凡庸でありふれた転生者達の小話   作:血涙鬼・彼岸

26 / 62

筆者は沖縄古来式祖先崇拝者なので沖縄の主神は作中通り扱いですね。基本は一般的な日本人のちゃんぽん信仰ですけど

セツニキへのある種のアンサー混みでお返し致す!


第二話 善神の加護と沖縄霊能事情

 

「○○(任意の国家)でメシア教を国教化することは可能ですか?」

「不可能ではないでしょう、しかしあなたはかの国に何の怨みがあるのですか?」

 

(ガイア連合式メシアンジョーク集の一節より)

 

 

山梨本部の拝殿内でアポの通り真夜中でもショタおじ(分身体)が緊急で琉球ニキを診て貰った結果は……あれは沖縄の神?いや沖縄の信仰の源流である『祖先崇拝』の概念の結晶である『祖霊:ニライ=カナイ』からの神託であったという事が判明した

 

あの【銃火暴風怨嗟域】をどうにか封じている神格であり、戦う能力などは殆ど無いタイプの神ではあるが……それでも沖縄の人や地や海を護る間違いなく善神の類いからの神託であった

 

あの大戦の被害や被害者の怨念をどうにか封印して鎮めていたのだが……その中で米軍基地が無数の楔となって鎮めの阻害となり、更には悪い事にメシア教がこの異界を目敏く見つけて連続で攻略に来てしまった事から事態が坂道を転げ落ちる様に悪化の一途を辿ってしまった

 

更には……米軍基地に紐付いた米兵達の様々なやらかしとそれを特権濫用で揉み消したりといった悪行三昧の怨みや淀みすら流れ着いてあの異界は既に暴走寸前だという

 

どんなに頑張っても良くて三年、最悪あと一年半でニライ=カナイの力も加護も尽きてあの異界は崩壊して沖縄は滅亡すると、タイムリミットを突きつけられたりもしたが、解決法もまた非常に厳しい条件ではあるが打開策が早いうちに見つかるのはありがたい話ではある。調べるだけでも時間や手間暇がかかる状態であり、そもそも資料も大半があの戦争で紛失している有り様である。あの異界の資料も沖縄名家の生命を賭した漢探知の僅かな結果ばかりだし

 

勿論、悪魔には懐疑的なショタおじの厳しい審査も受けて『問題無し』と珍しく太鼓判を押す彼に付き添って来た幹部達も驚愕していたのが印象深かった

 

まぁ……それは最早私心すら持つ余裕も猶予も無いニライ=カナイの残った僅かな力を振り絞った最後にして乾坤一擲の賭けで自身の地を護る義士と見込んだ琉球ニキに応えたという背景が見えたからであるのだが、それでも基本的にショタおじは悪魔には気を赦す性格ではないが

 

それでもニライ=カナイをショタおじが認めた理由は……琉球ニキの手に有った『勾玉』にある

 

あれはニライ=カナイの魂そのものであり、この神性は自らの地を救う為に己自身を差し出す覚悟で来たという訳だ

 

これには流石のショタおじですらニライ=カナイを認めない訳にはいかず、今の沖縄が抱えるあの異界が今どれだけ拙い状況かがガイア連合にも良く伝わる状況となった

 

沖縄という地は宗教の闇鍋みたいなものである……今、その宗教に戦争という厄災をコンクリートミキサーで混沌とした環境下でぐちゃぐちゃに混ぜ狂い壊れた状態を咄嗟に動けた『輪廻神にして冥府神としての性質を併せ持つ』ニライ=カナイ単体で抱えている状況だ。他の神は最早この結界とも化した異界に触ることすら出来ない、最初から触れば割れるシャボン玉同然という状況なのにメシア教がそれでも僅かに残った干渉する余地を全て最悪の方向に舵を切ってしまっかからさぁ大変という訳だ

 

……メシア教が余計な事をしなければニライ=カナイの尽力で百年前後ぐらいでこの異界は異界にすらならず浄化出来たのだが

 

現状のニライ=カナイは琉球ニキの存在とその手にあるその魂そのものとすら言える『勾玉』でどうにか対話可能という疲弊状態だったが、それでもあの異界を攻略する為に絶対に必要な情報を与えてくれた

 

 

1:あの異界の攻略にはこの勾玉の他にも合わせて九つの勾玉が必要になる。その九つはあの異界の何処か奥深くに封印されている

 

