ある琉球ニキ以外皆意味独身貴族ライフ……いやこれ全員社畜街道じゃね?
ちょいとスランプしてました
終末後のメシア教大司教が死の床で、跡継ぎに遺言を残した。
「私は三通の手紙を残している。困ったらそれをあけてみろ」
没後、直ぐに困った事態が生じたので一枚目の手紙を開封すると「私を批判しろ」と書いてあり、そこで先代大司教批判が起きた
しかし所詮は単なる先送りでしかなく更に困った事態が生じたので、二枚目の手紙を開封したら「ガイアアニメーションを批判しろ」と書いてあり実行したら大問題になりその事態はどさくさ紛れで誤魔化せはした
しかし直ぐにガイアアニメーション批判という愚行のツケで最早進退に先が無くなり最後の手紙を開封したら辞表の書き方と一緒にこう書いてあった
「お前も三通の手紙を用意しろ」
(ガイア連合式メシアンジョーク集の一節より)
沖縄支部から来た三人の男達は乃木坂財閥の本拠地である東京一等地のとある高層ビルの会長室で二人の男……執事ニキの義父&義祖父*1からの依頼説明を受けていた。富豪俺たちからは沢山支援を受けているので修行と余った時間の有効活用を兼ねて彼らが抱える厄介な依頼を受注してちょっとした恩返しをしようという算段だ
「そういう訳だから……沖縄支部チームにはなるべく早くこれらの厄介な塩漬け霊障案件を解決して欲しい。流石に半月前のアレ*2みたいな事はそうそう無いだろう、今のお前たちなら大丈夫だとショタおじからも推薦を受けた案件だしな」
現乃木坂家当主*3である俺たちの一員でもあるマダオニキこと『乃木坂玄冬』氏から渡された書類や封筒の束……富豪俺たちが抱える厄介事の中でも特に肉体、精神問わずキツかったり危険だったり収益が見込めなかったりと様々な理由で放置されていた厄介な依頼、通称『塩漬け案件』のフルコースが集約していた。しかしこの束ですら『沖縄支部のパトロン達が抱える塩漬け案件だけ』であり、それ以外ならそれこそ運営すら直視出来ないぐらい山積みされているから大変である
こういう非常に厄介な仕事を引き受けてくれる俺たちは『黒札マタギ』と呼ばれていて、ある意味聖人か物好き、時には懲罰任務の一環扱いされる様なものばかりである
言ってしまえば沖縄支部のあの異界攻略自体が『塩漬け案件の極致』みたいなものであり、他の塩漬け依頼をパラパラ読み進めても【銃火鉄風怨嗟域】の攻略よりは圧倒的に楽だし収益になる案件ばかりである
ついでに沖縄支部に付いてくれたパトロン達の抱える厄介事の解決ともなればある意味winwinという奴かもしれない……パトロン達にある程度の恩義を返せるし沖縄支部に協力する事のメリットを手早く示せる機会でもある
それこそ彼らが最初に受けたあの依頼だって額面上だけでも中々の塩漬け案件だったし、だいたい初仕事があの事件みたいな人間のドロドロ特濃濁業案件だったからまぁ割と彼らにとっては『これが普通だ』と気負わず塩漬け案件を解決するスタイルが取れる……悪魔召喚士研修はこの依頼内容すら平穏に思える様な悲惨極まりない代物だったから更に耐性が付いているというのもあるだろう
沖縄支部の強みだとも言える『過酷な環境への非常に高い耐性と礼節を弁えた良識ある常識人』はこういうクソ案件の解決に役立つ力ともなり、割と早くこの依頼束を解決する……けど今度は事務部から差し迫る特に厄介な塩漬け案件解決をわんこそばの如くお出しされる未来が待ってはいるが、それもちゃんとこなしてくれるから運営や事務部、富豪俺たちからはますます沖縄支部に好感を抱く様になってゆくのは余談だろう
しかし、それも沖縄支部が『食の勾玉』を入手する迄の話であり、それ以降は本分である『最大最悪の塩漬け案件解決』に邁進する為また塩漬け案件が増えたりといたちごっこになったという話だ……これは後々の、彼らが【銃火暴風怨嗟域】を平定した後の話だが、彼らの後を継いだ新しい黒札マタギである『田舎ニキ*4』が来てくれた。これが新潟との交流のきっかけとなった
