この素晴らしい世界にポケモンを   作:ハリケーン改

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パスチャーのCVは諏訪部順一さんでイメージして書いてます


この月夜の戦いに決着を

ボーマンダ達がアイリスの部屋に侵入する少し前

 

《宝物庫前》

 

「さあ腕を組むんだ」

 

「はぁい~♪」

 

「いや僕の二の腕と組むんじゃなくて、こうやって後ろにやって欲しいんだ拘束するから」

 

「拘束ですって!?

 

アタシ達まだ出会って数分しかたってないのに、ミツルギ様ってばそういうの積極的なのね!」

 

「違う違う!!賊を捕まえる為に拘束するだけで決して僕は女性に不埒な真似はしない!!」

 

「あらまぁ照れるなんて、結構可愛い所あるじゃない♪」

 

 

 

 

 

「負けたのにヘラヘラしているとは……ありゃ相当な重傷だな」

 

『今はそんニャ事より、ニャんとか逃げる方法を考えるのニャ』

 

「んな事言ったってよ、ソーナンスとマネネを1人で倒したアイツからどうやって逃げんだ?」

 

スキルによる耐性でマネネの<フラフラダンス>が効かず、魔剣や魔法を使い分けるといったソーナンスの<カウンター>と<ミラーコート>の性質を見抜いた攻撃によりロケット団はミツルギにより打ち倒されてしまい

 

今も混乱している兵隊達の側で、ミツルギはロケット団を拘束しようとしているが

 

「それで一体君達は何を盗みに来たんだい?」

 

「取り敢えずは金目の物だよ、俺達が一番欲しいのはこの王宮の……いや物でもないしな

 

というか盗んだのは寧ろお前だぞ」

 

「はぁ? 僕は盗みなんてやった覚えはないが」

 

「良いやお前はとんでもない物を盗んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女の心をな」

 

「ウットリ♪」

 

「それ女性側に言う台詞じゃなかったかい……というか貴女もいつ純白のドレス姿になったんですか!?」

 

『罪作りニャ男ニャア、流石は空を掛ける一筋のニャがれ星のミツルギ三世だニャ』

 

「誰が泥棒の三世だ!!!」

 

ロケット団のマイペースっぷりに振り回され中々拘束出来ずに居た

 

その時

 

 

 

ドォォォン!!

 

 

『ニャニャ!?』

 

「なんだ!?」

 

王宮の最上階から凄まじい物音と激しい揺れが起きる

 

「今のは最上階……まさかアイリス様の元にも義賊が!?

 

皆さんしっかりして下さい!!アイリス様の所に加勢に行きますよ!!」

 

混乱している兵隊達に強く呼び掛けるミツルギを尻目に

 

「ジャリボーイ達が暴れてんのか?」

 

『でもおかげでニャア達に逃げるチャンスが出来たニャ、コジロウはムサシを頼むニャ』

 

「オッケー」

 

逃げようとするロケット団だったが

 

「おっと!君達を逃がしはしないよ」

 

ミツルギに回り込まれる

 

「『ぐぐ……』」

 

「ちょっと待って逃がしはしないって……まさかプロポーズ!?」

 

「違う!!!!とにかくロープを使うから腕を後ろにしてくれ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

《アイリスの部屋》

 

「誰ですか……アナタ」

 

「クックク、仮面を被り正体を隠す者に誰ですかと問うとは……実に頭の悪い質問です」

 

 

「ムッ……では何の御用ですか、見ての通りワタクシ達は今凄く立て込んでいますよ」

 

室内には侵入した義賊達を異様な迄に敵視し攻撃するクレア達、そして王女と幼い少女のティアラに迫り寄る3体のモンスターという状況が繰り広げられていた

 

「確かに、義賊達と貴女様の部下達が争っている忙しい状況だ」

 

「やはり………この状況を見て義賊の方々やクレア達の事しか言わないという事は、此方のポケモン達はアナタの手持ちという事ですね」

 

「おや? ポケモンや手持ちという単語をご存知で……あぁ貴女はチャンピオンの少年と付属の者達と過ごされていましたね、寧ろ知っていて当然か」

 

「世間話をしに来たのなら今すぐお帰りください、もう時刻は深夜です

 

ワタクシは妹を寝かし付けなくてはなりませんので、お帰りを」

 

「妹………なる程そういう設定でしたか、便利ですね王女という立場は

 

人間に化けたラティアスを自分の妹分として王宮に住まわせる事が出来るのですから」

 

「何の事ですか、ティアラは人間ですよ」

 

「テツノブジン」

 

『ギギギ』

 

テツノブジンと呼ばれたエルレイドの両目から放たれた光が室内の壁に当たる

 

その光は今日の昼間ティアラが人間の姿からラティアスの姿に変わる映像であり、怯えるティアラをアイリスは自身の背に隠す

 

 

 

「私は時間を無駄にするのが人生で2番目に嫌いでして、此処に来た理由はもう言う必要ありませんね

 

ラティオスとラティアスを捕獲するのでお退きください、貴女の部下達は助けには来ませんので無駄な抵抗など」

 

「嫌です」

 

ハッキリと拒否する意思を男に言い放つ

 

 

 

 

 

 

 

「この様な室内を戦いの場にして我々の爆裂魔法を封じるとは何とずる賢い敵、ですがソレだけで勝ったつもりで居るんじゃありませんよ!!」

 

「のわぁ!?

 

魔法使いが素手で殴って来るなぁ!!!」

 

『バッケェ!!』

 

チィン

 

「オンミョォォ!!」

 

『ナママ! ふわぁ~』

 

バルスリンの頭突きを息子に食らわされ悶えるカズマをナマケロが助けようと、冒険者達を眠らせて来た<あくび>をバルスリンにも放つが

 

 

『バッケェェ!!』

 

チィン

 

「そこはもう辞めてぇ!!女の子になっちゃう!!!」

 

『ナンマァ?』

 

バルスリンは眠らず攻撃を行い続ける

 

『バルスリンのとくせいはふみんロト、だからあくびは無効ロト』

 

『ナマッ!? ナマナンマァ!!』

 

『皆のとくせいの事を話す機会がなかったロト、怒らないでロト!!』

 

 

「待ってくれセレナ!! 今争ってる場合じゃうわぁぁ!!」

 

「マフォクシーマジカルフレイム!!」

 

『マフォ! マフォクシー!!!』

 

 

「でぇりゃぁぁ!!」

 

「わっ!?

 

(どうしましょう……アクア先輩の魔法で恐らく後10分はスキルが使えないのに、コレだけの大人数や王女様を相手に神器を奪わないといけないなんて

 

一体何なんですかあのポケモン達

 

 

えっ?)」

 

クレアの剣をダガーで受け止めコレからどうするかと模索するクリスが事の原因を作ったポケモン達を見ると、アイリスの前に怪しげな仮面姿の男が居る事に気付く

 

 

「助手君! サトコ!」

 

「なんだ!? 今取り込み中だ!!」

 

「わわぁ!? どうしたの!」

 

「王女様の前に人間が居る!!」

 

「「えっ!?」」

 

『ナンマァ!?』

『ピカピィ!!』

『本当ロト!!』

 

 

 

 

 

【この男………もしや】

 

「知り合いの方ですか?」

 

【この邪悪な心……間違いない……パスチャーという科学者だ】

 

「………科学者が何かは分かりませんが、パスチャーという名前はサトシから聴きました……悪人だと」

 

 

 

 

 

「パスチャーだって!?」

『ピカァピィ!?』

 

 

(パスチャー……アルセウスさんを呼び出す為に、あの兵器を生んだ元凶……まさか自分からやって来るとは!!)

 

攻撃を交わしながら、アイリスの口にした名前に反応する

 

 

 

「(何故王女が私の名を………そうか、ラティオスかラティアスのテレパシーか

 

コイツらは人の心を見据える能力があったはず、それで王女に知らせたか

 

まあ良い、名前がバレるぐらいなら指名手配されようとも誤魔化せる)

 

テツノブジン はたきおとす」

 

『ギギギ!』

 

パシン!!

 

「レイピアが!?」

 

『ギギギ!!』

 

叩き落とされたレイピアを、エルレイドは踏み潰し粉々にする

 

「武器がなければ貴女はただの子供です、無駄な抵抗は辞め早くラティオス達を寄越しなさい」

 

「嫌です! 貴方が悪人なら直の事2人を渡す訳にはいきません!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「アイリス……お前ら邪魔すんじゃねえ

 

あぁゴメンなさいレイピア向けないでください!!!」

 

「こうなったら、ねえダクネ…そこのクルセイダー!!!何時まで混乱してるの!!!」

 

「他人事の様に言うな!!元を辿ればお前達がそんな格好で来るから混乱しているんだ!!」

 

「その事は後で話すから!!それよりも王女様の方を見て!!」

 

「なに?

