「あれ? 何処だ此所?」
先まで目の前に居たエリスが消え周りの景色も先の場所とは違い、まるでガラル地方の様な雰囲気を醸し出す街であった
「もしかして此所が……異世界」
「見た限りだと私達の世界と変わらないわね」
『ピィカァ……ピカァチュ』
『マフォ……』
建物や歩く人間の姿だけを見れば自分達の世界と何ら変わりないように見えてしまうが、直ぐに此所が異世界である事を感じてしまう
「ポケモンが全く居ないな」
「そうね……コレだけ広い町なのに全然居ないなんて、それにホルビーやイーブイみたいな耳を生やした人も居るし……やっぱり別の世界なのね」
この様な大きな町ならば必ず暮らしている人間が連れているポケモン、もしくは野生のポケモンが居る
だが暫く町の中を歩くもポケモンの姿は全く無く、逆にウサギや犬の耳を生やした獣人が堂々と街中を歩いているのも此所が別世界なのだと感じさせる
「何かしらあの子達? モンスターを連れて?」
「使い魔じゃないか、あんな子供でアークウィザードとはスゲぇな」
ポケモントレーナーならポケモンを連れて歩くのはごく普通の行為を不思議そうに見られ、世界的に有名なポケモンであるピカチュウを物珍しそうに見ており
コレは間違いなくこの地は異世界だなと感じたサトシとセレナは、エリスが別れ際に言っていたクリスという人物を探す為に町の住人であろう女性に声を掛ける
「あの」
「はいはい何でしょうか?」
「人を探して居るんですけど、クリスって人「まぁまぁまぁ!!もしかして貴方迷子ですか!!!」
あぁいや迷子じゃなくてただの人探し「可哀想に!!ですがご安心下さい!! 直ぐに貴方の探し人を見つける方法を私は知っているのです」
本当ですか!?
是非教えてください!」
「だ……大丈夫かしら?」
『ピィカァ………』
『マフォ………』
話の腰を折りまくり圧が強い人だが、探し人を見つける方法を教えてくれると聞いて喜ぶサトシと違い、セレナ達は明らかに女性の事を胡散臭いと感じ訝しげな目線を送る
「では先ず此方の入信書にサインを」
「アクア様? アクシズ教団…?
あの」
「ハイハイなんでしょうか」
「アクア様って誰ですか? それとアクシズ教団って?「なんとぉ!?貴方美しき水の女神アクア様をご存知でない!?」は!!はい!!!知らないです!!!」
「アクア様とは全ての神々の頂点に君臨なされる絶対神なのです!!覚えなさい!そして今日から敬いなさい!!」
「へ……へぇ……(全ての神々の頂点にって……エリスさんやアルセウスより凄い神様なんだ)」
「そして我々はそんな気高き女神アクア様を称え崇めるアクシズ教団!!
今入信すればアクア様の素晴らしさを他者に教えるだけでお金を授かる事ができ、更にこのどんな汚れすら落とせるうえに食べられる石鹸と飲める洗剤を無料で配布、更に更に今なら1ヶ月無料キャンペーンで絶対に迷子にならず探し人を見つける事が出来る呪文を毎日掛けて貰えますよ!!」
「お金が!? それに食べられる石鹸に飲める洗剤!?
しかもそんな凄い呪文まで……凄いなセレナ♪」
「そ……そうね…」
『ピカァァ……』
『マフォマフォ……』
益々胡散臭いなと感じるが、コレが異世界かと純粋に楽しむサトシに水を刺す訳には行かないので特に何も言わないセレナ達であった
「更に更に更ぁぁに!!!
想い人との距離感をコレでもかと近付ける効力を持つ此方のミニアクア様石像もプレゼント致します」
「お!お!お!!想い人との距離感を!?」
先まではピカチュウとマフォクシーと同じ意見だったセレナの意志が揺らぎ始めてしまう
「そんな豪華特典満載のアクシズ教団への入信が今ならこの紙にサインするだけで可能に、さ! ささ!! さぁサインを!!!」
「「はい♪」」
「待った」
入信書にサインしようとするサトシとセレナ、すると待ったを掛けながら2人の手を止め紫色のペンダントを掲げる者が
「悪いけどさ、この子達もあたしと同じエリス教徒なんだ
だから「ぺっ!!」わっ!?」
銀髪で身の軽そうな服装の中性的な見た目の少女に向かい、先までニコニコと笑っていた女性が豹変し唾を吹きかける
「あんなパットの暗黒神の教徒が話しかけんじゃないわよ!!!
ぺっ!!
この邪教徒がぁぁぁ!!!
ぺっ!!!」
「な……何だったんだ……?」
「……………パットじゃない……」
「「ん?」」
『ピッ?』
『フォ?』
「大丈夫…………大丈夫……大丈夫」
「あの」
立ち去る女性に呆気に取られるサトシ達だが、それよりも何故か半泣きで胸に両手を当てブツブツと何かを呟く少女が心配になり声を掛ける
「大丈夫ですよ私……大丈夫…大丈夫……毎日大きくなる体操をしてるんだから」
「あの大丈夫ですか? 胸に手を当ててますけど、もしかして胸が苦しんですか?」
「大丈夫です!!!成長して苦しいぐらい大きくなりますから!!!!」
「………はぁ?」
「あっ………オホン
心配かけてゴメンね、本当に大丈夫だから心配しなくても良いよサトシくん セレナちゃん」
「そうですか、なら良かっ……何で俺達の名前?」
「エリス様からの御告げを聞いてね、君の肩に乗ってる黄色のネズミみたいなモンスターとウィザードみたいな見た目のキツネのモンスター……ピカチュウとマフォクシーだったかな?
その子達を連れている少年と少女の手助けをして欲しいって
おっと自己紹介忘れてたね!
あたしはクリス 宜しくね」
「あぁ!貴方がクリスさんですか、初めまして俺サトシです」
「私はセレナです」
『ピカ、ピカチュウ!』
「此方が相棒のピカチュウです」
『マフォ、マフォクシー!』
『こっちが私のパートナーのマフォクシーです』
「うん!宜しくね」
「「はい」」
『ピカッ♪』
『マフォ♪』
手を差し出されたのでサトシとセレナは彼女の手を取り握手を交わす
そしてピカチュウとマフォクシーも、その小さな手でクリスの手を取ると
「…………やっぱり可愛い」
『ピッ?』
『フォ?』
「あぁ!!!何でもない何でもない!!!
宜しくね皆」
取りあえずゆっくり話そうと噴水近くのベンチに腰を置く事に
「ゴメンね大分あたしの事探させちゃったみたいで、ちょっと仕事が手間取って来るの遅れちゃってさ」
「大丈夫です、おかげでこの町……アクセルでしたっけ?