ガイア連合でもキツい仕事故に黒札マタギは割と珍しく、故郷がガイア連合にとって殆どどうでも良い立地だった為に莫大な借金を背負いながら、その借金の為に後継者になってくれた田舎ニキとの交流はまぁ起こり得る内容であり、沖縄支部としてもありがたい話だったのだ。黒札マタギ稼業を継いでくれる地方ガチ勢後輩の登場は
支援はしっかりしているが不快な穢教鳥とメシアンが犇めく最悪の環境内かつ時間制限付きの超絶ド鬼畜難易度異界があり、しかもその時間制限を越えても今度は二種類の淫祠邪教の怪物が空から海から襲来するタワーディフェンスが確約された琉球ニキチーム、そして支援は少なく一人で苛烈な連戦が何度も何度も襲いかかる田舎ニキと様々な苦難が確約された地方ガチ勢の絆が結ばれた
……まぁ、それも数年後の未来の話であり、ある意味沖縄支部そのものが黒札マタギの筆頭みたいな代物だろう。あの異界の難易度やギミックの酷さ的に考えて
そんな訳で富豪俺たちや事務部、運営の多々ある悩みのタネである塩漬け案件の解決に協力してくれる貴重な人員……現状では一日二から三時間程度しか潜入出来ない異界調査の空き時間で行う黒札マタギ稼業に彼らは向かって行った
本日最初の依頼は……純粋に日本基準で非常に強い悪魔が出没する異界攻略。平均20レベル悪魔が出てボスは25レベルという、それこそ普通の黒札では手に余る強力な異界だが彼らからすればひたすらヌルいだけの場所だった。収穫は沖縄のあの異界に比べれば正に大漁旗を掲げたくなるぐらいの大収穫である
しかし、確かに【銃火暴風怨嗟域】に比べれば遥かに儲かるし敵も少なく嫌なギミックも少ない異界でも、普通の派遣組には強敵ばかりで山梨異界より稼ぎは悪い、しかも回復も山梨と違って殆ど出来ない環境だからこれもまた厄介な塩漬け案件である
だいたいこういう案件か前の様な人間の悪意の後始末ばかりであるが……流石に彼らにはやらせられない
そんなこんなで早急に解決が必要な依頼をこなす……富豪俺たちのコネと伝手で来てくれた密輸課メンバーにピストン輸送でその依頼ポイント間近の支部や派出所に送って貰いながら昼から夜更け迄に計四つの異界潰しという強行軍となった
密輸課メンバーの協力で山梨支部に帰って来れた、くたくたになるまで戦い続けた身体に鞭打ってどうにかレポートを書いて……琉球ニキも聖者ニキも居ないから進行は遅いがそれでも何とか真夜中迄には書き上げて提出出来た
そして次の日?いやむしろ夜明け、違うだいたい午前九時ぐらいからだが、六人それぞれガイア連合の仮眠用宿舎でそれぞれ眼を覚まして食堂に向かう……似たような時間にどうにか眠ってと過密なスケジュールだろうが過酷な環境下だろうが平気で闘える彼らではあるが彼らに付き従う者達には様々な縛りでそうは行かないらしい
「……みんな、事務方からだけど今日は採掘は出来ないぞ?明日師匠が来るまで禁止されたんだよ」
珍しくカレー以外の飯……最近知った霊能者専用メニューことウィンナースとベーコンの葉のモーニングセットという『野菜肉』なる珍奇な美味を食べながら琉球ニキは仲間達にそう告げた
「珍しいな、作業員の人たちの身体に不都合でも出たか?あの環境は正に地獄だしあれの話と内容聞いた俺たちも大概ドン引きしているぐらいからな」
「『黒死ネキ*5』辺りからすれば最高の遊園地か何かだろうけど……彼女の抱える『死』だけで強烈な悪影響が出そうなんだよな」
「ショタおじとニライ=カナイが直々に沖縄出禁勢に加えた逸材だしな。セツニキとかみたいに当人には何の非も無いから心苦しいし優秀な支援は幾ら有っても足りないけど」
「確か……彼女もニライ=カナイから直々に言われていたなあの場所で、まるで面白そうな玩具を取り上げられた子供みたいな表情だったな。いや中身幼児だけどあの人」
「俺らあの人に何回ブチ殺された?今でも殆どわからん殺し過ぎて対策に四苦八苦中だよ……初見であの人撃破した霊視ニキ、セツニキ、探求ネキの凄さが腹の底から理解出来るわ真面目に」
「しゃーないだろ、俺たちはせいぜい一月其処らの即席養殖*6だぞ?セツニキと違って短時間ならまぁ大丈夫らしいけど……自重出来なくなりそうだからって遠慮してくれているんだよな。あの異界は不安定だから下手したら彼女の存在で魔人ラッシュとか最悪封印破壊が早まるからな」
