「お嬢様、今日もいらっしゃいましたが、いかが致しましょうか?」
「何度も言っているだろ……私はお前達と会う気はないと伝えろ」
「……………」
「早く言って来てくれハーゲン」
「………かしこまりました」
ダクネスのパーティーを辞めるという内容が書かれた置き手紙をリオルが見つけて3日が経過し、その間カズマ達はといえば
「こらぁぁぁダクネス!!!今日こそツラ出せぇぇ!!!」
「こんな紙切れだけで退職なんかさせないわよぉぉ!!!出てきなさい!!!」
「直接会って話をしようよぉぉ!!!ダクネス!!!」
ダクネスに直接話を聞く為にダスティネス家までやって来たものの、お嬢様は会いたくないと執事長のハーゲンや警備員達から言われ肝心のダクネスとは会話するどころか顔を見る事すらなく3日が過ぎてしまう
そして今日も門前でダクネスを呼びつけるカズマ達だったが
「申し訳ございませんが、昨日も言った通りお嬢様は皆様に会いたくないと」
「分かりました、ではダクネスにこう伝えてください
出て来ないなら屋敷をブッ壊すと!!」
「なぁぁ!?困ります!!ソレだけはご勘弁を!!」
「すみません冗談ですからお気になさらず!!!「冗談ではありません!!」ちょっとめぐみん!!!」
『アシマ! アシィマ』
リオルの背中をイブがつつく
『リィ…………リーマァリ……リマリィ………リマリマ……』
「うぅ……お……お止めくださいリオル様……その様な悲しげな瞳を向けないでください!!!」
『アシマ、アシマァリ』
『リィ……リオリィオ……リオリオ』
「くぅぅ………」
『効いてるロト、イブの考えた悲しげな目で情に訴えよう作戦上手く行きそうロト』
「よ~し止めよ!!
アクシズ教心得、可愛い子に骨抜きにされる事は決して恥じゃない
例えそれがロリショタケモであっても悪魔っ子でなければ、どんと胸を張って生きるべし!!!」
「うぉぉぉ!!!!!!
だ………だ………ダメなのですぅぅぅ!!!!!お嬢様のご命令が最優先なのです!!!!」
バタン!!!
何とか誘惑に耐えた執事長ハーゲンによって正門が閉められてしまう
「お前が余計な事したから閉められたじゃねえか!!!」
「余計な事なんかしてないわよ!!!ちゃんとアタシの後押しも効いてたわ、あのお爺ちゃんが頑固なだけよ!!!!」
「今日もダメだったか……」
「やはり屋敷を爆発させて炙り出すしか」
「辞めなさい!!!
ダクネス!! また明日来るから、明日こそ会って話しましょう!!!」
『フォクシィィ!!! マフォ!!!』
『…………リオリオ』
今日はセレナが捨て台詞を残し皆が自宅へと帰って行く
それを
「…………皆」
ダクネスがカーテンの隙間から帰る皆の背を眺めていた
こうして次の日、そして次の日もダスティネス家にやって来ては追い返される生活が6日目の朝
「留守番任せたぜナマケロ」
『……………ナマ』
「そんじゃ今日こそ新しい前衛職をスカウトして来る、俺1人で行くからお前らは自由行動で」
「私も行きます!!」
「私も!!」
『バケチャバ!』
『フォクシィ!』
「頼むからお前らもう来るな、どうせ邪魔すんだろうが」
「やぁね邪魔だなんて、私達はありのままの事を新メンバー候補に説明してるだけなんだから」
「あんなに嫌がってたのに、自分から爆裂怪力ママや頭のおかしい爆裂娘ってギルド内で高々に宣言しやがってよ
小遣いやるから留守番してろ、それかアクアとサトシと一緒にダスティネス家の屋敷に行け」
「嫌です、メンバーである私達にも新メンバーを選ぶ権利がありますので同行します」
『バケチャバ!!』
「そもそもダクネスは留守番してるだけなんだから、新しいメンバーを入れる必要性なんてないもの」
「あのなぁ……パーティーバランスを考えろよ、ステータスだけならサトシにダクネスの代わりに前衛職を頼めるがアイツはダクネスと違って魔法や状態異常の耐性がないんだ
コレからもクエストやらポケモン集めやらヒステリック野郎と争うなら優秀な前衛職を雇うべきだ、もしダクネスが帰って来ても2人居るなら万々歳だろうが
ホレ! 分かったんなら留守番か屋敷の方に行け」
「「嫌〈です〉!!!」」
「…………おぉダクネス帰って来たか」
「「えっ!?」」
振り返るがダクネスの姿所か誰一人居なかった
「誰も居ないじゃないですか?」
『フォク!? マフォク!!フォクシ!!
マフォマフォ!!!』
「えっ?
あぁ!? 逃げた!!」
「追いますよ!!」
『バケチャチャ!!!』
めぐみんとセレナ達に続き外出する際は必ずめぐみんの帽子に隠れていたバルスリンも、一目散に逃げるカズマを全力で追い掛ける
『……………なにやってんだが……ふわぁぁ~』
大あくびをしながらナマケロがドアを閉めるが、直ぐに開かれる事に
「ただいま……」
『ピカピカ……』
「まさか新作の水芸を披露しても出て来ないなんて……悔しいわね」
『アゥアゥ……』
『あれ? ナマケロだけロトか?』
「もしかして今日も新メンバーを探しに行ったのか?」
『ナマァ』
「カズマさんったら本当懲りないわね、めぐみんとセレナ達の妨害を掻い潜ってスカウトなんかデキっこないのに」
『…………リオリオ』
「リオル……この後またルカリオと特訓しないか、良い気分転換になるよ」
『……………リオリオ』
サトシからの誘いを無視しリオルは泣きながら自分の部屋に向かった
「リオル………」
『ピカカ………』
段々と元気を無くしていく彼女をただ見守る事しか出来ず悔しがるサトシとピカチュウ
そして
『………………ナマ』
寝転がっていた体を起こし何処かに向かうナマケロであった。
『ダクネス………何で会ってくれないの……僕なにか悪い事した……したんなら……謝るから……………会いたいよ………ダクネス…………うぅ……うぅ』
コンコン
『ん?』
ベッドで布団を被り泣いていると、室内の窓を叩く音が聞こえ布団を捲り窓の方を見る
『おいリオル、開けろ』
『ナマケロ?
な……なんのよう?』
涙を拭い布団から出ると直ぐに窓を開ける
『暇だしちょっと散歩しようぜ』
『………ゴメン、ボク今そんな気分じゃ』
『良いから付き合え!』
『わわっ!?』
リオルの腕を引っ張り、そのまま木に飛び移り屋敷の外に向かう
<アクセルの町周辺>
『引くぐらい何もなかったな、ポケモンどころかモンスターにすら会えないとはよ』
『……………うん』
『まあどうせ暇だし、たまにはこうやって目的もなくブラブラ出歩くってのも悪くねぇか』
『……………暇じゃ……ないよ』
『そうだったのか?
部屋の中で布団被ってたから、俺はてっきり暇だと思ったんだがな』
『暇じゃない!!!