 

 

なっ!? 誰だアイツ!?」

 

「だから説明は後!! あたし達は」

 

「余所見をしている場合か敵め!!!」

 

「わぁぁ!? こんな状況でしょ!!

 

クルセイダーなら王女様達を守って!!」

 

「分かった!!」

 

急いでアイリスの元に向かう

 

 

 

 

 

 

 

「言ったでしょう私は時間を無駄に消費するのは嫌いだと、テツノコウベ ラスターカノン」

 

『ガァァ!!』

 

 

「させるかぁぁ!!」

 

「ララティーナ!!!」

 

鋼のエネルギー波を放つ<ラスターカノン>をアイリスを庇うように前に立ったダクネスが受け止める

 

 

「お……お怪我はありませんか?」

 

「えぇ!」

 

アイリスの無事を確認し終え、前に居る男……パスチャーを睨む

 

「知り合いが妙な事をしていたりリオルや仲間の様子が変だったりと、今の私は全く状況が分からずイライラしている……この苛立ちはアイリス様に攻撃を仕掛けた明らかに悪人の貴様にぶつけるしかない!!!!」

 

(何だこの女……テツノコウベのラスターカノンを生身で受けて何故平気なんだ?)

 

 

【お前達下がってくれ!】

 

「えっ? はい!!」

 

「なな何だ? 今頭の中から声が!?」

 

「ララティーナも下がって」

 

「は……はい!!」

 

『ティィオォ!!』

 

アイリスとダクネスを下がらせ、口から凄まじいドラゴンのエネルギーを放つ<りゅうのはどう>をテツノコウベに向けて発射する

 

「テツノブジン」

 

『ギギギ』

 

凄まじい光を放つ<りゅうのはどう>をエルレイドは体で受け止め

 

『ギギギ』

 

【無傷だと……ならばラスターパージ!!】

 

目を青白く光らせ念で作った光球<ラスターパージ>を放つ

 

「トドロクツキ」

 

『ギャォォォ!!!』

 

エルレイドと同じくボーマンダが<ラスターパージ>を体で受け止め、全く効いておず強く吠える

 

 

「今の技……上級魔法クラスの威力があるとみたが……それを受けて無傷とは、相当に耐久力のあるポケモンだな」

 

「耐久力……クックク!

 

ただのタイプの相性だというのに無学ですね、おっと貴女達が知っている訳ありませんでしたね失礼」

 

(イラッ!! 一々人を苛立たせる喋り方をしおって)

 

「ワタクシはロトムからポケモンにはタイプという力がある事も、相性がある事も教えて戴きました

 

りゅうのはどうはドラゴンタイプの技で、ラスターパージという技はミストボールに似ていたのでエスパータイプ

 

各々フェアリータイプと悪タイプには全く効かないのでしょう?」

 

 

「おや、王女だというのにポケモンの知識を知れる時間があるとは王族とは案外お暇なのですね」

 

「ムッ……そちらのポケモン達のタイプも知っています、あくでもフェアリーでもないはずですよ」

 

「知識がある事を知らしめたいのでしょうが、残念ながら私の言っているご存知ないとはタイプの相性の事ではありませんよ」

「どういう意味だ?」

 

「さぁ、言う必要性がありませんので

 

(この女の事を王女はララティーナと言っていたな、あのデブ親父が手に入れたいと喚いていた女はコイツか

 

傷物にすると奴の逆鱗に触れてしまう……ここは)

 

テツノブジン」

 

『ギギギ』

 

サーベルを取り出しアイリスに向ける

 

「アイリス様に手出しはさせん、はあぁぁぁ!!!!」

 

「みちづれ」

 

 

バァァァン!!

 

 

 

「ん?……なっ!?ダク……あのクルセイダーの攻撃が当たってるだと」

 

 

騎士の攻撃を交わしていると凄まじい物音が聞こえ音のする方をカズマが振り向くと、ノーコンのダクネスの剣が見事エルレイドに命中し地面に這いつくばらせていた

 

 

 

 

「なんだコイツ……自分から攻撃に当たりに来ただと」

 

ダクネスの攻撃は何時も通り全く別の方に向かったが、何故かエルレイドは自分からダクネスの剣が向かう場所に向かい自分から攻撃に当たるという妙な行動を取り、攻撃を受け戦闘不能になっているエルレイドをダクネスが不思議そうに見つめている

 

 

 

その時

 

「うっ……ぐはぁ!!!」

 

「ララティーナ!?」

 

突如苦しみだし倒れ込む

 

「貴女は頑丈そうでしたからね、みちづれにさせて貰いましたよ、あぁ自らに止めを刺した者を言葉通り道連れにする技です」

 

「だ……だから……攻撃にワザと……」

 

 

「嘘だろ……あの胸と家柄と頑丈だけが取り柄しかなさそうなクルセイダーがヤラレただと!?」

 

(あ……アイツめぇ……後で覚えてろぉ……)

 

「大丈夫ララティーナ!!」

 

 

「す……すみませんアイリス様……指1本も……動け……ないです

 

(何時もなら、このまま哀れに蹂躙され情けない失態をおかした女として罵倒される事に…こ……興奮ではないが幸福を感じるが

 

アイリス様の危機にそんな事言ってられるか!!!

 

 

くぅぅ!!動け!!!)」

 

 

「せっかく来た助っ人も情けないままアッサリ退場してしまいましたね、さあ王女様3度目の正直です

 

ラティオス達を捕獲するので、其所を退きなさ」

 

「絶対に嫌です!!」

 

倒れるエルレイドをボールに戻しながら3度目の忠告を行うも、アイリスは全く折れず退く気配を見せない

 

 

「………いい加減にしろ……おっと失礼

 

何故ポケモンをそこまで庇うのでしょうか、この国ではモンスターは敵なのでしょう?」

 

「この子達はアナタのポケモンが街に放った隕石を降らせる技を凪払い、ワタクシの国の民を助けてくれた恩人です

 

そしてワタクシに助けを求めに来ました、王族として助けを求める者を他種族だからと見捨てはしません

 

 

何よりティアラはワタクシの妹です!!誘拐犯に差し出しなど絶対に致しません!!!

 

アナタこそ帰りなさい、王族に対し頭が高い無礼者が」

 

『ティアラティア……』

 

「………………トドロクツキ ほのおのキバ」

 

『ギャォォォ!!!』

 

火炎を宿した牙がアイリスの顔に迫って行く

 

【させん!】

 

「テツノコウベ!」

 

『ガァァァ!!』

 

【くっ!?】

 

助けに行こうとするオーティスの前にサザンドラが立ちはだかる

 

 

 

 

「アイリス!!!

 

2人共ゴメン、皆に正体バレるけどポケモンを召喚して助けに行く!!」

 

「待ってサトコ!!

 

アクアさんの魔法でスキルが使えないからポケモンは呼べないよ、それに大丈夫だから」

 

「全然大丈夫じゃないよ!!!」

 

「ナマケロ! ロトム! コートの下のお前らにはさっきの粉は掛かってねえ、お前らは周りの奴らに敵と認定されない筈だコート脱いでアイリスを助けてくれ頼む!!」

 

『ナンマァァ!!!』

『分かったロト!!』

 

「待って本当に大丈夫だから落ちついて皆」

 

正体がバレてでもアイリスを助けに向かおうとするメンバーを、冒険者達の攻撃をメロエッタと共に交わしながらクリスが止める

 

『ナンマァッ!!!』

「お前には悪いけど、正体バレてでも俺はアイリス達を」

 

 

 

「だから王女様なら大丈夫だって

 

 

 

ホラ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

『ギャャャャオ!!!!!』

 

 

「………………はぁ?」

 

炎が宿る牙を全く熱がる事なく両手でガッチリと受け止められ、巨体のボーマンダを持ち上げ鮮やかな一本背負いで床に叩き付けられてしまいパスチャーは間の抜けた声を出してしまう

 

 

それは勿論

 

 

 

「「『『『…………………』』』」」

 

『ティアラティ♪』

 

助けに向かおうとしたカズマ達やオーティスも唖然と立ち尽くし、ティアラだけはパチパチと両手を叩きエールを送る

 

