お見合いが終わっても人生的には単なるプロローグであり、沖縄支部のタスクはまだまだ書類や実務の山……それもこれも全部メシア教・穢教鳥、そして主犯の四文字が悪い!!!
今回は八男ニキ周りの情報解禁です……このタイトルが八男ニキの本霊についてのヒントです、皆さんは分かるかな?
一神教調和派
「何がしたかったのかはわかるが、やりたかったことというのはそれなのか?」
一般的俺たち
「どうしてそうなるのかわからず、そうするしかないものなのだろうか?」
一般名家&メシア教穏健派
「何がしたかったのかはわかるが、どうしてこうなったのかはわからない」
メシア教過激派
「どうしてこうなったのかわからず、何がしたかったのかもわからない」
天使嫌い俺たち
「こうするしかなかったのはわかるが、ここまでやる理由がわからない」
穢教滅閃工房職員
「こうするしかなかったのはわかるが、まさか本当にやるとは思わなかった」
極限状態のサバイバー達
「ケツでもナニでも何でも差し出すので今すぐ加入させてください」
(ザドキエルが沖縄支部に移籍した際の反応集)
さて……現状に於けるアンチメシアン達の自主的な隔離場である『初音郷』、その創設者とガイア連合のタニマチの一角である大富豪『乃木坂家』の特異極まりない輪廻を超えた。それこそショタおじですら
「分かるかこんなもんッ!!!」
とか何とか叫びたくなる様な分かり辛く、しかし異様に深い因果関係が判明しても沖縄支部に於ける『お見合い』は問題なく。ついさっきの親分ニキと姫ニキの痴話喧嘩♂とかみたいな些細な厄介事を除いて恙なく進行していった
乃木坂家と朝倉家、そして沖縄支部幹部衆(乃木坂家義息子入り)の家族会議が終われば今度は今挙げられた『エリーゼ=ホーエンハイム』の家族も含めた重要会談が待っている
ホーエンハイム家はエリーゼの他には両親、彼女の兄にカトリック枢機卿である祖父……そして『導師』の称号を持つドイツのオカルト最終兵器である彼女の母方の伯父であるまるで炎を模ったかの様な非常に特徴的なパイナップルカットの連理ニキにも匹敵する様な逞しい筋肉中年『クリムト=アームストロング』氏*1と彼の相棒とでも言うべき付き添いに来たフリーランス霊能者である年の行った中年男で魔術師風味の『ブランターク=リングスタット』氏も来訪していた。一応この二人は日本で才能開花した八男ニキ並びにエリーゼへのドイツ本国からの『日本のハイスクール卒業後にドイツ帰還を促す』という密命を『表向きには』帯びて来た訳だが
「流石に非常にキナ臭い今のドイツに二人を無理矢理帰すのはどうかと思うのである!」
「導師の言いたい事は分かるが少しは落ち着け……一応此処は祝いの席だからな?」
八男ニキが未だ只の森林レンジャー家庭の次男坊だった、『転生者』としての記憶を取り戻せてすらいなかった『単なるヴェンデリンという子供だった』時代……前世から今生に至るまで決して消えない料理への飽くなき情熱で様々な創作料理。要は殆ど思い出せてはいない記憶から引き出せた料理への断片的な知識や経験を活かし、父や兄が持ち込む素材でジビエ料理の改良や気に入った極東の調味料を巧みに活かした結果ドイツに於ける料理界隈の『天才少年』として一部では高い名声を得初めていた時に目の前の筋肉親父にして幼馴染のエリーゼの伯父である彼、そしてその仕事仲間だという頭に白い物がかなり混じった角刈りの中年男と出会った
彼らは、基本的には気前も気風も良い『偶に来る大事な時は頼れるおっちゃん達』だが、またヴェンデリンの料理の才を当て込んでちょくちょく『この酒に合う飯』をと様々な酒を出してはたまに当時のヴェンデリンに呑ませる不良中年コンビでもあった……しかしヴェンデリンもヴェンデリンで酒には滅多矢鱈と強い蟒蛇や笊を通り越した『枠』であり、偶に飲み比べを仕掛けて二人から酒の残りであるまだ未開封の瓶やら偶に賭けで小遣い稼ぎしたりとこちらはこちらでやりたい放題やり返していたものだ