彼らは確かに『自称:即席養殖の若輩者』ながらガイア連合も半ば見放す算段に傾いていた地獄同然の魔窟沖縄を担当するに値すると判断された若輩者の中では間違いなく精鋭中の精鋭チームである……だが、それでも彼らは未だ15、6の(今生では)少年ばかりという面はこういう時現れる
基本的に彼らは『前世』をあまり強く意識していない……メシア教という最悪の脅威を認識して記憶?むしろ彼ら的には『記録』と言う感覚で前世を認識しているタイプである。どちらかと言うとこの世界への認識は『俺たち』と言うよりむしろ『現地民』の方が近いタイプだともいえる。天秤が今生に強く傾いているとも言える、本人の人格的資質もあるが良い両親に愛されてきた俺たちによくいるタイプである*7
ちなみに……彼らの師匠である夫婦も割と似たタイプであり、前世は前世、今世は今世と今の人生を謳歌しながら前世から変わらぬ新婚生活をエンジョイしているらしい
無論、それによる問題もあり、通常の俺たち……大概の未覚醒だったりシキガミ電池だったりゆる修行勢やエンジョイ勢などの大多数の同胞とは微妙にそりが合わず掲示板のノリが苦手であまり多用せずに所謂ROM専をやるのが普通というある種の変わり種俺たちとしての弊害を抱えていたりもする。スケベ部の掲示板すら知らないぐらいなので割と筋金入りかも知れない
一番拙い欠点として『比較的俺たちだと分かり辛い』という特徴もある。思考回路が基本的に現地民寄りであり大概転生者としての自覚が薄いので……こういうタイプは彼らの様にガイア連合にちゃんと合流出来る者は割と稀少だったりする、普通に運が良ければ平穏な日常を過ごせるが運が悪ければ悪魔やダークサマナー*8の餌食、悪ければあの
逆に、ストイックな修羅や生まれ故郷を守る為に頑張る者、現地民蔑視を嫌う者や運営、富豪俺たちやペルソナ組などの『真面目な俺たち』からは人格、実利と様々な理由で非常に好かれ愛されているのでまぁ問題なく元気にやってゆける訳だが
そんな脱線を修正する様に琉球ニキのシキガミであるルカが、未だお喋りは苦手ではあれど疑問を投げかけてきた
「すみませんマスター、連理ニキ様は一体何故今日は採掘禁止令を出したのでしょうか?」
良妻セットカードを搭載した嫁型シキガミの中でもハイスペック仕様のルカではあるが、未だお喋りを上手くやる情緒には至ってはいない……稼働から一月其処らのシキガミにしては優れた情緒や判断力を持ってはいるが流石に未だ経験不足は否めない
しかし、それでもちゃんと会話に参加しようと努力を欠かさぬ姿勢は琉球ニキが真面目に彼女の情緒を育てようと努力を重ねている痕跡が伺える……一月其処らでこれだけ情緒が育っているのは実は中々凄い事だったりする
シキガミの情緒事情は兎も角、ルカの疑問について琉球ニキは語る
「とっても良いニュースだ。何せ初音郷で訓練していた仲間達が一部合流出来るレベルまで成長出来たって話だしな」
「「「「「マジでッ!!!」」」」」
椅子を蹴倒す勢いで立ち上がり叫ぶ五人。その激しい物音に周囲の視線が刺さるが今はそれにすら気付いていない
彼らの仲間達……彼らの家族恋人友人仲の良い親族など様々な人々がだいたい百人其処ら、才能の格差も年齢もバラバラな纏まりの無い集団であり、少なくとも殆ど皆戦士でも何でもない民間人ばかりである筈だ。良く沖縄でも最低限やってゆける範囲という日本本土ならば一流かつ最前線クラスの生え抜きになれる逸材扱いされるレベルまで成長出来たものだ
……その手段として今回の合流組はだいたい琉球ニキ達みたいな荒業(ショタおじの地獄巡り抜き)やらかしてどうにか一月弱で10から15レベルには至ったらしいと後々聞かされた。自分達もやった手前説教なぞ出来ないからどう言って良いか分からなくなったのは余談だろう
しかし、これはある意味彼女達からの抗議でもある……琉球ニキらの場合はそれこそ何桁か数えるのも恐ろしい数惨殺されては甦り、その死骸や肉片をシキガミや仲間達の為の素材に活用したりとはちゃめちゃな行為ばかりやらかしている『もっと酷い命知らず』っぷりだ。同じ黒札達ですら『かなりの無茶やってるな』と言われるレベルだからその無茶っぷりは推して知るべしである