 

 

「な……何を油断しているトドロクツキ!!!ストーンエッジ!!」

 

『ギャォ!!』

 

「ララティーナ剣を借りるわね!!」

 

「は……はい!」

 

落ちているダクネスの剣を広いあげ

 

「はぁぁ!!!」

 

<ストーンエッジ>を一刀両断に切り裂く

 

「なっ!? ならほのおのキバ!!」

 

『ギャォォォ!!』

 

剣に噛み付き粉々にしようと力を入れるボーマンダを

 

「ララティーナから借りた剣を……壊す訳にはいかないの!!!」

 

『ギャォォォ!?』

 

 

剣を力いっぱい振り抜き、噛みつくボーマンダを壁に投げ飛ばし

 

 

『ギャオ………』

 

戦闘不能になる

 

 

「な……なんだこの少女は!?」

 

 

 

 

「アイリスって……あんなに強いの……」

 

「だから言ったでしょ、王族は栄養値や経験値が高い食事を毎日取ってるからステータスが高いし、ベルセルク王国の王族は男女問わず小さい時から剣や武道を習わされるから無茶苦茶強いよ」

 

「そ……そういえば、よく王族は強いって言ってた気が……」

 

『ピィカァ……』

 

「体が入れ替わった時に頭をぶつけ合ったけど、俺の体のアイツだけが痛がったのもそういう事かよ……」

 

「言っておくけど、さっきまでの絶好調の助手君でも王女様には勝てないし、自分専用の剣があるみたいだけどソレを持たせたらサトコより強いよ」

 

「「マジで!?」」

 

「マジだよ、だから王女様の眠ってる時にネックレスを取りに来たんだよ争いたくないから」

 

 

 

 

 

「さあ、まだやりますか」

 

「……………テツノコウベ」

 

『ガァァァ!』

 

「今度はその子ですか」

 

 

迎え撃とうと剣を構えるアイリスに対し

 

 

「まさか使う事になるとは」

 

 

「ボール?」

 

パスチャーは1つのボールを取り出す

 

それは明るい黒でコーティングされ、白のワッカが装着しており

 

通常のボールなら開閉スイッチの役目を持つ真ん中部分に六角形の宝石が付けられているボールであった

 

「なんだアレ?

 

あんなボール初めて見る」

 

 

 

 

 

 

「今 過去 未来、3つの時空を繋ぎし力よ

 

 

今解き放て!!」

 

口上の様な物を述べ終わるとボールが凄まじく光始め、それを持つパスチャーの右腕が震え始め左手で押さえ込み

 

 

「ふん!!!」

 

そのボールをサザンドラの頭上に投げるとボールが破裂する

 

 

「水晶?」

 

 

その瞬間突如地面からサザンドラを覆い尽くす大量の水晶が出現し

 

 

パッキィン

 

瞬く間に割れると

 

 

『ガァァァァァ!!!』

 

 

「なんだ……?頭に斧が刺さっている……のか?」

 

ササンドラの体が銀色に輝き頭上には巨大な斧が刺さっていた

 

 

「なんだ……アレ…」

 

「サンダーボルト!!」

 

「わぁ!?」

 

見た事もないササンドラの様子に動揺したのか、飛ばされた雷をギリギリで交わす程に反射神経が鈍ってしまうサトシ

 

『初めて見るロト………そうだ』

 

 

 

 

 

「いけ!」

 

『ガァァァ!!!』

 

「何をしたかはしりませんが、まだお帰りにならないなら無理やりでも追い返します!!」

 

向かって来るササンドラを剣で応対しようとするが

 

 

パキィン!!!

 

 

「なっ!?」

 

「折れただと……私の剣が!?」

 

ササンドラの体にぶつかった瞬間、アイリスの持つ剣が無惨に折れてしまう

 

「ラスターカノン!」

 

『ガァァァ!!!』

 

体に触れただけで剣が折れ驚くアイリスの隙を付き、彼女との距離は目と鼻の先、そんな間近から<ラスターカノン>を放つ

 

 

 

【危ない!!!】

 

「キャッ!!!」

 

【ぐあぁぁぁぁ!!!!】

 

アイリスをボーマンダが横たわる場所まで突き飛ばし<ラスターカノン>を交わさせるオーティスだったが、自身の体にかすってしまい叫び声をあげてしまう

 

そして放たれた<ラスターカノン>はパスチャー達が侵入する為に破壊した壁を通りすぎ

 

ドガァァァァァン!!!

 

 

王宮の側にあるプールに命中し中にある水が全て吹き飛び

 

 

 

「クレーターみたいに抉れてやがる……なんちゅう威力だよ……」

 

プールだった面影が残らぬ程に地面が抉れている

 

 

「わ……私に打った物よりも威力が明らかに違う、本気を出していなかったのか」

 

 

 

【はぁ……はぁ】

 

「大丈夫ですか!?」

『ティオティア!? ティオラス!!』

 

【大丈夫だ………はっ!逃げろ!!】

 

「えっ?」

 

『アァブゥゥ!!』

 

「ポケモン!? ティアラ!!」

 

『ティアラティア!?』

 

後ろを振り返ると、頭に6つのトゲを生やしたキノコが迫っており慌ててティアラを庇うように前に立つアイリスに黄色の粉をブッ掛ける

 

「ケホッ! ケホッ! コレは……うっ!?……か……体が……痺れ………」

 

『ティアラティア!! ティアラティア!!』

 

倒れてしまうアイリスの体をティアラが揺らす

 

「いくらトドロクツキを倒せる程に強い貴女も、痺れ状態では立つのはキツイでしょ」

 

 

 

【しびれごなか

 

 

モロバレル……ボーマンダの背に居たのはお前だったか、ラスターパージ!!】

 

 

『アブゥゥ』

 

 

再び<ラスターパージ>を放つも<きのこポケモン>モロバレルは全くダメージを受けておらず、キノコのカサから伸びるトゲを触りながらオーティスを睨む

 

 

【何故だ………エルレイドといいボーマンダといい私の攻撃が効かない!?

 

 

それにあのサザンドラも、剣が体にぶつかっただけで折れるなど……まるではがねタイプの硬度……

 

 

まさかタイプが違うのか……何なんだ…お前達は】

 

 

「イカサマ」

 

 

『アァァブゥ!!』

 

 

【グハァァァ!!!!】

 

『ティオティア!?』

 

 

「先月の様にまた逃げられては厄介だ、徹底的に痛めつけろ」

 

 

『アッブゥゥ!! アッブゥ!!』

 

倒れるオーティスにモンスターボールの見た目をした両手で何度も殴り付ける

 

 

『ティオ……ティア!』

 

「おっと」

 

 

「あぁぁぁ!!」

 

『ティアラティア!?』

 

兄を助けに向かおうとするティアラに見せ付けるように、アイリスの頭をスパイクの付いた靴で踏みつけグリグリと揺らす

 

 

 

「ラティアス、せっかく匿ってくれた王女様に痛い思いはさせたくないですよね?

 

 

大人しく私の所に来い」

 

 

『ティ……ティィ……』

 

 

「あの……野郎!!!」

 

 

その光景を見たカズマが普段の彼とは思えない程に低くドスの効いた声で叫びながらパスチャーを仮面越しに睨み付ける

 

 

「余所見とは余裕だな義賊め!!」

 

「おいクレア!! 俺なんか相手するよりアイリスの所に行け!!!アイリスも……ティアラがヤバいんだぞ!!」

 

「敵の指図など受けるわけがない!!」

 

「俺は敵じゃね!! 俺は」

 

仮面を外そうとするカズマの手を

 

「ダメだよ助手君!!」

 

クリスが止める

 

「放せ!! ダクネスもアイリスも動けなくされてオーティスもボロボロにされてんだ、もう俺達しか居ないだろうが」

 

「覚悟しろ義賊共!!」

 

「させるか!!」

 

「くっ!?」

 

そんな2人に剣を向けるクレアをサトシがぶつかり阻止する

 

「あんがとよサトシ! ナマケロ!行くぞ!!」

 

『ナンマァァ!!』

 

「俺も行くよカズマ!