ゆっくり見学出来ましたし」
『マフォ! マフォック!』
「なら良かったよ………さて、じゃあ本題に入るよ」
顔を引き締めサトシとセレナを見る
「エリス様から君達の役目は聞いているよ、あたしも手伝うけど正直1日や1週間や1ヶ月で解決出来る問題じゃないね
長丁場になるから暫く君達はこの世界で暮らさないといけない、だから食べ物や飲み物を手にいれる為にもお金を稼がないといけいし住む場所も確保しないと」
「お金か……そう言えば先の女の人がアクシズ教団に入ってアクアって女神様の事を誰かに話したらお金をくれるって言ってたんで、俺今すぐ入って「それは止めておいた方が良いよ……」えっ? 何でですか?」
「あたしがコレを言ったのが、もし先輩にバレたら間違いなくヤバい目に会わされるけど……この世界に居る間はとにかく絶対何が合ってもアクシズ教団と関わっちゃダメ
「なん」お願い」
「は……はい」
何でだと聞こうとしたが、クリスの目が死んだコイキングの様な物だったので詳しい事は聞かないサトシであった
「とにかくお金を稼ぐには冒険者ギルドで冒険者登録しないとね、あっ!因みに冒険者ってのは」
冒険者とは主に人間に害を与えるモンスターの退治や未知のダンジョンを探索し調査内容を報告し置くにある宝物を手にいれたり、王族や貴族といった人間達の護衛や荷物持ち等の簡単なお手伝いを請け負う所謂何でも屋である
それらを説明し終えるクリスに対し
「スゲー!! ダンジョン探索なんて如何にも冒険してるみたいで楽しそう!!」
『ピカピカァ!』
サトシとピカチュウは目を輝かしながらワクワクしていた
「確かにカロスを旅してた時を思い出すわね」
『マフォ♪』
「ただ、クエストを確実に達成するには来たばかりの君達だけだと難しいかもしれないよ
だからこの世界の冒険者達とパーティーを組んだ方が良いね……って君達なら知ってるか、仲間は大事だって事」
「はい
俺も今まで沢山旅をして来たけど、仲間やゲットして友達になったポケモンに沢山助けて貰ったから仲間は多い方が良いですもんね」
『チャァァ』
「うん、シトロンやユリーカ達やポケモン達のおかげで沢山の事を乗り込えてきたものね」
『フォクシー♪』
今まで一緒に旅した仲間やポケモン達に助けられたサトシとピカチュウ、カロスでの旅でシトロンとユリーカの兄妹達に助けられた事があるセレナとマフォクシーにとって、クリスの言う仲間は大事という考えは心から賛同出来る物であった
「だよね、それにポケモン達を探すにしても仲間が居た方が良いだろうし
そんじゃあ一緒にエリス様の依頼を受けた者同士、あたしが君達とパーティーを……って言いたいんだけど、職業柄あたし色んな場所に行かないとダメだから一緒に行動出来る時間が少ないから……取り敢えず臨時パーティーメンバーって事にしてくれるかな」
「そっか……クリスさんと一緒にパーティー組みたかったな」
『ピィカァ……』
「仕方ないわよサトシ、クリスさんも忙しいんだから」
『マッフォク』
まだ数十分程の付き合いしかないが、自分達が別の世界から来た事を知り、この世界での生き方を教えてくれた優しい人間であるクリスとパーティーを組めればなと思っていたサトシとピカチュウは、彼女とパーティーが組めない事に少しガッカリするもセレナとマフォクシーからの言葉に仕方ないと割りきる
「ゴメンね
その代わりって訳じゃないけど、あたしの親友の所属してるパーティーに入るってのはどうかな?
実はそのパーティー8人いる魔王軍の幹部を4人も倒して大きな屋敷に住んでてね、この町で一番のパーティーだよ」
「悪い奴らを4人も!? しかも屋敷に住んでる!?
スゲー♪」
「でもそんな凄い人達のパーティーに私達入れてくれます?
この世界のモンスターや魔王って悪人と戦っているのに、ポケモンを探す手伝いまで」
「大丈夫大丈夫、訳を話せば必ず分かってくれるよ
4人共良い人だから
ただ全員ちょっと……いやかなり……いや無茶苦茶個性的な人達だけどね、でも本当に良い人達だから」
「はぁ……」
「楽しみだな、どんな人達なんだろ」
「新しいパーティーメンバーを入れてあげて欲しいって今朝伝えてるから、入れてくれるかの答えを聞くがてら顔合わせに行こっか」
苦笑いするクリスに、どんな人達なんだろうと感じるサトシ達であった
こうしてクリスに連れられ彼女の親友所属するパーティーが住む屋敷に向かう道中にて
「ねえサトシ、クリスさんの事なんだけど」
「どうした?」
彼女に聴こえぬよう小声で話す
「私何処かであの人に会った気がするの」
『マッフォ!マフォクシー!マッフォク』
『ピカピッ!ピカピカチュ』
「マフォクシーとピカチュウもか?
うーん……俺は覚えがないな
そもそもクリスさんはこの世界の人だろ、だったら俺達が会える訳ないんじゃ?」
「確かにそうなんだけど、気のせいかしら?」
「ここが、そのパーティーが暮らす屋敷だよ
ん?どうしたの皆?」
「あぁいえ、何でもな……デカァ!?」
『ピカァ!?』
自分達が先まで見てきたアクセルの町にある全ての建物より2倍、いや3倍、いや4倍ほど巨大な屋敷に案内され思わず大声をあげてしまう
「凄い大豪邸」
『マッフォ……』
そんなサトシとピカチュウやセレナとマフォクシーを尻目にクリスはドアに近付きノックする
「カズマ!! あたしだよクリス! 入っていい?」
「おぉ良いぞ!!」
クリスの質問に対し屋敷内に居るであろう少年が返事をする
「オッケー!! 行くよ」
「「はい!」」
『ピカ!』
『マフォ!』
ドアを開き中に入るクリスの後を追う
「広いな……」
『ピカァ……』
「ふふ、本当に息ピッタリだねサトシ君とピカチュウは」
広いなと屋敷内を同時に見渡すサトシとピカチュウのシンクロ率に思わずクリスは笑みを浮かべてしまう、するとそんな彼女の元に
「待っていたぞクリス」
(わぁ……凄い美人の女の人)
高級そうな鎧を纏った金髪長身の美女が近付く、その女性の美しさにセレナは同性だが看とれてしまう
「ゴメンね遅れちゃって、あたしの仕事が終わるの遅くなってさ」
「10分ぐらいだ気にしなくても良い
ん?