2:その勾玉を解放すればこの異界の厄災やその核となる悪魔への道もまた解除出来るが……解除した分この異界破裂のタイムリミットもまた早まる

 

3:この異界に眠る残り八つの勾玉はそれぞれ

 『海』 『太陽』 『境界』 『輪廻』 『芸能』 『富』 『生命』 『食』

 と八種に今琉球ニキが持つ『魂』の勾玉で九つある。本来ならあと一つ有ったが遠い昔に喪ってしまいそれがどんなものだったかすらニライ=カナイ自身も忘れてしまったらしい

 

4:先程沖縄チームが集めて来た『方言札』と『頭蓋骨』もやはりギミックの一部であり、方言札の方はちゃんと供養して破壊すればその地域の魔術封じが解け、頭蓋骨は持ち出して供養することでこの異界の核たる悪魔の弱体化が出来る

 

5:あの異界内部にある本島七つの裏御嶽*1ステージの中には女性の仲間達に攻略して貰ってその中の勾玉の道のりに仕掛けられた封印を解くギミックを解除して貰う場所が幾つかあるらしい……それぞれの彼女や身内の女性陣の要育成スポットになるだろう、現状だと琉球ニキのルカ、聖者ニキの楓と辛うじて母親、ガンスミスニキのシアと比翼ネキだけが現状この御嶽攻略に動かせるメンバーだ。後は才能次第だが要鍛錬といった具合だろう、更にその儀式を取り仕切る沖縄の巫女であるユタ達の護衛も出さなくてはならない

ちなみに……両性具有な人物も止めた方が良いだろう。この異界を荒らした侵略系外来種である穢教鳥にも雌っぽいけど汚いポークビッツを生やした物体が居て、どうやらそれも男認定でギミックに触れたという報告もある。人間様と穢教鳥とは種も存在価値も違うが一応触らぬ何とやらには祟りなしと考えて自重するべきだろう

 

6:この勾玉は沖縄の地に生まれ、沖縄の現状を理解し、沖縄を救う意思と実行する力と魂の持ち主のみに所有権を持つ資格が与えられる……そして今この勾玉は琉球ニキが所有者として認められたという訳だ。このニライ=カナイの魂そのものにして神器でもある勾玉は最早ショタおじにすら簡単には剥がせない霊的な『縁』が結ばれていて琉球ニキがこの異界を平定するまで一体化している状態らしい。恐らくはニライ=カナイの最後に振り絞った力の副作用だろう、無理に剥がせば今度こそニライ=カナイが滅びてしまうとはショタおじの言だ

 

7:今なら残りの勾玉のうちからどれか一つだけなら近くのギミックの無い封印ポイントに指定出来るらしい……それぞれの効果は

 『海』:敵の湧きが減少する、海を浄化し後々の『予言の敵』の侵攻を遅らせる

 『太陽』:異界の回復制限解除、沖縄に蔓延る闇を祓う因果律が高まる

 『境界』:爆風や弾幕の雨が消える、沖縄の島を護る結界となる

 『輪廻』:敵の常時バフが消える、沖縄にまとわりつく悪縁絶ち

 『芸能』:蔓延する瘴気を祓う、沖縄内部の厄払い

 『富』:ドロップ劣化や出現率低下解除、沖縄の海中資源や採掘され尽くした鉱山資源に加護を齎す

 『生命』:安全地帯が発生する、沖縄の異界発生率低下

 『食』:飢餓状態の解除、沖縄に豊作豊漁を齎す

それと『魂』の勾玉にはニライ=カナイとの交信能力と他の勾玉の在処を感知する能力、それと他の勾玉を保存する能力、あと幾つか内部で必要な儀式の簡略化と男子禁制の地への入場能力と言うか資格*2がある。但し琉球ニキ以外には使えないからこの異界攻略には琉球ニキが絶対に必須となる

 

8:この異界には莫大な亡者の群勢と戦争に纏わる悪鬼邪霊悪魔が大発生し、時には『魔人』すら発生する可能性もある……しかもその『核』となる悪魔のレベルは現在でも120という凄まじい領域に達している。頭蓋供養を出来るだけやっても多分80ぐらいまでの低下が現実的なラインであり兎に角今は期限内に強くなって仲間を増やすしかない

 