コレからどうすれば良いかの方法を探してるんだ、暇なんかじゃないよ!!』
『方法を探してる……ねぇ
なあリオル、今のお前に相応しい話があるんだ
聞いてけ』
『話?』
『俺の仲間のナマケロから聞いた話だ
ソイツは故郷のアローラじゃ有名なヤンチャ者だったらしい、ナマケロだってのにヤル気に道溢れ血の気が盛んで毎日ケンカに明け暮れてみたいだぜ』
『……その話が一体何なの?』
『話は最後まで聞け
当然ソイツは仲間のナマケロ達からハブられ、唯一仲良くなったケンカ仲間のキテルグマも子供を産んで育てるから会わなくなりソイツは遂に1人になっちまったらしい
もうこんなツマンナイ所に居る気がなくなったらしくてな、ソイツは飛行機の積み荷の中に隠れてホウエンに来たらしいが、そこでも他のポケモンや何ならトレーナー相手にも攻撃しまくって暴れまくってたらしいぜ』
『凄い暴れんぼうだね』
『だがそんな暴れ者にも遂に年貢の納め時が来ちまった、ムチャクチャ強いポケモントレーナーにケンカ売っちまってソイツのポケモンにボコボコにされたんだってよ
しかもそのトレーナーはナマケロをゲットする事もなければ、瀕死になってるのにひたすら攻撃して甚振って来たらしい』
『えぇ……酷いよ、そのナマケロが可哀想』
『まぁナマケロが先にトレーナーにケンカ売ったんだ同情なんかする必要ねえよ、だが……トレーナーとナマケロが争ってる場所の近くにある家から、この子は僕のポケモンです苛めないでって慌てて飛び出し助けに来てくれた人間のガキが現れて
トレーナーが先にナマケロから攻撃して来たと聞かされたら頭下げて謝罪したみたいだぜ』
『優しい人間だね』
『あぁ間違いねえな…………ソイツは生まれつき病気で体が悪いってのに、無理して家から飛び出して野生のナマケロを庇って頭下げるだなんて優しい人間だな
話を戻すぞ、ナマケロはその人間から簡単な治療を受けた時に
ソイツが話してくれた
病気のせいで親からトレーナーになる事を禁じられポケモンと関わる事も止められて辛そうにしているのに同情したのか、ソイツの優しい所が気に入ったのかは分からねえが、やたらとソイツの家に遊びに行ったらしい
助けてくれた礼と見舞いを兼ねて花やら木の実を拾って渡しに行ってたそうだ、ソイツの誕生日には将来病気が治ったらトレーナーになれる様に拾い物だから傷が付いてるモンスターボールを渡したりな……勿論ソイツの両親に見付からないように
ソイツもナマケロに対して初めて友達が出来たと喜んでいたらしい……どうだ?中々良い関係だろ?』
『うん♪ ポケモンとトレーナーの理想的な関係だと思うよ』
『だが………そんな生活をしていたある日、ナマケロが家に行ったらソイツも両親も居なかった
どうしたんだと近所の人間達の話を立ち聞きしたら、その人間が病院に運ばれたらしい』
『えっ………まさか病気で?』
『いいや、ソイツは家族に内緒で1人で近所の森に行った所を野生のポケモンに遭遇して襲われそうだ』
『1人で!?
何でそんな危ない事を!?病気なんだよねその子?』
『ナマケロが意識を取り戻したソイツに会いに行った時に話してくれたそうだ
何時も贈り物をくれる君にお返しをしたくてお礼の品物を探しに行ったってよ
何とかゲットした綺麗な石をナマケロに渡しながら、僕のポケモンになって欲しいってな』
『じゃあそのナマケロ、その子のポケモンになったんだね
無茶する子みたいだけど、それだけナマケロの事を思ってくれる優しいトレーナーだし』
『いいや、なってねえよ』
『えっ!?
だってナマケロの方もその子の事が気になってたんでしょ、だったら手持ちになるんじゃ』
『ナマケロは自分のせいでソイツが無理やって怪我させてしまったって責任を感じて、何も言わず病室から飛び出したらしい』
『そんな……責任なんて感じる事』
『そうだよな、俺もこの話を聞いた時は責任なんか感じる事なんかねえよって思ったよ
だが……そん時のナマケロには、目の前に居る呼吸器を付けて野生のポケモンに攻撃され頬に痛々しい傷が出来ている姿やソイツの両親が心配そうに看病している姿を見ちまって
俺が余計な事をしなければコイツはこんな事にって自己嫌悪に陥ったようだ……バカだよな、本当に責任を感じてんならソイツがくれた石を返せば良いのに持って帰ってんだ……本当はソイツのポケモンになりたいのに未練たらしいったらありゃしねぇな
ソイツに会わなくなってから2週間が経った時に、やっと落ち着いたナマケロの奴が御礼に貰った石を受けとった以上お前のポケモンになるって返事を返す為に病院に行ったみたいだ』
『でも手持ちになってないって事は……まさかその子』
『死んじゃいねえよ、病院の側に暮らしてるキャモメに聞いたらもっと良い病院に移ったらしい
だが同じホウエンの病院なのか、それとも別の地方かは分からねえ……ロトムみたいな奴じゃない限り俺らポケモンは関わりの薄い人間と話すのは無理だからな
ソレでそのナマケロの奴、今度はあの時にちゃんと返事を返していたら今頃はって後悔しまくってよ
そのせいで何もかもヤル気を失くしちまって、今じゃ俺みたいに立派な怠け者のナマケロになったんだぜ……自己嫌悪に陥た切っ掛けも後悔する選択肢を選んだのも全部自分が原因だってのにバカな奴だな』
『…………そんな言い方辞めてあげなよ、可哀想だよ……そのナマケロ』
『おいおいリオル、今はこの場に居ないソイツより自分の事を心配しな』
『ボクの?』
『聞いてて分からねえか、故郷から離れた土地で心許せる存在に会えたがソイツと離れ離れになってしまう……今のお前は話の主役のナマケロと同じ立場だ』
『…………あっ』
『まあ違うとすればナマケロは心許した人間の居場所が分からなくなっちまったが、お前は違う
ソイツが何処に居るか知っているだろ?
このまま何もしないでウジウジして無駄に時間過ごしてちゃ、ナマケロみたいに後悔する事になっちまうぜ』
『何もしないでって……先も言ったけどボクはコレからどうすれば良いかちゃんと考えて』
『じゃあもうとっくに思い付いたんじゃないのか、ダクネスに会いに行っても屋敷の奴らが追い払って来るわ肝心のダクネスは顔すら見せないなら……屋敷に侵入して会いに行くって方法をよ
真っ先に考え付くだろ』
『うっ…………でも……勝手にお家に侵入だなんて……そんな事』
『バカかお前、お前はダクネスのポケモンだろうが
だったらアソコはお前にとっても家だ、自分の家に帰るのが何か問題なのか?
ソレともサトシの所に行けって手紙に書いてたから、もうダクネスとは縁を切ったか?
ならスマネェな今のは忘れてくれ』
『切るわけない!!
ボクは……ボクはダクネスのポケモンだ!!!』
『だったらウジウジしてねえでお前が今やりたいを事やって来い』
『やりたい……事』
『直接会って訳を聞きたいだんろ?
手紙1枚でパートナー交換だなんて嫌に決まってる、だから今すぐダクネスの元に行って直接本人から訳を聞きたいんだろ
例え……ダクネスが自分の意思で本当に自分を捨てたかったのが事実だったとしても、手紙じゃなくアイツの口から聞きてよな』
『……………うん………ダクネスに……直接……話しをしたい』
『なら方法は1つしかねえ』
『………分かった、今夜辺り屋敷に侵入してみる』
『ちょっと待て、まさか1人で行くのか』
『もしかしてナマケロも付いて来てくれるの?』
『俺と言うより俺らだな、ダクネスが何で辞めたかの理由を知りたいのはお前だけじゃねえんだからな
カズマ達に話せば手伝ってくれるだろ、まあ俺はどうでも良いがアイツが辞めた理由ってのとお前を手放した理由が気になるからな手伝ってやるよ』
『ありがとう♪
じゃあロトムに通訳して貰ってカズマや皆と相談しないとね!』
『………フッ、やっと何時ものお前に戻ったな
お前はバカみたいに明るく振る舞ってるのがお似合いだ』
『そうだよね! ありがとうナマケロ♪』
ニコリと笑みを浮かばせ屋敷に猛ダッシュで戻るリオルの背を見ながら
『皮肉で言ったのに素直に受けとんなよ………たく』
呆れるナマケロ
すると彼はリオルの向かった場所とは反対側を向き、木からハミ出ている黄色の尻尾を睨む
『………で、お前は何時から聞いてやがった?』
『ははは……気付かれてたか、リオルは大丈夫かなって気になって部屋に行ったら君に連れられて外に向かったのが見えて追い掛けたんだ
優しいねナマケロ♪』
『発破なんか掛けてねえよ、ああいう明るい奴が何時までもウジウジしてんの見るのは気分的に萎えちまうから煽っただけだ』
『そういう事にしとくよ
所でさ』
『あん?』
『さっき話してたナマケロは今は何をやってるの』
『…………知るか、俺は今別世界に居るんだ
何やってるかなんて知るわけが』
『じゃあ予想を聞かせてよ、話を聞いてて気になっちゃたんだよね僕♪』
『………ピカチュウ……お前演技下手くそだな』
『コレでも気を使ってるつもりなんだよ』
『…………ノーコメントだ、お前のご想像に任せるよ
まぁ……少なくとも退屈とは思ってはないと思うぜ』
『そっか、良かったよ♪』
『ふん……』
「あぁ? お前ら何でこんな所に?」
『ピッ?』
『ナッ?』
いきなり呼び掛けられ振り向くと其所には走ったからか汗だくになり肩で息をするカズマが
「何やってたかは知らないか屋敷に帰るぞ、全員に大事な話があるんだ」
『ナマァ?』
『ピカァ?』
突然のカズマの頼みに困惑するが、分かったと頷き猛ダッシュで屋敷に向かう彼の後を追う
<カズマの屋敷>
屋敷にナマケロとピカチュウが付くと、何故か一緒に新メンバーを探しに出掛けたセレナとめぐみんが先に屋敷に戻っており
慌てて帰って来たカズマに、あの後何か会ったのと2人が質問を、そしてナマケロに話した通りロトムに通訳を頼み話をしようとするリオルだったが
「リーンから聞いたんだが、ダクネスが領主の野郎と結婚するらしい」
この爆弾発言に質問や話をしようとした皆が一斉に固まる
「領主って確か……王都で俺達が泊まった屋敷のアルダープって人だよね?」
「あぁ、確かにアイツの異性の好みは変……というか悪趣味だそれは間違いねえ
だが問題はダクネスの親父さんだ、あんだけ親バカのあの人が溺愛する娘とあんなタヌキ親父との結婚を認めるか普通?」
「あんまり言いたくないけど………普通は………断ると思うわ」
『フォクフォク』
「つまり只の寿退社では無い……と言いたいのですねカズマは」
「あぁ……ってな訳で今夜ダクネスの屋敷に侵入して、どういう訳かを直接ダクネスに聞きに行く事にした」
「あら珍しいわね、カズマったら普段はそういう犯罪行為何かやりたがらないのに」
「あ……あの領主に俺は散々な目に遇わされただろ!!