……偶に間違えて酒精が僅かでもある甘酒や奈良漬け一口ですら酩酊する可能性があるぐらい特級の下戸にして絡み酒系の凶悪な酒乱のケを持つエリーゼに飲ませてヒドい事になったりもしたがまぁそれは今では笑い話である。そのトラブルの余波で前世の記憶が完全に戻りもした辺りは仲間内でもちょっとした酒の席での笑い話にもなったが
こういう『ドイツ版両津勘吉』みたいな色々破天荒な御仁だと長年の付き合いで知ってはいるが、少なくとも良識はある御仁だとも知っている八男ニキやエリーゼだが……実際の所アームストロング氏の内心は少し違う
『いや……今の祖国はもう駄目かも知れないのである。故にエリーゼと少年、後我々の弟子達や保護出来た子供達には、我が国の素質ある若人だけはこの地に逃す架け橋になって貰わないと困る。未来ある若人達がこれ以上メシアンどもの餌食にされるのは看過出来ぬ!!』
これはアームストロング氏やブランターク氏だけでなく、隣の相方や彼の長年の親友であるドイツ政界の大御所やエリーゼの祖父、メシア教蔓延りどんどん不穏な環境になりつつある祖国の危険な現状を憂いて『八男ニキとエリーゼの縁を利用して祖国の才能ある若人をガイア連合に留学*2にて保護して貰う』という謀を立てて八男ニキに接触した訳である……そのタイミングで非常に危険かつ重要な内容にドンピシャで直撃したのは幸か不幸か?
少なくともたまたまメシア教に目を付けられた二人が『初音郷』に実質亡命出来たのはこの二人のコネと尽力、後高校卒業までの資金を提供してくれたおかげでもある……一応それなり以上の名家の出であるエリーゼなら兎も角、どうにか『中の上』に入る程度ではある普通の一般家庭のバウマイスター家の財力で三年其処らの日本留学は少し厳しかったのであの支援は本当に有り難かった
初音郷に来てから直ぐに行われた調査でヴェンデリンが『俺たち』だと判明した為、即座に山梨第一支部送りとなりあれよあれよとショタおじ面談からの地獄巡り、そして五人の生涯共に戦い支え合う仲間達との邂逅、あの胸糞の極みみたいな……日本もガイア連合もメシア教も揺るがす様な大事件の未然防止、沖縄支部発足とエリーゼとの初夜、古式悪魔召喚士になる為の地獄すら超えた凄惨な修行と本当にジェットコースターみたいな一夏の体験だった
八男ニキの故郷に比べれば未だ夏かと思うレベルで暑い沖縄の冬になった今でもあの地獄さえ『生温い』としか感じられない体験は今なお六人の深刻なトラウマ体験ではある……それでもメシアンや穢教鳥のやらかしの後始末やその被害や犠牲者の声を生で何度も何度も対面し、それを『黒の章』の資料に編纂しと様々な地獄を観て体感しているかが少なくとも『あの修行体験』以外で悪夢を見る事は滅多に無い。ついでに言うなら悪夢にも今では割と耐性すら付いたと言えるレベルだろう。最近ではショタおじからも『その精神異常耐性が不動心*3に進化しつつある』とも言われたぐらいである
……まぁ。そんな八男ニキの過去背景はさておき、いや今撤退した
基本的に沖縄黒札という存在は『過酷な環境に敢えて挑む理由と覚悟を持った沢山の若人達を見離せない』という真っ当な教師魂の持ち主や、『穢教鳥やクソメシアンならどれだけホモレ◯プで直腸粉砕して凌辱惨殺しても構わない環境*4』だからと事務員として加入した二人を除けばだいたいは『山梨では先ず賄いきれない人員を護る』という理由から受け入れが出来る環境かつ直ちに開拓しなくては早ければそれこそ来年までには西日本を巻き込んで滅亡待った無しという退っ引きならない状況にある沖縄をどうにかして居場所を作る為に活躍する団体だ
元々は様々な因果と予言、そしてちょっとした奇縁により結び付いた六人の少年達を起点にあの世界を穢し蹂躙する
八男ニキやエリーゼもまた、彼らが希望し出来る事なら何時かは家族をドイツの地に戻れる様に努力は重ねるつもりである……少なくとも八男ニキはもう因果レベルでこの沖縄の地を守護し沢山の避難民、特にメシア教被害者を救う使命を自ら背負ったから間違いなく生涯沖縄暮らしが決定済みだしその妻としてエリーゼもまた覚悟完了済みだとは言っておく*5