9:この異界には決して『第二次世界大戦時の旧日本軍兵とアメリカ軍兵を入れてはならない』。もし入れたら彼らが死んでこの異界の一部となるまでこの異界全ての出口が閉鎖されて中の悪魔が全て荒れ狂う状態となり、しかも『核』となる悪魔の封印が凄まじい速さで壊れる、このルールは決して消えず、この異界が荒れている今は破ることは出来ない……幹部達の中にいた前世では旧日本軍の一員だったセツニキを示してそう断言した。ちなみに琉球ニキには僅かにだが観えたニライ=カナイの魂からはセツニキに対しては怒りや憎しみと言った感情は感じず、あえて言うならば『悲しみ』の感情を以ってセツニキを見ている事に気付いた

 

10:ショタおじの力や霊気を込めた霊水や破魔矢で一発解決は止めておいた方が良い。それをやるとニライ=カナイの存在が『不要なもの』となってしまい解決しても沖縄の地は確実に霊的に致命的衰退を起こして滅亡してしまう。要はニライ=カナイが今まで注ぎ込んだ全てのリソースが無駄になり最早存在の維持すら不可能になるからだ。今この瞬間にある意味『新たなる神話創造』が発生してしまった事による弊害だとも言えるがどの道ショタおじは禁じ手だからあまり関係ないだろう。何らかの事件に関わる俺たちの不文律の一つに『ショタおじ出撃=それは手遅れな事態』というものがある事からそれは分かるだろう

 

11:ニライ=カナイの存在は……多分、ショタおじ達ならわかる内容であるが『与那国島の海底遺跡の封印』でもあったが、恐らくはもうあとどんなに遅くても十年、沖縄近郊か世界で何らかの強力な霊的異変が発生すれば非常に高い確率で封印が砕け散る状態だとも言っていた。最早ニライ=カナイにも制御は不可能な状態だとか

 

 

まぁ……これで沖縄支部に様々な発展がこの瞬間で見込まれたと言って過言ではないだろう。少なくともこの異界の明確なルールが判明した事は間違いなく巨大な一歩である。このルールを探るだけでもこんなスパゲッティコードと言うかタコ足配線で大炎上している様なクソオブクソルール目白押しの極悪異界故にそれこそまともにやったらどれだけの月日が掛かるか考えただけでも恐ろしい事になる。多分ニライ=カナイの提示したタイムリミットが全てトんでしまうだろう

 

それにより明確に『一年半』という猶予が与えられた事はありがたい話である。琉球ニキやついて来た女衆が強くなる為の時間だって幾らかは稼げるし必要な傭兵俺たち雇用だってセツニキみたいなタブーに触れる存在が区別出来る。琉球ニキチームはこの過酷な異界で修行あるのみだろう

 

そして……ニライ=カナイの加護で今すぐに選ぶ必要はあるが、それでもあの異界攻略にはありがたい八つの加護から一つを選べる。今選べなければ完全ランダムになってしまうが、今から選ぶならば?

 

 

六人全員一致で『富』を選んだ

 

 

何故に『富』かと言うと……これも時短策だからである。夕方から彼らは割と真面目に金策の話ばかりになっていた、あの異界は一日入っても収穫はクズでありあれでは一人の生活すらままならない有り様だ

 

しかし、『富』の加護ならば質は普通でドロップがやや渋めのちょっとハズレ気味異界程度に収まる、そして新しい加護があればそのドロップ率も質も向上する、これでかなり金策が上を向く

 

そして資金を貯めて傭兵をやってくれる俺たちや協力してくれる俺たちを雇える様にもなるし、装備や施設を更に整えられる……何より、今から来る仲間達の給料に色をつけられるし場合によってはボーナスだって与えられる!

 

現状ならガイア連合本部からの手厚い支援はあるが……それに頼りきりでは先が擦り減り細るだけだ。少なくともこの支援は沖縄がちゃんと霊能、いや終末後でも自立してガイア連合に貢献出来るレベルまで鍛え磨いて自立出来る土台を立てる必要がある

 

時に貴方は困窮する存在を救う為に必要な事は何か知っているだろうか?少なくとも今すぐ現状をどうにかするだけなら必要な物資なりを与えるだけだろう……しかし、本当にその対象を救いたいならやるべきことは一つだ。それは()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

今沖縄には嘗て再起不能になった、日本基準なら最高峰だった割と多数の霊能者や亡くなった霊能者の遺児達が居る。今までは彼らの中でもまだ子供を作ることが出来る者達やその遺児達などを他県の霊能組織などに嫁がせたり養子にしたりで沖縄が本当に駄目になった際の避難所としての縁を作ろうと必死だった。再起不能でも高い霊的才能を齎す子宝が得られる可能性が高いし、それに何より近くの血だけで血が濁る事を防ぐ事にも繋がるから日本霊能組織的にも非常にありがたい話なので……まぁ割と需要は高いらしい。少なくとも遺児達の疎開にはなるだろう