 

ピカチュウ! ロトム!!」

 

『ピッカァ!!』

 

『あわわちょっと待つロト』

 

 

何故か慌てるロトム以外は正体を隠す仮面やカツラにコートを取ろうとする

 

 

「待って!!!」

 

「しつけえんだよ!! 何言われようが俺らは行くぞ」

 

「皆の様子を元に戻す方法があるんだ」

 

 

「なに!?」

 

「本当?」

 

「うん……(メロエッタ、ボイスフォルムになって)」

 

遠くの方で冒険者達と戦うメロエッタにテレパシーを送る

 

 

【エッタ!? メッロッ!メロエッメ!!】

 

(えぇ……そうなればカズマさんに私の正体がバレてしまう、でも良いの……カズマさんやサトシさん達が義賊としてお尋ね者になるぐらいなら私の正体がバレても……カズマさんなら他人に話す事はないから

 

 

お願い)

 

【………エッタァ!!】

 

 

「メロエッタ! いにしえのうた!!」

 

『メンロォ~♪ メンロォ~♪ メロォ~♪』

 

 

空中に浮かび神秘的なメロディを奏でながら歌い始めるメロエッタが輝き始める

 

「そういやメロエッタは歌で人やポケモンの感情を操れるんだったな、成る程なそれでめぐみん達の戦意や敵意を消そうって訳か

 

「ファイヤーボール」危ねっ!?」

 

「だからいにしえのうたを使って、ボイスフォルムになろうとしてるのか

 

「はあぁ!!」おっと!!」

 

「ボイスフォルム?

 

ロトムがステップフォルムとか言ってたけど何なんだそれ?」

 

「メロエッタはね、いにしえのうたを使うと」

 

「ウルサァァァイ!!!!!」

 

『エッタ!?』

 

「ア……アクア……さん?」

 

もうすぐ歌い終わるメロエッタを突然アクアが怒鳴り付ける

 

 

「ヒックゥ……夜中に騒音立てないでよね!!ヒックゥ!目が覚めちゃったじゃないの」

 

『リィマァリ!! アッシマァ!!』

 

 

「アイツら寝てたのかよ……」

 

 

「そういえば攻撃して来る皆の中にアクアとイブ居なかったよ……」

 

 

「しかもヒックゥ!下手くそな歌なんか歌っちゃって、鐘1つレベルよ!!」

 

『……メッ!?』

 

『リィマァ~♪ リィマァリ~♪』

パチパチ

「最高だわイブ!!ヒックゥ!!貴女の歌声こそ正に神の旋律よ

 

そんな鐘1つレベルの音痴にもっと聞かせてあげなさぁ~い……ヒックゥ!!『メンロォ!!!!』グハァァァ!!!」

 

「メロエッタァァ!?」

 

音痴と言われキレたメロエッタの鋭い蹴りがアクアに炸裂する

 

「アチャァ……」

『ピチャァ……』

 

「あれはアイツが悪い……」

 

 

 

「はらひれ~はらほれ~」

 

『アシマリマ!? リィィマァ!リマリィ!!』

 

『エッタァ!!エッタメッロ!!!』

 

「メロエッタ落ち着いて!!それより早くいにしえのうたを」

 

『リィィマァ!!!!』

 

『メッロ!?ブクブク』

「わぁぁあ!?ブクブク」

 

アクアに攻撃をしたメロエッタに今度はイブがキレてしまい、凄まじい水量の<みずでっぽう>をメロエッタとクリスに命中し

 

そして

 

 

『ピカァァ!?ブクブク』

 

「何で俺達まで!!ブクブク」

 

「あいつらはトレーナーもポケモンもどっちもロクな事しねぇブクブク」

 

サトシ達まで巻き込んでしまう

 

 

 

「ゲホッ!ゲホッ!おいクリス!!早くいにしえのうたって技を使ってくれ!!」

 

「覚悟!!!」

 

「しまっ!?」

 

「カズマ!!」

『ナンマァ!?』

 

クレアの振りかざす剣がカズマの首に

 

 

「くっ……う……ん?

 

アレ?首……ある」

 

当たらなかった

 

「何だ……義賊を捕らえるよりも大事な役目があった気が」

 

「ん? んん?」

 

目の前のクレアから先までの威圧感は消えており

 

 

「あれ? 私達、何故義賊を攻撃していたんでしょう?」

『バケチャ?』

 

「確か急に義賊を倒さないと行けない気分に……何でなったのかしら?」

『マフォ? フォクシ?』

 

 

 

「めぐみんもセレナも……皆元に戻ってる」

 

「ボイスフォルムで歌ってないのに……何で?」

 

『ムムム……皆の体にいかりのこなの成分が検出されない……わかったロト、今のイブのみずでっぽうで体に付いてたいかりのこなが流されたんだロト』

 

「マジか!?

 

前言を撤回する、トレーナーはアレだがお前は良くやったぞイブ!」

 

 

 

「はらひれ~はらほれ~」

『アシマリマ!!』

 

カズマに褒められている事など知らず、目を回すアクアを介護するイブであった

 

 

 

『リオリィ……リオリオ!?』

 

「わぁぁどうしたのダクネス!?」

 

「何故倒れてるんですか?」

 

 

「何があったか分からないが……元に戻ったんだな……リオル……めぐみん……セレナ、すまないが私は動けない……私の代わりにアイリス様を助けてくれ」

 

「王女様を? キョロキョロ

 

えっ? サザンドラにモロバレル……な…何なの……サザンドラが銀色に光輝いて斧が頭に刺さってる……」

 

「ちょっ!? ティアラのお兄さんがボロボロになってるじゃないですか!!!」

 

 

 

 

『ラティ………ラティア』

 

『ティオティア!!』

 

「余計な手間を掛けさせてくれたが、コレでチェックメイト」

 

 

「アイリス様!?」

 

「お…おい…あいつアイリス様の頭を!!」

「あの仮面野郎何者だ!?」

 

 

 

 

 

「一体何の騒ぎ…なぁ!?

 

な…何故警備の者達が此方を見ている!?」

 

「貴様ぁ!!! アイリス様に何をしている!!!」

 

 

「(何をしたんだあの義賊共……マズイ…マズイ……マフォクシーを連れている少女は私の顔を知っている……もし仮面が剥がれ顔を見られれば私はこの世界の大犯罪者として指名手配されてしまう、そうなれば自由に行動が出来なくなりアレの開発に支障が出る

 

ソレだけはマズイ!!

 

 

ならもう一度)

 

アラブルタケ! いかりのこな

 

テツノコウベ! ぼうふうで義賊共に粉を撒け!!」

 

『アァブゥ』

 

【そうはさせん!!!】

 

『アブゥ!?』

 

「なっ!? まだ動けたのか!!!」

 

「「オーティス!?」」

 

何十発ものモロバレルの攻撃を受けても尚オーティスは立ち上がり、モロバレルを背後から羽交い締めにし

 

 

【りゅうのはどう!!!】

 

『アブゥゥゥ!!!!』

 

ゼロ距離から<りゅうのはどう>をモロバレルに命中させ

 

 

『アブ………』

 

「くうぅぅ! アラブルタケまで……」

 

 

戦闘不能にする

 

 

 

 

 

「お前ら行くぞ!!」

 

「アイリス様を助けるんだ!!!」

 

「全軍突撃!!!」

 

 

(ど……どうする……残りはテツノコウベのみ……かといってこの2体はまだ

 

 

こうなったら)

 

自らの存在のスケープゴートとして義賊達を利用出来なくなり手持ちもサザンドラだけとなった今、パスチャーに80人もの冒険者や騎士達を相手に切れるカードは

 

 

「動くな!!」

 

「あぁぁ!!!」

 

 

「全軍止まれ!!」

 

騎士や冒険者達がパスチャーを捕らえようと向かうが、更に体重を乗せてアイリスの頭を強く踏みつける

 

「あ……あの野郎……また……」

『な……ナンマァァ!!』

 

「おっと、義賊の方々も止まりなさい

 

アナタ方は義賊と呼ばれているなら普通の賊と違い良心はおありの筈……もし動いたら」

 

「ああぁぁ!!!」

 

「分かりますね」

 

「わっ……分かった!!」

 

「クソッ!!」

 

「くっ……」

『エッタァ……』

 

「皆さんも邪魔をしないでください、私は別に王女様の命になど興味はありません用事を済ませれば無事に返しますので大人しくなさい」

 

「デタラメを抜かすな!!! では何故アイリス様をその様な目に合わせる!!!」

 

「彼女が邪魔をするからですよ、だから大人しくさせたまで」

 

『ラティ……ラティオ……』

 

「ラティオス貴方もだ、いや……貴方はもう限界でしたね

 

最早飛ぶ事も出来ず地べたに這いつくばるしか出来ない様ですし」

 

『ティオ……ラティオ……』

 

 

