《アクセルの町中》
「えっと…後はニンジンね、八百屋さんは確か」
『マフォ! マフォク! マフォクシィ!!』
「アレか、ありがとうマフォクシー
スミマセン」
「あいよイラッシャイ、おぉセレナちゃんじゃないの
今日はマフォクシーちゃんとお買い物かい」
「えぇ、ニンジンを3つ下さい」
『マフォ』
この世界に来てから1週間が経過し、セレナもサトシ達もアクセルの町民達に顔と名前を覚えられていた
「あいよ、丁度さっきイキの良いのが入ったから
はいどうぞ」
ピチピチ
「わぁ~本当に新鮮ですね」
慣れとは怖い物で最初は生きている野菜に戸惑ったセレナも、今では八百屋のオバチャンが鷲掴みしてる状態でピチピチと動き回るニンジンに対し普通の感想を述べるほどに
「にしても最初見た時はモンスターを連れた妙な子達と思ったけど、マフォクシーちゃんもピカチュウちゃんも良い子だし、最近はララティーナお嬢様のリオルちゃんが良くウチのお手伝いしてくれてね
オバチャン長く生きたつもりだったけど、こんな良い子のモンスター達もこの世に居るなんてね」
『マフォクシィ♪』
「ありがとうって言ってますよ、私もパートナーが褒められて嬉しいです♪」
「そうかい そうかい
あぁそうだ、後ね……ちょっと言いたい事があんだけど」
「ビクッ!!何でしょうか……?」
顔馴染みの店員と日常会話をする空気が一変し、どこかセレナの表情が暗い物に変わっていく
「昨日ねアタシの娘がカズマ君に下着盗られたみたいで」
「スミマセン!!!」
「いや良いのよ盗られたのは、荒くれ者の冒険者とめぐみんちゃんの喧嘩を止めようと窃盗使った時に、その間を偶然娘が通ったみたいだから悪気が無いのは分かってるの
ただね……娘がカズマ君に払わされた下着代のお金だけは返してくれないかい」
「キチンと返します!! 今カズマはサトシとアクアと一緒に遠出しているので帰ったら直ぐに返す様に伝えます!!
スミマセンでした!!」
『マフォ………』
カズマ並びに彼のパーティーメンバーはトラブルを毎日コレでもかと引き起こしており
その度にメンバー内で唯一のマトモ枠だと周りから思われているセレナに町民達から彼らに注意してくれと促されたり、共に雷を落とされるという完璧なトバッチリが押し寄せられていた
唯一の良心ならばサトシも居るじゃないかと思う所だが、彼はポケモンを探しがてら行うクエストやモンスターとの戦いでレベルを上げスキルを強化し、今では次の召喚までに掛かる時間はMAXの6時間にまで減らしており
その為か最近は良く手持ちのポケモン達を召喚し再会を喜んでいるが
「ダメだヘラクロス!!!それは売り物だ吸うなぁ!!!」
「こらズルッグ!!! 人に頭突きしちゃダメだろ!!!」
「ヘイガニ!! アクアも!! 夜中に町中で騒いじゃダメだって!!」
とまあ召喚した彼の個性的なポケモン達が事ある事に問題を引き起こしており、やはり彼もカズマパーティーのメンバーだったかとアクセルの町民達や冒険者は皆思ったそうな。
「凄いわマフォクシー……今日行ったお店全てから皆への伝言預かっちゃったわ……ハハハ」
『マフォク……マフォマフォ、マッフォク!マフォクシ!』
「ありがとう……そうね……サトシの為に私達はこの世界に来たんだもの、コレぐらいでヘコんだら待ってくれてるニンフィアとヤンチャムに叱られちゃうわ!」
コレはまだ、セレナが自分の世界に居た時
共にカロスを旅をした憧れのトレーナー
幼い時に自分を助けてくれた好意を抱く異性
サトシと再会し
短い間だが再び旅を行っていた際に出くわした事件で彼がこの世から居なくなってから暫く経った後
彼と別れる際、共にポケモン達を連れ逃げる様に言われた彼の相棒ピカチュウ
アレからご飯もロクに食べず、ただずっと泣いているピカチュウの心を癒す為に仲間のポケモンが居るマサラタウンに帰す事が決まった日の出来事
『……………ピカピ』
「ピカチュウ、ご飯よ
明日はファイアロー達に会えるから、ご飯を食べて体力を付けた方が良いわ」
『………ピカピ……ピカピ……』
「………此処に置いておくね」
『マフォク、マフォクシ?』
「うんうん……今日も食べてくれなかったわ」
『ニフィ……』
『ヤチャ……ヤッチャァ……』
『マッフォ! マフォクシ!
マフォマフォ、マフォクシ!!』
「マフォクシーの言う通りよ2人共、一番辛いのはサトシのママやピカチュウ達なんだから
私達は泣いちゃダメよ」
『ヤチャ…?』
『フィア…?』
「さぁ明日はピカチュウをマサラタウンに連れて行くから、今日はもう休みましょう」
『ヤチャァ……』
『ニンフィ……』
「マフォクシーもお手伝いありがとう、ボールの中で休んで」
『マフォク……』
「私は大丈夫よ、お休み皆♪」
{大丈夫だセレナ、絶対後から追い付く!!}
(あの時)
{だからピカチュウと一緒にポケモン達を安全な場所に}
(私が)
{頼んだぜ セレナ♪}
(私が残っていたら……サトシは死なずにすんだかも……しれないのに……ピカチュウが…あんな思いをしなくてすんだのに
サトシ……サトシ)
ポタポタ
『ピッカァァ!?』
「ピカチュウ? どうしたのピカチュウ!?
