「あの金食い虫共めやっと出て行ったか……クソ!!奴らのせいでせっかくララティーナがワシの側に居ったというのに全く楽しむ気も起きんかったわ!!
ゴクゴク」
義賊が侵入した翌朝、カズマ達一行は約束通り屋敷を出て行った
タダ飯や酒を食らい同じ武勇伝を何度もリピートし語り屋敷の屋根を壊した厄介者達と、やっとお去らばでき落ち着けるとアルダープが自室にてワインを飲みながら愚痴を溢していた時
トントン
ドアがノックされる
「ブゥゥ!!!
(ま…まさか奴らもう帰って来たのか!?)
誰だ!?」
何かしら理由をでっち上げ、再び屋敷にカズマ達が帰って来たのではと飲んでいるワインを吹き出し慌てふためく
「アルダープ様! 私です、失礼します」
「な…なんだ貴様か……バカもん!!!
帰って来るタイミングが悪すぎだ!!!また奴らが帰って来たかと焦ったではないか!!!」
「す! すみません!!!」
入室した骸骨の様な細い体型の男性が慌てて頭を下げる
「それで1週間の間、まさか宿屋でただグータラしていた訳ではあるまいな」
「勿論、捕り逃がしたラティオスとラティアスの捜索をしていました……今だ見付からずですが」
「本当に探しているんだろうな、アレから3週間も経つぞ」
「あ……当たりまえです!!
しかし……や…奴らには人に変身する能力があるので捜索は困難なのです、ですのでアルダープ様の部下の方々をお貸ししてはくれませんか?
私と手持ち達だけで、この広い世界から2匹を探すのは流石に」
「駄目だ駄目だ、兵を動かすにも金がかかる」
「しかし」
「そもそも、その2匹のモンスターを捕らえんでも貴様の使役するモンスター共で十分な戦力だろうが」
「何を良いますか!!
ラティオスとラティアスは、私の暮らしていた場所では伝説のポケモンと呼ばれる強大な力を持ったモンスターなのです、手中に収めれば必ず役に立ちます」
「ふん!伝説だか何だか知らんが所詮はモンスターだろうが、そんな生き物にうつつを抜かす暇があるならワシが最も欲しいララティーナ、あの女を手中に収めるワシの計画の手伝いをしろ!!」
「は……はぁ……しかし例のネックレスを王女がしているなら、アルダープ様がお考えの計画を実行するのは不可能なのでは」
「だからジャスティスに一刻も早くネックレスを渡し身に付けさせる手を考えろと言ってるのが分からんか!!!
ネックレスにより王子となったワシがララティーナを嫁にし、そしてこの国……いや世界中の女共を伴侶としワシの物にする……グヘヘヘ!!ワシのハーレム王国を築きあげるというワシの長年の夢が叶うのだ!!
王子となったワシの権力と、あの悪魔の力と貴様が産み出す魔道具や使役するモンスター共を使えば逆らう者など居ない……あの魔王軍さえもな
ワシのワシによる最高の理想郷の建築、その為に貴様の様な力弱く気の小さな男をワシの家に住まわせているんだ!!忘れるなパスチャー!!!」
「は……はい!」
《王宮 謁見の間》
アルダープ邸を出たカズマ達一行は、昨夜の義賊の件を報告する為に王宮へと向かい
昨日ぶりに再会したアイリスとティアラ、そしてクレアとレインに昨夜の出来事を義賊の正体がクリスである事を隠しカズマが伝える
「なる程、アレだけ大見得を切ったというのに義賊に返り討ちを食らい取り逃がしたという訳ですかカズマ殿」
(一々トゲがあんなコイツ……)
「ふふん、やはり私の睨んだ通り大したことない冒険者だったか」
「えぇ、ワタクシも初めて見た時から貧相な顔のくせに何をデカイ事を抜かす庶民だと思っていましたが予想通りでしたな」
(先週は期待してると抜かしてたくせに掌返し早いね貴族さんはよ!!
てかあんまり俺を挑発すんなって………ホラ!めぐみんとサトシがキレそうじゃねえか!!)
周りの貴族達の態度を受け、明らかにめぐみんとサトシの雰囲気が変わり今にもケンカや言い争いが起きそうな空気となるが、何とかダクネスとセレナが宥めて事を終える
そんな緊張した場面でもアクアは大あくびする呑気さを見せていた
「確かに取り逃がしたが、俺が居なきゃアルダープのオッサンは宝や財産を盗まれてたかもしんねえぞ
それを阻止した事は評価して欲しいんだが」
そんなカズマの言い分に、最早隠す事もせずクレアが胡散臭い目を向け口を開く
「まあ良いでしょう……仲間やモンスターと共に!!魔王軍やミツルギ殿を倒してきたカズマ殿の言葉です、素直に受けとりましょう例の義賊は相当の腕前の男なのだと」
(仲間とポケモンのおかげで勝ってきたって強調してきやがったぞこの女!!
いやまぁポケモンは除いて、実際めぐみんにダクネスにアクアのおかげで勝ってきましたけどさ
もうちょい俺を立ててくれても良くねえか)
さしものカズマも、こうも胡散臭い目で見られては不満が溜まり不服そうな態度を見せてしまい
「何にしてもご苦労様でした、貴方は義賊逮捕に失敗したのではなくアルダープ様の財産を守る事に成功したのです
そして誰1人姿すら見れなかった義賊の姿を見るまで彼を追い詰めたのですから、寧ろ誇るべき事です」
『♪♪♪』
だがアイリスとティアラだけは違い、素直にカズマの行動や結果に絶賛を送り、ティアラは無邪気に拍手を送る
(アイリス……ティアラ……人前だからお兄様とですら呼んで貰えないが、お兄ちゃん凄く……凄く嬉しいよ)
そんな2人に感動しているカズマに再びクレアが胡散臭い者を見る目で見つめ、ゆっくりと口を開く
「寛大なアイリス様の慈悲に感謝する事、王族や貴族の前でアレだけの大言を吐き失敗したのなら何かしらの罰を受けねばならないというのに、今回は大目に見る事になりました
さて、返り討ちに合う腕前ならば義賊の捕縛は貴方には不可能という事……後は我々に任せ、お仲間と一緒にアクセルにお帰りを
ご苦労様でした」
謁見の間を出てトボトボと王宮内を歩くカズマに対し、道中にて貴族達が
「アレが大口だけの冒険者か」
「何故あんな男がダスティネス卿の仲間になったのだ」
等と貶す言葉を投げ掛けて来る
「何だよあの人達!自分達は何にもしてないくせにカズマの悪口言って!!」
「顔を覚えて起きましょう、いつか爆裂魔法とだいばくはつの練習場所にする為に」
『バケッバケ!!』
「2人共落ち着いて、そんな事しちゃダメよ!」
『ピィカアチュ!!』
『マフォク、フォクシ!』
「でも!」
「ええ! 何だか悔しいです」
「お前ら、もう良いよ……実際取り逃がしたのは事実だからな
(まあ余計な厄介事に巻き込まれるぐらいなら、アレぐらいの嫌味ぐらい我慢するか)」
「まあアレだ、お前が良くやったのは我々だけでなくアイリス様も分かっている
実際にアルダープは何も盗られていないんだ、お手柄だカズマ」
(ダクネス……昨夜アレだけストレス発散したからか今日はやけに優しいな)