……まぁ、これから数年後には願う願わぬを問わず俗に『半終末』と呼ばれる厄災が世界を襲う頃には『日本が唯一の安全圏』となり、その中でも一番半終末に近い沖縄にて様々な脅威からの防衛戦に雪崩れ込み。また終末が訪れる頃合いにはドイツはほぼ壊滅状態故に帰還云々以前にドイツに関わるのは『復興支援』のみになる有り様となる。そもそもそれ以前に沖縄の分を含めた日本の復興そのものすら世紀単位の大事業でありドイツも『沖縄から復興支援が来る』というだけで非常に助かるだろう*6
まぁそんな未来の事は兎も角。アームストロング氏もブランターク氏も……そしてその背後に居る彼らの支持派閥も既に『もうドイツはメシアン汚染が手遅れ』という本音と『せめて才覚ある若人だけは……』と現状一番安全だろう日本のガイア連合、そしてその受け入れ場所に選ばれた沖縄に彼らとこれから続くまともな人格と高い霊的才覚のある少年少女らを沖縄に送って帰化なり何なりして亡命成立、それからもしも余裕が出来たのならばいつの日にかはドイツ復興に協力して貰うという腹積もりだろう
そしてこの欧州政界の詰み具合はドイツだけ……ではなく、既に大半の主要国家もそれぞれ差異はあれと内面は
尤も、その動きもいち早く動けたドイツの様に『ごく一部が、僅かに動かせるコネや人脈で出来る範囲』なのでそれで来たる者は後々家族身内含めてせいぜい数百人、戦力は数十人程度でしか無い。少なくとも沖縄支部としては『メシア教被害者をなるべく減らす』という目的と……それに何より『海外生まれな俺たち』がその中に存在する可能性を考慮して山梨第一支部とも連携してドイツ、いや欧州からの難民保護に協力することが決まった
「……なるほど、そういう事情ならばうちとしても受け入れはやぶさかではありません」
沖縄支部の長である琉球ニキの言葉に海外避難民の受け入れ打診に来ていたブランターク氏は
「受け入れ希望には俺や導師の弟子達も入っている。無体狼藉さえしなければこき使ってくれて構わないが……いいのか?」
そんなブランターク氏に八男ニキが返す
「沖縄では優秀な人材は幾ら居ても足りないですからね……少なくとも
ガイア連合というトンデモ超人が集う?いやそうなれる才覚持ちが集められた環境下ですら『信じられないクソ異界』と評される様な異界攻略協力という代償は必要……いや、長くて数年、早ければ来年以内に攻略せねば滅亡待った無しの環境に避難するならやらなくてはならない事は沖縄を避難地に選んだ者達も覚悟は出来ている。それが出来ないなら『ガイア連合以外のか細い伝手』を頼って避難するだろう*7
その避難民達はこれから数ヶ月後、法的手続きや財産処分などあるからだいたい二月から三月辺りに続々向かう予定になっている。一応ちゃんと全員非メシア教徒かつメシア教嫌いばかりなのでまぁ安心だろう……歓迎の際には必ずバプテスマや喜劇で持て成す必要はあるが
少なくとも沖縄支部ではその人数が増えても……とりあえず二人から貰った名簿帳に記載された人数から追加で千人ぐらいなら大丈夫な様に沖縄名家の不動産屋などに当たって居住可能な物件を用意して貰ってはいる。空き家の清掃や修繕など大工が副業である者達が隙間合間に動いてくれるだろう。また琉球ニキ達沖縄支部幹部衆も『妙な予感』がするからか現金ならばとマンションやアパートの建築に資金を出して避難民の住処を用意を明日一番から書類作業より始めるだろう
まさかこれが避難民到着と同時に本当に役立つとは真面目に思っても見なかったが*8
そしてその『妙な予感』は『それだけ』では済まないとも訴える……少なくとも
故に、次にショタおじに修行を付けて貰える際には結界術を応用成長させた『異界作成』辺りを学ぶことにしようと皆思った……結界術やガイア連合最難関資格である悪魔召喚術を要する異界作成技法は勉強するなら結構な時間が掛かる、しかしショタおじに頼めば一瞬が百年*9に短縮出来るので最悪自習だろうと時間短縮にはなる