その子達か、今朝話してくれた私達のパーティーに加えて欲しいという少年と少女は」
「うん! どっちもまだ10歳で、この町に来たばかりだから右も左も分からないと思うんだ
だから皆のパーティーに加えてあげてくれないかな、出来れば此処で暮らせてあげて欲しいんだけど」
そんなクリスの言葉に返事を返したのは目の前の女性ではなく、奥のソファーに座り此方を見る茶髪でジャージ姿の少年だった
「まぁクリスには色々世話になってるしな
俺は良いぞ、もう少ししたら大金も入るし2人ぐらい入っても生活に困らねえしよ」
そんな少年の返答に、彼の横に座る魔女の様な帽子を被り赤いローブを着た赤目の少女が膝の上で昼寝をしている猫らしき生き物を撫でながら口を開く
「私も構いませんよ
さぁて、どの様な後輩か先輩のこの私が見定め……て」
「どうした?」
突然口ごもったと思ったら急に立ち上がり、小刻みに震えながらサトシとセレナの方に向かう少女に少年は首を傾げる
「あわわ……わわ」
「あの……何ですか?」
『ピカァ?』
『マフォ?』
「か………可愛い……」
少女は目をコレでもかと輝かせ頬を赤く染めながらサトシの肩に乗るピカチュウと、セレナの横に立つマフォクシーを見つめる
「もしや、その子達は貴方達の使い魔ですか?」
「使い魔?」
「えっと……使い魔が何か分からないですが、ピカチュウは俺の友達でマフォクシーはセレナのパートナーです」
『ピイカァチュ! ピカピカチュ!』
『マッフォ!マフォマフォ!マフォクシー!』
「ほーそうでしたか、てっきり私と同じ使い魔を連れたアークウィザードかと思いましたよ
それにしてもピカチュウという名前なのですね、何と可愛いらしく素晴らしい名前なのでしょう」
『ピイカァ? チャァァ♪』
「あわわ……可愛い……」
「……………やっぱり可愛い」
名前を褒められて照れるピカチュウの仕草に少女だけでなく、クリスもメロメロになっていた
「そして此方の子はマフォクシーですか……うーん」
「どうしました?」
「うむうむ、見た目は愛らしくウィザードやアークウィザードの様な風格がありますね……となると」
「ん?」
眉間に指を当て何やら考え事をする赤目の少女を不思議がるセレナに、先程の金髪の美女が近付く
「私も構わないぞ、幾らアクセルの治安が他の町より良いといっても子供が2人で夜の町を歩いていれば筋骨隆々の男達に囲まれ……はぁ…金を稼ぐ為に聞くも語るも恐ろしい様なプレイを要求される……うぅ……恐れが……はぁ…はぁ……あるからな
騎士として見過ごす訳にはいかない」
「は……はぁ……(何か……変な言葉が聞こえたような気がしたんだけど、気のせいかしら)」
「お前、今興奮したな」
「……してない」
「いやして「それにしても確かに可愛いモンスター達だな」
誤魔化すの下手くそだな……ララティーナお嬢様」
「ララティーナお嬢様って呼ぶなぁぁ!!!」
「ぐべっ!?ややや止めろ!!!ぐるじい……」
半笑いの少年に名を呼ばれた美女は半泣きになりながら叫び少年の首根っこを締め上げる
そんな光景をポカーンと眺めるサトシ達の横で笑うクリスが美女を宥め終えると、辺りを見渡す
「あれ? アクアさんは?」
「アイツならまだ寝てる」
「そうなんだ、まぁ昨夜一晩中飲んでたみたいだし仕方ないね
1人はまだ寝てるみたいだけど取りあえず自己紹介しよっか」
「はい!
俺サトシって言います! こっちは俺の相棒で友達のピカチュウです」
『ピカ ピカチュウ!』
「私はセレナです、この子は私のパートナーでマフォクシーです」
『マフォ マフォクシー!』
「「よろしくお願いします!」」
『ピィカァチュウ!』
『ママッフォク!』
「あいよ! サトシとピカチュウにセレナとマフォクシーだな」
同時に頭を下げるサトシとピカチュウにセレナとマフォクシーを見て、微笑ましいなと思いつつジャージ姿の少年が近付く
「俺はサトウ カズマ、冒険者で一応このパーティーのリーダーをやってる
こっちこそ宜しくな」
笑みを浮かばせ当たり障りのない挨拶を交わすカズマ
それを見終わると金髪の美女が腰に両手を当て口を開く
「私はクルセイダーの」
「あっ! さっきカズマさんが言ってたから知ってます、ララティーナさんですね」
「い………いや……確かに私はララティーナではある……あるのだが、パーティー内に居る間はその名は呼ばずダクネスと呼んでくれ!!」
「うん? 分かりました」
赤面しモジモジと体を揺らすララティーナ「その名で呼ぶにゃぁぁぁ!!!」
ダクネスの自己紹介が終わったのを確認し
「フッフフ、真打ち登場」
先まで何か考え事をしていた少女が、赤い瞳を輝かせ右手で帽子のツバを持ち左手で何時のまにか着用しているマントをコレでもかと思いっきり振りかざす
「我が名は めぐみん! 紅魔族随一のアークウィザードにして、最強の攻撃魔法!爆裂魔法を操る者!!!!」
「「…………」」
『『…………』』
どや顔で行われた恐らく彼女の自己紹介であろう行動
サトシとセレナ、そしてピカチュウとマフォクシーはどう返事を返そうかと迷っている時、申し訳なさそうな顔を浮かばせながらカズマが口を開く
「スマンおちょっくてる訳じゃないんだ、コイツは頭がちょっと……アレなんだ」
「おい! 私の頭の何処がアレなのか聞こうじゃないか」
「初対面の奴にソレは止めろって何時も言ってんだろ!!わぁバカ!!杖で頭殴んな!!!」
「そうだぞめぐみん、初見は皆びっくりしてしまう
あと杖で叩くなら…わ…私を……」
「何を言っているのですか、こういう自己紹介は初見のインパクトが大事なのですよ」
「お前のはインパクトあり過ぎなんだよ!!」
「彼女は紅魔族って一族でね、紅魔族はその……変わった感性と変な名前をしてるのが特徴なの」
「おいクリス、我が一族の感性と名前の何処が変わってるのかゆっくりたっぷり聞こうじゃないか
古より伝えられし我が紅魔の理に異を唱える者よ」
「わぁぁ!? ダメダメ!!ここで爆裂魔法は止めてぇ!!!!」
サトシとセレナにヒソヒソとめぐみんの一族である紅魔族の特徴を話すクリスだが、地獄耳なのか彼女には聞こえており
杖を構えて呪文を唱えようとしたがカズマとダクネスに取り押さえられる
