ミレニアムオスメイド   作:男でミニスカメイド服はキツイ。

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パヴァーヌの前のワンクッション。


05(ゼロゴー)は災厄と共に。

 

 ……突如失踪した連邦生徒会長。その代わりとしてキヴォトスにやってきた外から来た大人、先生。そして、その先生の所属する独立連邦調査部、シャーレ。

 

 キヴォトスの事件に関して自治区を問わず介入することができる無法な組織だ。

 

 ここしばらくの間で、キヴォトスはかなりの変化を遂げた……なんでも、すでにシャーレはキヴォトスでも幅を利かせていたカイザーコーポレーションの裏の顔を暴いてしまったそうではないか。全く、末恐ろしいことこの上ない。

 

 矯正局からは囚人が逃げ出し、暴力沙汰の事件は増え、もはや治安が最悪レベルになってきているが……

 

 だが、そんな日々でもC&Cの日常は変わらない。今日も今日とて任務を遂行する……それだけだ。

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 とある路地裏、バヨネットのつけられたライフルと刀が打ち合い、火花を散らす。その武器の持ち主達は睨みを利かせながら、相手を押し出そうと武器に力を込める。

 

 

 方や刀を持つのは、C&Cのコールサイン05、龍造寺タイガ。

 

 方やバヨネットのついたライフルを持つのは……矯正局から逃げ出した、七囚人が一人。災厄の狐、狐坂ワカモ。

 

 タイガは、咄嗟にワカモからかけられた力を逸らしてワカモの体勢を崩すが……ワカモはアクロバティック名動きで体勢を崩した勢いのままタイガの後ろに回り込む。

 

「ふふっ……中々、楽しめますわね。」

「そいつぁどう……も!!」

 

 タイガは刀を大きく振るうが、またもやワカモは大きくはねて斬撃を避ける。ワカモは夜に浮かぶ満月をバックに、ふふっと微笑みを浮かべながらライフルを向ける。

 

 ……さて、本日のタイガの任務は……街で暴れる不良の鎮圧だった。かなり大規模な数が動いており、他のC&Cのメンバーも出動している。

 

 

 それがどうして、どういうわけでタイガとワカモが路地裏で戦闘を行っているのか……答えは単純、その暴動を起こしたのがワカモだからだ。

 

 厳密に言えば、ワカモは自分が破壊活動をするための時間稼ぎとして不良たちを焚き付けて暴れさせた……前にも、何度かやっている手だ。

 

 タイガも、そんなワカモの手は良く知っていた……かつて、その暴動を起こす不良達の役としてタイガが誘われたことがある。まぁ、タイガが荒れていた頃の話……半ば黒歴史のようなものだ。

 

 まぁ、兎に角、手の内がタイガは読めていたからこそこうしてワカモがそろりと入りそうな路地裏へと先回りできたのだ。

 

「相変わらずコソコソ動くのが得意みてぇだな。」

「あら、貴方と何処かでお会いしましたか?私には貴方の様なメイド服を来た殿方の知り合いなぞ、居ないはずですが……」

「……まぁ、あったとしても今は関係ねぇか。テメェを捕まえるだけだからな。」

「出来ますか?貴方に。」

 

 その問いに、タイガは刀を携えて答えた。

 

「……やるんだよ。」

 

 ……そうはいったものの、ここに来たのはタイガの勘による完全な独断な上、他のC&Cのメンバーは暴徒の鎮圧で手一杯だろう。

 

 まぁ、そこまで時間は掛からないだろうが……その間に、タイガがワカモをこの場所に縛り付けていられるかが問題だ。まぁ、やらなければならない。最悪、ワカモにミレニアムで被害を出されるのだけは避けなくては。

 

「……ふふっ、では……参ります。」

「来やがれ……!」

 

 ワカモは大きく飛び上がり、手に持ったらライフルでタイガを狙い撃つ。タイガもリボルバーを取り出してワカモへと放つ。

 

 放たれた弾丸は、互いの頬をかすめて地面へ、空へと撃ち上がる。そして、ワカモは落下の勢いのままバヨネットをタイガへ叩きつけた。

 

「っぶね!」

 

 タイガも咄嗟に刀でガード……だが、勢いのあまり、タイガは刀を持っていた腕ごと下に下げられて、ライフルの銃口を向けられる。

 

 本来なら避ける場面だが……ここで避けるのは相手も読むはず、ここで相手にペースを掴まれる訳には行かない。

 

「っちっ……!」

「おやっ?」

 

 タイガは咄嗟に避けるではなく、銃弾をあえて受けることを選択した。頑丈なキヴォトスの人間ならではのやり方だ。

 