「いけません!!そんなボロボロの体でコレ以上戦っては!!」

 

【い……妹を……守る為なら……コレぐらいの傷

 

 

 

それに】

 

 

 

「お……おい、アイリス様は何であの時の凶悪モンスターの心配なんかしてるんだ」

 

「わ……分からないわよ」

 

 

 

 

 

【私達ポケモンに似た生き物を……敵だと認識しているこの地で、私の事を信頼し……妹を守ってくれた王女……貴女に恩を返すまでは

 

 

倒れる訳には……いかん!!】

 

「ふ……ふん、良いんですか……動けば王女様を更に痛めつけ」

 

【おいかぜ

 

 

 

ウオォォォ!!!】

 

 

スピードが倍になる<おいかぜ>に乗り、目にも止まらないスピードで突撃しオーティスはパスチャーに気付かれる事なく彼の目先まで

 

 

『ガァァァ!!』

 

だがそんなオーティスよりも先にサザンドラがパスチャーの前に立ち塞がり、闇のオーラを放つ<あくのはどう>をオーティスに放つ

 

「なっ!? い…何時のまにこんな近くに!?」

 

【くぅ……うぉぉ!!!】

 

 

だが<あくのはどう>が命中しても何とか押し返そうと粘りを見せる

 

 

『ガァァ!!!』

 

【ぐっ……ぐぁぁぁ!!】

 

 

しかし追い討ちとなる第2波の<あくのはどう>に撃ち抜かれ、地面に倒れ込み身動き1つ取れない

 

「ラティオスさん!?」

『ティオティア!!!』

 

 

「お……驚かせてくれる……良くもまあ無駄な抵抗を、おかげで余計な時間を使ってしまったじゃないか!!

 

伝説のポケモンでないなら始末してやりたい所ですよ全く」

 

 

「おい……あの青色と3つ首のモンスターって仲間じゃないのか?」

 

「仲間の筈だろ、先月王都を襲って暴れまわった………アレ…?

 

3つ首と赤色の翼を生やしたモンスターが街で暴れてるの見覚えあるけど……青と赤の体のモンスターって……何やってたっけ?」

 

 

『…………………』

 

『ティオティア!!』

 

「しかし、まさかコレだけボロボロになりながらも立ち向かって来るとは、本来ラティオスは頭の良いポケモンの筈ですが……クックク……どうやらこのラティオスは自分の体力の限界にも気付けない低能の個体でしたか」

 

『ティオティア……ティオティア……』

 

「…………クレア……レイン」

 

「ん?」

 

ボロボロになり横たわる兄の姿に泣きじゃくってしまうティアラ、それを見たアイリスが身を震わせながら側近の2人の名を呼ぶ

 

「ワタクシに構わず……この男を捕らえて!!」

 

 

「なっ!? しかし!!」

 

「お願い!! こんな……こんな最低で低能な人間にティアラやラティオスさんを奪われたくない!!!」

 

「……低能……誰の事を言っている」

 

「アナタに決まっているでしょ……妹の為に……恩人の為に命懸けで戦う者を低能呼ばわりし嘲笑う人間を低能と呼ばずして何と呼ぶ!!

 

「黙れ!!!」

 

ああぁぁぁ!!!!」

 

怒鳴りながら彼女の右手の甲を踏みつける

 

「図に乗るな小娘!!!俺が低能だと!!!!

 

見る目がないのか!!!脳ミソが空っぽなのか!!!

 

そうだそうだそうだそうだ!!そうに違いない!!!」

 

「ああぁぁぁ!! ああぁ!!!」

 

さっきまでと全く別人かのように激昂し彼女の頭を蹴り続ける

 

 

「いい加減にしろ貴様!! 辞めろ!!!」

 

「俺に命令するなぁぁ!!!どいつもこいつも偉大な頭脳を持つ俺を見下しやがって!!!

 

ラスターカノン!!!」

 

『ガァァア!!!』

 

「危ないクレアさん!!」

 

「ミ……ミツルギ殿?」

 

「遅れてしまい申し訳ありません、お怪我はありませんか?」

 

「は……はい」

 

クレアに向けて放たれた<ラスターカノン>は、何時の間にかやってきたミツルギが彼女を手繰り寄せ

 

 

「ひぃぃ!!! なんだ今の技…」

 

「王宮の壁が……溶けてる……」

 

室内の壁を貫通し王宮の壁に当たり、余程の威力なのかロトムが爆裂魔法でも壊せないと言っていた壁がドロドロに溶けており

 

冒険者や騎士達の顔色が青くなる

 

 

「ソレで恐れ多くもアイリス様の頭を踏みつけている男が残りの義賊ですか?」

 

「い……いえ……どうやら違う様で」

 

因みにミツルギがこの部屋に居るという事は

 

 

「ちょっと何よあの女!

 

ミツルギ様に馴れ馴れしく話しちゃって」

 

ミツルギと兵隊達にロープで手を拘束され連れられたロケット団の姿も

 

 

「いやいやそれより、あのサザンドラ変じゃねえか頭に斧刺さってるし」

 

『痛そうだニャ……ん?

 

 

ニャア!? オーティス!!!』

 

 

「ちょっ!?アイツボロボロになってんじゃない!!」

 

 

「大丈夫か!!!

 

おいアンタら!! いくら不法侵入したからって妹迎えに来ただけの奴をアソコまで痛め付ける事ないだろ!!!」

 

「あぁいえ……あのモンスターは自分達ではなく、多分……あの仮面の男が」

 

 

 

「お前、アイリス様を解放しろ!!」

 

「しろ……だと……どいつも……こいつも……俺に命令……しやがって!!!

 

命令するな!!命令して良いのは俺だ!!!!!お前らみたいなバカは俺に従え!!!

 

おいラティアス!! 大人しくさっさと俺に付いて来い!!!さもないと……この俺を低能呼ばわりしたこのクソガキぶち殺すぞ!!!

 

テツノコウベ!! ラスターカノン!!」

 

『ガアァ』

 

 

「や……止めろ!!!止めてくれ!!!私が……私が代わりに人質になる!!!だからアイリス様を!!!」

 

「いえ私を!!」

 

 

今この状況にて周りの者達の抑止力として機能しているのは間違いなくアイリスである、だがパスチャーはそんな人質の彼女に向けてサザンドラに<ラスターカノン>を放たせようとする程に頭に血が上っており

 

<ラスターカノン>の威力を目の当たりにしたクレアやレインは本気で彼がアイリスを殺す気でいると焦り、自分が人質になると前に

 

 

出る前に

 

 

『………………ティア』

 

 

ティアラが先にパスチャーの元に向かう

 

 

「だ……ダメ………ティアラ……」

 

『ティア……ラティア』

 

何も抵抗しないと両腕を後ろにする

 

「はぁ……はぁ……そうだ……クックク、それで良いのです!この私の言う事を最初から素直に聞けば良いんですよ

 

テツノコウベ、攻撃中止」

 

ターゲットが素直に言う事を聞き、落ち着きを取り戻したパスチャーが仮面で顔は見えないが明らかに笑っているのだと分かる程に明るい声で話し始めサザンドラに<ラスターカノン>を止めさせる

 

「待てティアラ!! 私やレインが人質になる、お前は下がるんだ!!」

 

「そうよティアラちゃん!! 行ってはダメ!!」

 

ティアラが喋っている事に全く気付かないほどクレアとレインは慌てており、王女すら殺そうと企む危険人物に幼い少女を近付けさせないようにするが

 

 

「おやおや、私が来る切っ掛けになった元凶に対して随分お優しい事で」

 

 

「元凶? まさか貴様……ティアラを拐いに来たというのか!!」

 

「拐いというのは人聞きが悪いですが、まあその通りですね

 

私はこの兄妹が欲しいのですから」

 

 

「兄妹だと…?」

 

「兄妹って……ティアラちゃんと誰の事……」

 

 

 

『ティア……』

 

 

「むっ!」

 

「何だ!?」

「眩しい!?」

 

 

ティアラの体が光輝き室内に居る全員が目を閉じ、そして開いた時には

 

 

 

 

『ラティア』

 

 

「おや、わざわざ本来の姿になるとは……まさか何か企んでいるんじゃ」

 

『ティア! ラティア!!』

 

何もしないと首を振る

 

「あ………あの時の赤色のモンスター?」

 

「まさか……ティアラちゃん……なの?」

 

 

「ん? まさか事情を知っているのは王女様だけなのですか……クックク!コレは面白い!!