だからこの件にアイツが関わってんなら俺には知る権利と邪魔する権利があるだろうが!!!
べべ…別にダクネスの事が心配じゃねえからな!!」
「………はは♪」
「ふふ……そうね♪」
「うん♪」
明らかにダクネスの事を心配しているのが明白で、思わず笑ってしまう皆であった
そう
「うわぁ……カズマさんったらそんなベタベタなツンデレの決まり文句やるなんて
言っとくけどアタシ、ツンデレは16歳以下で金髪ツインテールしか認めてないから」
「うるせぇんだよ!!掘り下げてくんじゃねえ!!!
つうかツンデレじゃねえし!!!!」
某水の女神は除く
「とにかく今から今夜ダクネスの屋敷に侵入する作戦会議を初める」
こうしてダクネスの屋敷侵入作戦の会議が開かれ、どんどんと日が沈んで行き時刻は深夜の1時となり
<ダスティネス家の側>
「よしヨルノズク、ピジョット止まってくれ」
『ホゥホゥ』
『ピジョ』
ダスティネス家の上空に差し掛かると、サトシ達を乗せた<とりポケモン>ピジョットと色ちがいの<ふくろうポケモン>ヨルノズクはピタリと止まる
作戦会議の結果、潜伏や暗視といった潜入向きのスキルを持つカズマと、なるべく警備の人間を傷つけない為に眠らせる事が出来るナマケロ
そして
「俺はこの家には2回しか来た事ねえからアイツの部屋の場所や其所に行くまでのルートも分からねえ、案内は頼むぜリオル」
『リオリィ!!』
元々今夜ダクネスの屋敷に侵入しようと話そうとしていたリオルも侵入メンバーとして名乗りを上げ、カズマの肩に乗り返事を返す
「じゃあアクア、俺らに支援魔法を頼む」
「任せて
パワード スピードゲイン ヴァーサタイル・エンターテイナー」
「最後の呪文なんだ?
初めて聞いたぞ」
「芸達者になる魔法よ♪
痛い痛い! 頬っぺたを引っ張らないで!!」
『アシィィ!!』
「皆騒がないで」
「カズマ、何かあったらセレナの図鑑からロトムに通信をお願いしますね
皆で助けに行きますので」
「あぁ分かってるよ絶対助けに来いよ、ナマケロとリオルと違って俺は弱いんだからな」
「其所はカッコ良く決めてくださいよ……」
ヨルノズクからピジョットの方にめぐみんとアクアが乗り換え、カズマとナマケロとリオルを乗せたヨルノズクはダスティネス家の屋上に向かう
当然警備の人間はヨルノズクの姿を目撃していたが
「変わった色の梟だな」
時間も相まってか梟のヨルノズクが接近しても警戒される事はなく
「あんがとなヨルノズク」
『ホゥホゥ』
屋上にカズマ達を下ろすとヨルノズクはピジョットの元に向かう
「流石に王都よりかは警備が少ないな」
『ナマナマァ、ナンマァ』
「分かってら油断なんかしねえよ、そんじゃダクネスの所に行く」
バタン
「ヒッ
センプク」
屋上のドアが勢い良く開き、慌てて自分だけでなく首や肩に居るナマケロとリオルにも潜伏スキルを発動し壁際に隠れる
「おかしいなぁ……確かに足音がしたんだかな」
「他の奴が言ってたが珍しい色の梟が屋上に向かってたみたいだし、きっとソイツの足音じゃないか?
そんでドアが勢い良く空いた音で逃げたとか」
「うーん……アレはどう聞いても人間の足音だったんだかな」
「でも誰も居ないだろ、ノリスいい加減その小心者な所を直した方が良いぞ
それより早く夜食を食いに行こううぜ」
「あ……あぁ……そうだな」
バタン
「………………………フゥ……危ねぇ」
『ナマァ……』
『リィオ……』
何とかやり過ごし肩の力を抜く
「そんじゃリオル、アイツの部屋までの案内頼むぜ」
『リオッ』
<ダクネスの部屋>
「今日はリオルにサトシとアクア達だけだったか……ふふ、早く他の皆と同じく諦めて欲しいものだな……早く……諦めて……くれ」
コンコン
「…………なんだ?」
「失礼致しますお嬢様」
「その声はノリスか、一体何の用だ?」
「実は例の佐藤和真なる男が、どうしてもお嬢様に面会がしたいと夜分にも関わらず訪ねて来た様でして」
「アイツ………何回も言っているだろ、私はアイツやリオル達には会わないと
さっさと追い払え」
「はぁ……しかしですがお嬢様、佐藤和真という男が取り次ぎが無いならギルドの奴らにララティーナお嬢様の恥ずかしい秘密を暴露すると言っておりますが」
「ふはは……相変わらず鬼畜な男だなアイツは……好きにしろと伝えてくれ、私はもうギルドに行くつもりはないんだ」
少し嬉しそうに微笑みながら吐き捨てる
「しかしお嬢様よろしいのですか?
現在その男が玄関先で家の者に最近お嬢様が腹筋が割れて居るので、食事にたんぱく質を控える様にと話していますが」
「何を言ってるんだアイツは!?
い……いや良い放っておけ」
「あとお嬢様、佐藤和真なる男がララティーナお嬢様がサイズが合わないにも関わらず可愛い服を体に当てて鏡に映る自分の姿を楽しそうに見ているから、そういう系の服も用意してやれと話していますが」
「そそそ……そんなのは只の噂だアイツのでっち上げだ!!」
「あとリオル様を毎晩抱っこして寝ていたので、可愛いぬいぐるみを渡してやれと」
「アイツは虚言癖があるんだ!!!全て嘘だと皆に伝えてさっさと追い払え!!!」
「しかしお嬢様、佐藤和真なる男が更にとんでもない事を話していますが」
「……な……なんだ」
「お嬢様が日夜その熟れた体を持て余し夜な夜な」
「ブッ殺してやるぅぅ!!!」
目に涙を溜め顔が真っ赤になったダクネスが勢い良くドアを開き、玄関先に居るカズマの元に向かおうとした時
「よっ」
『ナッ』
『……リオリオ』
「ファ!?」
ドアの前に立っているノリス……ではなく、手を上げ挨拶してくるカズマとナマケロ、申し訳なさそうにしているリオルと目が合い変な声をあげてしまう
「突入だ!!」
『ナマァァ!!』
『リオォォ』
「ムグググ!!!」
リオルとナマケロは体を、カズマは口を押さえ付け室内にダクネスを押し戻す
「ムググ……ムググッ」
「ははは……どうだダクネス、言っとくがナマケロとリオルだけでなく俺もアクアの支援魔法で力のステータスが上がってんだ抵抗なんか無駄だから………あっ
(ちょっと待て勢いでやっちまったが、深夜に若い女の口を塞ぎながら室内に押し入り、しかもコイツは貴族のお嬢様で結婚を控えてる花嫁……あれ……俺今後ヤバくね?
てかダクネスの吐息が手に当たってるし…………ちょ……エロいって)」
『リオリオ……リオリオ』
「ムググ!?」
(リオル………そ…そうだ!俺はダクネスと再会して泣くぐらい喜んでるリオルの為にこんな事をやってるんだ、決して不純な考え何か抱いてない!!