あの地獄をスタ◯か図書館の自習室か何か扱いする馬鹿は……いや、それ以上に遊び場扱いする更なる馬鹿はガイア連合に以外な程存在するし、何なら琉球ニキ達の様に勉強部屋扱いは一定以上の力量がある修羅勢の嗜みという事は以外と知られてはいない*10
……兎に角、先ずは欧州からの救難信号を届けに来た二人からは色々大事な情報のやりとりは出来た。しかしこの状態で二人には『此方からの非常に危険な情報』は与えられないと判断するべきだろう。ブランターク氏辺りなら『オカルト関係のタブーに障る』と説明すれば即座に引き下がって耳を塞いでくれるだろう、長年この業界で上手くやれている人というものはレベル霊能云々以前にこういう判断力が非常に優れているものだ
しかし……可愛がっている
故に今回は二人には今回のエリーゼが抱えてしまった非常に厄介な秘密については『二人がガイア連合に正式加入するまで秘密』という事に決まった……その秘密を守る為に必要な口裏合わせの人員は欲しいが今回は都合が悪かったという事だ
一応、この秘密を知る者達にも色々なクリアランス・セキュリティを掛けてはいる……例を挙げるなら
沖縄支部幹部衆、ガイア連合盟主:情報所持制限無し。また必要なら他者に情報を伝える権限有り。但し必ず盟主への報告義務並びに伝える者との高位魔術契約を要す
当事者三人、また当事者親類黒札。ガイア連合幹部の一部:情報所持制限無し。但し魔術契約により情報封印状態となる
当事者三人の近類縁者(黒札以外):担当当事者以外の情報に制限有り。勿論魔術契約で厳重に記憶封印状態にある。アームストロング氏やブランターク氏はこの待遇となる予定
……とまぁ、こういう調子でついさっき抱える羽目に陥った重要機密を管理することが決まった。その機密の中心点三人娘のメンタルケアと機密管理の検知からその機密を共有する人員は必要でありその辺りの折り合いも兼ねての対処だが様々な要因から穴や抜けはあるが突発的な事態故に今は仕方ない
時に話は少し未来の話となるが。その機密管理の最終調整が為に沖縄支部幹部衆と山梨第一支部の一部の重鎮……運営の長であるちひろネキや修羅勢の統括者セツニキ*11、そして同じメシアンスレイヤーの大先輩である霊視ニキ、様々な魔術や技法の開発者として名高い探究ネキ*12。他にも厳選した幹部クラスが幾人かが山梨第一支部の会議室に集結する事となる
「さて……まぁだいたいはその原案通りに進めて行く訳で良いね?」
下手をすればその存在だけでメシア教と即座に全面戦争すらあり得る……そんな胃痛ものの案件を共有された山梨幹部衆らは全員胃痛や頭痛を覚えて頭を抱える羽目に陥る様な有り様だった。あのスケベ部の首魁であるミナミィネキさえ同じ有り様故にこれがどれだけヒドい内容かが推して知れるというものだ
「……沖縄支部で発見される私たちってかなり、その。何というか……良く見つかりますね?非常に特殊な、前世幼児だとかみたいな特異事例ばかりが」
破魔ネキ*13の言葉に沖縄チーム一同も
「「「「「「それな」」」」」」
と返すしかないが……真面目に言うならむしろ沖縄チーム自身が『何でさ?』と誰かに聞きたいだろうし。もっと言うならショタおじ当人が一番それを聞きたいだろう
まぁガイア連合盟主にして知らない事は多分、あんまり無い*14だろう物知りなショタおじでも『今起きている転生の正確な理由やメカニズム』について全てを正確に識る訳でもなく、また『悪魔や穢教鳥なぞ存在しないだろう元の安全な世界に帰る方法』なぞ先ず当のショタおじ当人が聞きたいぐらい未知にして不可思議の話題だろう……ショタおじ当人に帰る意思があるかはさておき
しかし。例えこの世界が地獄と地続きだろうが、世に
その地獄の中でも非常に危険かつ深刻な事態を引き起こす呼び水……でもあると同時にやりように依ってはこちらの強力な益にも繋がる可能性がある。しかもそのうち二人はこのガイア連合の理念として絶対に護らなくてはならない