「それに私達にはラティオスを探すって目的がまだ残ってるんだし、もし見つかったら王女様やティアラとはまた会えるんだから」
「………そうだな……ティアラの兄ちゃんが見つかったら、アイツら喜んでくれるよな
(確かに王宮で何不自由なく暮らすのは悪くないし出来ればずっとそうしたいが、俺が此処まで王都に残りたいのは
12歳の子供で王女なんて激務をこなして大変だってのに、自分に助けを求めるポケモンの為に何かしてやりたいと考える優しい妹と
異世界に連れて来られて理由も分からず襲われ極悪モンスター扱いされ、兄ちゃんと離れ離れにされた妹
あの2人の為に何かしてやりたいから………だったら俺が出来るのはセレナの言う通り)
アクセルに帰って、兄ちゃん探しするか」
「そうだな」
「うん」
「分かりました」
「オッケー!俺達皆で探そう」
『ピッピカチュ!』
『了解ロト』
パーティーメンバーの意見が纏まり、さあアクセルに帰るぞという流れになったが
「ねえ皆、どうせ帰るなら明日にしましょうよ
せっかく王都に来たんだしアクセルの皆にお土産買いたいの、いっぱい買いたいから皆選ぶの手伝って頂戴」
水を差す水の女神であった。
《城下町》
結局アクアの意見が通り、今日1日は義賊逮捕やポケモンにラティオス探しに集中していて出来なかった王都の観光とお世話になっているアクセルの人達に各々の土産を買う事となり
今日泊まる宿をダクネスとめぐみんが探しに行き、残りのメンバーはと言うと
「王都はこの世界で一番の都会だから期待してたけど、シュワシュワも水も品揃え悪いじゃないの
これならアクセルのマイケルさんのお店の方が品揃えも良くて値段もお得だわ」
『アゥ……』
『アチシ達の世界でも都会の方がお金が掛かってたロト』
「へーそれは全世界共通なのね、確かカズマの世界でも東京の物価が一番高かった気がするわ」
「何でお前日本全国の物価の価格知ってんだよ……」
「うーん確かにシュワシュワは飲んだ事ないから分からないけど、確かにお水はマイケルさんのお店の方が安いもんね」
お土産を買いに酒屋に来ていた
「所でマイケルさんって誰の事?」
『ピィカァチュ?』
「あら知らないの、酒屋さんよ」
「私が買いに行ったら何時もオマケしてくれる優しいオジサンなの」
「……お前ら着々とアクセルに知り合い増やしてるな……そういやアクアに怪我を治してくれてありがとうって、先月肉屋のオッサンが家に来てステーキ肉を置いていった事あったな」
「ちょっと……それアタシ聞いた覚えも、ステーキを食べた記憶すら無いんだけど」
「そりゃそうだろ、アレならセレナに調理頼んでマフォクシーに焼いて貰って俺らとナマケロの4人で食ったからな」
『フォクシ!? マフォク!マフォクマフォ』
「うん……ねえカズマ、もしかして私達以外は用事やトレーニングに出掛けて留守だった時に食べたお肉の事?
アレ、賞味期限が1日切れた安売り肉を貰ったから俺達だけで食おうって貴方に言われたから私達だけで食べたんだけど……ひょっとして」
「美味かっただろ?」
「私達を共犯にしたのね!!」
『フォクシィ!!!』
「キィィィ!!!アタシも食べたかったのに!!!」
「仕方ねえだろ!あの量をパーティー全員で分けたら1人辺りの量が物足りねえよ!!」
「俺達も食べたかったよ!!
よーし、じゃあ今日の晩御飯はお肉にしようぜ」
『ピカカ、ピィカァピ』
『それは良いロト、カズマ支払いはヨロトしくロト』
「俺が払うのかよ!?
てか肉なら昨日アルダープのオッサンの所で食っただろうが!!
おいナマケロ、お前からも何か言ってやれ!!」
昨夜からナマケロはボールに閉じ籠っており、カズマの呼び掛けにピクリとも反応しない
「まだ落ち込んでるのかしら義賊に負けた事」
「そ……そうかもな
(まあ戦ってもないのに負けた事にされるわ、アイリスから離れるんだから怒るわな………仕方ねえ今晩は本当に美味い肉買って食わせてやるか)」
昨夜の一件の事で彼が不機嫌なのを察し、美味しいお肉で御機嫌を取ろうとカズマが考えていると
「おや? もしやアクア様じゃないですか」
爽やかな男性の声が聞こえ、全員がその声の主の方を向く
「お久しぶりですアクア様」
立派な鎧を着こなす絶世の美男子が、茶色が交じった優雅な金髪を揺らしながらカズマ達に近付く
「えっと………誰?」
「アハハ♪相変わらず冗談がお上手ですねアクア様」
「ねえ皆……この人本当に誰?何か凄く馴れ馴れしくて怖いんだけど」
引いた表情を浮かばせカズマの背に隠れるアクア
「あ…あの僕ですよ、貴女に魔剣を戴き、この世界を救う運命(さだめ)を与えられたソードマスターの」
「カツラギさんだ、忘れたのか?」
「誰だそれは!?」
「あぁ!! もしかして会食の時に王女様達が言っていた凄腕の冒険者でカズマと戦った人………確かシノノギさん?」
「えっ? 確かその人ってカミノギさんじゃなかったか?」
『ピィカァ、ピカピカピィカァ』
『マツノギじゃないロト、アチシのメモリーにちゃんと記録してるロトよ
サクラギロト』
「ミツルギだぁ!!!!」
「あぁそうだそうだミツルギだミツルギね、思い出したよ」
「ミツルギ………うーん」
「ミツルギでも思い出せねえのか、なら魔剣の人だよ魔剣の」
「あぁ!!思い出した!」
アクアがイブを抱っこしながらポンと手を叩き、魔剣の勇者ミツルギの事を思い出す事に成功した
「おい佐藤和真、同じ国出身の君には僕の名前を覚えていて欲しいんだが
因みに下の名前も思い出したかい?試しに呼んでくれないか?」
「いや、俺ら下の名前で呼び合うぐらい仲良しじゃないだろ」
「キョウヤだ!! 忘れたのなら最初から言ってくれ!!
御剣響夜だ!!覚えてくれ頼むから!!」
「へいへい努力しますよ」
「全く君は相変わらずだね……所で、その少年と少女もしや新しい君のパーティーメンバーかい?」
前に会った時には居なかったサトシとセレナに目線が行く
「おう1ヶ月前ぐらい前から入った新メンバーのサトシとセレナだ」
「「初めまして」」
『ピカピカピ』
『マフォクシ』
『ヨロトしくロト』
礼儀良く挨拶を行うサトシ達にミツルギは爽やかな笑みを見せる
「先程も名乗ったがミツルギキョウヤだ、改めてよろしくね
所で君達もアクア様も、何故モンスターを連れて居るんだい?」
「サトシがモンスターマスターのクラスだからだよ」
「モンスターマスター?
初めて聞くクラスだね……どんなクラスなんだい?」
「モンスターマスターは」
「良いぞセレナ言わなくて、説明したら長くなる
お前ぐらいの冒険者なら王都のギルド職員や王宮の人間と仲良いだろ、ソイツらに聞きな」
「分かった、では王宮に行く用事があるからレインさんに聞いてみるとしよう」
「(本当に仲良いのかよ!!しかも俺は中に入るのに、こんなに苦労してんのに楽々に王宮に入れるとか……コレだからイケメンは嫌いなんだ!!!)
