ミレニアムオスメイド   作:男でミニスカメイド服はキツイ。

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レトロチック・ロマン
ミッションスタート


 

 ――ミレニアムの明くる日。

 ミレニアムタワーのオペレーションルーム(そこ)に、ミレニアム四人のエージェントが集結していた。

 

 コールサイン01、02、03、そして05。それほどの戦力を引き連れて、一体何をするつもりなのだろうか?

 

 彼女達の眼の前に立つのは、今回の依頼主。ミレニアムの生徒会でもあるセミナーの会計担当。早瀬ユウカだ。彼女は、C&Cの面子を一目すると、コホンと息をついて語る。

 

「それじゃあ、改めて依頼内容を整理するわ。今回の目的は、ヴェリタスと手を組んだゲーム開発部が、『鏡』を奪取するのを阻止する。それと、ここはミレニアムタワーだから被害は最小限に……お願いしますね。」

 

 ヴェリタス、それはミレニアムの部活の一つで度の超えた技術を持つハッカー集団だ。今回奪取されると予測されている『鏡』も、そのヴェリタスの部長ヒマリが開発したツールである。

 

 そんなヴェリタスと協力し、鏡を手に入れんとするゲーム開発部…………かつて世紀に残るクソゲーを作った事以外は特段なんの変哲もない部活だ。純粋な子達、だからこそとんでもない悪事に手を染めてしまうのだという。

 

 カリンは少し顔をしかめて呟く。

 

「しかし、ヒマリ先輩からのタレコミとは言え、本当に来るのか?信じがたいが……」

「う〜ん、来るんじゃないかな?そんな気がする!」

 

 アスナはいつもと変わらない調子で、そんな風に予想を立てる。

 

 とは言え、カリンの懸念も最もだ……ゲーム開発部は今や廃部の危機、そんな部活には何もできることはない。普通なら……だが。

 

「……それに、今のゲーム開発部にはシャーレの先生が付いて居ますから……」

「シャーレの先生、か。」

 

 タイガはその言葉を聞いて、軽く頭を掻く。シャーレと言う組織や、先生の指揮や大人としての手腕……それは、アビドスに巣食うカイザーを追い払った事で一層広まっている。中々に厄介な存在を味方につけられたものだ。

 

「先生なら俺としちゃ強盗なんてする悪い子は止めて欲しいんだがねぇ……」

「元々不良だったお前が言うのかそれを。」

「バレたか。」

 

 タイガはそう笑って誤魔化す。だが、タイガの言葉は本音でもある……一応は先生なのだから、こういった悪い事は素直に止めて欲しい。と、そんな事を考えたりもする。まぁ、少し潔癖過ぎる気もするが。

 

 すると、アカネが静かに言葉を紡ぐ。

 

「……しかし、相手に先生が居ようと、我々の為す事は変わりません。C&Cとして、任務を達成するだけです。」

「……そうだな。」

 

 タイガはそうアカネの言葉を聞いて頷く……因みに、今日はネルは野暮用で居ない。絶対的な勝利の象徴が居ないのは不安だが…………他のコールサイン持ちもかなりの手練だ。任務遂行に滞りはないだろう。

 

 そもそもネルは破壊に特化した人……防衛であるならば、ネルが居ないほうがむしろやりやすい面もあるかもしれない。

 

「それじゃあ私はそろそろ配置につく。」

「それじゃあ私も行って来るね〜!」

「怪我すんなよ〜。」

 

 そう言ってカリンとアスナは部屋から飛び出す。

 タイガとアカネはそれを見送ると、部屋で待機……その間、タイガはやる気なさげに椅子に座り込む。

 

「……あーあ、なんかやる気でねぇ。」

「出してくださいよ、お願いだから。」

「……タイガ、あんたねぇ……」

 

 ユウカは呆れを込めた表情でタイガを見つめる。するとタイガはカツンカツンと刀で地面を突きながら、頭を掻くのだ。

 

「……なんかヒマリ先輩に乗せられてる感じがしてなぁ。」

「たしかに、態々タレコミをしたのは妙ですが。」

「……なんだかなぁ……」

 

 タイガはそう言うと、座っている椅子をくるくると回す。タイガとしては、どうにも今回の依頼はきな臭い……ヒマリから態々情報を垂れ込むなんてのは稀だ。何か他の目的がある事には違い無いが……タイガにはそれが分からない。

 

「……なぁユウカ。ゲーム開発部のメンバーって誰が居る?」

「えっ、えぇ。才羽モモイと才羽ミドリ、花岡ユズに、天童アリスちゃんね。」

「……アリス?」

 

 聞き馴染みの無い名前にタイガは小首を傾げる。

 

「最近ゲーム開発部に入部した子。かなり大きい武器を背負ってるから、見れば分かると……!!」

 

 解説している途中で、ユウカは監視カメラの映像を見て驚居た様子を見せる。アカネが静かに問いかけた。

 