キャッ!?」
ピカチュウが叫び声をあげ、彼に何かあったのではとセレナが慌てて部屋のドアを開ける
すると窓から凄まじい光が差しこみ、その眩しさに目を閉じてしまう
「いったい……何なのこの光……えっ…?……誰……………もしかしてポケモン…なの?」
何とか目を開け窓の方を見ると、神々しい光を放つ巨大なポケモンの姿が
『ほぉ、デゼルシティでサトシと一緒に居た娘か』
「喋った!?」
『テレパシーだ、我が名はアルセウス』
「アルセウス……アルセウスって……この世界を作った神様のポケモン…?」
『そうだ、娘よ』
『ピカカピッ』
『セレナと言うのか
セレナよ、この度は私を呼び出そうと目論む悪しき人間共を打ち倒してくれて感謝する』
「そんな……私はただサトシの手伝いをしただけですから
それでアルセウスは一体何の用で此処に?
神様が、わざわざ御礼を言いに来ただけじゃないですよね」
『サトシの事について、ピカチュウに用があり此処に来た』
『ピカピ!?』
「サトシ!?」
自分達にとって大切な人間の名前がアルセウスから発せられ、思わず彼の名を同時に叫ぶ
そんなセレナとピカチュウにアルセウスは彼の置かれた状況と生き返るチャンスがある事、そして生き返る為に他世界に渡った悪人とポケモンを見つけ出さなければならない事を伝えピカチュウに彼のアシストを頼みに来た事を話す
だが役目を終えるまではこの世界に帰れない、もし役目を果たす事が出来ねば一生この世界に残した仲間達に会う事が出来ないというデメリットも伝える
だが
『ピカカ! ピッカ! ピカチュウ!!』
ピカチュウは即答で受け入れると決断した
『そうか協力してくれるか、感謝する
では行くぞ、エリス以外の天界の者にはお前を連れて行くのは黙って居るからな感付かれる前に行かねば』
『ピカッ!!
ピッ? ピカカ、ピカピカッ……ピィカァ?』
アルセウスの背に乗るピカチュウがセレナの方を振り向き何か話し掛けている
何を言っているか定かではないが、ピカチュウとは共に旅をした間柄であるセレナには今彼が自分に何を言っているか何となくだが分かる
セレナは一緒に行かない?
と
「………………」
『サトシの協力をしてくれる者は多ければ多いほど私も有難い、だがセレナよ……ピカチュウにも話したが、もし仮に役目を果たす事が出来ねばこの世界に帰る事は不可能な事を忘れれないでくれ
もし行くと言うなら連れて行けるポケモンは1人だけだ、それ以上は天界の者達の目を誤魔化すのは難しい』
「私は………」
ポン ポン ポン
「えっ?
マフォクシー? ヤンチャム? ニンフィア?」
彼女の手持ちのポケモン達が自らの意思でボールから現れセレナを囲い始める
『ヤンチャ!! ヤチャチャ!!』
「行って来いって……でもヤンチャム、もし帰って来られなかったら……アナタ達はどうなるの」
『ニンフィ、フィアニン ニンフィア♪』
「絶対帰って来るって信じてる………ニンフィア…」
『マフォク、フォクシー!!』
『ヤチャチャ! ヤンチャムー!!』
『フィアッ♪』
「マフォクシー、貴女が付いて来てくれるの…?」
『フォクシー♪』
ヤンチャムもニンフィアも自分がセレナに付いて行きたいと思っていた、だが自分達の中で一番強いのは間違いなくマフォクシーである
彼女がセレナに付いて行くと言った後に2匹は頼んだぞとエールを送るのであった
「わかった!! ありがとうマフォクシー!!
ヤンチャム! ニンフィア!