そういうお前は仲間どうしたんだよ、ほら居ただろお前の腰巾着みたいにベタベタ纏わり付いてた女の子2人」
「クレメアとフィオをそんな風に言わないでくれ、彼女達は今レベル上げにダンジョンを巡っているんだ
僕と一緒だと、殆どのモンスターを僕が倒し彼女達には経験値が行かないから別行動する事になってね」
「ちっ! 相変わらず嫌味だなコイツ」
(何て立派な勇者様だ)
『カズマ、本音と建前が逆になってるロト』
「ソイツはすまない」
「アハハ……それで彼女達のレベル上げが終わるまで、最近王都で話題の義賊を捕まえようと思って来たのさ
元々、王都を襲い暴れた4体のモンスターの話も聞きたかったしね」
「そ……そうか……
(その事件の被疑者の義賊や、被疑者にされたモンスター……どっちも俺の知り合い何だぜ、つまりお前より俺の方が事件の根本を知ってんだ!!!
って堂々と言いてぇな)」
「しかしまさか王都でアクア様に会えるとはラッキーだな」
またも爽やかな笑みを浮かべると、ミツルギは可愛らしくラッピングされた小箱を取り出しアクアに差し出す
「本当はアクセルに行った際に渡すつもりでしたが早く渡す事が出来て良かった、どうぞアクア様」
「なにコレ? アタシにくれるの?」
「えぇ、安物ですのでアクア様のお気に召すかは分かりませんが」
(相変わらずキザ野郎だなコイツ)
「あら? 綺麗な指輪じゃない」
中身が気になるからか、アクアが可愛らしいラッピングを強引に剥がし小箱を開けると
キラキラという効果音が聞こえる程に輝く指輪が入っていた
「安物にしては、す…凄く立派に見えるわね」
『これ安物じゃないロトよ、アチシのデータから分析してざっと70万エリスは下らないロト』
「70!?」
『ピィカア!?』
「マジか!?」
「正解だよ、だがアクア様にお渡しする物なら、もっと素敵な物にしないとダメだからソレは安物なのさ
今度はオーダーメイドでアクア様にお似合いのドレスを作り渡そうと思いますので、今回はソレで我慢してください」
(あぁイケメン爆発しろ!!!)
(70万の指輪をポンと渡すなんて……もしかしてこの人、アクアの事が好きなんじゃ)
「ん? んん? んんん?
ねえ魔剣の人、この指輪入らないんだけど」
「………………すみません一番高いシュワシュワを下さい」
シュワシュワを目の前の店で購入し、それを早速アクアに渡すと明らかに指輪を渡された時よりもテンションが上がり初める
「ヒャッホォォ!!!ありがとう魔剣の人!! じゃあこの指輪入らないから返すわね」
「は……はい………僕とした事が……サイズを聞かずに買ってしまうとは」
「オーダーメイドで作ってるドレスも今の内にキャンセルしとけ、流石のアイツでもスリーサイズ教えて下さいなんて言ったら引くぞ」
「そうさせて貰うよ、次にお渡しするならサイズに関係ない物にしないと」
「まぁ頑張りな、そんでその指輪どうすんだ?クーリングオフするのか?」
「もう購入して1週間以上は立ってるから無理さ、クレメアかフィオに渡そうにも1つしか無いなら争いになってしまうし
勿体ないが捨てる事にするよ」
「捨てるんですか!?そんな立派な指輪を!!」
「渡す相手が居ないからね」
『ちょっと待つロト』
「なんだい?」
ジィーとロトム図鑑がミツルギの持つ指輪を見つめる
『分析完了ロト、この指輪のサイズはセレナの指に丁度良いロト』
「私の?」
「そうかい、では君に渡そうかな」
「良いんですか?」
「……………」
「あぁ、指輪も誰かに付けて貰えた方が嬉しいだろうしね」
「良いじゃねえか貰っちまえよ、気に入らなかったら売っちまえ」
「それはミツルギさんに悪いわよ」
『マフォク、フォクシマフォ』
「そうね捨てるくらいなら……じゃあお言葉に甘えて」
指輪を受けとろうとセレナが手を伸ばす
が
ガシッ
『ピッ?』
「えっ?」
『フォ?』
「サトシ?どうしたの?」
その手をサトシが止める
「ごめんなさいコレ返します、良いよなセレナ」
「う……うん、スミマセンやっぱりお返ししますね」
落ち着いてはいるが、彼から少し圧を感じてしまい、セレナは貰おうとした指輪をミツルギに手渡す
「そうかい……分かったよ、では勿体ないがやはり捨てるとするか」
『アゥアゥ!』
「イブ?」
『アシマリマ! アゥアゥ!』
「もしかして貴女が欲しいの?」
『アゥ!』
「魔剣の人、ちょっと指輪貸して」
「は……はい!」
「流石に指はサイズ的に無理ね」
『アゥアゥ!』
「あぁソコなら!!
ほい! あらまピッタリじゃない!!
似合うわよイブ♪」
『アゥアゥ♪』
まるで輪投げの様に彼女の鼻に指輪がピッタリとハマる
「ありがとう魔剣の人、この子益々アタシに似て美女になっちゃったわ♪」
「そ……そうですか……アクア様がお喜びになられたのなら自分は光栄です」
せっかく気合いを入れて用意した指輪が本人ではなく別人、いや別ポケに渡り、しかも鼻に装着されてしまいミツルギは苦笑いを浮かべてしまうも直ぐに表情を凛とした物に変えアクアを見る
「アクア様、またお会いした時には今度こそ必ず素敵なプレゼントを差し上げます!!」
「じゃあ次は最高級のミネラルウォーター1年分欲しいかしら、イブはミネラルウォーター大好きだから」
『アゥアゥ♪』
「分かりました!!」
そう言ってミツルギは立ち去っていく
「何かちょっとアイツの事が可哀想だなって思って来た
所でどうしたサトシ、あんな高い指輪返そうだなんて勿体ない事言いやがって、売れば良い金になったぞアレ」
「カズマ……もしかしたら俺、病気になったかも」
「はぁ? 病気?」
『ピィカァ? ピカピ、ピィカァチュ?』
どんな病気だとピカチュウが質問する
「カミノギって人がセレナに指輪渡そうとしたら……何か胸が凄くムカムカして気持ち悪くなって
それに先週のパーティーの時、セレナが貴族の人達に褒められてるの見た時も同じ症状が出て
コレ病気だよな?」
指輪を装着するイブを見て、ロトム図鑑に撮影を求めるアクア、そして指輪を付けたイブが可愛いなと頬を赤くして談笑しているセレナを他所に、サトシが肩に乗るピカチュウや側に居るカズマやマフォクシーに自分は病気なのではないかと顔が青ざめて打ち明ける
「……………おいピカチュウ、マフォクシー
ちょっと来い」
『ピィカァ』
『マフォ』
「どうしたの?」
『ピカピ、ピィカァ』
「待ってて? おい3人共」
サトシ達から離れ円陣を組む
「おい……アレは間違いなくアレだよな」
『ピカピカ』
『マフォマフォ』
「アイリスでも意味が分かるシモの話を聞いても全く理解出来てなかったアイツが
ヤキモチするとはな」
『マフォクシィ』
『ピッ……ピィィカァ』
「そうだな、アイツが赤ん坊はペリッパーがパパやママの元に運んで来てくれるんだろって真顔で言った時は流石のお前も焦ってたもんな
そんなアイツが異性に対してヤキモチ焼くだけでも泣くぐい嬉しいよな、うんうん」
『マフォクシイ、マフォ』
『ピィィカァ!? ピィカァピィカァチュ!』
「ロトムが居ないからお前らが何言ってるか分からねえ……」
『ピィカァ!』
「おお上手いな」