「あぁ…えっと……俺もセレナも別に名前が変わってる何て思わなかったですよ」
「えぇ、旅をしてた時に色んな名前の人に会ってきたんで特に変わってる何て思わなかったです」
「えっ…?」
「マジでか!?」
「何……だと!?」
「クリス!カズマ!ダクネス! 何故そんなに驚くのですか!!」
今までの旅で変わった名前の人間達に会った際も、その人達の名前をサトシ達は変と思った事がない
単純に彼らが戸惑った訳は
((ロケット団かと思った……))
めぐみんの名乗りを見て、何時も何時も何処から聞こえるのか分からないBGMをバックに独特の決めポーズと向上をド派手な演出と共に現れるラブリーチャーミな敵役を思い出したが為である
「知り合いに、めぐみんさんがやったみたいな事をしながら登場する奴等が居て
ソイツらが現れたのかなって思って動揺しちゃって」
「ソレはソレは、素晴らしい知り合いをお持ちの様ですね」
『ピッ』
めぐみんがテンション高くサトシが知り合いと言った人物を素晴らしいと言った瞬間、誰にも見えない所でピカチュウは舌打ちしていた
すると
「お早う……ふわぁぁ」
アクビが混じった間延びする挨拶と共に水色の髪のパジャマ姿の女性が階段から下りてくる
「お前もう昼だぞ」
「仕方ないでしょ昨夜は高級シュワシュワで宴会だったんだから、というかカズマさんったら何時も昼起きのクセして今日はヤケに早起きじゃない」
「今朝クリスが来たってダクネスに起こされたんだよ、勿論お前も起こしたけど幾ら声かけても体揺すってもバカ面ぶら下げてヨダレ足らしてるから放置したけどな」
「何がバカ面よ!!神聖な女神の寝顔と溢れ出る聖水をバカにしな……ちょっと待って……あ……貴方……まさかアタシの部屋に入ったの
いやぁぁぁぁ!!カズマが遂にアタシの寝込みを襲って来たぁぁ!!」
「はぁ!?
誰がぁお前みたいな駄女神の寝込み何か襲うか!!!めぐみんが起こしに言ったんだよ!!!」
「えぇ、因みに2発ほど顔面に蹴りを入れられましたよ」
「あらそうだったの、ゴメンなさいねめぐみん今日ランチ奢るからテヘペロ
というかクリスが来たって一体なんの用………えっ」
『ピィ?』
『マフォ?』
「えぇぇぇ!?」
アクアと呼ばれた女性はピカチュウとマフォクシーを見つけると全速力で階段を駆け下りる
「ななななな!!!! 何でポケモンが此処に居るの!?」
「「えっ!?」」
『ピッ!?』
『マフォ!?』
「「ポケモン?」」
「何だアクア? このモンスター達の事知ってんのか?」
「当たり前でしょ!! アタシは水の女神アクアなんだから、他の世界の生き物の事を知ってて当然よ」
「他の世界だぁ?」
ムカつくどや顔のアクアを無視し、カズマはサトシとセレナを見ると
2人は何故この人はポケモンや別世界の事を知っているんだと驚いていた
(ひょっとしてコイツら)
「アクア……その…何だ……いくら女神と同じ名だからと言って、自分を水の女神アクアだと言うのはそろそろ止めた方が」
「えぇ……バチが当たるかもしれませんし」
「えっ……ちょっとダクネス、めぐみん……貴女達まだ信じてなかったの
バチが当たるって、当たる訳ないじゃない私がその水の女神アクア本人なんだから」
「………そうか………そうだな」
「アクア……顔面を蹴られたのは許しますしランチも奢らなくて良いので、今日は休みましょ……ね」
「待って……何で2人共そんな可哀想な物を見る目で私を見るの……私は本当の事しか言ってないわよ」
「「うんうん分かって《ますよ》るぞ」」
「止めてぇぇ!!! その哀れむ目は止めてぇ!!!
わぁぁぁぁ!!!アタシ本当に女神なのにぃぃ!!!
うわぁぁぁぁぁん!!!わあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
幼い子供の如く泣きわめきながら床に倒れこみバタバタと暴れまわる
「先輩……」
そんなアクアの様子を、誰にも聞こえない声でクリスが呟き哀れみの目で見てしまう
「クリス、あの駄女神を宥めといてくれ」
「えっ?
良いけど、カズマ何処行くの?」
「コイツらの個別面談だ、お前らちょっと外に来てくれ」
「「は……はい」」
『ピカピ!』
『マフォク!』
トレーナーの後を追いかけ、ドアを閉めるのを忘れないマフォクシー
「個別面談って何を聞くんですか?」
「あぁいや、先ウチの駄女神がコイツらの事を別世界の生き物って言ってただろ
その事について何だけど」
「えっと……それは」
いきなり自分達は別世界から来ました、更に生き返る為に別世界のモンスターを探しに来たと言えば不審がられ折角パーティーに入れて貰える話がおじゃんになると考えセレナはどう返事をするか必死に考える
だが
「実は俺とセレナは異世界から来たんです」
「サトシ!?」
『ピカピ!?』
『マフォク!?』
あっさりとサトシは自分達の素性を打ち明けてしまう
「待ってサトシ、いきなり異世界から来ただなんて言っても不審がられちゃうわよ!」
「でも本当の事だろ、嘘付いたって何時かバレるかもしれないし
寧ろ嘘付いた方が信用出来ない奴だって思われる」
「でも……」
「やっぱそうだったか、オッケー正直に言ってくれてあんがとな」
「えっ? 信じてくれるんですか?」
「おう、だって俺も異世界から来たしな」
「えぇ!?」
「そうなんですか? もしかしてポケモントレーナー!!じゃあポケモンも居るんですか!」
驚くセレナと違い、寧ろサトシはカズマも自分と同じポケモントレーナーなのかという期待に道溢れカズマに詰め寄るが如く近付く
「近い…近い………ポケモントレーナーが何なのか分からんが俺は違うから!!
ディスタンス!ソーシャルディスタンス!!」
「ゴ…ゴメンなさい」
「でもポケモントレーナーを知らないって、私達と同じ同じ異世界から来たんですよね?」
「いいや俺はお前らとは別の世界の人間だ、ポケモンなんて生き物を俺は見た事も聞いた事もねぇ」
「更に別の世界!?」
『ピッカァチュ!!』
「そういえばエリス様が言ってたわね、別の神様達が各々担当してる世界があるって」
「エリス様!? 何でお前らエリス様の事知ってんだ?