「どうかしましたか?」

「っ!来た!」

 

 ユウカが確認している監視カメラに映るのは、巨大な武器を携えて道を阻む防衛用ロボットを打ち破る長い髪の少女…………天童アリスだ。

 

「この子がアリスか。確かにでけぇな……銃と言うか砲じゃねぇか。」

「どうやら、他に仲間は居ないようですね。」

 

 監視カメラで確認できる範囲では、他に仲間は居ない。アリス一人で強行突破してきた様だ……流石にそのでかい武器は飾りではないようで、一発放つごとに多くの防衛用ロボットが、吹き飛ばされる。

 

「……明らかにヘイト役だな。」

「えぇ。その様ですね……ですが――」

「放っておく訳にも行かねぇ……か。」

 

 タイガは廻していた椅子を止めて、刀を手に立ち上がる。

 

「少し出迎えてくる。」

「手厚く歓迎して上げてください。」

「そりゃあもう、泣いてしまう位に盛大にね。」

 

 タイガはインカムを耳につけると、刀をしっかりと握りしめてオペレーションルームから飛び出す。

 

 

 

 

 

 

 

 タイガは途中何体かの防衛用ロボットとすれ違いながら足を進めると……とあるタイミングで、激しい光とともに防衛用ロボットが何体も吹き飛ばされる場面を目にする。そして、聞こえてきたセリフは――

 

「光よ!!!」

 

 ……タイガは、急いでその方向に駆け寄ると……そこには、監視カメラで見たゲーム開発部の部員、天童アリスが居る。タイガは刀を鞘から抜いて呟く。

 

「……お前がアリスか。」

「連続エンカウントです!……!貴方も剣を持っているのですか?戦士――いえ、その格好は遊び人ですね!?」

「誰が遊び人じゃ!俺だって好きでこんな格好してるわけじゃねぇやい!」

「……?では旅芸人ですか?それとも笑わせ人ですか?」

「あんま変わんねぇじゃねぇか!?せめてメイドだろ!」

「わかりました!オスメイドさんですね!」

「オスメイド……合ってるけどもよぉ!……って、いかんいかん、相手のペースに飲まれるな俺……」

 

 ……すると、タイガはやりづらそうに頭を掻いくと、静かに語り始める。

 

「……警告だ、今すぐ帰れ。そうすりゃユウカも俺達も何もしねぇから。」

「いいえ。アリスは重要なクエストを任されたのです!ここで逃げる訳には行きません!仲間のためにも!」

「……そうかい。」

 

 アリスは背負った大砲――光の剣を構える……だが、その大きさから取り回しは良くないようで――抜刀したタイガが懐に入るほうがはるかに早かった。

 

「そのデカい砲、この至近距離で撃ってみな。爆圧で自傷する覚悟があんなら……なぁ!」

 

 次の瞬間、タイガの刀の斬撃がアリスの首元を襲う……キヴォトスの人間は頑丈だ。鋭く研がれた刃でも、どんなに相手を斬るつもりではなった一撃も、ただの峰打ちになってしまうほどには。

 

 だが、峰打ちも、限界まで高め物を急所に打ち込めたのならば相手の意識を刈り取る程度は容易にできる。アリスは衝撃に疲労感に襲われ……その場にパタリと膝をつく。

 

「くっ……目の前が……真っ暗……に……」

 

 アリスはそう言い残すと、その場に倒れてしまった。

 

「悪いな、俺ぁネル(ダブルオー)を真正面から打ち破るのを目標にしてんだ。こんな所で負けてはやれねぇよ……とは言っても、あの威力……当たったらやべぇな。さて……と。」

 

 するとタイガはインカムで連絡を送る。

 

「アカネか?アリス気絶させたぞ。」

『相変わらず一瞬でしたね……()()()()()()()()()。』

「上手く当てられなきゃ意味ねぇけどな……この子はどうする?」

『取り敢えず、反省部屋に輸送をお願いします……しかし、やられましたね。エレベーターの指紋認証システムを破るために扉を打ち破るとは……おかげでシステムの総取っ替えが必要になりそうです。』

「ま、その辺はアカネの方が畑だから任せるぜ。俺ぁ」

 

 タイガは通信を切ると、アリスを背負って反省部屋へと移動する……正直武器も含めてかなりの重量で、運ぶのはかなり辛かった。

 

 武器は没収するか悩んだが……またあの重い荷物を背負うのは御免だ。どうせ暫くは目覚めないからとそのまマにしておくことにした。

 

 ……これが負け筋を生むことになるとは、タイガは予想できなかったと言う。

 

 

 

 




()()()()()()()()():相手の急所に正確に斬撃を叩き込むことで気絶させるタイガの技。相手に当たればほぼ確実に戦闘不能にできるが、コンマ1ミリでもずれるとただの攻撃になる為、使い時は限られる。因みに痛みはほとんど無いらしい。
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