彼らが自分達を護りたい、その為ならどんな地獄にも笑って挑む覚悟と気概、要は『黄金の精神』ないし『漆黒の意思』の持ち主である事も修行の最初期で魂から実証した……だからこそその覚悟に対する答えとして彼女達は初手から地獄同然の荒業に挑み彼らにこう答えたのである
『貴方達が無茶をするなら私達も無茶に挑む、決して貴方達の足手纏いにはならない。既に私達も覚悟は出来ているから』
彼女達は言葉ではなく意識と結果で彼らの無茶を諌め、魂在る限り絶対に最期まで寄り添う覚悟を見せたのである
まぁ……一部男衆も居るが彼らの場合も危機感や危なっかしい親友を放っておけないという感覚、それと一部には『早く稼げる様にならないと生活が出来なくなる』という別の危機感からハードな修行を超えた者も中には存在するがまぁそれもまた重要な理由だろう
勿論、普通の修行コースだってかなりキツい代物であり挫けずに挑む他のメンバー達だって真剣勝負である……しかしそれでもハードな修行に挑み踏破出来た彼らは間違いなく『才能に恵まれた逸材』である点もあるだろう。実際にハードコースを超えた彼らは全員最低でも『才能限界30レベル以上』の逸材ばかりであった
彼らが踏み入れた『霊能の世界』という代物は残酷な迄に『才能が全て』という環境だ。大概どの環境でも『才能限界30レベル』も有れば基本的には安泰であり小規模な組織の長や大規模組織の幹部が務まるぐらいには凄い才能である……メシア教、ガイア連合、そして沖縄以外なら大概はそうだろう
母数最大かつありとあらゆる鬼畜外道邪智暴虐人面獣心の所業の果てに肥大した
そんな中でも彼女達はだいたい最低でもレベル10、高い者は最大でレベル13という段階に到達出来たとの話だ……本土の霊能者としてなら間違いなく上澄みも上澄みであり、大概の霊能組織ならば正に切り札の中の切り札扱いの逸材だ。琉球ニキ達の初仕事のあの事件を引き起こした名家も当時は二人ぐらいかはレベル10前後の逸材を抱えていたという話だ
だからこそメシア教が彼らを潰す為にやらかした……そしてやり過ぎて自滅したのだろう
しかし沖縄では……レベル10超えは『一人前の戦士として扱われる基準』であり、尊敬尊重はされるが特別な待遇ではない。むしろ直ぐに気を引き締めないとあっさり死ぬ危険な状況扱いだったりする。そして真に『一流の戦士扱い』がされたければレベル20、30レベルで英雄認定という環境だったりするという環境だ
……その中でも俺たち基準でも非常に稀少な『素質:俺たち級のナビペルソナ使い』である乃木坂春香についてはとある
ある意味彼女の抱える運命に深く関わりそうな人物*10が二人も存在するが故にそれを我が儘とは言い切れず、それに彼女の担当するタルタロスは特に厄介な難易度の認知異界である為彼女の要望は決して我が儘などではなくそれだけ渇望するぐらい過酷な環境である
最近では同じくタルタロス探索をこなせる恋人も出来て上手くやってはいるがその恋人が妊娠中故に戦線離脱状態であり……そもそも今のフルメンバーでも全く手が足りない人員なので『彼女達のペースに耐えられる稀少きわまりない人員』である聖者ニキとタルタロス級の大規模認知異界深部でも問題なく中継やハイレベルなサーチが出来るナビペルソナ使いの増援は彼女としても喉から手が出る程欲しいのだ
勿論、沖縄支部も聖者ニキや乃木坂嬢が重要な人材でありこちらが仁義に反しているのは重々承知ではあるが……それでも欲しいと逸材中の逸材故に叫ぶに至った
まぁそれでも沖縄支部から聖者ニキや乃木坂嬢をヘッドハントは流石のハム子ネキでも駄目だったので今回は偶の支援で諦めて貰った……しかしハム子ネキは多分諦めはしないだろう。何気に彼女は人材マニアの気もあるから
しかし……今やるべき事は富豪俺たちからの依頼を早く片付けて明日の歓迎会をどう準備するかである。彼らは『ビールのつまみに食いたいな』と内心思ったポキポキ食感がたまらないウィンナースをヒノエ米と麦茶で流し込んで朝食を済ませるのであった
祝、幹部五人独身貴族ライフもとい社畜ライフ完全終了のお知らせ(嫁査察入りました)