年末までには完結する予定です。多分。
ようこそ、神の使徒よ。─いや、元レオン皇帝と嘯くべきか?
何を戸惑う理由がある。まがりなりにもオレは七英雄だぞ?喰らった強者の食いカスくらいは脳の片隅にしまっている。オアイーブから聞かされていただろう、嫌われ者のクジンシーと。
ならば嫌なことくらいはするさ。罪人らしくな。
オレの町となったソーモンも悪党らしく女でも侍らせて歓待が筋なのだが、生憎この下半身は性欲が薄い。ああして無様さをひけらかして慰めをするのがせいぜいだ。
麗しき女など一皮剥けば筋肉の塊よ。少々手足を生やして顔を整えれば化け物の言いなりになる愚物がわらわらと現れた。こうして演劇を鑑賞すれば、どうだ、中々王様らしく見えてはこないか?
演劇『七英雄』は楽しんでいただけたかな?
>ピコン。
そうだろうそうだろう!
身を捨てた哀れな英雄が代々の負債を解決し、愚かさを極めた政治屋が人を騙しそれを消し、そして誹謗する。理解せぬ民衆は遠き新天地にて新たな負債を積み重ね、後悔した一部だけが滅びを享受し受け入れられる。残るは虐げられた未来の支配者のみ。
とはいえ、オレも演劇はど素人。根拠無しのクジンシーの名にふさわしく表現や感性の発現に一家言などない。
頭の良い奴は考えがまるで分からん。愚か者のクジンシーには到底及びもつかぬ
>ピコン。
言動が違う?ニセモノ?
陰謀論のクジンシーと呼ばれたオレも模倣犯は世界が滅びようとついど現れなかった。現れたらそれは世界の救世主だ。オレの戯言など無視して殺し合いが始まることなど当然だった。末席のクジンシー。面汚しのクジンシー。ふむ、品性で勝ったのは初めてかもしれんな。
だが、オレはクジンシー。神に罰されしクジンシーだ。貴様が始めたサーガの礎となる愚かなモンスターだ。
>ピコン。
…まだ話し足りないのか。あの女の口は金庫か何かか?地位が高い生まれは息を吸うので精一杯か?全く、残念ながらオアイーブは父親に似たらしい。地べたで健全に呼吸をした田舎出身のオレは会ったことすらないが、やはり大神官らしい悪辣さは健在なようだ。
美人だとは聞いたが、結局浮いた噂のひとつも聞こえなかった。長年使われない身体には蜘蛛の巣が張ると聞くが、古代人には適用されると思うか?オレは使い込んでいると賭けているが…レオン皇帝も男だ、抱いたのだろう?
>ピコン。
なるほど、なるほど。大した
だからこそ、おぞましい。
オレは、生粋の悪党だ。
オレは昔々の更なる昔に神様に怒られてな、この世界にクジンシーとして生まれ変わった。神の怒りを受けた地にて善行を成せとな。この醜い姿を見ればわかるが、大失敗に終わったがな。
嫌われ者、死にたがり、面汚し、陰謀論、あとは政治犯に狂信者、泣き虫弱虫ゴミ屑…なんだったか。古代人達からは山のように馬鹿にされたよ。虫一匹にひーこらしながら笑われて、全く事実なものだから頷くしかない。
神曰く、英雄は山手線の所縁を名として得る。
>ピコン。
はは。はははは!モンスター退治に!皇帝様が!わざわざ出向いて来た!周りの兵隊は飾りか!オアイーブ製のモンスターはさぞかし自信がおありでなされる!
──頭を下げてアバロンを差し出せば、我が重臣に取り立ててやってもいいぞ。
レオン皇帝に寄生された貴様も、自我を失いたくはあるまい。オレの身体は特別製だ。
少々姿形は化け物になるが、なあに。オレほどではない。何故か奴等からはオレが死ぬのを待ち侘びているが、オレは七英雄のクジンシー!貴様を殺すのは訳ないことよ!
>ピコン。
私の力を見せてやったのに、勝てる気でいるとは。頭の悪い奴め。アバロンは実力で頂くとしよう。
息子諸共、あの世へ送ってやるわ!!
ソウルスティール!!
な、なにぃ!?か、躱せるはずがない、有り得ぬ!
想い、だと…!そんなもので…!そんなモノで世界が変わってたまるか!!
「お前の負けだ!クジンシー!!」
ひげぇ!!
こ、このオレがやられるとは!パワーをたくわえるためにまた長い間眠らねばならぬのか!
アイツらの誰かは知らんが、ねっとりした視線を何百年も浴びるのは懲り懲りなんだぞ!?くそう!
だ、だが!まだ死んだわけではないぞ。復讐してやるぞ、必ずな!
ふふふーん。
>ピコン。
!???!??!??
な、なぜ此処に!?オレが此処で晴耕雨読の暮らしをしていることにいつ気がついた!死刑後は無罪がお前たちの法律だろう!?
て、手紙?…『レオンの封印したダンジョンで待つ クジンシー』ってなんだコレ!?
>ピコン。
この下半身でそんな細かい綺麗な文字書けるわけないだろうが!そもそも若い時すら名前くらいしか書かない我が身で!皇帝宛に送る伝手などあるわけないだろう!
>ピコン。
はあ?お前はオレを殺したヤツとは別だ。…一族に対しての怨みはあるが。殺って、殺られて。それ以上は不要だろう?モンスターとして駆除されるなら反撃はするし、生きるために逃げ隠れる。
長年バカにされたオレは考えるのをやめた。どれだけオレが身を粉にして必要性を説こうが、世界中の
バカにされるのは、区別されるに等しい。
全てが下となる世界は棄てることを選べてしまう環境だ。話題は下劣だ。政治は下品だ。ターム、同化の法、災害の原因。オレより何倍も頭の良い連中が確かめもせずに否定した。無視は絶望だ。根拠が無いと笑い飛ばした否定にこそ、事実など重ねてすらいないのに。
オレは見下される格下の命懸けは不粋か。神の言葉を犯罪者の口から出してはいけないのか。どいつも、こいつも、オレさえも。
オレは強くなった。次は何をすればいいんだ。ロックブーケ、お前を追いかけさせてくれ。ダンターク、オレを殴ってくれ。ボクオーン、オレを蔑んでくれ。ノエル、ワグナス、何か命令してくれ。そうで無いと─
─チッ。少し混ざったか。
まあいい。
>ピコン。
卑怯?恥?貴様が王だから目の前にいる取り巻きを数えないのか?なんとまあ信憑性が保たれる話だ。お忙しくて鏡すら見られないようだ。
あの世で顔でも洗うがいい!!
─クソが。
糞、くそ、クソ、くそが。
誰もがオレを無視しやがる。嘲笑って足を引っ張るのがそんなに楽しいか。英雄の名の下に奴隷となったオレにまだ失えと嘯くのか。オレの身体すら、奪い潰した貴様らに、これ以上何を期待すれば良いのだ。
─いいさ、待ってやる。
幾らでも使え。有り余る時間を賭けろ。オレも、古代人も、貴様達すら、神の意向の前には全てが無意味だ。皆が踏みつけた利息は、神が必ず回収する。
化物に死後の救済を望めると思うな。
─なぁ、英雄様よ。
クジンシー(死体)「やりました!やったんですよ!必死に!その結果がこれなんですよ!平民が政争に乗って、殺し合いをして、今はこうしてラストダンジョンを歩いている。これ以上何をどうしろって言うんです?何と戦えって言うんですか!」