 

たった御一人でラティアスを匿っていたとは、実にご立派な事だ」

 

「ティアラ………ワタクシの事は良いから…逃げ……えっ?」

 

その時アイリスは何故か側に居るティアラではなく、自分達が使用しているベッドに視線を向けていた

 

 

「さて彼女や目が覚めたラティオスに大人しくして貰う為にも、もう少しお付き合いを願いますよ王女様」

 

「つぅ!!」

 

アイリスの首根っこを掴み持ち上げる

 

 

「ちゃんと王女様は返しますので追跡などしないでくださいね」

 

 

「くっ……」

 

 

「あぁそうだ……義賊の少年、貴方のメロエッタも譲って戴きたいのですが

 

良いですよね」

 

「…………」

 

決して性別を間違われたから黙っているのではなく、どうしようかと思考を働かせるクリス

 

 

「メロエッタ? あら本当だわ」

 

「サラシガールのポケモンか?」

 

 

【エッタァ……メロ?】

 

(此処は素直に言う事を聞きましょう、あの男は……王女を殺す事に何の躊躇もない

 

隠れ家に付いたら直ぐに知らせて)

 

【メンロッ!】

 

「分かった……」

 

 

メロエッタも素直に言う事を聞きパスチャーの元に歩み寄る、それをサトシとカズマも歯痒い思いで見守るが、2人ともメロエッタがテレパシーでクリスと会話が出来るのを知っているので、ワザと捕まりパスチャーを泳がせようとしているのだと気づいており何も言わず見守る

 

「テツノコウベ」

 

『ギャオオ』

 

『エッタァ!?』

 

サザンドラの左右の顔が各々メロエッタとオーティスを咥える

 

「さあラティアス貴女も」

 

『ティア』

 

『ガァァ』

 

「よし、では帰還するとしま」

 

ティアラをサザンドラが咥えるのを確認し、隙を見て自分を確保しに来るやもと騎士達に背中を見せないよう正面を向きながら侵入した壁までゆっくりと下がり

 

 

ガタガタ!!

 

彼がアイリスのベッドの側に来た時、ベッドが勢い良く動き始め

 

 

「なんグバァァアァ!!!!」

 

「キャッ!?」

 

 

振り返ろうとした彼の顔面にベッドが命中し、その勢いでアイリスを抱く手が離れ彼女は床に落ち

 

 

 

 

『ティラアティ♪』

 

「ティアラ?」

 

る事はなく、何故かベッドを体に乗せるティアラに受け止められる

 

 

 

「な……なぜラティアスが2体居る!?」

 

『ガァァ?』

 

ベッドを勢い良くぶつけられた痛みで顔を押さえながらサザンドラの真ん中の首をパスチャーが見ると、確かにティアラが咥えられている

 

 

『ガァァ!?』

 

すると咥えていたティアラの姿が消える

 

 

「ま……まさか…かげぶんしん!?」

 

 

 

 

 

(そうか……)

 

 

 

{良いかアイリス、戦いってのは勝たなきゃナンボだ

 

その為ならどんな手を使っても……あぁいや流石に人質とかの人徳に反するのはダメだぞ、どんな手を使っても勝ちを取るんだ}

 

{ではお兄様、例えばどんな手があるのでしょうか?}

 

{例えば目眩ましだ、煙玉とか閃光弾みたいに相手の視界を奪って隙を作らせるとかな}

 

 

{なるほど}

 

 

{カズマ殿!! アイリス様は立派な騎士になる御方です!!

 

その様な卑怯な手を教えないで戴きたい!!!}

 

{でもカズマの言う通り目眩ましは有効な手ですよ}

 

{サトシ殿も口出し無用です!!

 

騎士には騎士の戦い方が}

 

{おいおいクレア、戦場でそんなプライド重視させるとか

 

アンタ可愛いアイリスを早死にさせたいのか!!}

 

{そんな訳ないだろうが!!!!!}

 

 

{だったら俺の教育の邪魔をしないでくれ、良いかティアラも良く覚えとけよ、自分の身を守る為にも役立つんだからな}

 

{♪♪♪}

 

 

 

(元の姿に戻った時の光で全員が目を瞑った時に、かげぶんしんを使って入れ替わったのか……俺の教えた事覚えててくれたんだなアイツ)

 

 

 

 

 

(メロエッタ!)

 

『メロ! メッロォ!!!』

 

『ガァァア!!!』

 

人質のアイリスが居なくなり遠慮する必要がなくなったメロエッタは、力づくでサザンドラの口から離れ強烈な蹴りを食らわせ

 

『エッタァ!』

 

「ナイス♪」

 

そのままオーティスを救いだしクリスの元に

 

 

 

『ティアティ! ティラティ!』

 

一方アイリスを抱えたティアラは

 

「「アイリス様!!」」

 

クレアとレインの元に行きアイリスを手渡す

 

 

「ティアラ………ありがとう」

 

『ティアラティ♪』

 

 

「あのアイリス様……その……こ…このモンスターが…本当にティアラなので」

 

「えぇ………黙っていてゴメン」

 

『ティア………ティアラティ!!』

 

「ああ!待ってティアラちゃん!!」

 

アイリスをクレアとレインに渡し終え、猛スピードでサザンドラの元に向かう

 

 

 

「おのれぇ…舐めた真似を……あっ!?しまった……仮面……仮面!!」

 

 

「やっぱりそうだ」

『ピカピィ』

『ナンマァ』

『認証システムに完全一致してるロト』

 

 

「間違いねえか」

 

「うん」

 

 

 

 

「あっ………」

『フォク……』

『バケッ……』

『リオッ……』

 

「どうしました皆?」

 

 

「あ……あの仮面の男………間違いない……

 

 

 

 

 

 

 

パスチャー!! アナタだったのね!!!」

 

 

「ゲッ!?」

 

 

 

 

「パスチャーって……貴女やサトシ達がこの国に来る理由を作った悪人ですよね!?

 

別の国に来てまで、王女様に暴行を働くわ誘拐しようとするわと犯罪しまくってんですか!!!」

 

 

「パスチャー?」

 

「アイツの名前か?」

 

「別の国の悪人? って事はお尋ね者か!!!」

 

 

 

(マズイィィ!!!!)

 

 

 

 

 

 

「2人共もうスキルが使える様になったよ、あたし達コレからどうする……って、聞くまでもないか

 

 

そんじゃあ」

 

メンバーの様子を見るまでもなく、彼らが何を考えているかに気づきクリスがニヤリと笑いポケットから数本のワイヤーを取り出す

 

 

 

「イマイチ状況が分からないが、とにかくあのパスチャーって男は捕まえねば!!

 

騎士や兵の皆さん! そして冒険者達、僕に続いてください!!!」

 

「おぉ!!」

 

「あのミツルギが一緒なら3つ首のモンスターも恐れる事はねえ!!!」

 

「行くぞぉぉ!!」

 

ミツルギを先導に騎士や冒険者達がパスチャーの元に突撃する

 

 

 

「ワイヤートラップ!!」

 

 

「ストップ! 

 

君!? 何の真似だ!?」

 

突撃するミツルギ達の前にクリスが作り出した鉄条網が出現し彼らの進撃を止める

 

 

「悪いけどあのパスチャーって男はあたし達が捕まえるよ」

 

「待ってくれ、あの男はアイリス様にあんな真似を働いたんだ!

 

俺達に捕まえさせろ!!」

 

「ゴメンね、兵隊さん達の怒りの気持ちも分かるけど

 

今回はウチのメンバーに譲ってあげて」

 

「待って!!

 

アイツは私と仲間の男の子が捕まえないといけない相手なんです!!

 

だから私に捕まえさせてください!!」

 

「その件なら大丈夫だよ」

 

「えっ?」

 

 

 

 

 

 

 

(どうする!どうする!どうする!!

 

このままでは自由に行動出来ない!!!アレを制作する事が難しくなる!!!

 

いやその前に、あのデブ親父の事だ私を屋敷から追い出すはず!!

 

そうなったら計画が……し……仕方ない……こうなったらやむを得ない……彼に私の代わりを……屈辱だが頭でも下げて頼むしかない!!!

 

とにかく今はこの場から逃げ)

 

ガシッ

 

 

「ハッ!?

 

な!何だお前!?」

 

「銀髪盗賊団だよ」

 

パスチャーの背後に回り彼を羽交い締めにするサトシ

 

「こそ泥ごときが私に触れるな!!