エリス様はこの世界の女神だから、別の世界で……あっ…………その……」
自分と同じ様に死んだのなら、その世界担当の神や女神が案内役として目の前に現れる筈なのに
今居るこの世界の担当女神であるエリスの事を何故知って居るんだと聞こうとしたが、仲間や知り合い達からゲスやクズと言われては居るがカズマは根っ子の部分は善人なのである
たから10歳の少年少女にお前達は死んだんだろ等と聞けず口ごもってしまう
「実はですね」
カズマが何を聞こうか察したセレナが何故自分達がエリスを知っているのか、そして自分達に与えられた使命を話す
その凄まじく濃い話しの内容に
「なるほどな………はぁ」
カズマは深い溜め息を吐いてしまう
「どうしたんですか?」
「いや何でもねぇ……(何で俺の元には、めんどくさそうな厄介事がこうゴロゴロ押し寄せてくんだよったく……
どうしよう、先パーティーメンバーに入れるって言っちまったし
今更……そんなお仕事やりたくない!!
只でさえ駄女神に頭のアレなロリっ子にドMクルセイダーの尻拭いさせられるわ、数日前にはオークの群れに初めてを奪われそうになるわ、紅魔の里で魔王軍の幹部にチ◯コ当てられるわ、4回目の死を体験するわって俺の異世界ライフはどうなってんだ!!
とにかく余計な事に巻き込まれたくないから悪いが他当たってくれ
何て言えねぇ……
待てよ
エリス様の言伝てを聞いたクリスが俺の元にコイツらを連れて来たって事は、コレは言わばエリス様からのお願い……つまり)」
【ありがとうございますカズマさん、貴方のおかげでサトシさんは無事に生き返る事が出来ました
私からのお願いを聞いてくれたお返しに……その……私の初めてを……貴方に】
「ぐへへへ!!」
「なぁセレナ、カズマさん何で笑ってんだろう?」
「分からない……けど……何か……ちょっと怖いかも」
『ピィカァチュ……』
『マーフォ……』
「そうか? ただ笑ってる風にしか見えないけど」
「おっと!スマネェな置いてきぼりにしちまって、取り敢えずお前らの置かれてる状況は分かった
エリス様からのお願いなら、お世話になってる俺が断る訳にはいかねえな
(それにガキだけで、このヤバくてとんでもない世界からお目当ての悪人とモンスター探すんは大変だろうしよ
まっ)」
『ピィカァ?』
『マフォッ?』
「(こんな大人しそうなモンスター達探すぐらいなら楽勝だろ)
改めて俺のパーティーに入ってもいいぜ、勿論お前らの世界の悪人とポケモン探すのも手伝ってやんよ」
「本当ですか♪ ありがとうございます!!」
「(不気味な笑い方してたから大丈夫かなって思ったけど、悪い人じゃなさそうね……クリスさんも良い人だって言ってたし)
ありがとうございます♪」
『ピィカァチュピ』
『マフォクシィ』
2人と2匹はカズマに感謝の言葉を良いながら頭を下げる
「お……おう……(10歳やモンスターなのに礼儀正しいなコイツら、しかし……別の世界の年下の人間とモンスターとはいえ……やっと……やっとマトモなパーティーメンバーが入団してくれたぜ!!)
よっし!早速リーダー兼、異世界転移の先輩としてアドバイスだ、取り敢えず俺らが異世界出身だってのはなるべく他人には言わないでおけよ
いきなり
僕達~私達は~異世界から転移しました~
なんって言えば頭のおかしい痛い奴扱いされるかもしんねぇからな
異世界がらみの話は俺とお前ら2人とソコの2匹、んで俺の事は知らないけどお前らが異世界から来たのをエリス様から聞いて知ってるクリスと
後はアクア……あっ!あの最後に来た水色の髪の奴な
ソイツらだけにしとくんだぞ」
「はい!」
「あの……所でそのアクアさんの事なんですけど
何であの人、別世界の事やポケモンの事を知ってるんですか?」
「あぁ……実はな、お前らはこの世界に来る時の特典にピカチュウとマフォクシーを選んだだろ」
「はい」
正確に言えば特典として選ばれたのはピカチュウで、マフォクシーはサトシの手助けをする為に異世界に向かうセレナに付いてきたのだが
詳しく説明すると長くなるので今はカズマに合わせる事に
「俺も異世界への特典を選べって俺の世界の担当女神に言われてな、そん時の説明する態度や俺の死因の事で大笑いされてよ……ソレでムカつくから特典に女神のアンタを持っていくって言ったんだ」
「へー女神様を」
「あっ…………あの………まさかその女神って」
サトシは気付いていないが、セレナは今の話でカズマが選んだ女神が誰なのか気付き屋敷の方に視線が行く
「ご名答……アクアだ」
「えぇぇ!? 先の人が女神様!?」
『ピィカァァチュ!?』
「しかもアクアって、私達にさっき勧誘を持ちかけて来たアクシズ教団って人達が崇めてる女神様!!」
「なっ!? お前らアクシズ教団に勧誘されたのか!!!」
「はい、クリスさんが何処に居るのかを聞こうとしたら
食べられる石鹸や飲める洗剤をくれるし迷子にもならないし探してる人が必ず見つかる呪文を掛けてくれるし、あと思い人って人に近付きやすくなる石像をプレゼントするから入信書にサインしてくれって」
「取り敢えずサインしようとした時にクリスさんがやって来て、自分や私達はエリス様の教徒だって勧誘して来た女の人に言ったら
その人、急に態度変わって唾を吐かれちゃったんです……何だったんですかアレ?」
「…………取り敢えず金稼いだらクリスに何か奢ってやれ、そして助けてくれてありがとうって言うんだぞ」
「えっ?……は……はい」
『マフォッ?』
アクシズ教団に関わるなと言ったクリスと同じような、死んだコイキングみたいな目でカズマがアドバイスし
答えが帰って来ていないが取り敢えず頷くセレナであった
「と……とにかくアクアは一応は女神だが、先のダクネスとめぐみんの対応みたく
お前らもアイツの事は同じ人間と思って構わないならな、アイツが女神と呼べと言っても聞かなくて良いから」
「分かりました!」
「わ……分かりました」
『ピィカァチュ……』
『マォフクシィ……』
「よっし個別面談終了、ダクネスとめぐみんには俺が説明してやっから取り敢えず中入って休みな」
「「はい!」」
『ピカ!』
『マフォ!』
「大変だったな、故郷で暮らすモンスター達を拐った者を探しに2人だけの旅とは」
屋敷に入ると、先まで泣き喚いていたアクアはクリス達に宥められ落ち着きを取り戻したのか遅すぎる朝飯を食べており