マフォクシーが言った事をカズマに伝える為、尻尾を使い地面にサトシとセレナの似顔絵を書く
『ピカピカ』
「ベッド?」
ベッドの絵を描き
『ピィカァ……チャァァ』
そのベッドの上にさっきとは別のサトシとセレナの似顔絵を書き、更にハートマークまで書きながらピカチュウは段々と恥ずかしくなったのか顔が赤くなる
それは所謂ベッドINのイラストである
「なるほどな、そういや俺の屋敷で暮らす初日の夜にそんな事やろうとしてたってバニルが言ってたな
よしマフォクシーやっちまえ」
『ピカカ!?』
『フォクシィ!』
任せてと自身の胸を強く叩く
『ピカカ! ピッカ!』
一方でピカチュウはダメだと手でバツマークを作る
「良いじゃねえかアイツら立派な両思いだぜ、ヤらせてやれよ」
『ピカピカ!ピカピ!』
『フォクシ! マフォクシ!!』
地面に10と書きバツマークを付けるピカチュウ、一方マフォクシーは杖でハートマークを書く
「もしかして10歳じゃ早い、いいやソレでもやるって言い合ってんのか?」
『ピィカ』
『マァフォ』
「良いかピカチュウ、サトシはアイリスの部屋に侵入して叱られた理由は深夜だったからと思ってたんだぜ
幾ら10歳でも異性の部屋に侵入する事が、どんな意味かぐらい知ってないのはヤバいってお前も感じただろ」
『ピッ……ピィカ』
「だからアイツ自身に味会わせてやんだよ、寝てる時に異性が入って来る事が如何にヤバいって事を
なぁにヤキモチ焼くぐらいセレナの事を意識してんだ、セレナが夜這い掛けてきたってアイツなら喜んで受け入れるな絶対」
『ピィ……』
「それにセレナだって口じゃそんな事するなって言ってるが、好意を抱く異性と夜を過ごせば、そんな羞恥心なんかどっか言って受け入れるさ
アイツは大人びてるからな」
『フォクシ!マフォクシイ』
マフォクシーが強く賛同する
「俺はサトシの兄貴ポジションとして、あの鈍感な弟が大人の階段を登る姿を純粋に応援したいんだ
勿論ママだって弄っては居るがセレナに対してだって俺は応援したいんだぜ、アソコまでサトシLOVEの姿見せられて来たんだからよ叶えてやりたいのさ」
『マフォク、マフォクシ♪』
『ピッ……ピッカ、ピカピカチュウ』
カズマの説得や、ありがとうと喜ぶマフォクシーにピカチュウは遂に折れ分かったと頷く
(フフフ……SSP(サトシ、セキュリティー、ポケモン)が折れたか、コレで邪魔はされねえ
セレナをサトシの寝てるベッドに寝かせ、ソレをロトムの奴に撮影して貰えば
クッククク……セレナ
もし昨夜のくすぐり拷問を受けてる俺の姿をアクセルの奴らにバラ撒くなら、お前も道連れにしてやっからな!!!ヒャハハハ!!
コイツらにはバレないように後でロトムに頼まねえとな)
よし早速今晩事を始めようぜ、ピカチュウお前はサトシの部屋の鍵を開けろ、マフォクシーは寝てるセレナを運んでくれ」
『フォクシー♪』
『ピッ……ピィカ』
「随分楽しそうな事を話してるわね♪」
『「っ!?」』
『ピッ!?』
何時のまにか側に居た、ニコニコと笑う人物に手を肩に置かれカズマとマフォクシーは凍り付いたように止まり、それを見たピカチュウはガクガクと震える
「マフォクシー♪カズマ♪
ソレは私とサトシの意思で決める事だから、絶対やらないでね♪やったら………フフフ♪」
「は………はい!!!」
『フォ……フォクシー!!!』
『ピィカ………』
「皆なに話してるのかな?」
「何かお絵かきしてるみたいね、アタシ達も暇だし何か書こうかしら」
《その日の晩 カズマ達の泊まる宿》
あのあと晩飯に肉料理を食らい、めぐみんやダクネス達の見つけた宿で一同は各々の部屋で床に就く
「チッ、本当なら今頃セレナへの対抗策を撮影出来たってのによ
そりゃあ脅しへの対抗策が本命だったけどよ、ちゃんとアイツらの将来の事だって考えてんだぜ俺
ナマケロは分かってくれるよな」
シーン
(アイツも頑固だな、もう良い寝よう……この街での最後の夜だゆっくり)
ガサッ
(ん?)
宿の窓際から物音が聞こえ、眠り掛かっていた瞳を開く
「さあカズマ約束通り来たよ、早速話を聞い「曲者!!」キャァァ!?ちょっと!?あぁ!?何処触ってるの!?」
「うん~あれれ~何か聞いた事ある声だな~」
「あたしだよ!!!」
クリスが叫ぶのも含め、昨夜と全く同じシチュエーションが展開される
「というか今明らかにあたしって分かってから抱き付いて来て触ったよね!?
メチャクチャ棒読みだったし!!」
「んな訳あるか、俺は身の危険を感じたんだ正当防衛を主張する」
「だから過剰防衛だよ!!!」
「おいおい時間考えな今は深夜だぜ、全く男の部屋に夜這いに来て触られて悲鳴あげるとか一体どんな美人局だよ
外に強面の男スタンバイさせてねえよな」
「夜這いじゃないし美人局でもない!!!
昨夜言ったでしょ、屋敷に侵入した理由やあたしとメロエッタが義賊活動してる理由を説明……ちょっとカズマ耳から手を離して!!あたしの話を聞いてよ!!」
「やだね! ただでさえアイリスとティアラと別れるわ、ママに叱られるわ相棒と不仲になるわで俺は今メンタルキツイんだ帰りな」
「アイリスって王女の事だよね!?何で呼び捨て……そしてティアラって誰、ママって何の事!?」
「説明してやろうか、その代わりお前の話は絶対聞かないけどな」
「じゃあ説明いらないから、あたしの話を聞いて!お願い!お願い!お願い!!」
「だぁぁ!しょうがねぇな!!
言えよ!!」
流石に此処まで必死に頼まれれば聞くしかないなと遂に観念したカズマに対し、クリスは自分が何故貴族の家ばかりを狙う義賊として活動する訳を話す為ベッドに座り込む
「実は、この世界には神器(じんぎ)って呼ばれる超強力な装備品や魔道具があってね
あたしにソレを集めて来て欲しいって依頼が来たの」
「神器ね……名前からして確かに凄そうだな」
「特に今あたしが探しているのは対価も代償も無しにランダムにモンスターを召喚し使役出来る神器に、他者と体を入れ換える事が出来る神器だからね、かなり強力だよ」
「た……確かにソレはスゲぇな」
「それで調べた所、神器と呼ばれる道具は代々カズマみたいな変な名前の人達が使用していたんだけど
持ち主が亡くなったり、誰かに盗まれた事で世に回ったみたいなんだ」
「言っとくが俺の名前は故郷じゃ普通なんだ、明らかにもっと変な名前の紅魔族が居るのに変な名前扱いするのは辞めろ
(しかし聞いた限りだと、どうやら神器ってのは俺みたいな転生者が持ってた道具……つまり転生特典のチートアイテムだな
アクアの奴、せめて持ち主が死んだら消滅ぐらいの効果付けとけよ)」
「名前の事は謝るよ、それで盗賊のスキルの1つに宝感知ってレアなお宝の居場所を教えてくれる物があってね、それで反応してる屋敷に片っ端から侵入して神器を回収
もしくは悪どい方法で稼いだ汚いお金をエリス興の孤児院に寄付してる訳なの、元々盗賊になった時に義賊みたいな事やりたかったしね」
「つまりノリと勢いで義賊活動やってたのかよ、お前しっかり者かと思ったが結構いい加減な所あんだな」
「カズマには言われたくないかな、あぁゴメン!ゴメン!!寝ないで!!謝るから!!
