ミレニアムオスメイド   作:男でミニスカメイド服はキツイ。

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C&Cのミレニアムオスメイド。

 

ミレニアムサイエンススクール。キヴォトスの中でも最先端を行く学園で、その科学力は他の追随を許さない。

 

 

 千年難題を解き明かすために結成された学園は、今やキヴォトスの三大校に入るほどの影響力を持っていた。

 

 故に、その自治区もモノレールと言う移動手段が必要になるほどに広く、その敷地内で悪さを企む者も当然居る。

 

 今宵も、夜な夜なそのミレニアムの敷地の中で違法な武器の取引をする者達が居た。

 

寂れた港めオートマタ達が辺りを警戒する中、多額の札束の入ったアタッシュケースと引き換えにに武器が輸入されていた。

 

 いや、正確には()()()()()というのが適切だ。

 

 すでにその場は周りのコンテナごと派手に荒らされており、取引をしていた者達、取引に関わった者達は皆爆煙を背に倒れていた。

 

 ミレニアムでこの様な破壊活動を行う部は……たった一つしかない。

 

 ミレニアムサイエンススクールに奉仕するエージェント組織、メイド部ことCleaning&Clearing……略称C&Cだ。

 

 彼女達は任務のためにはあらゆる犠牲や破壊を厭わない……今回の任務はミレニアムで不正に輸入されている武器の取締。その結果がこの港の惨状である。

 

 そんな見るも無残な港を背景に、一機のオートマタがコンテナを背にして倒れていた。

 

 そして、その目の前には、ヘイローを浮かべた一人の男――C&C所属、龍造寺タイガが愛銃の『レ・マット・リボルバー』を向け、腰に日本刀を差しながら立ちはだかっていた。

 

 とは言ったものの、タイガも結構ボロボロで目の前のオートマタは相当手練だったことがうかがえる。

 

 タイガもぜぇはぁと息も絶え絶えになりながら、その虫の息のオートマタに話しかける。

 

「強ぇなアンタ。そんなに強いんならPMCにだって入れただろうに。」

 

 タイガは独り言のつもりでそう呟いたが、意外にもそのオートマタは言葉を返してくれる。

 

「へっ、逆だよ。元PMCだから強いんだよ……ま、まさか脱PMCして初めての仕事でこんなヘマをやらかすとはな。」

 

 オートマタはそうやって自分を嘲笑すると、タイガは数泊置いて軽いノリで話しかける。まるで古くからの友人に言葉をかけるようだ……目の前のオートマタとの戦闘で、二人の間には奇妙な優勝ができていたのかもしれない。

 

「……ま、悪い事はしちゃいけねぇって教訓になったろ。素直を罪償って真面目に働きな。」

「へっ……ちげぇねぇ…………」

 

 オートマタは全くもって、ちげぇねぇと言葉を紡ぐ……すると、何を思ったのか、そのオートマタは先程まで敵対していたタイガに向けて、一つ声をかけた。

 

「あんた、最後に一つ聞いてもいいか?」

「なんだ?」

 

 タイガの許可を得ると、そのオートマタは、首を少年のもとに動かして呟いた。

 

「……なんでお前男なのにメイド服着て――――」

 

 レ・マット・リボルバーの銃声が2発、その場に轟いた。

 

 オートマタはガックシと気を失ってその場に倒れ込む。少年は目元を暗くしながら何も言わずに手に持った銃をホルスターに収めた。

 

 すると、通信機から同じ組織の仲間から連絡が入ってくる。その仲間は少年の名を口にしながら、少し困惑したような口調で問いかけた。

 

『……通信繋がってたしスコープ越しに見てたんだが……お前なんで撃った?』

「……えぇ?俺、知らんでぇ?」

『無理がある……!それはさすがに無理があるぞ……!!』

 

 通信機の奥、スナイパーの角楯カリンは苦虫を噛み潰したような口調でそう言葉をかけた。

 

「……人には触れられたくない事があるんだ。俺にとってはそれがこの格好だっただけの話だ……」

 

 そう言って、自身のガタイの良い身体に(何故か)フィットするメイド服を整える。

 

 そう、この龍造寺タイガという少年は、男にも関わらずメイド服を着ている。

 

 趣味ではないし、心の中が女の子と言う話でもない。強いて言うならば……上からのお達しでメイド服を来させられる羽目になった可哀想な少年なのだ。

 

 すると、少し遠くの方で爆発音がさらに響き渡る……タイガは、目を細めながらカリンに問いかける。

 