必ず帰って来るわね……サトシを連れて」
『ニンフィ♪』
『ヤチャチャ♪』
「アルセウス、私も行きます
そして頼みがあります、サトシが生き返る可能性がある事とピカチュウと私が手伝いをする事をサトシのママやオーキド博士達……そして私のママにに伝えて下さい
そしてヤンチャムとニンフィアをオーキド博士に預けて下さい、アソコにはカロスで一緒に旅をしたサトシのポケモン達が居るので…2人も……寂しくないですから」
『分かった、任せて貰おう
私は他世界に直接干渉は出来ぬが、必ずや お前達の手助けをしてみせる
では行くぞ』
『ピカカ!! ピカピカー!!ピィカァチュウ!』
『フォクシィ!!』
「うん、頑張ろう2人共
(待っててね……サトシ)」
「さあ帰りましょう、早く夕飯作らないとめぐみんに怒鳴られちゃうわ」
『マッフォク!』
「あっ! おーいセレナ!」
買い物を終え屋敷へと戻るセレナを、長い髪をポニーテールに纏めた縞模様の尻尾を生やした女性が呼び止める
「リーン!」
それはカズマの友人(自称)のダストが所属するパーティーの紅一点であるウィザードのリーンであった
クエストの報告にセレナが1人で冒険者ギルドに行った時、昼間から呑んだくれている酔っ払いに絡まれた際、彼女に助けて貰ってから互いに魔法使いポジションである事や
「何かお疲れみたいだけど、もしかして…また?」
「うん、今日は全員分の伝言預かっちゃった
そういうリーンも、その請求書の山……もしかして」
「うん……ダストが酔って暴れた店から……お互いパーティーメンバーには苦労するね
マフォクシー、セレナを励ましてあげてね」
『マッフォク!』
個性の強いパーティーメンバーに苦労する者同士という事で、互いに呼び捨てで呼び会うぐらい仲良くなったのである
「おっと、こんな暗い話する為に呼んだんじゃなくて
セレナってまだ魔法の杖はめぐみんのを借りてるの?」
「うん、本当は自分のを買おうと思ったんだけど
もうちょっとお金を貯めて良いのを買った方が良いってめぐみんが、だから今貯金中なの」
「まぁ高級な方が性能良いもんね、めぐみんの杖とかお店で売られてるの見た事無いから多分超高級品だし
うーん……なら止めとこうかな」
『マッフォ?』
「止めるって?」
「実は私が魔法学校に通ってた時の担任の先生が退職する事になったみたいでね、それで昨日偶然再会した時に先生が学校で使ってた杖を処分するって聞いて、それで譲ってくれないかって頼んだら無料で数本貰ったからセレナにもお裾分けしよっかなって」
リーンが持っている白い布を取り、様々な種類の魔法の杖10本を見せる
『マフォクシィ』
「へー色んな杖があるんだ
でも本当に良いの?」
「良いよ良いよ同じウィザード系統の仲間だし、前にダストとキースへの愚痴聞いてくれた御礼よ」
「(杖にお金を使わず貯めた方が皆に美味しいご飯を作る事が出来るし、それにせっかくリーンが持って来てくれたんだし……よし)
ありがとうリーン、じゃあ御言葉に甘えて
うーん………えっと……どれにしようかしら」
『マフォ? マフォク!!』
「どうしたの?」
どの杖にしようかと品定めしていると、マフォクシーが1本の杖を指差す
それは他の立派な杖と違って普通の木の枝にしか見えない物だった
「コレが良いのマフォクシー?」
『マフォマフォ♪マフォクシー、マッフォク♪』
「フフ そうね♪
リーンこの杖を貰うわ」
「えっ!? 本当にそれで良いの?
それ小さな子供や初心者ウィザード用の物だから性能的には下の下だよ」
「それでも良いわ、マフォクシーが気にいったみたいだし
それにね」
カクカク シキジカ
カクカク メブキジカ
何故この杖にしたかの理由をリーンに伝えると、彼女は納得したのか笑みを浮かべる
「そっか、じゃあ大切に使わないとね♪」
「うん、プレゼントありがとう」
『マッフォク』
セレナとマフォクシーは互いに御礼を言ってリーンと別れ帰路につく
「コレで私達お揃いね」
『マフォク♪』
ドン!!
『マフォ!?』
「キャッ!?」
「マフォクシー!?
スミマセン! 大丈夫ですか!?」
「いえ私が余所見していたのが悪いんですゴメンなさい!!
私なんかがブツカッテしまいゴメンなさい!!
ケガをしてしまったのなら看病させて貰います!!」
「えぇ……そんなに謝らなくても、此方こそ余所見しててスミマセンでした」
『マフォ、マフォクシー マフォマフォ……』
ぶつかってしまった黒のローブとマントを纏う女性が尋常でない謝り方をしてくるので思わず引いてしまうも、セレナもマフォクシー直ぐに謝罪する
(あれ?
この人の格好、何だかめぐみんに似てる様な)
「あれ? 貴女もモンスターを連れているの?」
謝罪している女性はソコで初めて自分とぶつかったのがモンスターである事と、側に居るのが背丈から年下の少女である事に気付き敬語からタメ口に変わる
「はい、この子はマフォクシー 私のパートナーです」
『マフォ、マフォクシー』
「わぁぁ可愛い……って!
わわわゴメンね!話題を変えちゃて!!
このままぶつかった事を無かった事なんかにはしないわ安心して!!」
「は……はぁ……でも本当にマフォクシーはケガしてないですから気にしなくても良いですよ、ねぇマフォクシー」
『マフォマフォ、マッフォク』
「そう……はぁ~良かった」
「そういうお姉さんこそ、ケガとかは」
「私もケガは無いから安心して、ゴメンね取り乱しちゃって!!
最近別の町で友達になってくれた人が実は当たり屋で、友達なんだから私にも手伝えって言ってきてね……あぁ勿論断ったわ!!
それでその人は警察に捕まったんだけど、だからかな…今誰かとぶつかると、つい当たり屋とは真逆の事言って自分は無実ですって必死にアピールしちゃう様になったの」
「そ……そうなんですか………大変ですね……ん?」
ふとセレナが女性の顔を見ると、その両目が真っ赤な事に気づく
「どうしたの?」
「あのもしかしてお姉さんって紅魔族……ですか?」
「えぇそうよ、私は……私………キョロキョロ
オホン」
女性は辺りを見渡し自分達以外に人が居ない事を確認し終えると息を吐き、左手を腰に当て右手を斜め上に伸ばし始め
「わ……我が名はゆんゆん!アークウィザードにして上級魔法を操る者、やがては紅魔族の長となる者!」
「ゆんゆんさんですね、私はセレナって言います」
「………………」
「どうしたんですか?」
『マッフォ?』
「あの……セレナちゃんだったわね……?