それで昨夜スキルに反応したのがカズマ達の居た屋敷だったの
前から何かあると思ってマークしてたんだアソコ、何か気色悪い生き物の気配もしてたし
ねえカズマ、あの屋敷に何か変な道具と生き物とか居なかった?」
「義賊の侵入先を探す為に俺ら全員で屋敷の中を見回りしたけど風呂場覗けるマジックミラーぐらいしかなかったぞ、それに変な生き物も居なかったし
もしかしてアクアの羽衣に反応してたんじゃねえか、アイツあれには聖なる力が宿ってるとか抜かしてたしよ」
「そうなのかな……そんでココからが本題なんだけど」
「お休み」
「ちょっと!? ココからが本題って言ったよねあたし!!」
「俺が聞くのはお前が義賊活動をしている理由だけだ、今ので何故クリスが義賊になったのか分かった
それ以上は規定外だ、さっさと帰れ俺は寝る」
「そんな事言わないで最後まで聞いてよ!!
ほらカズマって千里眼のスキルを持ってるでしょ、それにあたしが教えた潜伏もあるし
メロエッタに敵感知を頼んで、あたしと一緒に王宮に忍び込んで欲しいんだ」
「ほらな!やっぱりだ!絶対そう言うと思ってたよ!!
しかも場所がよりにもよって王宮って、お前は俺に国家的大犯罪の片棒担げってのかよ!!お断りだね!!
メロエッタが居るんならアイツと行きゃいいじゃねえか、アイツ強いんだろ?ヤル気満々のナマケロを簡単に蹴り飛ばしてたんだからよ」
「強いけど、あの子には敵感知に集中して欲しいからどうしても侵入先で一緒に行動する仲間が欲しいんだよ!!
その神器を回収出来ないと大変なんだよ!!」
「やだね可愛い妹達の場所に泥棒に入れるかってんだ」
「可愛い妹達?
ん? ちょっと待ってねカズマ
どうしたの?」
「はぁ? 何がだよ?」
「うんうん、そうなの?
分かった直ぐ戻るね、ゴメンね話折っちゃて
どうしたのカズマ?脅えた顔して」
「いや今の何だよ……急に1人言ペラペラ言ってさ」
「あぁゴメンゴメン、実は今メロエッタと通信してたんだ」
「通信? もしかしてテレパシー的な奴か?」
「そう、彼女がドレだけ遠くに居ても会話が出来るんだ
それで今、あたしの別件の仕事が始まるかもしれないから戻って来てって連絡くれたの」
「へぇ~テレパシーね、俺昔からやってみたかったんだよな
なっ!?頭の中から声が!?
的な奴」
「っ!?………今あたしの手伝いすればモレなく」
「却下だ、テレパシーで会話したいが為に犯罪の片棒担げるか」
「そんなツレない事言わないでお願い!お願い!お願い!」
「それより別件の仕事が出来たんだろ、ほら帰れ帰れ
帰らないんなら昨日お前に食らって覚えたバインド使って楽しい事してやろうか」
「ひぃぃ!?」
カズマのヌルヌルイヤらしく動く手を見て、青ざめていくクリス
「わわわ分かった! 今日の所はコレぐらいで勘弁してやる、また明日来るから良く考えてね!!」
捨て台詞を吐きながら窓から飛び降り、あと数時間で朝日が上がりそうな明るい夜の街にクリスは消えていく
「全く……俺はティアラの兄ちゃん探しにコレからもポケモン探しを続けるんだ
コレ以上俺に仕事を与えないでくれよ……幸運の女神エリス様、どうかこの冒険者サトウカズマに幸運をお与えください…………さあ寝るか」
やっと安眠出来ると、布団を被りフカフカの枕に頭を付けた瞬間
カンカン!!! カンカン!!!
<魔王軍襲撃警報!! 魔王軍襲撃警報!!
騎士団は直ぐに出陣を、今回の魔王軍の軍勢はかなりの数の為、高レベル冒険者の皆様には是非ご参加をお願いします
王宮前に至急集まってください!!
繰り返します>
「エリス様………」
自分には御加護は無いのですかと涙するカズマであった
ドンドン ドンドン
「聞いたかカズマ!急いで着替えろ、直ぐに王宮に行くぞ!!」
「申し訳ございません、サトウカズマは只今熟睡中です、ご用件の方はまたの機会にお願い申し上げます」
「ふざけてる場合か!!魔王軍が来たのだぞ!!
我々が出向かないでどうする!!」
「ふざけてんのはお前だ!! アナウンス聞いただろ高レベル冒険者は来てくれって、俺はサトシやセレナにも抜かれパーティー最低レベルの17だ」
「何を言っている!! お前義賊を捕まえると宣言した時に、俺達は魔王軍を撃退して来た凄腕パーティーだと言っていたではないか!!
今こそ凄腕パーティーの実力を他の貴族連中に見せつけてやろうじゃないか!!」
「い!や!だ!ね!
この王都にはミツルギの野郎を始めとした凄腕の冒険者にクレアの部下の騎士団や兵隊も沢山居るんだ、だから俺らはゆっくりしてようぜ」
「この腑抜けが!!」
『リッ! リィィ!!』
「待てリオル!?ドアを壊したら宿の者に悪い」
『リオッ!?』
「もういい分かった、私達だけで参戦して来る
臆病者は布団でも被って震えていろ!!!
リオル行くぞ!」
『リオッ!!』
苛立った声でまくし立て、荒い足音を立てながらダクネスは去り、その後をリオルが追う
それと同時に
「アクア!ほら早く行こうよ!!」
『ピィカァァチュ!!』
「いやぁぁぁぁ!!!アタシは王都に旅行気分で来たのよ!!何で魔王軍と戦わないとダメなのよ!!!
離してサトシさん!!ピカチュウさん!!」
「さて行きますかバルスリン」
「待ってめぐみん、まだダクネスとカズマが来てないわよ」
「いえ私とバルスリンは王宮ではなく、先に魔王軍の元に向かいます」
『バケチャ!!』
「はぁ?」
『マフォ?』
「戦いが始まり人が入り乱れて乱戦になれば爆裂魔法とだいばくはつは使えないですからね、一番槍は我らが戴き、あわよくば魔王軍を全て木っ端微塵にしてやりますよ!!」
『バケバケッチャ!!!』
「ダメに決まってるでしょ!!勝手な行動して、もし不測の事態になったら大変よ!
せめてダクネスとカズマが来るまで待ってて!!」
「ちょ!? 放しなさい!? くぅぅ!!爆裂魔法は私の勝ちですが、筋力では余裕で負けてます!!」
「人を怪力扱いしないで!!!」
「騒がしいなアイツら……別に俺らが戦わなくても他の奴らなら余裕で勝てるだろ
家に帰れば金の貯蓄はあるしシルビアの懸賞金にバニルとの契約金もあるんだ、金に困ってる訳でもないんだから大人しくしておこうぜ
俺らの今のメインクエストは魔王軍退治じゃなくてティアラの兄ちゃんやポケモン探しなんだからよ」
「というかサトシさん、貴方も本当は嫌なんでしょ!!子供なんだから戦場に行くの!!!」
「そりゃ良い気分じゃないけど、でもこのまま悪い奴らを放って置いたら沢山の人達が危ない目に会うんだろ?