 

琉球ニキの両親みたいな夫婦霊能者達も最近では最悪離婚してその縁となる覚悟で日々を過ごしていたらしい。最悪でも琉球ニキが高校を卒業するまでは猶予期間だったとか?……まぁその琉球ニキ自身がとんでもない大組織との良縁片手に凱旋、そしてメシア教以外全ての疲弊した沖縄霊能組織が最後のチャンスだと全員理解して統合までが本当に早かった*3

 

沖縄崩壊*4の大戦犯メシア教以外全ての霊能組織は嘗ては不仲だろうと今はあんな悲惨な異界を抱え、しかもその異界のせいで沖縄崩壊一歩手前という現状により最早喧嘩をやる余裕も猶予も無い為……今の沖縄では『自分達がやらかした事を決して認めない』というスタンスで通すメシア教とそれ以外全ての宗派という対立具合になっている

 

尤も、それでもメシア教が一強過ぎて連中がその気になれば他派は全て根絶やしにされるという最悪のパワーバランスである為……まぁそういう共通のヘイトが重なって他全ての宗派が団結出来ているという塩梅である。『人間が団結するには共通の危機と怨敵が必須』とは良く言ったものである

 

沖縄県民は割と『テーゲー*5』に過ごす性質であり、宗教感覚も日本本土より更にいいかげんなもの故に比較的この宗派の闇鍋でも呑気にやってゆく者が多い……メシア教の様な救いようの無い淫祠邪教でもない限りは、だが

 

まぁ、その歪で不快なパワーバランスは『メシア教以外全ての霊能組織の寄り合い世帯』にガイア連合の協力、そしてつい半月ほど前のあの大事件*6で沖縄の霊地関係は既にガイア連合が抑えているから()()()()()()()()()沖縄異界にはほぼ完全にノータッチという条約が結ばれているし、異界内部なら軍基地に触る部分でも入って大丈夫、更にはあの異界関係ならば人数制限はあるが基地にほぼフリーパスで立ち入る許可も得ている*7

 

兎に角、これで沖縄関係における最低限の環境は整った……後は初音郷で修行中の現地民身内メンバー達の育成が整うまで沖縄支部は仮運営状態ではあるが一応はちゃんと起動開始である

 

先ずは沖縄本島を巡って偵察行脚の日々……かつ地域ごとの支部メンバー達との顔合わせ会談とか、本部選定など様々な議題課題が待っているけど頑張れ沖縄支部、負けるな沖縄支部!

 

*1
沖縄の聖地、基本的に男子禁制の地と思えば良い

*2
この勾玉の所有者=ニライ=カナイそのもの故に当たり前の話である、男子禁制でも『その地に祀られる神』なら最上位の入場資格があるのは当たり前である、さすがに代行者だから制約はあるが

*3
実際最早『大赦』ぐらい余裕の無い状態だった

*4
一歩手前

*5
沖縄方言であり、物事について徹底的に突き詰めて考えず、程々の良い加減に生きていこうという意味の琉球語であり概念。「大概(たいがい)」の琉球漢字音である。あと『凄い』という言い回しにも使う

*6
拙作一章クライマックスのあの事件

*7
勿論、これは密約なので秘密裏に行う必要がある事は言うまでもない




ちなみに……今回の件は多神連合のあの豚(カマプアア)がやらかした事【肉体改造&霊質改造】に似ていますが、実際にはかなり大きな違いがあります

基本的にあの豚の場合はあちらに主導権がありました(それを少しでも振えば今度こそ完全に『滅』判定)が……こちらは琉球ニキにこそ主導権があります。ニライ=カナイが回復しても琉球ニキへの主導権は琉球ニキがちゃんと儀式なりしないとニライ=カナイの方にだけにダメージが入る仕様です

割とナホビノに近い様な気もしますが【肉体改造&霊質改造】としては未だシールタトゥーとかピアスに近い程度なのでかなり軽いもので済んでいるからショタおじは赦してくれました

ニライ=カナイの所業や功績、限界直前でも琉球ニキに行った配慮などからショタおじですら割と好感触な珍しい神格だったりします。ちなみに今回実はこの神社の祀神からの神託もあって更に協力的だったりします……ニライ=カナイを試してもいましたが
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。