もしこの事でダクネスに何か言われたらリオルの為だってゴリ押そう、そうと決まれば)
反対の手でドアを閉め鍵をかける
「お前らコイツをベッドに寝かせるぞ」
『リオッ!』
『ナマッ!? ナンマァ……』
素直に頷くリオルと違いナマケロは明らかに動揺していた
「床に押し付ける訳にはいかねえだろうが、コレもリオルの為で不純な考え何か持ってねえから頼むぜ相棒」
『………ナマッ』
ジト目になるも仕方ないなとリオルと共にダクネスをベッドに連れて行き
「ムグッ!?」
そのままベッドに寝かしつける
上半身はリオル、下半身はナマケロが押さえ
口を塞いだ状態でカズマもベッドの上に乗る
『ウグ……グゥ……グゥ』
「大方俺達に成す術もなく取り押さえられて興奮してるだろうが誤解すんなよ、俺らはお前と話をしに来ただけだし一番話したがってるリオルの為にこんな事やってんだからな
だから顔を火照らないでくれ!!どんどん妙な空気になるだろうが!」
『ナママ、ナンマァナ』
「だから違うって言ってんだろ!
良いかダクネス、今からお前の口から手を離すが騒ぐなよ話をしたいんだからな分かったな?」
「ウグ……」
分かったと頷くのを確認し、念のため叫ばれても直ぐに口を塞ぐ体勢を取りつつ手を離す
「カズマ……すまないがお前はベッドから降りてくれ……幾ら私でもこんな体勢で近距離で異性と見つめ合いながら話すのは……流石に」
「お……おうそうだよな……流石にマズイわな、よしほんじゃあ」
カズマがベッドから降りる
「曲者だぁぁ!!!ムグゥゥ!」
「やりやがったなこの女!!」
「今の声はララティーナお嬢様だ!!!」
「お部屋の方から聞こえたぞ!!!」
バタバタ!
『リィオ!? リオリ!リオリオッ!?』
『ナンマァ!』
「ムグゥゥ!!!!」
慌てるリオルにダクネスを押さえ付けるよう頼み、ナマケロは落ち着いてカズマと共にダクネスの口を塞ぐ
『ナママ、ナンマァケ!ナマンナマァ』
「オッケー、後は頼むぜ
ウォホン」
口を塞ぐのをナマケロに託しカズマは立ち上がり咳払いをする
ドンドン!!
「どうなされましたララティーナお嬢様!!
ララティーナお嬢様!!!
すみません!! 入らせていただきます!!!」
「開けるな!!」
「ムグッ!?」
カズマの口から自分の声が聞こえ目が丸になる
「ちょっと激しい遊びをしていたら感極まって叫んでしまった!!」
「はぁ…?
こんな時間に遊びですか」
「こんな時間にやる遊びなど決まっているだろうが察しろ、しかもちょっと人に見せられない格好でやっているんだ分かるだろ」
「ムグゥゥゥ!?」
「えぇ!?」
「お……お……大人の遊び……」
「なんだその反応は、まさか淫らになった私の姿を見たいというか、とんだ変態ぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」
「ムグゥゥゥ!!!!」
『ナマッ!?』
『リオリオ、リィオリィィ』
ナマケロとリオルを押し返す勢いで立ち上がりカズマの右手を泣きながら凄まじい形相で握り潰す
「お嬢様!!! どうなさいました!?」
「なななな何でもない!!遊びに必要なオモチャを付けっぱなしだったのを忘れてえぇぇぇ!!!いやぁぁぁぁ!!ララティーナのララティーナがおかしくなっちゃうぅぅぅ!!!!」
「し!! 失礼しました!!!!!」
バタバタとドアの前に集まっていた警備の人間達が離れて行き、いまだに涙目で右手を握り潰す彼女にカズマはニヤリと笑ってみせる
「ムグッ……ムグググ……ムグッムグッ」
観念したのか力を抜きダクネスは両手を上げ、口を塞ぐナマケロに手を離すようにサインを送る
『………ナママ』
「離してやれ、何時までも口塞いでちゃ話なんか無理だろ……痛ぇ……暫く右手使えねえよコレ」
『ナンマッ』
「………ふぅ」
ナマケロが手を離すと大きく息を吸いベッドに座り始める
「随分と器用な事が出来るようになったんだな、本物のノリスかと思ったぞ」
「アクアの掛けてくれた芸達者になれる支援魔法のおかげだよ、まさか役に立つとは思わなかったから後でアイツに謝りま~す」
「はぁ……全く屋敷に侵入だけで飽き足らず、私にとんでも性癖があると家の者に知られたではないか………ふぅ」
「お前今それも良いなって思ったな、てかお前本当にとんでもねぇ性癖持ちだろうが」
「うるしゃい!
あっ…………その……………今の私が言っても説得力はないが、泣かないでくれリオル」
『リオリオ………リオリオ……』
泣きながら自分に抱き付くリオルを見てか、先までのカズマに対する溜飲が下がっていく
「ソイツずっとお前が居なくてへこんでたぞ、まぁリオルだけじゃねえか
他の奴等もお前が急に辞めるなんて言い出したから、何時もやってるアクシズ教の勧誘やらレッツ爆裂にトレーニングもすっぽかして毎日お前の所に来てたんだ……見てただろ」
「…………あぁ」
「そんじゃ、わざわざ来たんだ
話せよ何で辞めるかを、俺らには聞く権利がある何故なら俺達は………あぁいや何でもねえ」
仲間だろと柄にもなく臭い台詞を言いそうになり恥ずかしさから誤魔化す
そんなカズマの気持ちを察したのか、抱き付くリオルを優しく抱き抱えダクネスは軽く笑みを浮かべ
「本当に大した事ない案件だ……我がダスティネス家はアルダープに借金をしていてな、それを父がゆっくり返済して行く話になっていたが……父が誕生日の前日から体調を崩したのは話したな」
「あぁ風邪だって……違うのか?」
「原因不明の病らしい………長くて1ヶ月は持つかどうかのな」
『リッ!?』
「…………マジか」
『…………ナマァ』
「すまないリオル、お前がお父様の事を好きなのを知っていたから……つい嘘を」
『リオ……リオリィ……』
「そして父が重病だと知ったアルダープが借金の返済はどうなると催促して来てな、当然返す事など出来はしない………だから」
「自分と結婚したら借金をチャラにする………ってか?」
「あぁ」
「だからお前あんなにヒュドラの討伐に熱を出してたんだな………悪い……俺がゆんゆんやらダストに声掛けたばかりに分け前減らしちまって」
「構わないさ、アレぐらいの人数が集まらなければヒュドラは打ち倒せなかったのは事実だからな
それに例え私達だけでヒュドラを討伐しても借金の返済は無理だ、あれは……本当に無駄な足掻きだった」
「…………それでも分け前減らしちまった責任は俺にある、借金はいくらだ?足りない分は俺らが」
「払うなんて言わないでくれ、コレは私の家の問題なんだ」
「お前……こんな時にまで下らないプライドを」
「それにお前達が持っている全財産を合わせても借金の返済は無理なんだ………」
『ナママ、ナマナマナンマァ』
「おっ!そうだな、だったらアイリスに頼んだらどうだ?
お前とアイリスは仲良いし、ダスティネス家は王族の懐刀なんだろ?
だったら借金返済に喜んで協力してくれるんじゃねえか、王族なら借金なんか一括で」
「ダメだ……いち貴族の1つでしかないダスティネス家の借金を王族であるアイリス様が肩代わりなどすれば、他の貴族連中も自分達にも金をとアリの様に群がり始める
アイリス様にご迷惑を掛ける訳にはいかん」
「じゃあ…………じゃあ………じゃあ…………えっと」
「フフ………私が身売りすれば良いだけだ、なぁに私の異性の好みは知っているだろ?
あの領主は私の好みにピッタリだ、しかも余程早く私を物にしたいのだろうな、結婚に必要なやり取りや色んな事を後回しにしさっさと式を上げようとしている
あの様子では式が終われば直ぐに私に手を出して来そうだ……ははは…凄くドキドキするよ」
(じゃあ何でヒュドラの討伐金で借金返済しようとしたんだよ、本当は結婚なんかしたくねぇんだろうが……嘘下手すぎだろ……クソ)
『リオリオ!! リオリィ、リオッリオ!』
「あの領主は色々と悪どい噂があるんだ、もしお前が私の側にいれば
お前を見せ物小屋にしたり、他の貴族に売り付け金にするといった事をヤりかねない……そんな目に……お前を……家族をそんな目に会わせたくない、だからリオル……私ではなくサトシのポケモンになってくれ」
『リオリオ……リオリィ……』
「それに、お前は私と居るよりアイツと居る方が強くなる……実際そうだっただろう?