だったら止めないと!!
それにこの国にはティアラやアイリスが居る、守りたいんだ!!」
「っ!?
そうだ……この国にはアイリスとティアラ………可愛い妹達が居るんだ!!!」
カズマは布団を蹴り上げ急いで着替えると、モンスターボールを取り出す
「ナマケロ聞こえたな、今魔王軍って悪人共がこの国に攻め込もうとしてやがる
アイツらの最終的な目標はアイリスの命だ………タブン」
ビクン
「そんな事させる訳にはいかないよな……いかないよな!?」
バシュン
『ナンマァァ!!!』
約1日ぶりにボールから出てきて、ナマケロは強く吠えながら立ち上がる
「流石だな相棒
良し行こうぜ
ちょっとでも戦果を挙げて、王宮に長居させに貰いによ!!!」
『ナンマァァァ!!!』
固く手を握りながら、互いに邪な目標を捧げる
「はぁ……」
「おやダクネス、どうかしましたか?
というかカズマは?」
「行きたくないと駄々を捏ねているから置いてきた……アレだけバカにして来た貴族達に見返したいという気は起きないのかアイツは!」
「カズマさんが行かないならアタシとイブもお留守番するわ、だからサトシさんピカチュウさんお願い考え直しましょう!!
アタシ何だか凄く嫌な予感がするの女神の勘よ間違いないわ、この戦いで何か悪い事が起きるわ……絶対……だからお願い放して!!明日からコロッケとケチャップの料理が出たら貴方達に1割あげるからアタシとイブはお留守番させて!!!」
『アシマリマ! アゥアゥ!!アシマッ!!』
『イブはヤル気満々ロトよ、アクア様とアタシ達で愚か者共を皆浄化しましょうって』
「ほらイブはヤル気なんだからアクアもヤル気出して!!」
『ピッピカチュ!!』
「イブゥゥゥ!!今はそんな事言わないで!!!」
「ではセレナ!!! 私達と一緒に行きましょう
戦場に到着した王国軍や冒険者達が見たものは、哀れに壊滅した魔王軍と、黒煙の中に去っていく魔法使い達と最強のポケモンだった
コレをやりたいのです!!
バルスリンだけでなく私達も間違いなく伝説になります!!!さあ行きましょう!!」
「確かに格好いいけど!!勝手な行動はいけません!!!」
「放してくださいお母さん!!」
「お母さん言うな!!」
『フォクシ……』
何故かショボクレるマフォクシー
「大丈夫よマフォクシー!立ち去る最強の魔法使い達の中に貴女も入ってるから!!」
『マフォ♪』
「貴女を仲間外れにする訳ないわ、だからめぐみんとバルスリンを止めるの手伝って!!!」
「はぁ……どうして私達はこう纏まりが悪いんだ」
『リオリオ……』
バタン!!
溜め息を吐き椅子に座るダクネスをリオルが心配すると、ドアが勢い良く開かれる
「おいお前ら、国の危機だってのに何遊んでんだ
今こそ俺達の力で王都の平和と人々の笑顔を守るぞ!!!」
『ナンマァァァ!!!』
「「「「「……………」」」」」
完全装備でナマケロと同じくヤル気満々の様子を見せ、クサイ台詞を堂々と言うカズマに呆気に取られる一同であった。
<王宮前>
王宮前は今、大行列が出来る程の大量の人間で溢れ返っていた
屈強で筋骨隆々の剣士、水晶が装着された立派な杖を持つ魔法使い、歴戦の猛者らしきオーラを放つ格闘家と多種多様の凄腕の冒険者達が先程のアナウンスにより一ヶ所に集まり王宮前は異様な雰囲気に満ち溢れる
そんな中で、王都のギルド職員らしき女性が拡声器の様な魔道具で集まる冒険者達に向けて声を張りあげ
「冒険者の皆様は此方に!!
戦闘後に王宮側から特別報酬を出して戴けるお達しが来ました、なので戦闘に参加して戴く冒険者の皆様の身分の確認をします!!
そして今回の魔王軍は今までよりも数が多い為に上級職以外でレベル30以下の方は街の警備をお願いします!!!」
「お聞きになられた通りサトウカズマさん、貴方のクラスは初級職の冒険者でレベルは17ですので……その」
「……………」
先までの頼りになるリーダー感は消え、借りてきた猫の様にギルド職員の前で縮こまるカズマ
その隣で
「魔王軍と間違われるかもしれませんので、君も飼い主のサトウさんと一緒に待っててね」
『……………』
全く同じ反応を取るナマケロ
「あの俺モンスターマスターだから、モンスターと一緒に戦いたいんですけど」
『ピィカァ!』
「モンスターマスター?
あの先輩そんなクラスあるんですか?」
「えっ?わ…私も知らない……調べるので少々お待ちくださいませ」
約200年前に1人しか存在しないクラスなので、王都のギルド職員達は慌てて資料を引っ張り出しモンスターマスターについて捜索し、モンスターを連れて行っても良いかの確認を行う
「どうやらカズマさんやポケモン達はお留守番しないとダメみたいだから、アタシもお留守番するわね」
「ダメだ!!相手は魔王軍なんだぞ、アークプリーストの様な回復役は何人居ても困らないから居てくれ!!」
「いやぁぁ!!」
「俺らの誓い……なんだったんだろうなぁ……」
『…………ナマァ………』
「カズマ殿とモンスター達も参加させて構わん」
「クレア?」
「呼び捨ては辞めろと言っただろうが!!!
オホン
貴方の言動や人間性は正直言って愚の骨頂ですが、魔王軍の幹部やミツルギ殿に勝った事や義賊の姿を視界に捉えた実力は確かですからね特別に認めます」
「褒めたいなんなら一々貶し言葉を入れんな」
「それに」
「おいコラ無視すんな」
「サトシ殿もアイリス様の部屋に侵入するといった無礼は働きましたが、この数週間で貴方のモンスター達がお強いのは見て来ましたからね貴重な戦力となるのは間違いない
なので彼らにはコレを付けて貰いたい」
「バンダナ?」
「ベルセルク王国の紋章が記されています、それを身に付けて居れば兵や冒険者達が敵のモンスターと勘違いする事はないでしょう」
「すまないクレア殿
リオル、コレで一緒に戦えるな」
『リオリオッ♪』
「クレアさん、ありがとうございます」
『ピィカァチュ♪ ピィカァピカ』
ありがとうとサトシと共にピカチュウも頭を下げる
「いえ、私はただ貴重な戦力を減らしたく無いだけですから礼はいりません
それにしても……年下の少年やモンスターでもキチンと礼儀作法が分かっているというのに………はぁ」
「おい、今誰に向かって何でタメ息吐いたのか説明願おうじゃないか」
「自分の胸に手を当てて考えろ、取りあえず期待していますよカズマ殿」
「おいカズマって!!」
「あのデストロイヤーをブッ倒したって噂の!!」
「それだけじゃねえぞ、王都でも暴れていたデュラハンのベルディアも沈めたって噂だぜ!!」
「アクセルのNo.1冒険者サトウカズマが居れば勝ったぞこの戦い!!」
「フッ
どうもどうも!! その通り私が噂のアクセルNo.1冒険者のサトウカズマでございます!!」
「「「おぉ!!!」」」
カズマの噂は王都にも届いており噂の冒険者を一目見ようと周りの冒険者達がカズマ達を取り囲み歓声を上げる為、すっかり気分が大きくなる
「フフフ、カズマがアレだけ注目されているならばパーティーメンバーである私達の注目度も高いという事
この戦いで活躍すれば我々爆裂トリオの名声は全世界に届く筈、派手に決めますよバルスリン!セレナ!」
『バッケケ!!』
「任せて! マフォクシー!!援護は任せるわね」
『フォクシー!!』
『皆の活躍シーンをバッチリ撮影して、アイリスとティアラに見せてあげるロト』
「おう!俺とナマケロの勇姿をバッチリ頼むぜロトム
ん? おぉアイリス!ティアラ!」
ふと王宮の上から視線を感じて見上げると、バルコニーからアイリスが期待の眼差しで見つめティアラは手を大きく振る
「ねえカズマさん、今からでも遅くないわ宿に帰りましょう!!