取り敢えずアクア含めたパーティーメンバーにサトシとセレナは此所から遠い国出身で、その国ではモンスターと人間が仲良く暮らしていたがその国の人間がモンスター達を拐い国外に逃亡してしまい
2人が暮らす国で神として崇められているアルセウスという神が、何とか誘拐犯を捕らえる寸前まで追い詰めたが犯人には逃げられ、その時に拐われたモンスター達が逃走してしまい
そのモンスター達と誘拐犯を探す為、アルセウスの使命を受けて旅に出た少年と少女だと伝える
「いいえ、前から沢山旅をして来たんで全然大変じゃないですよ
それに2人じゃなくて」
『ピカチュウ! ピッ!』
『マフォクッ!』
「ピカチュウとマフォクシーも居ますしね」
「おっとスマナイそうだったな、しかし本当に可愛いモンスター達だ」
『チャァ~♪』
『マフォ~♪』
「フフフ♪」
ピカチュウとマフォクシーの頭を優しく撫で、2匹の気持ち良さそうな声を聞きダクネスは笑みを浮かべる
「神からの使命を受け旅に出る少年少女とは、実に紅魔族の琴線にビンビンと来ましたよ」
「は……はぁ……」
その横で、セレナに向かい何故かテンション高く力説する中二病……めぐみん
「ぷっ!!全くアルセウスったら何やってんのかしら
水戸黄門のスケさんとカクさんみたいに、ゴツゴツしたドラゴンとパルキアと闇のドラゴンみたいなお供を連れてるくせに仕事出来ないなんて
プークスクス」
「あ……あのアクアせんぱ…さん……あんまり他の神様の事を悪く言うのは……その…ダメなんじゃないかな」
「良いの良いの、アイツとアタシは同じ神で同格なんだから」
「同格………じゃないと思いますよ」
クリスが最後に呟いた言葉は誰にも聞こえていなかった
「言っとくがなアクア、先めぐみんとダクネスに話したのは俺の作り話だ、アイツらの目的を異世界って単語を使わないで説明するにはああ言うしかなかったからな
だからアルセウスって神様は何もミスしてねぇから、お前マジでバチ当たんぞ
後カゲロウお銀枠は居ないのか」
「でもポケモンと悪者を此方にやっちゃたのを防げなかったのは事実でしょ、それに先から言ってるでしょアイツとアタシは同格の神なの、バチなんか当たるわけないから」
(口の端にジャム付けてる奴と同格扱いされんのは流石に可哀想過ぎんな)
「さぁて、とにかく新しいパーティーメンバーが入るのは大歓迎よ、改めて自己紹介するわね
アタシはアクア、アークプリーストよ
そしてその正体はアルセウスと同格の水の女神、アクシズ教団が崇める水の女神アクア様よ!
さぁ少年少女とポケモン達よ思う存分アタシを敬い称えなさい、そしてアクシズ教に入信しなさい
さすればアナタ達の目的は直ぐに達成されるであろう」
口の端にジャムを付けた状態とは思えないぐらい優雅に舞いながら机の上に乗り、入信書をサトシとセレナに渡す
「ゴメンなさい、アクシズ教団には絶対関わるなってクリスさんに言われてて」
「ちょちょ!?サトシ君!?」
「…………クリス……ポキポキ…どういう事かしら」
「そりゃ、あんな悪質な教団にガキ達入れたらマズイだろうが」
「悪質ぅぅ!? 何言っちゃてんのこの引きニート!!!「引きニート言うな!!!」
あの子達は皆良い子なのよ!!!」
「良い子だぁ!?
此方に来てからアクシズ教の良い噂なんか1個も聞いた事ねえぞ!!寧ろ魔王軍より恐れられてるし完全に目の上のたんこぶ扱いだろうが!!!」
「ぬぅぅぅぅ!!あぁぁぁぁ!!カズマさんが言っちゃいけない事言ったぁぁぁ!!!」
「頬っぺたをつねんな!!! 痛えぇぇ!!」
「あの……めぐみんさん、止めなくて良いんですか」
「構いませんよ、あの2人は何時もああですから
私達のパーティーに入ったのなら直ぐに見慣れた光景になりますよ」
『ンニャァ~』
「わっ!?」
『マフォ!?』
めぐみんの帽子から、額に十字架のマークが刻まれている黒猫が突如現れ驚くセレナとマフォクシー
「おぉ、ちょむすけ起きましたか」
『ンニャァァ~』
「この子達は新しいパーティーメンバーのセレナとマフォクシー、そしてダクネスの隣に居るのがサトシとピカチュウです
さぁご挨拶を」
『ニャァァ~』
「可愛い♪ この子がめぐみんさんのパートナー……えっと使い魔って子ですか?」
「その通り!!
ちょむすけと私は血の契約により結ばれ、我が魔力を糧にし行動する運命共同体なのです」
「血の契約!? そ…そんな大変な契約をしないとパートナーに出来ないんですかこの子!?」
「まぁ実際は我が妹が拾って来たのを飼っているだけですけどね」
「………………」
『……………』
この数分間のやり取りで、カズマが彼女の頭はアレだと言った意味を理解する1人と1匹であった
「それにしても本当に名前に対して何とも思わないのですね」
「えっ? ちょむすけの事ですか?」
「えぇ、私の故郷では約1名を除き全員がちょむすけの名前を気に入っていましたが
此方に来てからは、この子や私の名前を教えれば皆唖然としたり冗談かと聞かれてばかりでしたのでね」
「そうだったんだ……私達は特に変だとは思わないですけど」
『マフォ! マフォクシー!』
『ニャ!!』
『マフォ?』
挨拶したマフォクシーを無視し、ちょむすけはめぐみんの肩にのる
「すみませんマフォクシー、この子は飼い主の私と何故か懐いているカズマ以外にはドライな態度なのですよ」
『マッフォ?』
「フフ、ピカチュウもだがマフォクシーも可愛い仕草をする子なんだな」
そうなのと首を傾げる様子のマフォクシーを優しい笑みで見終わると、ダクネスはサトシとセレナの方に目をやる
「それでパーティーメンバーに入るのは決定したが、サトシとセレナは何のクラスで、どんなスキルを持っているんだ?」
「クラス? スキル?」
『ピィカァ? ピカァ?』
「もしやソレも知らないのか?」
「2人の故郷は冒険者じゃなくても旅が出来るみたいでね、だから冒険者ギルドが無いから冒険者カードも持ってないんだ」
「そうでしたか、では此方らで活動するには先ずギルドに行き冒険者カードを作成しないとですね」
「冒険者カード?」
『マァフクシィー?』
「簡単に言ったら身分証明書かな」
「身分証明書か……ポケモン図鑑みたいな物かな?」
『ピィカァ!』
「それでクラスってのは、先ダクネス達が自己紹介してくれた時にクルセイダーやアークウィザードって言ってたでしょ?