だから」
『リオォォ!!』
「な……なんだ?」
『ナマッ?』
突然リオルの体が青く光始める
「コレは……もしかして波動か………うっ!?」
「お……おいダクネス……どうした?」
今度はダクネスが頭を抱え始める
「わ……分からん……急に頭が……………」
『リィオ! リオリィ!』
《リオル? ん?何だ此処は?》
突然目の前にリオルが腹筋をしている姿が現れる、だがその場所は自宅でもカズマの屋敷でも無く、見た事がない家具が置かれた場所であった
《アイリス様の城でもない……何処だ此処は?》
「ちょっとリオル!!!」
《誰だこの女……それに……何でこの剣と盾は浮いているんだ?》
部屋に現れた見知らぬ女性と、その後ろにて宙に浮かぶ立派な黒剣と黒と黄金の配色をした立派な丸い形の盾に目が行く
「また腹筋何かして!!貴女はワタクシの可愛いポケモンなんだから筋肉なんか付けないでって言ったでしょ!!!」
『リオ……』
《ワタクシのポケモンだと……何を言う、この子は………この子は………私の家族だ》
先程サトシにリオルを譲ると言ってしまったので、自分のポケモン……家族である事を強く主張出来ずにいたが
それでも凄い剣幕でリオルに向かう女性の間に割り込む
が
「いい加減辞めなさい!!」
《おい何故無視する……ん?
す……すり抜けた!?》
女性はダクネスをスルーしただけでなく、彼女の体をすり抜けリオルの元に向かう
「どうせ筋肉なんか付けたってパンチもキックも当たらないんだから無駄な努力なんか辞めなさい、それに殴ったり蹴ったりなんて野蛮で下品な戦いワタクシのイメージダウンになるわ」
『リィ………………リィ……』
《何が野蛮だ!!拳や蹴りで戦うのも立派な戦いではないか!!!》
「何ボーとしてんの、さあ今日もお父様からギルガルドを借りてきたから」
『ギルガァ!!』
《剣と盾が喋った!?
まさか……コイツもポケモンなのか》
「今日こそ勝って、さっさとルカリオに進化して美しい波動の攻撃をバンバン覚えなさい」
『リィ…………リィオォ!!!』
スカッ
『ギギギィ!!!』
「また外してるし……ほらさっさと立って攻撃しなさい」
『リオッ! リィィィオ!!!』
『ギルルル!!!!』
色ちがいの<おうけんポケモン>ギルガルドの体にリオルの拳が命中したが、ギルガルドは全く効いておらず高笑いをあげていた
「何やってんの!!!
当たっても全く効いてないじゃないの!!!
もしかして腹筋を邪魔されて不貞腐れて本気でやってないのかしら?」
『リィ!? リオリィオ!! リィオリ!!!』
《ゴーストタイプ………あの剣と盾はゴーストタイプなのか、ならリオルの攻撃が効かないのはタイプの相性だ手なんて抜いてはいない!!》
「言い訳でも言ってるのかしら?
散々ワタクシの期待を裏切っておいて言い訳だなんて生意気ね、ギルガルド!お仕置きしなさい」
『ギギギィ!』
シャキン
『ギルギルギル!!』
《姿が変わった?》
中央に付いている盾を左手が持ち、立派な黒刀の体を全面的に押し出す姿に変わる
『ギルッ!!!』
『リオォォォォ!!!!!!!!』
黒刀の体を右手に突き刺され悲鳴をあげてしまう
《リオル!?》
「ほら、また刺されたくなかったら早く本気を出しなさい」
『リィ……リィィィ……』
「泣いてる暇あるなら早く立ちなさい!!!
ギルガルド!」
『ギルッ!!』
『リオォォォォ!!!!!』
『ギルギル!!!』
今度は倒れるリオルの左足に剣を突き刺し、更にギルガルドは笑いながらグリグリと体を動かし始める
《や……やめろ……》
「辞めなさいギルガルド、手足なんて目立つ所にそんな大きな傷を付けたらワタクシが虐待してるだなんて思われるでしょ
やるなら服で隠せる背中か腹にしなさい」
『ギルギル!!』
言われた通り倒れるリオルの背中に刃を向ける
《辞めろ!!!!
むっ!?なんだ……急に夜に?
それに此処は外か?》
周りの風景が夜になり、更に場所も室内ではなく屋外へと変化し動揺する
『リッ………リッ』
《リオル! 大丈夫だったか!!怪我は!!》
『リッ………リッ』
リオルに話し掛けるも先程の彼女と同じく無視されてしまう
《あの女もリオルも何故私を無視するんだ……はぁ…はぁ……そういう放置プレイも中々に好みではあるのだが、明らかに様子が変だ……それに急に時間や風景まで変わるなんて
待てよ……そう言えばロトムが波動は過去の光景を見せる事が出来ると言っていたが、まさかコレは》
《そうだよ》
《リオル!?》
リオルの声が脳裏に聞こえ始める
「って事は何だ、ダクネスが急にボーとし始めて何に対しても無反応なのはリオルが波動で何かの映像を見せてるのが原因なのか?」
【うん! 何を見せてるか迄は分からないけど】
声を掛けても体を揺すってもダクネスが何も反応しない為、慌ててカズマは借りていたセレナのポケモン図鑑の通話機能でロトム図鑑に繋ぎサトシ達に状況を報告する
《ボクの記憶をダクネスに見せているんだ………誰にも話したくないボクの記憶をね》
《やはりそうだったか………では先の女はもしや》
《うん………ボクの前のトレーナーだよ………お金持ちのお嬢様だけどポケモンの知識が全く無くて、ゴーストタイプのギルガルドにノーマルとかくとうタイプの技しか覚えていないボクに勝てって無茶な事を言うぐらいね》
《無学なのは見ていて分かったが、それよりもお前に対する接し方の方が問題だぞ》
『リッ………リッ』
《所で昔のお前は何をやってるんだ?
先から何かコソコソしているが》
木陰に隠れ辺りをキョロキョロと見渡しゆっくりと進んでいく
《屋敷から逃げようとしてるんだよ、あんな目にずっと会わされて来たから》
「何処に行こうとしたのかしらリオル」
『リッ!?』
「貴女にはGPSを付けているの、だから逃げようとしてもお見通しいよ」
『リッ……リィオリ……』
「手持ちのポケモンに逃げられたなんて恥をワタクシに押し付けようとする何て
せっかくこんな豪華なお屋敷に住まわせてあげて、将来が約束されているワタクシの手持ちポケモンになれる名誉を上げたのに……本当恩知らずなんだから
さっさと部屋に戻りなさい!!」
『リッ! リィオッ!!!』
《懐かしいや……脱走しようとした罰として次の日から2日間は何も食べさせてくれなかったな》
《2日も………何でそんな厳しい真似を
ん?また景色が変わった》
「お久しぶりですお姉様」
またもや室内に風景が変わると、其所にはリオルの元トレーナーと彼女に近付く少女が
「あ……あら……学校はどうしたの」
「長期休みだから帰って来ました、そのリオルはもしやお姉様のポケモンですか?」
『リオ?』
「そ……そうよ……今日偶然見つけたからゲットしたの、何ならバトルしてみる?」
「申し訳ありません、コレからお母様とお知り合いの方のパーティーに誘われていまして
それが終われば、お父様のお仕事のお手伝いを頼まれているので申し訳ありませんが御断りさせていただきます」
「そ……そう………残念だわ」
「では失礼致します、お姉様もお勉強頑張ってくださいませ」
バタン
「…………キィィィ!!」
『リオ?』
「見てなさいよ……他は貴女に負けても、ポケモンに関してなら絶対負けないから!!!」
《この子には妹が居てね、成績も運動神経も凄く優秀だからママやパパから可愛がられていて
だからせめてポケモンバトルだけは自分の方が優秀になりたいから、ボクに厳しくしてるんだ》
「遅いわよ、いつまでチンタラ食べてるの!!!
ギルガルド!!」
『ギルギル!!』
『リィィオッ!!!』
《早食いなのは………こういう訳だったんだな》
《うん………》
「お父様とお母様が見ていたのに何負けてるのよ!!!」
『リィオ……リィオ……』
「泣きたいのはこっちよ……この役立たず!!