私の名前……変って思わないの?」
「えっ?
(そういえば、皆と初めて会った時も私とサトシがめぐみんの名前を変と思わなかったって言ったら驚いてたっけ)
えぇ、世の中には色んな名前の人が居ますし、それに人の名前を変だって思うのは失礼ですから」
「良い子だ……貴女は…とっても良い子だわ」
「そ…そんなに感動する事じゃ」
「だって最近友達になってくれた子以来だもの、私の名前を聞いても笑ったり引いたりしないの
ねぇキルちゃん
あっ! いけない!!キルちゃんの事忘れてた!?
早く探さないと!!」
「探さないとって、もしかして迷子ですか?」
「そうなの!
やっと!やっと!!やっと出来た正真正銘の私の友達なの、この町に居る私のライバルに紹介しようと思って連れて来てたんだけど何時の間にか居なくなってて!!」
「なら私達も探すの手伝います」
『マッフォク!』
「良いの?」
「えぇ、困った時はお互い様ですから」
「うぅ……ありがとう!!」
「それでその友達……キルちゃんでしたね、その子の特徴は?」
「身長はコレぐらいで」
(えっ!? かなり小さい子ね)
友達と聞いていたので、ゆんゆんに近い身長を想像していたが、彼女の腰より下である事に驚いてしまう
「後は肌が真っ白で、黄緑色の髪で赤色の角を2本生やしてるモンスターなの」
『マッフォクー!?』
「モンスター!?
肌が真っ白……黄緑の髪色……2本の赤い角………まさか……
あのキルちゃんって呼んでますけど、それニックネームですか?」
「えぇ、名前を聞いてもキルちゃんの言葉が分からないから、それでキルキルって喋るからキルちゃんってニックネームに」
「マフォクシー、間違いないわね」
『マッフォク、フォクシィ』
「どうしたの?」
「その子キルリアってポケモンかも!」
「……………ポケモン?」
『マフォク! フォクシィマフォ』
「うん
キルリアなら明るくて楽しい感情を放つ人が沢山居る場所を好むはずね、この町なら……ゆんゆんさん来てくれます」
「う……うん!」
《冒険者ギルド内》
「乾杯ぃぃ!!!」
「じゃんじゃんシュワシュワ持って来てくれ!!!」
まだ夕方だというのにギルド内では大勢の冒険者達が宴会を初めており
そんな人間達の中に
『キルゥ~キルゥ!!』
「良いぞモンスター!!」
「可愛い~♥️」
机の上で様々な鮮やかなダンスを踊る<かんじょうポケモン>キルリア、モンスターだが宴会を盛り上げてくれた事で冒険者達は皆おひねりを投げるほど完全に出来上がっていた。
「やっぱりキルリアだったのね」
『マフォク!』
「キルちゃん!!」
『キルッ? キルキル!!』
見つかって良かったと安心し駆け寄るゆんゆん、そしてキルリアもそんな彼女の名を呼び駆け寄る
無事感動の再会
『キルッ!!!』
「ぐはっ!!!」
にはならず、何故かゆんゆんをキルリアが蹴り飛ばす
『キルキルッ!! キルゥリア!!!キルアリィ!!!!』
「えっ何々? 何を怒ってるのキルちゃん?」
『マッフォク、マフォマフォ フォクシィ』
「えっ!?」
「どうしたの?」
「えっと……マフォクシーがキルリアの言ってる事を翻訳してくれたんですけど
何迷子になってるんですか ゆんゆん、アタシずっと探してたんですよ……って」
「えぇ!? 迷子になったのキルちゃんの方でしょ!!勝手に居なくなったのに!」
『キルァ!? キルキル!!キルアリィキルゥ!!』
『マフォ……マッフォク、マッフォフォクシィ』
「えっ………はぁ!? ゆんゆんのクセに生意気ですね!!なら友達辞めても構わないですよ!!
って言ってます」
「えぇぇ!? ゴメンなさいキルちゃん!!ソレだけはお許しを!!!
もうふにふらさんや どとんこさんに あるえに新しい友達が出来たって手紙出しちゃったの!!!!」
『キルッアキッ、リアッキルキルリアッ♪』
『……マフォマフォ……マッフォク…フォクシィ』
「…………分かりました、ソフトクリームを買ってくれたら許してあげます……って」
「本当!! 任せてキルちゃん!
そうよね、もしかしたら私が迷子になってたのを忘れてたのよきっと」
『……………リアッ』
キルリアは隠れて笑う、その笑みはまるで悪魔の如く悪質な物だった
(このキルリア、典型的なイジメっ子タイプだわ)
『ペロペロ』
「美味しいキルちゃん?」
『キルゥ♪』
「良かった、友達と一緒にソフトクリームを食べられるだなんて……うぅ……感激だわ」
「よ……良かったですね……
あの…ゆんゆんさん、キルリアとは一体何処で出会ったんですか?」
「実はね、私パーティーメンバーを集める為に他の町のギルドでメンバー募集のチラシを貼って待っていたの、1週間程」
「へー1週間も、なら相当な人数が集まったんでしょうね」
「0よ」
「そうですよね、1週間もアレばソレぐら………いま何人来たって」
「0……誰も来てくれないどころか……声すら掛けて貰えなかったの」
「…………ゴメンなさい」
「良いの何時もの事だから、それで1週間後の今から5日前もずっとメンバーを待ちながら1人でババ抜きをしていたの」
「1人でババ抜き!?