冒険者カードを作成する時にね、ほら!アタシの冒険者カードに筋力や知力に俊敏性って色々な文字と数字が書かれてるよね」
「はい」
「幸運と俊敏性の覧の数値が凄く高い」
「コレらを一区切りにステータスって言って、カードを発行した時に各々のステータスの数値を診断してくれるの
そして数値によってなれるクラスが決められていて、その中から自分が選ぶってシステムなんだ」
クリスの説明を受け継ぐ様にダクネスとめぐみんも自身のカードを出す
「ご覧の通りダクネスは筋力と生命力が高いので敵の攻撃から味方を守るクルセイダー、そして紅魔族随一の魔法の使い手である我は知力と魔力が高いので様々な魔法を扱えるアークウィザードなのです」
「各ステータスの数値が高いほど、なれるクラスのレパートリーが多くなるんだ」
「へー! 何だか面白そう」
『マフォ!』
「ポケモンで言うならタイプみたいな感じか?」
『ピィカァ』
「因みにあたしは幸運と俊敏性が高いから盗賊だよ」
「えっ……盗賊……」
『ピィカァ……ピカピィ…』
「待って!? そんな引かないで!!」
「盗賊と言っても指名手配されるような悪人ではなく、ダンジョン内に仕掛けられた罠を見破ったり敵の持つアイテムを奪うなど冒険や戦闘においてサポート力の高いクラスなんだ
だからクリスをそんな目で見ないでやってくれ
見るなら私を見てくれ、そしていやらしい体しやがってと……くぅ」
「そうだったんだ、ゴメンなさいクリスさん」
「いいよいいよ、知らなかったら盗賊って悪いイメージの言葉だしね」
「ねぇマフォクシー……ピカチュウ……私の聞き間違いかしら
何かダクネスさんから変な単語が聞こえたんだけど」
『マォフッ、マフマフ……マフォク』
『ピィカァ……』
同じくと頷き返してくるポケモン達
「それとモンスターを倒したりご飯を食べて経験値を得てレベルアップした時にスキルポイントってのが貰えてね、それを使ってゲット出来るのがスキル
云わば特殊能力だね」
「特殊能力?」
「コレは話すより見せた方が良いでしょうね
そうですね……ダクネスのスキルは戦闘時じゃないと発揮出来ないので見せる事は出来ないですし「はぅ!!!」
此処は我が爆裂魔法を早速
神より運命(さだめ)を授かりし新たな運命を分かち合う同胞達に」
「待てめぐみん!! 屋敷内で爆裂魔法はダメだ!!!
杖は預かる」
「あっ!? またお預けですか!!」
「それよりもっと言ってくれないか
ダクネス貴女は戦闘以外は役に立たない、そのいやらしい体を見せつける事しか出来ない愚かな女ですねと
あん……!!」
「私そんな事は言ってないですよ!!!」
「何言ってるか分からないけど、皆仲良しで楽しい人達だなセレナ♪
セレナ?」
(間違いない……ダクネスさんって、そういう趣味の人だわ……)
「どうした?」
何故か顔が青ざめているセレナを心配するサトシ
「うんうん……何でもない
(クリスさんの言う通りね、確かにメチャクチャ個性的な人達……リーダーのカズマさんが大変そう)」
「そんじゃ盗賊のスキルを見せるとしますか
サトシ君」
「はい」
「今から君の大切な何かを盗ませてもらうよ
窃盗(スティール)!!」
『ピィカァァ!?』
「あっ!? ピカチュウ!?」
クリスが右手をサトシに翳しながら技名らしき物を叫ぶと、彼の肩に乗るピカチュウが何時のまにかクリスに抱っこされている
「コレが盗賊のスキルの窃盗だよ、驚かせてゴメンねサトシ君
ピカチュウも」
『ピィカァチュ』
「いいえ大丈夫です、というかスゲェ!!!
こんなポケモンの技やとくせいみたいな事を俺達も出来るんだ!!」
「本当ね、私達がマフォクシー達みたいな事が出来るなんて何だか楽しみ♪」
『マァフォ♪マァフォ♪』
「窃盗使ってこんなに喜ばれるの初めてだよ、楽しんでくれて良かった
にしても……」
『ピィ?』
「やっぱり可愛い………先輩が仕事をサボってまでポケモンを見にいくと言っていた気持ち今なら分かります」
『ピィカァ?』
「はっ!? な…何でもないよ」
抱っこするピカチュウに骨抜きになってしまい、思わず素の性格が出そうになり慌てて表情を戻し頬をかきながらピカチュウを下ろす
すると何故かクリスに御冠のめぐみん
「ズルいですクリス!!ピカチュウを抱っこして!
サトシ、私もピカチュウを抱っこしてもよろしいですか?」
「俺は構わないですけど、ピカチュウ!!良いか?」
『ピィカァ!』
いいよと頷き、めぐみんに向かいジャンプする
「では失礼して
はうぅ~可愛いです♪」
『チャァァ♪』
「お前、普段からソレなら普通の可愛い女の子なのにな」
「おい、普段の私が普通じゃないみたいな言い方は止めてもらおうか」
何時のまにかアクアとの喧嘩を終えて、ピカチュウを抱き頬を赤らめるめぐみんを微笑ましく見ていたが
何時もの如く直ぐに喧嘩を売るカズマであった
因みに
「……………」
アクアは机に顔から突っ伏している
「あいつの体力吸ってる時に聞いてたけど、冒険者カード持ってないんなら今から作りに行くか」
「はい!」
『マァフォ!』
「あ! その前にカズマさん「はいカズマさんだよ」
カズマさんはどんなスキル使えるんですか?」
「俺か?」
「はい!!
リーダーだからきっとスゲェの使えるんだろうなって考えたら、俺もピカチュウも早く見たくて♪」
『ピィカァピカピカ!』
「ふふーん、そうかそうか!
メンバーのリクエストに応えるのもリーダーの役目だからな!!