「いってぇなぁ!!」

 

 タイガは次の瞬間、刀でワカモの足を払う様に振るう。ワカモは咄嗟にバヨネットを地面に突き刺して、ライフルの胴でガードする。

 

「それは流石に逆恨みです。」

 

 二人は獲物を手に互いから距離を取る。タイガは刀を構え……ワカモはバヨネットを向ける。

 

 ジリジリと互いに相手に回り込もうと、円を描くように動いていく……そして、互いに同時に足を踏み込み、刃をぶつけ合った。

 

「……っ!!」

「あらあら。」

 

 互いに連続で刃を打ち付けあい、鍔迫り合いになる……そして、不意にタイガは手を緩めて懐のリボルバーへと手を伸ばし……直ぐ様至近距離でレ・マット・リボルバーの散弾をお見舞いする。

 

 ワカモは流石にもろに喰らって大きく後退りした。

 

「くぅっ……散弾ですか……」

 

 レ・マット・リボルバーは通常の弾九発の他に散弾を一発組み込める特殊なリボルバーだ。サブウェポンとしては中々に頼りになる。

 

「変わってるだろ、お気に入りでね。」

 

 タイガはそう言うと、もう一度刀を持ち、構えながらワカモへと向かう……すると、ワカモはそっと笑顔になる。

 

「あら、危ないですよ?」

「っ!?」

 

 すると、タイガの足元が突然爆発し、爆煙が舞う…………どうやら、始めから仕掛けておいたらしく、大きく後退りしたのも、おびき寄せる為だったらしい。

 

「くっそ……ボマーはアカネ一人で十分だっての……」

 

 タイガは流石の衝撃に思わず膝を地につける。服も身体も少しぼろぼろになってしまった。

 

 が、刀を杖代わりになんとか立ち上がり、もう一度刀を構える…………爆弾には何か細工がされてたのか、濃い爆煙が辺りを包んでいた。

 

「……何処から来る。」

「――ここからです。」

 

 そう言ってタイガの後ろに回り込み、バヨネットを振り下ろすワカモ。タイガは咄嗟に振り返りながら刀を振るいバヨネットを、ワカモの手ごと弾く。

 

「っ……!」

「そこかっ!」

 

 タイガは刀を片手に駆け出し、気配の感じる方へと刀を振り下ろす……だが、空を斬る感覚だけが手元に残った。

 

 次の瞬間、下から銃弾がタイガを襲う。どうやら、タイガの足元に倒れ込んで居たようだ。

 

「痛っ……!ちぃっ。」

 

 ……不覚にも食らってしまったが、煙は晴れてきた。さぁ……次は何処から来る?タイガは警戒態勢を取りながら辺りを見渡す。

 

 ……だが、ワカモは煙が晴れるとその場から忽然と姿を消していた。まさか逃げたのか?そんな訳がないとタイガは頭を抱えるが……何処を見てもワカモが居ない。

 

 ……すると、上空から不良の鎮圧を終えたらしいネルが降ってくる。

 

「っと……タイガ、派手な音が聞こえたが、テメェこんな所で何を――」

(……なるほど、ネル先輩が来たからか。)

 

 どうやら、相変わらずワカモは引き際というやつを良く心得ているらしい。そういうところがまた嫌らしいと、タイガはワカモへの苦手意識を募らせる。

 

「……って、お前ボロボロじゃねぇか!?何があった!?誰にやられた!?」

「ちょっとワカモ見つけて……」

「災厄の狐か!?……ってことは、あの不良共もワカモの仕業か?」

「多分。まぁ逃げられちまいましたけど。」

「……つかお前、また単独行動か?報連相ちゃんとしろって何度言ったら分かんだよテメェは!」

 

 ネルのお叱りに対して、タイガは軽く頭を掻いて呟くり

 

「いやぁ、早くいかねぇと何されるかわかんなかったんで……咄嗟に?」

「テメェは咄嗟で色々やりすぎだど阿呆。思慮深くやれやもうちょっと。」

「あんたの何処を押せば思慮深くなんで言葉が出てくんすか。」

「よぉしもっとボロボロにしてやるよ、そこに治りやがれ。」

 

 ネルは怒りに顔を歪めて、愛銃を構えて呟く。タイガも流石にこの状態ではやり合いたくないと手を挙げて降参の意を示すのだ。

 

「ったく……おら、行くぞ。」

「あいよ。」

 

 そう言ってタイガは刀を鞘に納めてから、先を急ぐネル先輩の後を追うのだった。

 

 




バヨネットと刀を打ち付け合う様を見たかった。
次回よりパヴァーヌ編です。
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