 

テツノコウベ!! ラスターカノン!」

 

サザンドラに指示を出すが

 

 

『ラティア! ラティア! ラティア! ラティア! ラティア!』

 

『ガァァ? ガァァ? ガァァ?

 

ガァァ!!』

 

 

『ティアラ♪ティアラ♪ティアラ♪ティアラ♪ティアラ♪ティアラ♪』

 

 

『ガァァァァア!!!!!』

 

<かげぶんしん>する6体分のティアラに翻弄されており、パスチャーの指示が聞こえずティアラに向けて<ラスターカノン>を放つも交わされ、更には笑われてしまい完全に冷静さを失っていた

 

「何してる!! さっさとこの小娘に攻撃しろ!!!」

 

「お前……良くもオーティスやアイリスに酷い事したな」

 

サトシの表情は明らかに怒っており、淡々と話す声から怒気が混じる

 

「オーティス?だ…誰だソレは!?

 

それに義賊が王女を何故呼び捨てに!?」

 

「んな事は……どうでも良いんだよ!!

 

クリエイトウォーター!!!」

 

「アボボボボ!!!」

 

羽交い締めにされるパスチャーの口に、額に青筋を浮かばせ仮面越しでも分かる程に苛立つカズマがクリエイトウォーターの水流を大量に流し込み

 

「フリーズ!!!」

 

「アボォォ!!」

 

流す水流全てをフリーズで凍らせ、パスチャーの口や舌に喉までも凍らせ

 

 

『ナンマァァァ!!!!』

 

「オエェェェ!!!!」

 

ナマケロのコート越しの<じごくづき>が腹に炸裂し、凍った喉から情けない声と汚物を吐き出し

 

「止めは!!!」

 

 

『ピィカァァアチュ!!!』

 

「アビラビラビラ!!!!!」

 

サトシに背中を蹴られ床に這いつくばり、止めのピカチュウの10まんボルトが全身に飛来し黒焦げになる

 

 

 

 

 

 

「うわぁ………」

 

騎士や兵達に冒険者達のパスチャーに対する怒りの感情は今、哀れな者を見る感情へと変わった

 

 

 

「相当怒ってたんだね皆」

 

『エッタァ』

 

「さてと」

 

クリスがピクピクと体を揺らし倒れるパスチャーの顔を持ち上げ耳元に近付く

 

 

「君はあたし達に付いて来て貰うよ、キチンと罪を償うべき場所に連れて行ってあげるからね」

 

「アガ……ガガ……」

 

「助手君、相棒

 

どっちでも良いから王女様のネックレスを頼むよ」

 

「オッケー」

 

『任せるロト』

 

「お頭、あのサザンドラは……あっ……もう終わりそうだね」

 

 

『ガァァ!? ガァァ!? ガァァ!?』

 

『ティアラティ♪ ティアラティ♪ ティアラティ♪ ティアラティ♪ ティアラティ♪ ティアラティ♪』

 

ティアラ達に周りを高速で回られ、追い掛けていく内にサザンドラの3つの首は目を回し地に倒れていた

 

「あの子はダクネス達に任せようか、さあ行くよ……あたし達も侵入者だから早く逃げないとワイヤーを破壊した皆に捕まっちゃうよ」

 

パスチャーをメロエッタと共に運ぼうと彼に手を伸ばす

 

 

 

 

ガシッ

 

そんなクリスの手を誰かが掴む

 

 

「ん? 誰?」

 

自分の手を掴む人物を見上げると、少し筋肉質な事以外には特徴的な部分が無く衣服からも只の冒険者らしい男性であった

 

ただ目の光が宿っていない漆黒の瞳や、明らかに衣服に釣り合わない立派な黒剣を腰に当て、クリスを掴む手とは反対側に3つの窪みがあり黒と黄金の配色をした立派な丸い形の盾が握られていた

 

 

「誰だお前、ウチのお頭こんなスレンダーボディだが立派な女の子だぞ何時まで手握ってんだ」

 

「ボディの前の単語は言わなくていい!!

 

もしかして彼の仲間? だったら詳しい事情をうわぁぁあ!!!」

 

『メロエッ!?』

 

男は無表情のままクリスを投げ飛ばす

 

「お頭!? 何しやがんだガハッ!?」

 

続いてカズマを蹴り飛ばし

 

「2人に何するんだ!!」

 

『ピカァ!!』

『ナンマァ!!』

『エッタァ!!』

 

取り押さえようとサトシとポケモン達が向かうが

 

 

「ああぁ!!! 痛っぁ!?」

 

男が持っている盾を前にすると、何故かサトシやポケモン達の体に盾が当たる前に全員が吹き飛び痛みを訴える

 

 

そんなサトシ達の様子に男は表情も変えず無言のままパスチャーの腰にあるタイマーボールを取り目を回すサザンドラに向け

 

『ティアラティ!?』

 

その中にサザンドラを入れる

 

「あっ!? 待ちなさい!!」

『マフォク!!』

 

そしてセレナやマフォクシーの制止も聞かず男はパスチャーを抱え

 

「こんのぉ!! 良し壊せた!!」

 

ミツルギがクリスのワイヤーを破壊したと同時にパスチャーを抱えた男は彼が壊した壁から外に向かう

 

 

「逃がすか!!」

 

「待てぇ!!」

 

騎士達が後を追おうとしたが、男はパスチャーを抱えたままだというのに王宮の塀や壁をジャンプして渡って行き逃走に成功する

 

 

「くそっ!!逃げられた!!」

 

『ティアラティ!!』

 

 

「あっ!モンスター……じゃなくて…ティアラ……様?」

 

『ティア!!』

 

ティアラが後を追おうと壁に集まる兵達に退いて欲しいと訴える

 

それを

 

 

「待て」

 

『ティアティ?』

 

クレアが止める

 

「深追いは辞めておけ、あの男の他にも仲間が居るかもしれないんだ1人で行くんじゃない」

 

『ティアラ……』

 

 

「あのクレアさん、確かソイツですよね先月王都で暴れたってモンスターの1匹は

 

話で聞いていた特徴と一致してる」

 

「だったら早く何とかしないと大変ですわ!!」

 

『ティア!?』

 

「確かに、我々がそうお前達冒険者に伝達したな……」

 

「なら早く!!」

 

「きっと今だってあの男達の後を追う振りして逃げようとしたんだわ、いくら可愛い見た目してるからってモンスターは凶悪な生き物だもの」

 

「さっきのアイリス様をお救いになった彼女の行動を見ても、そう考えるのか?」

 

「えっ? そ……それは……」

 

「実を言うと、私やクレア様も赤い翼と3つ首のドラゴンの様なモンスターが暴れている姿は今も覚えていますが……残りの2体……ティアラちゃんや青色のモンスターが暴れていた記憶が無いんです……何故だが無性に敵意が沸いてしまって全員を凶暴なモンスターとして伝えてしまい」

 

「仕方ないの……うぅ…レインもクレアも王宮の人達も…いかりのこな……幻覚の魔法を受けていたんだから」

 

レインに抱えられ、パスチャーに蹴られた頭や両腕の痛みをアイリスは我慢しながら説明する

 

 

「幻覚の……それでですか」

 

「……ティアラ」

 

『ティア?』

 

「どういう理由があったかは明日アイリス様から聞く、今日はもう遅い

 

アイリス様に治療を施したら別室で今日も一緒に寝てあげてくれ」

 

『ティアラ……ティア……ティオティア?』

 

「ん? あの青色のモンスターがどうした?」

 

「彼は……ティアラの…うぅ……お兄様なの」

 

「ティアラちゃんの!?」

 

「確かに見た目がソックリですね、レイン!アイリス様の治療と彼の治療の為に至急アークプリーストを呼べ」

 

「分かりました!!

 

 

 

ダスティネス様! 申し訳ありませんがアクア殿のお力を貸して欲しいのですが

 

 

というかダスティネス様も早く治療なされた方が良いですよ!!」

 

「そ……そうですね……

 

 

(ハァ…ハァ……今日の私……真っ先にヤられてずっと寝転んでいたなんて……ハァ…ハァ……何と惨めなんだ!!!)」

 

 

「本当に大丈夫なのですか!?