そうよ!昨日魔剣の人に買って貰ったシュワシュワ一緒に飲みましょう、オツマミも用意するからパーと楽しみましょうよ……ねっ!!」
「妹達からの熱いエールを貰っちまったからには本気出さねえとな、行くぞ相棒!!!」
『ナンマァ!!ナンマァ!!』
「そんなぁぁぁ!!!」
「では行くぞ
魔王軍討伐部隊、出陣せよ!!!」
騎士団や冒険者達にクレアが高らかに号令を下す。
《???》
辺り一面を鮮やかな星が覆う神秘的な部屋にて
「………………」
「………お久しぶりです……エリス様」
幸運の女神エリスと互いに椅子に座りながら再会を果たすが、彼女は顔を下にしカズマと目を会わせない
(エリス様、全然こっち向いてくんねえ……そりゃ確かにアレだけ意気込んで死ぬわ、しかも死因が最弱モンスターのコボルトにヤられたけどさ)
《数時間前》
「いやぁぁぁぁ!!! アタシを食べても美味しくないわよ!!!」
『アシィィ!!』
『ギィィ!!!』
『ギェェ!!!』
『アシマリマ、アシマァリィ?』
「イブぅぅ!! ありがとう!!!」
『アシマリマ、アゥアゥ!アシィマァ!!』
「そうね……そうよ!!!
アタシ達は水の女神と神の最強コンビ、コボルト如きに何時までも逃げっぱなしだなんて有り得ないわ!!
今度はアタシの番よ!!
食らいなさい!!ゴッドブロー!!ゴッドブロー!!ゴッドレクイエム!!!花鳥風月~♪
そして最大最強の合体奥義
ゴッドトール!!!」
『アァァシィ!!!!』
パシャン
『アクアもイブも凄いロト』
「おうおう、派手にやってんじゃねえかアイツら
そんじゃあ俺も………ンソゲキィ」
『キィィ!!』
「しゃあ!!」
パシャン!
『お見事なコントロールロト』
「まあそれ程でもねえさ、他の連中はどうだ?」
『リオル以外は皆絶好調ロト』
「ん? リオルはどうしたんだ?」
「途中で体調を崩しみたいロト、だから今はボールの中で休んでてアチシが預かってるロト」
「そっか、リオル預かってんならお前はなるべく魔王軍の奴らが集まってる所には行くなよ危ねえから」
『分かってるロト、次はサトシの所に行くロト』
『ナンマァ!!!!』
『ギャァァ!!』
『ヒデブゥゥ!!!』
「おっとイケネェ、相棒に良い所を持ってかれちまうぜ
そうら!!」
『ヒィィ!!』
「フハハハ!!! 覚悟しな魔王軍、このチュンチュン丸の錆にしてやらぁ!!!」
『ヒャァァ!!!』
「逃がすかよ!! さあ観念して
、このNo.1冒険者サトウカズマ様の前に膝ま………」
『キィィ!!』
『シャァァ!!!』
『グヒィィ!!!』
こうしてコボルトの軍勢が隠れる場所まで誘い込まれ、袋叩きにあったカズマは天寿を全うしエリスの元に
(アイツら50匹で集団リンチしやがってよ!!!)
「カズマさん……」
「違うんですエリス様!!!
ちょっと調子に乗ってただけなんです!!!引かないで下さい!!」
「貴方には死んで欲しくなかった……」
「えっ……?」
弱々しく、そして悲しげな目でエリスがそう訴える
「エリス様……えっ?えっ?俺が死んだのそんなにショックなんですか……もしかして……俺の事が好きな」
「サトシさんに、アクア先輩が蘇生魔法を使える事が知られてしまいました……」
「はぃ?サトシにアクアが蘇生魔法使えるの知られちゃダメなんですか?」
「えぇ、アルセウスさんに絶対知られないでくれと言われていまして」
「ポケモンの神様が?何で?」
「サトシさんは大事な人やポケモンを守る為なら、自らの命を平気で捨てる覚悟を持っているのはカズマさんも知ってますよね」
「そりゃ知ってますよ、だってアイツが此方の世界に来る切っ掛けが例の兵器の中に入れられたポケモン達を助ける為ですもんね」
「えぇ……今回の事件だけではないようなんです、今までもサトシさんはアルセウスさんの世界にて自分の命を投げ出す覚悟で様々な事件を解決しました
ではそんな彼が、死んでも生き返る事が可能と知ったらどうなると思います?」
「そりゃあ…………あっ?
死ぬ事への躊躇が全く無くなる……てすか」
「えぇ、なのでコレからポケモンやセレナさんやカズマさん達お仲間の身に危険が迫れば彼は間違いなく自分を犠牲にし助ける道を選ぶはずです
彼のステータスは確かに高いですが、ダクネスと違いスキルでの身体強化や毒や魔法の耐性は臨めない以上間違いなく……」
「だからエリス様もアルセウスって神様も、アイツに蘇生魔法の事を知って欲しくなかったって事ですか」
「えぇ…………コレはカズマさん貴方にも言えますが、確かにアクア先輩が居る限り生き返りはしますが、それは特例の特例なのです
それに誰かが死ねば誰かが悲しむ……カズマさんも経験がありますよね」
「そういや今は慣れたみたいだけど、めぐみんもダクネスも俺が死んだ時は……えらく泣いてたな………あん時辛い思いさせちゃったのか俺」
「だから決して自分の死に慣れないで下さい
何よりアクア先輩の蘇生魔法は私や他の女神よりも凄い物ですが決して完璧ではないのですから」
「あっ……確か死体の損失が激しかったら生き返せないとか言ってた気が……そういや!!俺の死体大丈夫ですか!?コボルトに囲まれてましたよね!!!まさか食われたとか!!!」
「大丈夫ですよ、あの後ナマケロさんがコボルト達を全滅させ今はカズマさんの死体を守りながら戦っています」
「ナマケロが………?」
「それにサトシさんとセレナさんにめぐみんさんが、カズマさんが殺された事に怒り現在魔王軍を凄まじい勢いで蹴散らしていますから」
「マジっすか!?」
「相手は魔王軍なので同情等はしたくないですが………流石に…………いえ……辞めときます」
(何やってんだアイツら!?)
「多分もう少しで戦いが終わりアクア先輩が蘇生してくれる筈です
さてサトシさんの事は以上ですが、次はカズマさん貴方の事で少しお説教を」
「お説教!? 俺なんか悪い事しました!?」
「セクハラはいけませんよ」
「はい?
あっ!?
(しまったぁぁ!!!クリスはエリス様の信者だったぁぁ!!!!しかもちょくちょく御告げを授けるぐらい信頼されてる奴だぁぁ!!!!
もしかして昨日や一昨日に俺がアイツの体をまさぐるの見てたんじゃ!?)
聞いて下さいエリス様!!!