ババ抜きって大勢でやるゲームじゃ」
「勿論1人じゃ無理よ、だから1人2役で互いの手札を引き合うの
相手の手札を引く前にトランプをランダムに動かせば何処に何の札があるか分からないからワクワクするしね♪
特にヤリ始めてから3日目の勝負は凄かったわ、60回連続で互いにジョーカーを引き当てたの
アレはハラハラして楽しかったな♪」
「へ……へぇ……そうなんですか……」
「そうやってババ抜きや真剣衰弱をやっていたら」
(1人で真剣衰弱…?)
{さぁハートの7は何処かしら……}
{キルゥ!}
{其所ね!
やった!!揃ったわ……ん?}
{キルッア}
{モンスター? どうしたのアナタこんな所で?}
{キルッア!}
{スペードの5……}
{キィルゥ………リアッ!}
{えっ!? 一発で引き当てた!!}
{キィル!}
{今度はクラブのキング}
{キィルゥ……リアッ!}
{凄いまた当てた……もしかしてアナタ、私と遊んでくれるの?}
{リィアッ♪}
「その後一晩中色んなトランプゲームを2人でヤりまくったり、ご飯を奢ってあげたの
一緒にオールして遊んだり、一緒にご飯食べた私達って友達だよねって勇気を出してキルちゃんに言ったら頷いてくれたのよ!!
だから私達は友達だよねキルちゃん♪」
『ペロペロ キル』
「分けてくれるの?
ソフトクリームをシェアだなんて……間違いなく私達は友達だわ!!!」
「………………良かったですね」
あまりの話の内容に上手い返しが思い浮かばず、先と同じ返事を返すしかないセレナであった
「(ま……まぁでも、お互い仲良くしてるのは本当だし
どうしようかしら……キルリアを譲ってください、その子は私達の故郷に帰さないとダメなんですって言いにくい
だからって実は私もその子も異世界から来たんです、って言っても信じて貰えないし
かと言って、めぐみんやダクネス達に説明した内容を言っても、アレは2人の知り合いのカズマやクリスが話してくれたから信じて貰えたけど
初対面の私が言って果たして信じて貰えるかどうか……うーん……)
どうしようかと頭を悩ませ考えるセレナ
「セレナ?」
するとそんな彼女を呼ぶ声が
「こんな所で何故頭を抱えているんですか?」
「頭でも痛むのか?」
『リオッリ?』
それはポケモン捜索から帰って来た めぐみんとダクネスであった
「あっ! めぐみん! ダクネス!
実は「此処で会ったが100年目よ!めぐみん!!」えっ?」
訳を話そうと口を開く自分よりも先に、何故かゆんゆんが前に出る
「ヤレヤレ……もう帰って来たのですか ゆんゆん」
「そうよ、私は貴女に友達を紹介する為に帰って来たわ」
「ほぉ~友達ですか、どうせ詐欺師や当たり屋か何かじゃないですか」
「グッ!? た…確かに先週まではその人の事を友達と思っていたけど、でも今は違う!!
正真正銘の真のお友達が出来たの!!
ねぇキルちゃん!」
『ペロペロ、キルキル! キルゥ!』
「ティッシュ?
あぁ分かったわ、さぁお口を拭きましょうね」
渡されたティッシュでキルリアの口の回りを拭き始める
「その子は見覚えがあるな……確か」
遠出をするので預かって欲しいとサトシから渡されたポケモン図鑑をダクネスが開き、キルリアに向ける
〈キルリア かんじょうポケモン エスパー フェアリータイプ
周りの人間達の発する、楽しいや明るいといった幸せの感情をキャッチする事が出来る〉
「やはりポケモンだったか」
「ちょっと待ってください!!!
ポケモンがゆんゆんの肩に乗りソフトクリームを食べてるって事は……まさか……まさかゆんゆんが、あのボッチのゆんゆんが!!この私よりも先にポケモンをゲットしたんですか!!!!!!」
「何の事?」
「あの………同じ紅魔族だからもしかしたらとは思ってましたが、ゆんゆんさんとめぐみんって……もしかして知り合い?」
「そうよ、めぐみんは私の永遠のライバルなの」
「自称ライバルです」
「自称じゃない!! 本当にライバルでしょ!!!」
「それよりこの我を差し置きポケモンをゲットするなんて、何ですかケンカ売ってるんですか?
ならば買ってあげますよ、そのケンカ!!!!!」
「だから何の事よ!? というかこんな町中で爆裂魔法を唱えないで!!!」
「知り合いなら
あのゆんゆんさん、ちょっと私達の屋敷でお話を聞いて貰えないですか」
「えっ?」
《カズマの屋敷内》
あの後、今にも ゆんゆんに噛み付きそうな めぐみんを何とか宥め、ゆんゆんを連れ屋敷に戻り
自分と今はこの場に居ない少年がカズマのパーティーに入った事や1週間前めぐみんとダクネスにカズマが説明してくれた内容を話す
「さ……流石は我がライバルね めぐみん、カズマさんだけでなくセレナちゃんみたいな良い仲間を見つけるなんて」
「あの……何かカズマと私が同類扱いされてる様に聞こえて嫌なんですけど」
「えっ!?