故にこの非常に厄介な情報の対処に集められた『一定以上の信頼があり、情報を共有するに値する上級黒札達』である……いや、一人ほど『ガイア連合への忠誠と帰属意識』には間違いなく信用信頼が置かれてはいる。いるのだが、しかし当人の能力並びに性格的に絶対にこの場に呼んできっちり説明してからなるべくぶっとい釘を刺さなくてはならない者、というべき存在も呼ばれてはいる
「……うん、確かにこの秘密は私も暴いてしまいそうにはなりますわね。聞かされるだけで神経が擦り減る様な強烈かつ酷すぎる情報ですわ……」
その『ぶっとい釘を刺される者』ことちひろネキの部下の一人であり今は経理部所属の『古戸 エリカ*15』という『秘密や嘘を暴くペルソナ使い』が発言する……彼女とて嗜虐方面の悪趣味はあれど少なくともガイア連合に仇成す所業なぞ真っ平御免であり、また稀少な
今回の件は……まぁアレだ。要は『彼女がうっかりたまたま発掘された核地雷を踏まない様にショタおじ筆頭に地雷処理班が警告してくれた』というだけの話である。時々何らかの秘密を握って誰かを脅したり揶揄う真似をする彼女には一つ良い薬になった事だろう*16
まぁ……同じアンチメシアンであり悪趣味ではあるが一定以上の良識はあるしそれを遵守する理性だって備わっている彼女だからこれ以上の釘刺しは必要無い。そもそも沖縄支部は経理部的に非常にちゃんとした書類資料を期日を守って綺麗に提出してくれる花丸優良支部の一つであり、また彼女が掴んだ影の情報でも『特に強烈かつ過激なメシアンスレイヤーグループ』の一角故に最初から好印象ではある
「エリカさん*17……その『覗き』は偶にこんなトンデモ案件にぶち当たるから次回からは気を付けましょうね?」
彼女の上司であるちひろネキ……だいたい見たところ二十代半ばの可愛らしく穏やかな印象を与える女性に嗜められる。少なくともエリカの能力は『不正を暴く』という点において間違いなくガイア連合最高クラスの代物であり、直属の上司であるちひろネキも良く宛にするぐらい有益な代物である事は間違いないだろう
それに、この秘密をエリカに共有したのは……万が一にでもこの情報が流出した際にその経由を少しでも早く探る為に重要だからである。彼女ならそういう秘密を暴く特性でいち早くその兆候を掴みその情報の出所を暴き立ててくれるだろうから
そんなこんなで今回の会談の一番大事な部分は恙なく終わりを迎え……る前に予め予定されていた会食を頂き、次は沖縄支部の近況報告から情報交換にてお開きとなる筈だった
今回の会食は何時もならばジャンニキのフルコース予定だったが……その件のジャンニキ自身が予め予定して組んでいた『修行休暇』と重なってしまったおかげで今回は代理で八男ニキが予め厨房に有った素材を使って用意した懐石膳を出すことが決まった。急な会議故に仕方あるまい
前世ではミシュラン三つ星クラス料亭の花板だったという八男ニキが同じく『ジャンニキがスカウトする程度に優れた料理人』でもある琉球ニキ、執事ニキの三人で代打となりこの場に料理を出す事となった
様々なトリコ食材……は使わず、厨房に有った最低限霊能食材ではあれど基本的に普通の食材や一般食材を短時間なれど丁寧に仕込んだ『素材の味を巧く旨く活かした懐石の本懐』を体現させてみた代物だと言っておく
飯(めし):(少量の炊き込みご飯)
汁(しる):(季節の澄し汁)
向付(むこうづけ):(山梨地産の刺し身)
煮物椀(にものわん):(山梨地産の野菜煮染め)
焼物(やきもの):(近隣猪の角煮)
預け鉢(あずけばち)/ 鉢肴(はちざかな):煮物などの大皿料理
強肴(しいざかな):お酒やご飯をすすめるための小鉢
吸物(すいもの):箸休めのお吸い物
八寸(はっすん):海と山の幸の盛り合わせ
湯桶(ゆとう):香の物と、お湯やそば湯をかけたご飯
菓子・濃茶:主菓子と抹茶