良く見ておくがいいぜ」
引きニートだったが故に「引きニートじゃねえから!!」
疑り深い性格になったカズマは、人と会話する時も先ず真っ先にコイツは褒めて来た後に何かを要求するに違いない何か裏があるなと疑いから掛かり普段ならドライな態度で接するが
10歳の子供の純粋で期待感溢れる眼差しを前にすれば、浮かれまくり調子に乗りまくるリーダーカズマ
「ダクネス、窓を開けてくれ」
「分かった」
窓が空くのを確認すると上着から弓矢を取りだし、庭に生える1本の木に照準を合わせる
「今からあの木で一番細い枝を撃ち抜く」
「えっ? かなり遠いですよ」
『マァフォ、マフォクシー』
カズマが弓矢を向ける木は彼から見て約100メートルほど離れており、普通なら木に当てるのがやっとな距離にも関わらず当てる枝を宣言まで初める
「まぁ見てな
ソゲギッ!」
イケボで呟きながら放たれた矢は
『ピィカァァァ!!!』
「スゲェ!! 当たった!!!」
宣言通りの場所に命中していた
「見たかぁ~コレがリーダーカズマさんの実力よ」
「スゲェ! やっぱりリーダーはスゲェや♪」
「フフフ!!ほらもっと褒め称えて良いんだぜ」
「まるでインテレオンみたいですよ!!!」
「そうかそうか……???
インテレオンが何か分かんないんだけど、それは褒め言葉なのか?」
「はい! 今のカズマさんみたいに遠くの的に攻撃を命中出来る腕前のポケモンですから♪」
「そ……そっか
(まだ短い付き合いだが、コイツは嘘とか付かない……いや付けない奴だろうし純粋に褒めてくれてんだろうな)
ありがとな
ついでに今のソゲギッ以外だと、クリエイトウォーター!」
「コップに水が!?」
『マフォ!?』
「フリーズ!」
「今度は水が凍った!?」
『ピィカァ!?』
「ティンダー!」
「火まで出せるんですか!?
スゲェ!!スゲェ!まるでシルヴァディみたいに色んなタイプの技が出せるなんて本当にスゲェや!!!!」
「そうだろ~そうだろ~
(シルヴァディってのが何か分かんないが、コレだよ!!!
俺が異世界ライフで求めていた、転生者の主人公をメチャクチャ持ち上げて太鼓判を押してくれるキャラクター!!!!)
どうだ、リーダーカズマはスゲェだろサトシ君」
「はい!! リーダーカズマ!!」
「おう俺は出来る男リーダーカズマさんだぜ!!」
「まぁそのリーダーカズマさん、最弱職の冒険者ですけど
プークスクス!!」
「うおぉぉい水差すな!!!」
「アタシの可愛い信者達を、たんこぶ扱いした報いを受けなさい!!!」
「最弱職なんですか?」
『マッフォク?』
「……………はい」
ステータスの低い自分が唯一なれたクラスなのは事実なので、あっさり認めてフィーバータイムを終えるリーダーカズマさん
そしてこの後、子供達から最弱職とかマジ無いわと手のひらを返されるんだろうなと考えていた
が
「私もサトシもそうは見えなかったですよ、水や氷に火を使えるし弓矢の腕前も凄いしカッコ良かったです♪」
「………………」
「どうしました?」
(エリス様………心優しい新メンバーを授けて戴きありがとうごさいます!!!)
「確かに冒険者はステータスが低い人間が唯一なれる最弱職ですが、他のクラスが使うスキルを覚える事が出来る利点もありますし
それにカズマ自身も悪知恵で生み出す小ズルい作戦ですが頭の回転が早く何時も戦況を引っくり返す、口は悪いですが……その……頼りになりますし」
(おんやぁ~)
「そうだな、常識はずれで、女子の前で言うのはアレだがスケベな男なのだが
間違いなく私達パーティーが今までやって来れたのはカズマのおかげだ」
(あれ? コレもしかして)
「そうなんだ、良かったです頼りになるリーダーのパーティーに入れて貰えて」
(モテ期の再来キター!!!!)
「どうでも良いけど冒険者カード作りに行くなら早く行きましょうよ」
「(取り敢えずアイツの羽衣は後で質屋に入れるか)
よーしなら、その頼りになるリーダーカズマさんの更に凄い所を見せてやるぜ!!
冒険者の俺は色んなクラスの奴から教えて貰ったスキルを使えんだ、例えばクリスの窃盗とかもな!!」
この時カズマはモテ期再来の予感に浮かれて忘れていた
「「「あっ!?」」」
自分が窃盗を
「ちょっとカズマ!! 待っ」
女性に使えばどうなるかを
「窃盗!!!!
あっ……」
「ハンカチ?
セレナのハンカチってこんな横に長いのだったっけ?
なぁセレ……えっ?
どうしたんだよセレナ!?何で泣いてんだ…?」
「すいませんでしたぁぁぁぁ!!!!!!」
それはそれは美しいフォルムのDOGEZAであった
「こ……この男……遂に……人として越えてはならぬ壁を……超えましたよ」
「あああ……アタシ…今すぐギルドに行って広めなきゃ……カズマさんが遂に一線を超えたって」
「取り敢えず、あたし警察呼んでくるから
今度会う時までに立派にお勤めを果たして来てねカズマ」
「違ぁぁう!!! 毎回毎回コレはランダムで奪ってるんだ!!俺の意思じゃねぇ!!!」
『マフォ!!!』
「ふぇ?」
マフォクシーがカズマの手に握られている物体を奪い取る、そして先までの愛らしい顔とは真逆の恐ろしい形相で睨み
『マァァフォ!!!!!』
「ギャァァァァァ!!!」
持っている杖から“だいもんじ”を放つ
『ピィカァァ!!! チュゥゥゥ!!!!!』
「アベベベベベ!!!!」
そして同じくイラついてるピカチュウが代名詞の“10まんボルト”を追い討ちに食らわす
「えぇ!? 炎に電気!?
マフォクシーとピカチュウ、こんな魔法を使えるんですか!?」
「あらら? あのピカチュウとマフォクシー中々強いのね」
「ピカチュウ!?マフォクシー!?
何でカズマさんを攻撃してるんだよ!!
それにセレナも……何で泣いてるんだ?」
困惑する一同
そんな時も
「めぐみんよりも更に幼き少女に手を掛ける鬼畜っぷりのリーダーに、炎と電気責めを扱える新メンバー……はぁ……はぁ…最高だ!!
私は良き仲間に恵まれた幸せ者だぁ♪」
最後だけ聞けば良い事を言っている、自分の性癖に正直なダクネスであった。
セレナのカズマさんに対する評価が地に落ちました(笑)
次はサトシとセレナの冒険者カードを作成します、サトシはオリジナルのクラスですがセレナはこのすばに既に有るクラスです