だって私の名前や名乗りを聞いても笑わなかったの、カズマさんとキルちゃんしか居なかったから」
「あぁそう言う意味か、なら大丈夫ですテッキリ人間性や性格を同類扱いされたのかなって」
「貴女も中々言うようになってきましたね、もし此処にカズマが居たらショックで寝込みますよ
一番悪口を言わなさそうな人に言われると、かなり心に来ますから」
「何時も町の人達に何故か私まで注意される原因を作り、自分のパンツを盗った人と同類扱いされて めぐみんは嬉しい?」
「ご…ごめんなさい」
自分も彼女の言う注意される原因を作っているので、目が笑っていないセレナから めぐみんは視線を外しながら謝罪する
『リオリオ! リオッリーリオッル!!』
「ありがとうリオル、カズマがボールを作り置きしていて良かったな」
カズマの部屋からモンスターボールを持って来たリオルにダクネスが御礼を言い、ゆんゆんにボールを渡す
「ゆんゆん、さっき説明した通りキルリアと一緒に過ごすなら、このボールでその子をゲットしてあげるといい」
「分かりました、キルちゃん!!」
『キルゥ?』
「私にアナタをゲットさせてください!!」
『リアッ』
『マッフォ!?』
「キルリアは何て言ったの?」
『マフッ……フォク』
「…………嫌って言ってる」
「ガーン!!!!!!」
「遂にポケモンにまで見放されましたか、哀れな」
『キルッキア! キッルリィ、キルッキリアリア!!
キルキル……キルッリアッ』
パシュン
「えっ?」
落ち込む ゆんゆんの持つボールにキルリアがタッチし中に入っていく
クイッ クイッ クイッ
カチッ
「ゲット……したのかコレは?」
『マッフォ マフマフ、マフォクッ!マフォクシィマフッ
マフマフ、マフォクッ』
「あぁ……そうなんだ」
「マフォクシー……いえこの場合はキルリアですね、何て言ったのですか?」
「勘違いしないでください、私は人にゲットされるのが嫌なだけです、自分からゲットされるのなら特別に手持ちになってあげますよ ゆんゆんと一緒に居るの悪くありませんし
だって」
「うぅ……」
ポン
「キルちゃぁぁん!!!」
『…………キルッ』
ゆんゆんはボールからキルリアを出し嬉しさから大泣きし抱き付く、そんな彼女に対しキルリアはソッポを向きながらも抱き付かれ涙が体に付いても特に気にしては居なかった
(この子、イジメっ子タイプとツンデレタイプの複合なのね)
「コレで ゆんゆんもポケモントレーナーか」
『リオッル!』
「この子がダクネスさんのポケモンなんですか?」
「あぁリオルだ」
『リオッ、リオル』
「わぁ~この子も可愛い~♪
めぐみんは?」
「はぁ!? さっき言いましたよね私より先にポケモンをゲットしたんですかって!
何ですかもう認知症になったのですか!それとも本当にケンカ売ってるんですか!!」
「あっそうだったわね……あれ?
って事は………フフン♪
つまりどっちが先にポケモンをゲット出来るか勝負は私の勝ちって事ね」
「バカなのですか、勝負開始の号令すらやってないんですよ無効に決まってるでしょう
それにキルリアは通常のポケモンなのでしょう、伝説と幻のポケモンを手中に収めようとする我と、そもそも勝負する権利すらありませんね」
『キルッ!? キルッア!!!』
「グハッ!? 何故急に蹴ってきたんですかこの子は!?」
『キルッキ!! キルリア キルキルキルッアキッ!!!』
「分かるわ……今なら分かる、キルちゃんの言葉が!
私がバカって言われたから怒ってるのよね!!ねっセレナちゃん!」
『マフォクッ……マフマフマフォ…フォクマフォクッ』
「……………そうです」
「キルちゃん!! ありがとう!!!!」
(私は世界最強のエスパータイプのポケモンになるのよ、通常扱いするんじゃない
って言ってたけど……まぁ良いよね)
「では ゆんゆん、その子のニックネームはキルちゃんにするんだな」
サトシ達からゲットしたポケモンにはニックネームを付ける事が出来ると聞かされたが、カズマは覚えやすいからそのまま、ダクネスはこの子本来の呼び方で良いと、2人ともニックネームを付けずに居た
「はい! 改めてよろしくねキルちゃん♪」
「相変わらず ゆんゆんは安直でセンスがありませんね」
「良いの!キルちゃんが気に入ってくれてるんだもん」
『………キルッ』
「何か嫌そうに見えますが」
「うぅ……きき…きっと照れてるのよ」
「あっ! 早く御飯の用意しないと、ゆんゆんさんも良かったら夕食一緒にどうですか?」
「良いの?