 

顔がどんどん真っ赤になってますよ!!!」

 

 

「あぁ大丈夫です……彼女の癖ですから

 

(正確にはクセじゃなくてヘキだけど)」

『マフォマフォ』

 

「癖?」

 

 

 

「アクア起きてください!!! 呼ばれてますよ!!」

 

「はらひれ~はらほれ~」

『アシマリマぁぁぁ!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お頭……」

 

「何?」

 

「俺ら完全に皆から忘れられてますね」

 

「良いよソッチの方が、ティアラがオーティスやアイリスや俺達以外にも味方が出来たんだし」

『ピィカァ』

 

「…………だな」

 

「本当君たちあの子達に甘いね……でも確かに有り難いよ、今なら」

 

『エッタ』

 

クリスがアイリスに向けて手を向ける

 

 

「おっと!」

 

(ンゲッ!? この爽やかなムカつく声は!!)

 

「パスチャーって男には逃げられたけど、君たち義賊は逃がしはしないよ」

 

 

(出たよ春風男……)

 

「君達の仲間も既に捕まえている、一緒に来て貰うよ」

 

 

「仲間?

 

 

 

あぁお前ら!!」

 

ふとミツルギの後ろを見ると、ロープで両腕を縛られ彼に連れられているロケット団と目が会う

 

 

「いやぁ~お前らも捕まっちまったか」

 

「いや俺らはまだ捕まってねえから、というかどうしたアンタの相棒の姉ちゃん

 

何かずっと春風男の方をボーと見てるぞ」

 

「春風男?

 

あぁ……このすかしたアンちゃんか、見て分かるだろ

 

ホの字だよホの字」

 

「マジか………」

 

 

 

『ピ~カカカ♪』

 

『捕まったニャアを見て笑ってる所悪いニャが、オミャーもニャアと同じ前科者にニャるのニャ』

 

『ピッ………ピカピ!!!ピィカァチュ!!』

 

「俺……アタシだって嫌だよ!!!捕まったらバレるじゃんか!!!!」

 

 

「とにかく全員先ずはクレアさん辺りに取り調べを」

 

 

「なんだぁ!?」

 

「おいおい誰だよ魔法使ってるのは?」

 

 

「ん?」

 

 

何やら周りが騒がしくなりミツルギが騒ぎの方を見ると

 

 

「何だこれ!? あぁ!?僕の魔剣グラム!!!」

 

騎士や冒険者達、そしてミツルギの魔剣グラムといった武器達が宙に飛んでグルグルと回っている不思議な光景が広がる

 

 

 

「何だろいったい……」

 

【私だ】

 

「えっ……」

 

「オーティス……」

 

横たわりながら此方を見ているオーティスの声がサトシ達、そして

 

 

『オミャー……体は大丈夫ニャか?』

 

【平気だ……周りの奴らの武器を操作しているのがその証拠だ、それよりも今の内に……ネックレスを奪い……早く逃げろ】

 

 

「わかったぜ……あんがとな

 

 

お頭」

 

 

「うん! 窃盗!!!」

 

 

「エエッ!? あっ!ネックレスが!!」

 

「しまった!? こうなったらグラムがなくても!!」

 

「プリーズ!!」

 

「ヒデブ!!!」

 

足元を凍らされ見事にズッコケル春風男ことミツルギ

 

「よーし野郎共!! 引き上げるよ!」

 

「「はいお頭!!!」」

 

『ピッカカ!』

『メロエッ!!』

 

 

「あらあら……ズッコケ方も中々絵になるわね、素敵よミツルギ様ぁぁ!」

「はいはい後でな、今は逃げるぞ」

『そんじゃあ』

 

「「『帰る!!!』」」

 

 

 

【ありがとう………お前達……】

 

 

 

全員でパスチャーが開けた壁の方に向かう

 

 

 

 

 

 

「アンタ達!!!」

 

 

「ンゲッ!?」

 

いつの間にか起きたアクアが立ちはだかる

 

 

 

「良くもさっきは女神のアタシの神聖な腹を蹴ってくれたわね!!!!」

 

 

「あのアクア様!!義賊の前にアイリス様とティアラちゃんのお兄さんの回復を」

 

 

「そんなの後よ!!!覚悟しなさい!!」

 

 

(まずいです……先輩凄く怒ってます!!!)

 

(まずいぞ……バカだがコイツはれっきとした女神だ……何時も使って欲しい時には使わない女神のパワーとか使って来たら……流石に勝ち目なくないか!!!)

 

 

「あぁん!! ちょっとアタシら早く脱出したいのよ、そこ退きなさいよねアタオカ……じゃなくてエセ女神!!」

 

「「ちょっ!?」」

 

 

「エセ……だったらアタシの女神って所を見せてあげるわよ」

 

 

「皆こっち!!!」

『メッロ!! エッタエッタ!!!』

 

「行くぞサトコ!! 相棒!!」

 

「う……うん!!」

『ナマァ!!』

 

 

 

「えっ? 何よ反対方向じゃない!!」

 

「いや……何かヤバそうな気配がする……一緒に逃げるぞ!!」

 

『ニャアも大賛成ニャ!!』

 

「ちょっと!! 待ちなさいよ!!」

 

 

急いでアクアから逃げる為にテラスに面した窓に走って行く一同

 

 

「アンタ達の狙いはそのネックレスね!!!

 

それが何なのか分からないけど、女神の力でアンタ達が2度と使えないようにしてあげるわ

 

 

封印!!!」

 

 

パリン!!!

 

アクアが叫ぶと同じタイミングで銀髪盗賊団とロケット団は窓を突き破る

 

 

「ここまで来たら、ンソゲキィで適当な壁にロープをブチ当てて下に逃げるだけだ!!」

 

「頼むよカズマ!!じゃないと捕まったら俺…俺……」

 

「分かった分かった恥をかかせない為にも、兄ちゃんに任せな」

 

『ピカカ!!! ピィカァチュ!!』

 

「痛っえ!! 何怒ってんだ!!」

 

『サトシに女装させたのカズマのせいでしょだってニャ』

 

「あぁ……そうだったな」

 

「ちょっとは緊張感残っててよ、まあもう脱出した様なもんだけどさ油断大敵って言うでしょ」

 

「おいサラシガール「サラシじゃない!!!」それ……フラグだぞ」

 

『あの皆』

 

「どうしたロトム?」

 

 

『確かテラスじゃなかったロト……クレアさんが防犯用の魔道具を仕掛けたのって』

 

 

「「「………………あっ」」」

 

 

バゴォォォン!!!!

 

 

「あら? 何の音………ひいぃぃぃ!!!」

 

「何だコレェェ!!」

『ピィカァァ!!!』

 

『巨大な火の玉ニャアァァ!!!』

 

「いや……アレは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メラゾー○だぁぁぁ!!!」

 

 

爆撃音と共に約7メートルの巨大な火の玉が銀髪盗賊団とロケット団に発射される

 

 

「早く早く早く早く!!狙撃狙撃狙撃!!」

『ナマナマナマ!!!』

 

「焦らせんな!!!!」

 

「こうなったら……ピカチュウ!!」

 

『ピッカァ!!』

 

「皆! 爆発すると思うから準備して!!」

 

「準備って何すれば良いのよジャリボーイ!?」

 

「とにかく何とかして!!

 

 

最大パワーの……10まんボルト!!!」

 

『ピィカァァァチュウ!!!!』

 

 

ピカチュウの最大パワーから放たれる<10まんボルト>とメラゾー○みたいな火の玉がぶつかり合い

 

 

どがぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!

 

 

鼓膜が破れそうな程の大爆発音と共に

 

 

「「「わあぁぁぁ!!!」」」

 

『ピカァァァ!!!』

『メンロォォ!!!』

『ナンマァァァ!!!』

『この勢いで壁にぶつかったら……アチシ壊れるロトォォ!!!』

 

銀髪盗賊団は城下町の方に

 

 

そして

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱフラグ立ってたか……」

 

『何時ものパターンニャ

 

やな感じ』

 

「えぇでもミツルギ様に会えたんだし、やな感じって気分じゃないわね」

 

「はぁ……またメンドクサイ事になりそうだ……」

 

『はい2対1で此方の勝ちニャ

 

 

それでは改めて』

 

 

「「『やな感じぃぃ~!!!』」」

 

『ソォォナンスゥ!!!』

 

「あらソーナンス、あんたやっと出てきたわね」

 

『ソォォォォナンスゥ!!!!』

 

 

お馴染みの台詞と共に空へと飛んでいくロケット団であった

 

 

 

 

 

 

 

「……………フフ」

 

そんな銀髪盗賊とロケット団の姿を城門から見ていたとある男性が小さく微笑み、月の光で照らされない夜の闇へと消えていく。




長かったですが1章遂に次回で終わります

果たしてこの作品完結出来るかな……頑張って書ききりたいですけどね
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