ギルガルド!!」
『ギルギル!!』
『リィィィオ!!!』
《コレは、この子の妹にコテンパンに負けちゃった日だね》
《………………》
「どうしてこんなにバトルさせてるのに進化しないのよ!!!
貴女をゲットした後にあの子がゲットしたポケモンは直ぐに進化したのに……なに?
ワタクシはトレーナーでもあの子に劣ってるって言いたいの!!!バカにしてるの!!!
ギルガルド!」
『ギルギル!!!』
『リィィィィオォォ!!!!』
《この時はメチャクチャ怒ってたから、背中やお腹じゃなく刺すなって言ってた手足にギルガルドが攻撃しても何も言ってなかったな》
《…………………》
《ダクネス?》
《どれぐらい》
《えっ?》
《どれぐらい……こんな生活を過ごしていたんだ》
《………1年ぐらいだよ、その間ノーコンが解消する事も進化する事もなかった………だからある日》
「失礼致します」
《なっ!?
コイツは確か、アイリス様を襲ったパスチャーという男》
「私は元気なポケモンを集めていましてね、どうでしょうか貴女のそのリオルを譲って戴けないでしょうか?
勿論御礼は差し上げますよ」
「御礼は結構よ、お金なら余る程あるから
それより早く連れて行きなさい、この子を捨てた何て家の者に知られればワタクシが非情な人間だと嫌な噂が流れますから」
《手持ちに逃げられたって他の人に思われても良いぐらい、もう……あの子の中のボクに対する期待感は失くなったみたいだね》
「この子は家出したという事に……って!! ちょっと待ちなさいリオル!!
この!! キッ!!!最後ぐらいワタクシの役にたちなさいよ!!!」
グサッ
『リィィィィオオォォ!!!!!!!』
《遂にギルガルドじゃなくて、自分自身でナイフを刺すぐらいボクはこの子を怒らせちゃったんだ》
「ちょっと傷付いたけど良いわよね」
「構いませんよ」
「あぁそうだ、ついでに………も持って行って」
「………いですが……など……いのに………ですか?」
「良いわよ、図鑑で見たけど………………生き物を自由に……事が出来るって………に見なさいよ」
『リィィィ………リィィオッ………』
「何回もリオルを………1度もこの子………のよ、見た目は………いで珍しいけど……は…………よ…………だから………頂戴」
《こうしてボクはパスチャーって人間に渡されて、そして今此処に居るって訳だよ
それにしてもギルガルドに切られた痛みで、あの後あの子とパスチャーが何を言ってたか覚えてないから聞き取りずらかったね》
《…………リオル…………すまない!!》
《えっ? どうしたの!?》
突然ダクネスが土下座を始め困惑する
《こんな辛い過去を私に見せたのは、前のトレーナーと同じく別の人間に渡そうとしたと私に怒り……憎いからなんだろ……すまない……うぅ……すまない》
《えぇ!?》
泣きながら謝り始めるダクネスにリオルは戸惑ってしまう
《ボクはダクネスの事を憎んでなんかないよ!》
《じゃあ何故私に辛い思い出を見せたんだ、誰にも話したくないんだろ!!!》
《ダクネスは自分が困ってる事や弱音を誰かに話したくないのに、ボクやカズマとナマケロにお金に困ってる事や本当は結婚したくない気持ちを話してくれたよね
だからボクも誰にも話したくなかった過去を見せたんだ、じゃないとフェアじゃないから
ボクは……ダクネスの家族だから!!》
《リオル………》
《それにボクはあの子に見捨てれても辛くないよ、だって逃走しようとしたんだし》
《では何故パスチャーに渡される時に拒んだんだ?》
《あの人が屋敷に来る前に、部下みたいな人間とポケモンを利用して何か企んでる話をしているのが見えて
それで逃げようとしたんだ、もし悪い人じゃなかったら喜んで貰われてたよ
皆に話したく無かったのは、こんな話をしたら先のダクネスみたいに皆辛い気分になっちゃうかなって……せっかく楽しくお話してるのに水をさしたらダメかなって》
《た……確かにな……》
《まぁ……アイツの事を思い出したくないのも理由だけどね》
《トレーナーの女の事か?》
《うんうん違う、怖い目には会ったけど、あの子がパスチャーって人間に渡してくれたおかげでダクネスや皆に会えたから今は感謝してるから
アイツってのはギルガルドの事だよ》
《あの剣と盾のポケモンか、確かにお前に攻撃していたがアレはトレーナーの女からの命令で》
《命令じゃない時も攻撃して来たんだ》
《なに?》
《凄く乱暴者だったから小さいボクを何時も苛めて来たんだ、あの子に何か嫌な事を言われたから分からないけど何時も腹いせにボクを切ったり刺したり…グリグリって体を動かして痛いかって笑いながら聞いてきたり……アイツに攻撃されると……凄く胸が苦しくなるんだ……だから……あんまり思い出したくない》
《もしや……王都での魔王軍との戦いの最中に気分が悪くなったのは、ギルガルドの事を思い出したからか》
《うん……兵の人が小さい生き物を切ったのを見て……思い出しちゃって》
《じゃあ……何時もやっていた私との剣と拳の特訓も、辛かったのを我慢していたのか》
《違うよ、ギルガルドや兵の人達の剣から感じる波動は命を奪ったり破壊するのが目的だから怖かったけど
ダクネスの剣から感じる波動は波動の勇者みたいに誰かを守る優しくて温かい物だから、凄く心地良いから怖くなんかなかったよ》
《波動の勇者?》
《まだボクが野生だった頃に捨てられてる絵本で見たんだ、ボクの進化した姿のルカリオが主役でね
波動を纏った拳やキックで悪い奴をヤッツケテ世界を平和にするってお話……凄くカッコ良かった、だから波動の勇者みたいにボクも肉弾戦で戦うって決めたんだ
ダクネスの中にある波動は、そんな波動の勇者と同じ物だよ》
《私が………勇者か………ハハハ!そうか……ハハハ!
嬉しいよ……本当に》
「……………なあナマケロ」
『ナマナ?』
「俺ら何時まで待ちゃ良いんだ」
『ナンマァ~』
「知らねぇって………はぁ……暇だな」
【カズマ!カズマ!】
「はいカズマだよ、何だよめぐみん」
【今ふと思い付いたのですが、ダクネスは気を失っている状況なんですよね?】
「まあそうだな」
【ならこのままダクネスを連れて帰ってはどうでしょうか?】
「はぁ?」
【今ならダクネスは無防備ですからね、楽にゆうか……連れて帰れますよ】
「オイ、お前いま誘拐って言い掛けたよな」
【言ってません】
「やだね、俺は犯罪者に何かなりたくねえよ」
【侵入したり、セクハラしている人間が今更何を言いますか】
「うるせぇ!
てか連れて行った所で借金はどうすんだ?」
【簡単です、あの領主にまた屋敷を粉々にされたくなければダクネスの借金をチャラにしなさいと交渉すれば良いんですよ】
「お願いだからコレ以上余罪を増やさないでくれ」
【めぐみん変わって】
【あぁちょっと!!】
「おうセレナか、取りあえず俺の代わりにあの爆裂娘の頭を殴っといてくれ」
【嫌よ後が大変なんだから、それよりも屋敷を粉々には勿論ダメだけどダクネスを連れて帰って来るのは賛成だから連れて来て頂戴】
「おいママよ、息子に誘拐犯になりなさいとかどんな教育方針をお考えで」
【ママって言わないで………って言いたいけど、今だけは許すわ
ママのお願いよ、ダクネスを連れて来て頂戴
皆で説得して、お金が足りない分は皆で高難易度のクエストを受けましょう
サトシだけじゃないわ、アクアも乗り気になってくれてるからお願い】
「マジか………(戦闘狂のサトシはともかく、あのアクアが高難易度のクエストを受けるのに乗り気とはな
そんなにダクネスに戻って来て欲しいのか………たっく)
しょうがねぇな」
《前は波動の勇者になりたかったけど、今は違う
今のボクの夢は、ダクネスみたいにカッコ良くて丈夫で優しい女性になりたいんだ
だから……だからね、ボクはサトシのポケモンにはならないよ……ボクはダクネスのポケモンで居たいんだ、ダクネスの側で強くなりたい!!》
《だが……私と居れば、お前は見世物小屋にされるか売られるかも知れないんだぞ!!》
《売られたら逃げるよ、それならボクを売ったお金も手に入るでしょ?