三人掛かりとはいえ、二十数人分もの量のこれだけ沢山の料理をほぼ星霊神社関わりの素材だけで綺麗に作り上げて。尚且つ会議準備の片手間で盛り付けまで華麗に熟している辺り間違いなく『ジャンニキが真面目にスカウトするぐらいの技量』だと言えるだろう
「……こりゃ凄いな。普通の霊能食材だけどこれだけ巧く旨くってのは並大抵の技量じゃ出来ないぞ?」
「最近出回る探究ネキや破魔ネキの作る新しい霊能食材に素材の真価だけで真っ向から対抗出来ているよねコレ!」
「ジャンニキとは一味違う。けどこっちもすっごく美味しい!」
「……職人の底力って、やはり本当に凄いものですね」
「……プ、プライドが、私の女としてのプライドが……」
「……この味、この包丁の入れ具合、いや。もうこれは間違い無いな……」
この懐石膳の評価は上々も上々、普段は常にジャンニキが取り仕切る会食の献立を今回は珍しく八男ニキを中心に沖縄チームの料理が得意なメンバーにて代役となったが中々どうして上手くいったものである
その大好評の中で一人、三人の料理を深く吟味してその味に『嘗て前世で食べた経験のある、それも一発でお気に入り判定を下すぐらい気に入ったとある高級料亭の花板の味』を見出していた……
それは九十年代の半ば過ぎ……我々の歴史でもアトランタオリンピックで世が賑わう最中に起きた一つの『事件』で喪われた味だった
セツニキの前世に於いても五指に入る様な凄腕の若き花板が他の板前の嫉み僻みで殺され、更には証拠隠滅と罪の擦り付けを兼ねた放火で骨すら残らず消え去った事件があった
その事件は犯人の杜撰な所業の数々で次の日には即座に証拠が集まり冤罪は一瞬で晴れて『彼』の名誉は守られた……その生命と可能性は理不尽に喪われたが
セツニキも前世では『もう少し食べたかった。未だ若い彼の成長した料理を堪能したかった』と内心では心残りだった味の一つだった……まさかその味そのもの、いや琉球ニキの味と執事ニキの味がない混ざった代物ではあり、その二人は二人で中々見事なものではあるが。兎に角前世からできればもう一度だけでも食べたい思い出の味に再会出来た事に内心では驚いていた
このまま一度八男ニキに聴きたい衝動にも少し駆られたが……それは流石に『粋』ではない。だから
「……八男ニキ。もしかしてこの材料には和歌山の紀州梅のおろしや本山葵を使いたかっただろ?」
「残念だけど今日は業務用の練り梅や練り山葵しか無かったからそれで代用しましたね……しかし、俺の拘りを良くご存知で」
そんな二人の会話。後はもうこれだけで良い……八男ニキが前世の彼を覚えているかどうかよりも単に『あの味がもう一度味わえる可能性とアップデートされる可能性』が芽生えただけで満足だ
八男ニキははっとセツニキの顔を見て何かを思い出した様にこっそり会議に持ってきた筆ペンと小さなメモ用紙に何かをさらさら書いてセツニキに差し出す
前世よりご愛顧賜りありがとうございます◯◯ ◯◯様
それはセツニキの前世の名前が記された八男ニキからのやたら達筆な返答だった
「……あぁ、今生でも宜しくな八男ニキ」
その紙片を魔術の火で焚き即座に灰すら残らぬ様にしてから破魔の力で僅かな灰すら消滅させる……セツニキの『前世の名前』は誰に教えずセツニキからの問いかけに応えたからこちらも『今生の縁』として八男ニキに応える
お互いに『前世の名前』なぞ決して口には出さずその因縁も再会も戦友や妻にも教えぬ心構えで今後も付き合ってゆく事を決めた訳だが……多分ショタおじ辺りは察してはいる筈だが『真名隠し』という異能者にとって大事な作法を阻害する気は無い。単に微笑んで見ているだけだ
この件がきっかけとなり『琉球ニキ達は料理スキルも中々の代物である』事が分かり、また普段忙しい彼らの料理を食べる機会を得た幸運なそれを喧伝してゆくからか……『彼ら三人の料理を食べた者にはちょっとした幸運が訪れる』という黒札限定の噂と言うか都市伝説が囁かれる様にまでなったらしい