じゃあ お言葉に甘えて」
「早くお願いしますよ、もうお腹ペコペコですから」
「ハイハイ
そうだ! ご飯が出来るまで めぐみん、この反省文書いておいてね」
「ちっ!」
「舌打ちしてもダメよ」
「反省文?」
「ゆんゆんさんも知ってると思うけど、めぐみん達ってアクセルの町の人に色々迷惑掛けてるでしょ」
「そうね」
「ちょ!? なに即答してるんですか!!」
「それで3日前から被害を訴えて来た人達に反省文を書いて渡す様にしたの」
「た…確かにダクネスは触手のモンスターを討伐しようとする冒険者の邪魔をして迷惑を掛けているんで分かりますが」
「ア! アレはリオルに戦いの合間に、もし敵に捕らえられた時の対処法を教えようとしただけだ!!!
決して私利私欲ではない!!」
「へぇ……色んな所が濡れ濡れだったのにですか」
「そうね……」
「つぅぅ♪ 2人とも……良い眼差しだぞ…ハァハァ」
『リオリオ? リオッル?』
『マッフォ、マフォクッ』
心配するリオルに、ほっといても大丈夫とマフォクシーが伝える
「それにカズマはセクハラ、サトシは召喚したポケモンが数多い迷惑行為を犯し、アクアはポッチャマを探す為に人の家に不法侵入し風呂に飛び込むといった嫌がらせに近い行為をしているので反省文は分かります
だが!!何故爆裂魔法を撃っているだけの私が反省文を書かされるのですか!!!!」
「当たり前よ、どうせ私が居なくった後も毎日毎日バンバン撃ちまくって騒音妨害で近所迷惑になってるんでしょ」
「その通り、あと環境破壊だって自然保護団体からも苦情が来てます」
「うわぁ……」
「フン、爆裂魔法の素晴らしさは あの爆発音にも有るというのにソレが分からないとは
というか! 何故私だけなのですか!!セレナも爆裂魔法を撃っているんでしょう!!」
「この反省文を書くシステムを初めてからは私1度も爆裂魔法撃ってないわよ」
「なんですって!? 何サボってるんですか!!!」
「当たり前でしょ!
爆裂魔法のデメリットのせいでマフォクシーやサトシに毎回背負って貰ってるから2人に迷惑掛けてるし、町の人にまで迷惑掛けていたら止めたくもなるわよ」
「えっ……ちょっと待って……セレナちゃんも爆裂魔法使えるの…?」
「えぇ………実は」
コレは1週間前、セレナとサトシが冒険者登録を終えクラスを選ぶ際の出来事
{セレナ}
{何ですか めぐみんさん?}
{マフォクシーのパートナーである貴女なら間違いなく私と同じアークウィザードになれる筈、なので先輩としてアドバイスです
もしアークウィザードになったらスキルを使い爆裂魔法を覚えなさい、そうすればきっと貴女が成し遂げなければならない使命が叶いますよ}
(使命………確かに凄い魔法を使う事が出来ればポケモン集めもスムーズになるはず、そうすればサトシを早く生き返らせる事が出来る)
{お願いしますよ}
{………分かりました}
「という事があって」
「め…めぐみん……貴女…遂に詐欺に手を出すなんて」
「詐欺!? 何処がですか!?」
「爆裂魔法を覚えればポケモンを集める役目が早く終わるだなんて騙してるじゃない!!」
「それはまだ強いポケモンを相手にしていないからです、マフォクシーやピカチュウですら叶わぬ強敵を前に絶体絶命に追い詰められた土壇場で全ての力を込めて放った爆裂魔法で敵を討つ………はぁぁ♪実に最高じゃないですか!!」
「…………取りあえずスキルポイントを貯めて他の魔法を覚えようと思います」
「それが良いと思うわ」
「おい、今の話を聞いて何故爆裂魔法以外に浮気しようと思ったのか聞こうじゃないか」
「はぁ……とにかくご飯が出来るまでに、めぐみんもダクネスも反省文よろしくね」
「わかった」
「ちっ……分かりましたよ……ムムッ?
ちょっと待ってください、コレ昨日のお昼頃に爆裂魔法のせいで赤ちゃんが泣いたと書いてますが
私は昨日荒くれ者の冒険者達と喧嘩したという事で、カズマから1日ずっと自宅待機を命じられキチンと守っていたのですが」
「えっ? 本当だ……昨日のお昼頃にって書いてる」
「ま……まさか、あの爆裂魔法に3人目の使用者が現れたの!?」
「えっ………まさか……もしかして」
ゆんゆんの言った自分やセレナ以外に爆裂魔法の使用者が現れたという言葉を聞き、めぐみんの脳裏にとある人物の顔が思い浮かんだ
「ウィズじゃないのか? 確か彼女も爆裂魔法を使っていた筈だぞ」
「そう……でしたね……
(そうですよね、もし……もしあの人がこの町に来ていたら私の噂を聞いて会いに来てくれる筈ですもの)」
「知らなかった、あの店員のお姉さんも爆裂魔法を使えるんだ
でも……あのお姉さんは町の人に迷惑掛ける事しない様な」
「おい、まるで私なら人に迷惑を掛けるみたいな言い方は止めて貰おうか」
「実際迷惑掛けてるでしょうが!!」
「ぬわぁんですって!? 私より先にポケモントレーナーになったからって随分偉くなりましたね ゆんゆん!」
「ダクネス、めぐみんにも必ず書くように言っておいてね」
「あぁ…分かった………おや?