もしお金に困ったらそうやってお金を稼ぎなさいってアクアが教えてくれたから、悪い事じゃないもんね》
(アクアァァァ!!何て事をリオルに教えたんだぁぁぁ!!!)
《見世物にされても構わない、そんな扱いボクは慣れてるから
それに見世物になったらお金が貰えるでしょ、そうすればダクネスの借りてるお金を返す事が出来るよ》
《……………》
《ボクだけじゃない、皆も絶対手伝ってくれる……だから……だからぁ……》
ポタポタ
《ボクや………皆の所に戻って来てよ………ダクネス!!!》
《……………………ありがとう………こんなに私の事を思ってくれるなんて……本当に嬉しいぞ》
《じゃあ》
《だが………それでも私は帰らない》
《何で……何で!?
手紙でボクやカズマやナマケロ達の事を大事だって書いてたの嘘だったの!!》
《嘘じゃない》
《じゎあ信用してよ!! 本当に大事な存在だって思ってるなら》
《大事だからだ!!!!》
《えっ?》
《大事な存在だから……お前や皆を巻き込みたくないんだ……分かってくれ………リオル》
《ダク……ネス…………》
《つぅぅ!!何だ!!また頭が!!!》
「リオルは任したぜ」
『ナンマナ』
リオルを抱えるナマケロを確認すると、アクアの支援魔法の影響で1人で自分よりも大きいダクネスを抱え窓に向かう
「まさかコイツを抱えながら移動出来るとはな、芸達者になれる魔法も役に立ったし今日のアクアはやっぱダクネスの事もあってか気合い入ってるんだな」
『ナマナマァン、ナンマァナマ』
「べべ……別に俺は入ってねえから、つうかソレ言うならお前の方じゃねえのか
全然怠けてねえじゃねえか」
『ナンマァナ、ナマナマナンマァ』
「男は女の涙に弱いって……お前顔に似合わない事を良く平気で言えんなってのは嘘ですゴメンなさい、だから爪を向けないでくださいナマケロの兄貴!」
『ナマナ、ナンマァナ』
「へいへい分かったよ、そんじゃさっさと連れて帰るとするか
にしても」
『ナマ?』
ダクネスの腹の部分に触れながら面食らったら表情を浮かばせる
「コイツ本当に腹筋割れてんだな、しかもかなりの数「キエェェェェイ!!!!!」ギャァァァァァ!!!!!!!!」
『ナマナ!?』
「貴様という奴は!貴様という奴は!!」
「何でこのタイミングで目を覚ますんだよ!!!」
ドタドタ ドタドタ
「お嬢様!!! どうなさいました!!!!」
今のダクネスやカズマの叫び声を聞き警備の者達が再びドア前にやって来た
「おいナマケロ、リオルを連れてお前はさっさと逃げろ、この男には今から土下座して貰う」
『ナママ?』
「貴族の令嬢である私の寝室に侵入したんだ、私の擁護がなければ間違いなくお前の首は飛ぶぞ
さあ土下座して詫びろ、人の気にしてる事を平然と言うこの無神経男」
「貴族のくせに器が小せぇな、そのけしからんボディから少し栄養を器に分けてやれよ」
「キィィ!」
「部下に任せないで自分で来な、ほら掛かって来い
エロい体と耐久力と無駄に割れてる筋肉しか取り柄のない変態クルセイダーさんよ」
「そうか……なら遠慮なくそうさせて貰うとしよう、ブッ殺してやるぅぅぅ!!!!」
飛び掛かるダクネスを受け止め組み合いとなりながらドレインタッチを使うが、王宮の騎士何人分もある体力を誇る彼女が怯む事はなかった
「お嬢様!!ドアを開けさせて貰いますよ!!」
「開けちゃらめぇぇ!!今ララティーナ全裸なの!!」
「えぇぇ!?申し訳ございません!!!」
「私の声でらめぇぇとか言うニャぁぁぁ!!!
お前達入って来い侵入者だ、奴は声を真似て私のフリをしているんだ!!!」
「何ですって!?」
「分かりました!!」
「クソッ!」
『ナマァ!』
「あれ? 開かないぞ!!」
「くぅぅ!!ビクともせん!!」
片手にリオルを背負いながらナマケロがドアを押さえ付け警備の者達の侵入を防ぐ
「あんがとよ相棒、ほれどうすんだララティーナお嬢様よ
素直に負け認めて俺らの所に来な」
「お断りだ、リオルにも言ったがコレ以上お前達とは関わらん
ソレに負けを認めるのはお前じゃないのか、今こうやって私と組み合いが出来るのはアクアの支援魔法のおかげなんだろ
さあドレインタッチで私の体力が尽きるのが先か、それとも魔法の効果が切れるのが先か……どっちだと思う」
「ちっ……だったら」
「わわっ!?」
段々と力が弱まっていき押されているカズマに対し勝ち誇った様に笑うダクネス
その顔を間近で見てしまいカズマの額に青筋が浮かび、組み合う手の力を弱め彼女の体勢を崩すと同時に背中に手を突っ込み
「フリーズ」
「んぁぁぁぁ!!!!」
背後に氷結魔法を掛けられ情けない声をあげてしまう
「お嬢様!?」
「くそぉぉ!! 何故開かない!!!」
「ナマケロ、俺が合図したと同時にドアから離れて目を塞いでおけ」
『ナマ? ナンマァ!』
一瞬戸惑うが、何か作戦があるのだと納得し頷き返す
「…………今だ」
『ナマ』
バタン
「お嬢様ぁぁ!!!!」
「クリエイト・アース!!!」
「のわぁぁ何だ!?」
「いかん!! お前達! 目を」
ダクネスが閉じろというまえに
「ウインドブレス!!!」
室内に散乱している砂を風の魔法で吹き飛ばし
「目がぁぁぁぁ!!!」
「ほんじゃそういう事で!!」
『ナマナンマァ!!』
お馴染みの目潰しコンボを炸裂させ警備の人間達が開けたドアから逃走する
「追えぇぇぇ!!!!!!」
「なあナマケロ、俺は金銭的には何の不自由もなく暮らせるんだ」
『ナッママ』
「そりゃ知ってるよな、そして夢はのんびりダラダラしながら好き勝手に生きて行く事」
『ナンマナンマ』
「お前は分かってくれて嬉しいぜ、そう……だから変な事なんかせず適当にやってたら叶えられたんだよ夢が
なのに」
「カズマぁぁぁ!!!さっさと出てこい!!!
自首なら私の全力パンチ10発で手を打ってやるが、もし私が見付けたら覚悟は出来てるだろうな!!!!」
「何で俺あんなマジギレのお嬢様とかくれんぼ何かしてんだろうな」
『ナンマァナマ、ナマナマナンマア』
「ケンカ売ってねぇし、お前アイツの腹触ってねえから他人事みたいに言えんだよ
触ってみな、マジでエグいぐらい割れてて声に出ちまうからよ」
『ナマナ、ナマナンマァナマナマ』
「おいコラ、アイツ触るよりアイリス触る方がハードルもヤバさも高いからな触んじゃねえよ」
『ナァン?』
「ガン飛ばすな、取りあえず説得要因のリオルが寝ちまった以上、今日は引き上げだ
間違いなく今のダクネスに見付かったら殺されちまうからな、おっ?鍵空いてない部屋見っけ
ここの窓から脱出させて貰うとするか」
「そこに……誰か居るのか?」
月の明かりしかない暗い室内から人の声が聞こえ
「ビクッ!?
あぁえっと自分は……って!」
怯えるカズマであったが、声の主であるベッドにて休む男性を見て直ぐに平常心となる
「ダクネスの親父さん……?」
それはダクネスの父ダスティネス・フォード・イグニスであったが、何故彼と会った事があるカズマがイグニスに対し疑問形なのか
それは月の明かりしかマトモな光がない部屋でも見えるぐらい彼の頬が痩せこけ顔色が青白くなっていたからであった
「おぉ……カズマ君か………こんな時間に娘に会いに来てくれるとは……ララティーナは良い仲間を持ったな……」
「え……えぇ…まあ」
『ナンマァ………』
弱々しい声で笑い掛けてくる彼の姿が、とても2ヶ月前にアイリスとの会食時に会った人物とはまるで別人の様に弱り果てている姿に面食らってしまう
するとイグニスの目線がナマケロの手に向かう
「おや………リオルちゃんは寝てるのかい」
「は……はい」
「そうか………残念だ……………初めてララティーナがその子を連れて来た時は…非常に脅えていてね、だが一緒にオヤツを食べている内に段々と慣れて来たのか……私の膝の上に乗ってくれてね…………それから家に帰って来たら……真っ先に私に会いに来てくれる様になって……まるで……娘がもう1人増えた気分だったよ
だから……最後にもう一度……私の膝の上に乗って欲しかったな……はは」
「最後って………そんな縁起でもねえ事」
「ゴホッゴホッ!!ゲホッ!!」
「だ! 大丈夫ですか!?」
『ナマ!?』
{ゴホッ!ゴホッ!!}
{ナママ!? ナママ!?}
{ナマケロ……ゴホッ!!ゴメンね……せっかく遊びに来てくれたのに……僕…ゴホッ……今日は気分が悪いんだ……ゴメンね……また明日来てゴホッ!ゴホッ!!}
{ナマ! ナンマァナ!!}
『ナママ! ナンマァ!!』
「分かった!」
『ナンマナマ!?』
「あぁ……すまない……おぉ……良い力加減だね」
咳き込み吐血するイグニスの肩をカズマが引き、ベッドの隙間から彼の背中に近付いたナマケロが優しく擦る
「見ての通り………私はもう長くないんだよ」
「何処が悪いんですか!?