「それよりもカリン(ゼロツー)アカネ(ゼロスリー)ネル先輩(ダブルオー)を止めてくれ。このままだと港が爆炎で干上がる。」

『了解だ……だが、アスナ先輩(ゼロワン)はまだ見つからない。』

「大方いつもの()で隠された武器かなんか見つけたんだろ、そっちは俺が探しておく。」

『分かった、幸運を……タイガ(ゼロゴー)

 

 そう言って通信機は切れる。

 タイガは肩を落として、呼びかけながらスタスタと歩く。

 

「おぉい、先輩!せんぱぁぁい!!」

 

 コンテナ積み重なるその港を歩く。だが、歩けども歩けども中々お目当ての仲間……タイガの先輩である一之瀬アスナは見当たらない。

 

 わりと普段から自由行動している事の多いアスナだが……こうも見当たらないのは珍しい。

 

 すると、暫く開けばコンテナの影で屈んでいるアスナを見つける。タイガは、漸く見つけたと言わんばかりに駆け寄った。

 

「見つけた、先輩。何やってるんです?」

「んん?この子!」

 

 そう言ってアスナが見せてくるのは、小さな小さな子猫と親猫だ。アスナは、慣れた様子で猫を撫でながら呟く。

 

「この子達、戦いに巻き込まれたら可哀想だから……ここまで離してあげてたの。」

「猫っすか……まぁ、向こうはネル先輩とかカリンとかアカネに任せとけば安心ですもんね。」

「あ、勿論こっちの仕事は終わらせてるよ?」

「別に疑ってませんよ、アスナ先輩はそのへんの両立できる人ですからね。」

「出来ない人がいるの?」

 

 アスナの無垢な問いかけにタイガは目を細めて呟く。

 

「そりゃあ、先輩いつも見てるでしょ?すぐ爆発させる爆弾魔とか戦闘の余波で全部壊しちゃうヤンキーとか……あの人達と比べたら全然……」

 

「ふふっ、誰が爆弾魔でしょうか?」

「あたしに対してそんな舐めた口利くとは……良いご身分になったじゃねぇか、タイガァ。」

「終わった。」

 

 タイガはそう言って笑顔のまま、そっと後ろの破壊神――先輩と同僚に顔を向けるのだった。

 

 

 

 

 

閑話休題。

 

 

 

 

 

 そこには、同じC&Cの室笠アカネとリーダーで部長、約束された勝利の象徴、美甘ネルによって完膚なきまでにボコボコにされたタイガの姿があった。

 

「前が見えねぇ。」

「タイガ……顔が潰れたみかんみたいになってるぞ。」

「カリンこれ直せない?」

「無理だな。」

 

 あっさり学友に見捨てられてへこむタイガ。5人はやがて押収した武器をバンに詰め込んで、これから帰宅する所だ。

 ネルは肩を回しながら呟く。

 

「さぁて、これで依頼は完了だな!飯でも食いに行くか?」

「さんせー!」

「いいですね。」

「お供する部長。」

 

 口々に賛成の意を表明するC&C。タイガも当然ついていくつもりだ。だが、一つ待ってほしい気持ちもある。

 

「あのっ、せめて俺の顔が戻るまで待ってもらえませんかね?」

「てめぇはその面のまま飯を食ってろ。」

「ネル先輩酷くね!?」

「……陰口は言うものではないということだな、タイガ。」

「カリン、何いい感じに締めてるんだ?俺顔面こんなんになっちゃったんだけど!?」

「まぁまぁ、落ち着いてくださいタイガさん。身から出た錆です。」

「タイガくんー!お腹すいたー!早く行こー!」 

「えっ俺っすか。運転手確かに俺っすけど。この顔の状態の俺に頼むんすか…………ええい!もうわかりましたよ!ほら、行きますよ!」

 

 半分やけになったのかバンの運転席に座るタイガ。

 

「へっ、ま、お前は今回頑張ったから、飯屋はお前が決めていいぜ?」

「マジですか、どこ行こうかな。」

 

 タイガはワクワクしながら考えていると、ネルは悠々と助手席に座ろうと足を進める……すると、待ったがカリンによって掛かる。

 

「部長、何故ナチュラルに助手席に座ろうとしている?」

「あっ?ナチュラルじゃねぇーよ別に。」

「部長に隣に座られるとタイガは緊張すると思う。代わりに私が……」

「いえ、ナビでしたら私が自信があります。ここは私が助手席でナビを……」

「えぇ!ズルい!だったら私もおいしい店見つけられるよ!」

「あんたら取り合ってないで早く乗ってください!俺だって腹減ってるんですよ!」

 

 

 

 結局助手席にはネル先輩を乗せました。理由は……当人はなんとなくと言っていましたが、事実は一番座らせてて気が散らないからだそうです。

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