実際、後々の日本神解放戦期は日本北端での『神居古潭解放戦*18』では彼らが何処からか調達して来た霊的食材である酒粕や鮭で作った甘酒や粕汁を提供して非常に良い暖を取れた事を自慢していた……らしいが、その日にガチャを回した者達が割と良いものを得たとか何とかでちょっとした話題になったとかならなかったとか、だそうな
そんなこんなで沖縄支部に偶に『料理を作って』とかそんな依頼が来るが……大概は『沖縄支部幹部衆は忙しいという現実』かつ『緊急依頼が優先』と先ず百発百中断られる依頼となる。それこそ『人魚ネキ*19』への氏名依頼並みに可能性が薄い依頼の一つとして暫く先には有名になってしまう有り様だ
新しい沖縄支部の特徴はさておき……新しく山梨に送った新人黒札達が今どうなっているかをショタおじに聞いてみた
先ず未覚醒や半覚醒組だが……
・登山家ネキ:二日ぐらいの地獄修行で覚醒。適性の高い魔法修練から入る
・アスカニキ:地獄修行一週間突入から一応のドクターストップ。暫く休暇後に再修行突入予定
・神崎ネキ:星霊神社に入った瞬間に覚醒。推定ペルソナ3仕様の『臨死型かつナビタイプ』にも覚醒して今はスライムニキのペルソナ使い研修受講中
そんな経緯を辿っているそうな……アスカニキは今暫くはあの拷問の様な修行から精神を休めている状態だが残り二人は順調に覚醒を果たして基礎修行に入ったとの事である
そして覚醒組は……
・改三ネキ:必要レベル獲得、耐性訓練終了、異界中層試験突破、必須ではないが『長距離転移魔法:トラポート』の習得訓練の真っ最中
・ゾンゲニキ:必要レベル訓練並びに耐性訓練受講中
・陶芸家ネキ:必要レベル獲得、トラポート習得済み、耐性訓練中、中層試験対策中
・武内Pニキ:トラポート習得済み、必要レベル訓練並びに耐性訓練受講中。ペルソナ覚醒訓練は全て終了後に行う予定
……改三ネキは沖縄支部で暮らすなら絶対に役立つ魔法の代名詞であるトラポート習得訓練を除いて全て受講完了状態、後の三人もそれぞれのテンポでまるで少年漫画の主人公の様に短時間攻略に走っている状態である
そしてその中にあのパーティーで『俺たち』だと判明した乃木坂春香……その家族会議の結果『執事』に合わせて『令嬢』で掛けてと決まりコテハンは『令嬢ネキ』と決まった彼女もまた覚醒組に混じって【銃火暴風怨嗟域】にて活躍する為に必須の耐性獲得修行にて全員仲良くショタおじに焼かれ呪われ吹き飛ばされてと沖縄支部創設チームが通った地獄を巡っているとの事だ
「……まぁ、俺らも通った道だしな?」
「これで折れるぐらいなら沖縄で最前線は無理だしな」
「むしろ俺は折れて後方支援に特化していて欲しいよ」
「……そりゃ僕たち皆思ってしまう内容だけどね?」
「何気に
「そんなもん賭けるまでも無いだろう?皆やり切る一択だろうさ」
その報告を聞いての沖縄チームである。沖縄という死地に流れ着く者達故かその力の強弱を問わず皆『覚悟完了』している者達ばかりの様であり*20、沖縄支部に所属した黒札達は皆確実に『初手ショタおじの地獄修行』を選べるぐらいの気概はあると言う事だ
もうすぐ戦士枠として着任する改三ネキ。聖者ニキの対認知異界チームに加わり日本各地を渡り歩いたり【銃火暴風怨嗟域】を攻略したりと様々な仕事に就く事だろう。他の面子も早ければそう遠くない時期、遅くとも三ヶ月も有れば必要最低限の課題は攻略して三月辺りには沖縄に着任出来る筈だ
彼ら以外の現地民達も初音郷にて修行中であり、今はそれぞれの適性を鑑みながら必要な修行の真っ只中だという
沖縄に残された時間は……はっきり言ってもう殆ど無いだろう。来年いっぱいは未だ大丈夫だろうが、再来年の夏を迎えるのは間違いなく不可能であり、それこそ良くて再来年の春先ぐらいまでがどう甘く見積もってもタイムリミットだろう。むしろ期限は来年のクリスマス辺りまでだと覚悟しておくべき状況だ
ニライ=カナイと契約した琉球ニキには解る……はっきり言ってニライ=カナイはもう既に限界であり自身の魂を削りに削って沖縄の地を支えている状況だ。そしてその状況を打破する為に必要な手段は?