ウチには魔法だけは優秀なアークプリースト……前に娘さんのお見合いの時に俺と一緒に来た女居たでしょ、アイツに頼めば病気ぐらい」
「無駄だよ……回復魔法で病気は治らない……そして病で死んだ者や自殺した者はリゼレクションで生き返らせる事は不可能なんだ、病は寿命……自殺はこの世に居る事を自らの意思で放棄した
だからこの2つの死因では……神の奇跡は起きない………私の場合は寿命だ……寿命を全うして神の元に行くのは喜ぶべき事だ………だから……そんな辛い顔をしないでくれ」
「あっ………す……すみません」
『……………ナマァ』
「あの親父さん、こんなタイミングでアレなんですけどちょっと聞きたい事が
何でアルダープのオッサンに借金なんかしたんですか?
逆なら分かりますけど、どう考えたって親父さんがあんなオッサンから金借りる理由なんかないでしょ」
「…………はは……カズマ君……君は中々頭が回るね、やはり娘は君に任せようかな」
「はぁ?
あの……借金作った理由を聞いてて、何で娘さんを俺に渡すなんて話になったんでしょうか
というかお断りですよ、貴方の娘さんに今俺たち追われてんですから」
『ナンマァ、ナママ!ナンマナマァナ!!』
「はぁ!? なに他人行儀になってんだ!?
もしアイツに俺が捕まったら少なくともお前は連帯責任で一緒に処罰されろよ!」
『ナマァ!?』
「そう言わないでくれ……あの子は優しい子なんだ、純粋で恥ずかしがり屋で他人に迷惑を掛けるのを何よりも嫌がる」
(モンスターの攻撃を受けたいが為に他の冒険者のクエストに乱入するわ、その事に関して俺やセレナが怒られてるんで十分迷惑掛けてますけどね………何て今の親父さんには言えねぇわ)
「そんな娘が……アルダープの様な……黒い噂のある男の元に嫁ごうとしている……それは何てかして止めたい……だからカズマ君……どうかな?」
「いやどうかなって……」
「いい加減に出てこいカズマぁぁぁ!!!さっさと詫びて、家の者達に私の声真似で広めた誤解を解くんだぁぁぁ!!!」
「なぁ………アレを頼むよ」
「あ………あぁ………(やだなぁ……)」
バタン
「はぁ……はぁ……ようやく見付けたぞ……覚悟は出来てるだろうな」
ポキポキ……いや聴いた事も無い音を指から鳴らし、凄まじい形相でカズマを睨むダクネス
「おいコラ、病人が居る部屋で騒ぐな
ソレと確かに結果的にお前の体を触ったり変な噂を広めたが、俺はお前が心配で来たんだ本当によ」
「心配している人間が人の嫌がる事を言うな!!悪評を広めるな!!
大体この件はダスティネス家の……貴族の問題だ、庶民のお前が首を突っ込む案件じゃない!
お前はおとなしく屋敷で何時もみたいにグータラ暮らせば良いんだ!!」
「残念でした俺は今ちゃんと働いてますから!!
つうかもう借金なんか忘れちまえ、俺らとアクセルから離れた別の場所に行こうぜ!!
何ならアイリスの所に全員で厄介になるのも良い!」
『ナマナマァ!!!!』
「良いわけないだろうが!!!アイリス様達にご迷惑を掛けられるか!!!
それに私が逃げれば………父や家はどうなる……私は決して逃げなどせん!!」
「あぁそうかよ!!
言っとくがな俺がお前を連れて帰らなかったら、後の奴等が何するか分かったもんじゃねえぞ
今回は普段ストッパー役のママすらヤル気満々だ、何時飛び出すか分からないリードが付いていない猛獣を4匹放し飼いになっちまうがソレでも良いか」
「ならお前が全力で止めろ!!
それかナマケロ!!お前のあくびで皆を眠らせろ!!!」
『………………』
「無視するなぁぁ!!
とにかく私は絶対に逃げない、私が逃げればその分……他の誰かに迷惑が掛かる………そんなのは絶対に嫌だ!!」
「ちっ………あぁそうかよ!そうかよ!!そうかよ!!!分かったよ!!!!この頑固女が!
後で泣き見たって知らねえからな!!
痛ぁ!!!」
蹴りで窓ガラスを割ろうとしたが支援魔法無しの彼の蹴りでは貴族の家のガラスすら割る事は出来ず、思いっきり痛がる
「ぷぷ……ぷぷぷ」
「笑うな!!!
じごぐづき!!」
『ナンマァァァ!!!』
パリィィン!!
「助けて欲しくなったら泣いて頭でも下げながら、申し訳ありませんカズマ様!私が悪いございました力をお貸しくださいって言えば
グハァァァ!!!痛ぇぇ!!」
2階程の高さだが、勢い良く飛び降りたのと彼の貧じゃ……低い「貧者って言い掛けたな!!!」ステータスのせいで再び足を痛がる
『ナママ、ナンマァナマ』
「2階から飛び降りるなんてな、ガキの頃でもやった事ねえんだよ!!!」
「ぷぷぷ……だ……大丈夫かカズマ様……ぷぷぷ……貴方様の方こそ私に助けを求めたいのではありませんか……ぷぷぷ」
「あの野郎!!!!」
「侵入者を捕らえろ!!」
「行くぞ!!!」
「出会え出会え!!」
『ナママ!! ナンマァ!!』
「チキショぉぉ!! ダクネス!!マジでお前が泣いて頭下げるまでは絶対に助けに来てやんねぇからな!!!
あくび!!」
『ふわぁぁ~』
「クリエイト・ウォーター
からのフリーズ!!!」
眠らせたり足元を凍らせたりと迫りくる大量の警備の者達から逃走し
「遅いなぁカズマ……大丈夫なのかな?」
「もう支援魔法も溶けちゃってるのに、何やってるのかしらね」
「ならもう1度連絡を、へいロトム」
『了解ロト、では早速通信を』
「ちょっと待って……あれカズマじゃない?」
「えっ?」
『バケバケ?』
『フォクシ! マフォマフォ!』
『ピィカァピ、ピカカ!』
敷地内を此方に向かい全速力で走って来るカズマの姿が目に入る
「おぉいカズマ、ダクネスは連れて来れた?」
「早く帰りましょう!! ゼル帝がもう少しで生まれそうなんだから、ダクネスにも見せてあげたいの!!」
「待ってください……あんな堂々と屋敷の敷地内を走ってるという事は」
「ま……まさか……」
「お前らぁぁ!!! 撤収だ!!!」
『ナンマァナマ!!!』
「「げぇぇぇ!?」」
「やっぱり!!!」
『あああ……あんなに沢山ロト!!!』
『チャババ!?』
カズマとナマケロの後ろから30人の警備の人間達の姿が見え驚愕する一同
そして
「に………逃げろぉぉ!!!!」
『ピッカァァチュ!!!』
サトシとピカチュウの号令と共にセレナ達も全力で自宅の方に走って行く
『…………リオリオ……』
ただ1人、ナマケロに抱えられ眠るリオルだけは走らず
大好きなトレーナーの名前を震える声で呟いていた。
今回書いていて、ふと頭に過ったのが
リオルのCVは白石涼子さん(キャラで言えばハヤテのごとくのハヤテみたいな声)でナマケロは古川慎さん(キャラで言えば、るろうに剣心の志々雄真実みたいな声)ですかね
イブとバルスリンはまだ思い浮かばないですね