その杖どうしたんだ、買ったのか?」
台所に向かうセレナの腰に装着されている木の枝状の杖に目が止まる
「あぁコレ、買い物の帰りにリーンに譲って貰ったの」
「そうなのか、いや杖はお金を貯めてから買うと言っていたのに、どうしたんだろうなと思っただけだ、呼び止めてスマナイ」
「ほぉ杖を貰ったのですか、ではポケモンやトレーナーの知識の見返りに、この先輩アークウィザードの我が見定めてあげましょう」
「いや めぐみん、先ずは反省文を先に書いた方が」
「そんなのは後でも出来ます、どれどれ……えっ!?
コレ初心者用の杖じゃないですか!!」
「本当だ懐かしい、でもどうしてコレを貰ったの?
いきなりアークウィザードになれて、爆裂魔法を覚えられるぐらいスキルポイントがあるならセレナちゃん相当才能あるのに」
「マフォクシーが選んでくれたんです、この杖が自分の持ってる杖とソックリだからお揃いにしたいって」
『フォクシー♪』
「それに魔法使いとしては、私本当に初心者ですから」
「そっか、良いわよね友達とペアルック
私もキルちゃんと何かをお揃いにしたいな~♪」
『キッル!?』
「待ってください!
こんな杖じゃ爆裂魔法の良さを引き出せないじゃないですか!!」
「良いの、私は別に爆裂魔法を極めようとは思ってないから
もっと優秀な魔法を覚えてポケモン探しやゲットの役に立ちたいから」
「優秀……まるで爆裂魔法がネタ魔法みたいな言い方ですね」
「まぁまぁ めぐみん落ち着いて、実際ネタ魔法扱いされてるじゃない」
「ゆんゆんは黙っていてください!!コレは私達パーティーの問題なのです
分かりました、ならこうしましょう
マフォクシーはセレナとお揃いの杖にしたいのですよね」
『マフォ? マフォマフォ』
そうだよと頷くマフォクシー、そんな彼女を見て めぐみんはニヤリと笑う
「ならマフォクシーも杖を代えてはどうでしょうか、貴女も立派なアークウィザードなら もっと良い杖を使った方が良いと思いますよ」
『マフォクッ!? マフォマフォ!!』
「嫌って言ってるわ、悪いけど めぐみん、マフォクシーのこの杖は大事な」
「何故ですか、そんな役にも立たないタダの木の枝なんかより『マフォク!?』
もっと性能の良い杖を使わないと折角の才能が無駄に」
パシン!!
乾いた音が屋敷内に響き渡る
「「えっ?」」
ゆんゆんとダクネスは間の抜けた声をハモらせてしまう、何故ならセレナがいきなり めぐみんの頬をビンタしたからである
「つぅ!?」
「いい加減にして!!!
私の事は良いわ…もう馴れたから、でもマフォクシーは嫌だって言ってるでしょ無理強いさせないで!!!」
『マフォク!? マフォマフォ!!』
「止めないでマフォクシー
マフォクシーのこの杖は大事な物なのに……それを……役に立たない物扱いしないでよ!!」
「落ち着けセレナ!」
「私は……私は事実を言っただけじゃないですか!!
折角先輩として親切心からアドバイスしたというのに、何故叩かれなければならないんですか!!!」
「めぐみんも!! 落ち着いて!!」
「大きなお世話よ!!
この杖の事、何にも知らないくせに!!!
そうよ!めぐみんは余計な事ばっかり……爆裂魔法なんて役に立たないネタ魔法より、他の魔法を覚えていればもっとサトシやポケモン達の役に立てたのに」
「役に……立たない………何ですか……喧嘩売ってんですか……爆裂魔法をバカにするな!!!」
「めぐみん!!!落ち着いて!!!!」
今にも殴り掛かりそうな勢いの彼女を ゆんゆんが羽交い締めで抑える
「本当の事じゃないの!!!
リーンや他のウィザードの人達も爆裂魔法は覚える人の頭がどうかしてるレベルの使えない魔法だって」
「セレナ!! 止めるんだ!!!」
『マフォク!!!』
「……………そうですか………分かりました」
「めぐみん? 何処に行くんだ?」
「今晩は宿に泊まります、大丈夫ですよダクネス、パーティーを抜けたり何てしません
私は……カズマのパーティー以外に入るつもりはありませんから
それに年上のお姉さんの私が先に折れないと、何処かのナンちゃってアークウィザードがギャーギャー喚き散らして近所迷惑ですからね!!!」
「イラッ
その言葉そっくり返してあげるわ、町の人達から信頼されてるシッカリ者の私が折れないと何処かのナンちゃってアークウィザードが腹いせに爆裂魔法を撃ちまくって近所迷惑になるから!!!」
「イラッ
明日カズマ達が帰って来るまで屋敷には戻らないので、それじゃ!!!」
「めぐみん!?」
「ゆんゆん、すまないが めぐみんと一緒に居てあげてくれ
私はセレナを落ち着かせる」
「分かりました、キルちゃん行こう」
『キッルゥ』
肩にキルリアを乗せ、ゆんゆんも屋敷から出ていく
「……………」
「セレナ、めぐみんの言い方が悪かったのは私も謝る……だから」
「ご飯作って来るわ、今晩は私とダクネスとポケモン達の分だけだから直ぐに用意出来るから待っててね」
「セレナ……」
『マフォク……』
『リッオ?』
結局その晩、めぐみんは屋敷に帰って来る事はなかった。
セレナとめぐみんの喧嘩は次回で解決します