正直に懺悔致します、確かに昨日は分かっててやっちゃいましたが一昨日は本当にクリスだって気付かなかったんです、だって胸を触った時に一瞬男かなって思うぐらいアイツの体ってスレンダーじゃないですか」
「うぅ! うぅぅ!!!」
「(あんれぇ!? 何でエリス様あんな怒ってんの!?
あっ!? そういやアクアがエリス様の胸はパット入りって……)
スミマセン!!!エリス様の事を言った訳ではありません!!そして貴女様の信者に大変失礼な事をしてしまいスミマセンでしたぁぁ!!!!」
椅子から飛び降り、地面に顔をぶつける勢いの美しいDOGEZEを見せる
「全く……貴方はセクハラが多すぎます、今回だけですからね許すのは」
呆れたように自らの頬を指で掻く
「ありがたきお言葉!!
いやあ貴重な王道ヒロイン枠のエリス様に嫌われたら、俺もう生きていけなかったですよ」
「また調子の良い事を………私に嫌われても、最近可愛い妹さん達が出来たみたいですから生きて行く理由はあるんじゃないですか」
「ゲッ!? どこまで知ってるんですかエリス様!?」
「フフ、からかうのはこのくらいにしてあげますね
まだ戦いは続いていますし、お茶でも飲みながらお話でもしませんか?」
「良いですよ、どうせアクアが蘇生してくれない限り此処に居る事になりますからね
是非」
ポットから注がれた紅茶を互いに飲む
「そう言えばカズマさん、先月私の信者がお伝えしたサトシさん達の世界から来た来訪者の件はどうなりました?
何者なのか、はたまた此方の世界に来た目的が何か分かったとか?」
「あぁソイツらロケット団とかいう悪の組織ですよ」
「悪の組織!? まさかパスチャーという例の悪人の仲間なのですか?」
「いやサトシが言うにはソイツら極悪人じゃないみたいだし、此方に来た理由はサトシのピカチュウをゲットしに来たみたいですよ」
「そうなのですか……まぁ極悪人でないとしても、もし見つけたら何とかして元の世界に返す様にしないと」
「あぁエリス様……それは勘弁して貰えませんか」
「何故ですか?」
「どうやらソイツらとサトシとピカチュウは長い付き合いでしてね、だからサトシが帰れる様になるまでは残しといてください」
「あぁそういう事ですか、悪の組織の知り合いというのはアレですが、確かにセレナさん達以外にも知っている方々が側に居るとサトシさんも落ち着きますものね」
「いやそうじゃなくてアイツら結構バトル強いからサトシとピカチュウのポケモンバトル欠乏症の解消相手になりますし、何だったらロケット団欠乏症でもたるみたいなんでアイツら残しといて下さい」
「…………………」
「あのエリス様、俺が適当に言ってる訳じゃないですよコレはセレナから聞いたままを言ってますからね!!だから引かないで!!!」
「わ……分かりました……アルセウスさんにロケット団なる人達も、サトシさんが居る間は此方の世界に居る事を伝えておきますね
ではカズマさん、その頼みを聞く代わりと言っては恩着せがましいですが……私のお願いを聞いてはくれませんか?」
「お願い?」
「私の信者に神器の事について聞いたと思いますが」
「ええ聞きましたよ、クリスは知らないでしょうけどソレって俺ら転生者に与えられたチートアイテムですよね?」
「はい」
「なら大丈夫じゃないんですか、確かチートアイテムは持ち主じゃないと使いこなせないんでしょ?ミツルギの野郎の魔剣を俺が使っても普通の剣でしたし」
「正確には本来の機能よりも質が落ちると言った方が良いですね、モンスターを召喚出来る神器は代償や対価を払わなければ召喚したモンスターを使役出来ない、体を入れ換える神器は制限時間の間しか入れ換われないと
しかしソレでも世界に悪影響を及ぼす可能性があります」
(まあ確かに、小さな村にドラゴンなんて召喚されたら一瞬で全滅しちまうもんな……体を一時的に交換は良く分かんないけど
んん!?)
彼女やクリスの話す神器と呼ばれるチートアイテムが、例え効果が弱まっても世界に混乱をもたらすなと脳内で考えていたカズマだったが
自身の手に暖かみと柔らかい感触が襲い掛かり、まるでその感触が誰がもたらしているかを知っているかの如く直ぐに前を向く
「カズマさん、どうか神器を集めるのを手伝ってくれませんか」
(ズルいですよ……エリス様)
真剣な表情で両手を握られ目と鼻の先まで顔が迫り、鼻息が出るのを何とか堪え彼女の手をゆっくりと放す
「分かりました、お手伝いします」
「ありがとうございます♪」
(チキショー!!可愛い!!!
ここが地上だったら、こんな所をめぐみんに見られてヤバい事になってたな)
『メンロメロ! メン………メッ!?』
バサバサ
「ん?」
「あっ………」
すると何処からともなく現れた、沢山の資料を手に持つ鮮やかなエメラルドグリーンの長髪と音符の形をしたアクセサリーを付けたモンスターが、何故かカズマを見て資料を全て落としてしまう
「あわわ資料が落ちちゃいましたね、私も拾うの手伝いますよ
ごめんなさい、カズマさんが居る事を伝えるの忘れてました」
『メンロ、メンロメロ?』
「取りあえず誤魔化しましょう」
何故かエリスとモンスターはカズマに聞こえぬよう小声でやり取りを行っている
「エリス様、そいつポケモンですよね
何で此処に居るんですか?」
「じ……実は彼女、アルセウスさんが私のお手伝いにと派遣してくれたのです
ポケモン探しをカズマさんやサトシさん達だけに任せる訳には行きませんから」
「へぇー神様から派遣されたんだ、どうりで何か神秘的なポケモンだな」
「所でカズマさん……何故彼女がポケモンだと………先はモンスターと呼んでいたのに」
「いやぁコイツの見た目、クリスの連れてるメロエッタってポケモンに似てるなって思って」
「そ……そうですか……?
私はソックリには見えませんよ」
「いやいや目の色と髪以外は似てますよ
あっ!? そういう事か!!」
「ギクッ
ど……どう……どうしました」
「コイツとメロエッタ、ティアラとラティオスみたいに兄弟……いや姉妹のポケモンなんでしょ?」
「…………そうです、そうなんです!
どうやらたまたま私の信者が彼女の妹のポケモンをゲットしたみたいですね」
「ソレで似てるのか、お前の妹に昨日は俺手を思いっきり引っ張ったかれたんだぞ
あんな高飛車でクソ生意気な妹を持って、お前も苦労するなぁ」
『メッ……メロッ』
何故か鼻をムズムズさせ目柱を擦りながらカズマの話に相槌を打つ
「あっ!! カズマさん!アクア先輩が蘇生魔法を使い始めました、戻る準備をお願いします」
「やっと来たか、そんじゃエリス様、さっきの神器集め任されました!」
「よろしくお願いします、後サトシさんにクレグレも無茶をするなとお伝えください」
「分かりました!!!」
こうしてアクアの蘇生魔法により、エリスの元……死後の世界から下界に戻るカズマ
そんな彼を見送りエリスは今だに目柱を擦るモンスターにお菓子を大量に渡す
「良く我慢出来ました、偉いわねメロエッタ」
『………メンロッ!!』
「うんうん、あの姿の時は攻撃的になるだけで、本当の貴女はおとなしい子なのは私は分かってますよ♪」
抱き付き泣きじゃくる彼女をエリスは優しく受け止め頭を撫でる。
メロエッタの姿が変わったら性格も変わるはオリジナルで考えました