警備を掻い潜り、姿形すら見られず盗みを働く凄腕の義賊はおりますが

 

それが一体なにか?」

 

 

「おいサトシ!!!此方来い!!!!」

 

困惑する貴族令嬢達を余所にカズマは大声でサトシを呼ぶ

 

 

「どうしたのカズマ?」

 

「何かあったの?」

 

 

「なんですか、何かのイベントでもやるのですか?」

 

「もしかしてアタシ達も王宮に長期滞在出来る案でもあるの」

 

 

呼ばれたサトシだけでなく他の仲間達も自分の側にやって来るのを確認し、再度カズマはダクネスとレインの方を振り向く

 

 

 

 

「その巷で話題になっている義賊とやら、この俺達が捕まえてやるよ」

 

「「……………はぁ?」」

 

堂々と義賊を捕まえると宣言するカズマに、ダクネスとクレアの目がキョトンと丸くなる

 

するとサトシを呼ぶ為に大声を上げたからか、周りの貴族達も皆カズマの方を見ており今の彼の宣言を聞きざわつき始める

 

 

「貴族や王都の騎士達だけでなく警察すら手に焼く、あの義賊を捕まえるだと!!」

 

「誰だ、あの貧相な男は?」

 

「どうやらダスティネス卿のお仲間で、今回のパーティーの主役の1人らしい」

 

「なに!? あんな幸の薄そうな男の為にこんなパーティーを開いたのかアイリス様は!?」

 

 

(貴族の皆さん聞こえてますよ)

 

「義賊って何の事だ?」

「泥棒だけど、盗んだ物を困ってる人達に寄付する人の事を義賊って呼ぶの」

「ふーん、ロケット団と違って良い泥棒って事か」

 

「「『おい!!』」」

 

「ん?」

『ピッ?』

 

 

「おいコレ美味いわよ」

 

「おいドンも感激でゴワス!」

 

『おいスターソースが良い味出してますニャア』

 

 

「気のせいか」

『ピカピィカ』

 

 

 

 

「ど……どうしたカズマ、何故急に義賊を捕まえようなどと」

 

「俺達は魔王軍の幹部達を撃退して来た凄腕パーティーだろ、王都の連中が苦戦するなら俺達でしか義賊とヤリ会える奴は居ないと思ってな」

 

「………何を企んでいる」

 

「おいおい!!俺だってたまには正義感から見返り無しで世の為人の為に行動すんだぞ、そんな疑いの目で見られるなんて心外だなあ!!」

 

 

「素晴らしい!!」

 

するとそんなカズマに対し、先程彼に対し貧相な男と称した貴族の1人が拍手を送る

 

 

「いやはや人目見た時から貴方は立派な冒険者だと思いましたよ、是非頑張ってください

 

ああいえ、勿論ワタクシは義賊の標的にされる様な後ろめたい事などやってはおりませんが」

 

「自分も特にやましい事などありませんが、他の貴族の皆さんにとって目の上のたんこぶの義賊を捕らえてくれれば安心ですからね

 

ええ自分は全く狙われないので大丈夫ですが、他の貴族の皆さんの為にも頑張って戴きたい」

 

 

(分かりやすい連中……)

 

 

「オッケーカズマ!俺も手伝うよ!」

「サトシ!?」

『ピカピ!?』

『フォクシ!?』

 

 

「流石は我が弟だ!!

 

どうだダクネス、クレア

 

お前らも貴族なら他の貴族を狙う義賊の事を捕まえたいと思ってんじゃねえか」

 

 

「ん……んん……」

 

「まあ狙われているのは悪どい貴族なので、狙われても正直言って自業自得と言いたい所ですが

 

流石に窃盗を行う者を野放しにするのは騎士として許しは出来ません」

 

 

(よっしゃあ!! クレアの奴が折れればダクネスも受けざるを得ないだろ

 

 

おぉ!! アイリスが期待に満ちた目で俺を見ている!!

 

任せな昼はラティオスを探し、夜は義賊を捕まえる

 

そうすりゃアイリスもティアラもお兄ちゃん大好きって……くぅぅぅ!!!!

 

待っててくれよ、俺の素敵で優雅な異世界ライフ!!)

 

 

「分かりました、ではカズマ殿とお仲間の皆さんにはコレから

 

カズマ殿がコレはと思う貴族の家に泊まり込み、張り込みをお願い致します

 

皆もカズマ殿達に協力をするように」

 

 

「……………あるぇ?」

 

 

 

《次の日の早朝》

 

早速カズマ達は義賊が現れそうな屋敷、つまり悪どいやり方をしていそうな貴族の元にやって来た

 

 

「ギィ……ギギギ……」

 

その悪どい貴族、アルダープは歯軋りをしながらカズマ達一行を睨み付ける。




アルダープの使用人らしき男は(一応ボカす)オリキャラです
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