1:琉球ニキが『ニライ=カナイの魂の欠片』を全て集める事
2:沖縄十ヶ所以上に打ち込まれた『銃火暴風怨嗟域に堕ちたメシア教聖堂や沖縄カテドラルの残骸*21』を最低限カテドラルの攻略並びに完全破壊
3:『ニライ=カナイの魂の欠片』を全て集める事で封印が解ける『あの戦争やメシア教のやらかしで出来た死者達の怨念集合体』を撃破して鎮める
この三つを達成することが必須事項となる。1と3は連動しているからまぁ今はさておき……問題は沖縄本島十数ヶ所に存在する『銃火暴風怨嗟域に堕ちた聖堂やカテドラル』の攻略だろう。はっきり言って聖堂は兎も角国頭郡は米軍北部訓練所に存在する『沖縄カテドラル』は今の琉球ニキ達では手に負えない領域の危険地帯だと言い切れる
レベル40代の実力者集団である沖縄チームだが、あのカテドラルはショタおじ曰く『最低限レベル60』まで鍛えないと攻略は不可能だと言い切れるぐらい過酷かつ危険な環境であり、少なくとも他の聖堂を全て解体するぐらいやらないと攻略許可が降りないレベルである
それこそ……他の黒札達やシキガミ達、その戦場に付いて来れる現地民を選別して初めて攻略出来るレベルだろう。しかし『これ』ですら前座であり『本番』は更に酷い戦いになるだろう。少なくともあのカテドラルですら『生易しい』と切り捨てられるぐらいには激戦が確定している
一応、沖縄支部でも万が一に備えて『カテドラル攻略』や『ニライ=カナイ救出戦』では真面目に沖縄支部だけで攻略可能だとは思わないから『傭兵戦力』を募集予定である。故に【銃火暴風怨嗟域】の制約に引っ掛からない使い手達を雇って戦うこととなるであろう
資金は……財閥俺たちや運営がある程度は出してはくれるが、沖縄支部も貯めておいた魔貨などで傭兵戦力を出来るだけ雇う準備も用意中である
まだまだ先は長く過酷ではあるが……少なくとも五ヶ月という短い時間でレベル40代にまで成れた琉球ニキ達ならばある程度ちゃんとした『成功の可能性』はある。それに何より琉球ニキ達の周りにはその可能性を高めてくれる良縁奇縁が渦巻いている。それはこの会議でも発揮された
「ショタおじ、最近出来た私イチオシのBBコーンです。これに火を入れてショタおじもポップコーンを作って見ませんか?」
探究ネキが作った霊的作物BBコーン。沖縄支部でも『食没』という技能習得の際には良くお世話になる超巨大玉蜀黍である……探究ネキが差し出したバスケットボールサイズの粒一つだけで百人前のポップコーンが出来るという規格外の代物であり、その味は酒飲み達からも『最高のつまみ』だと大絶賛される逸品である
「どれどれ?おっ?この火の入れ具合なら……」
賑やかな事が大好きなショタおじがそのバスケットボールサイズのコーン粒に己の術で火を入れる。会議室がポップコーンで埋まるが間違いなく皆食べ尽くすぐらい美味であり汚れは浄化一発で解決だ
しかし……今回は少し事情が違ってくる。それは
「へっくしゅ!」
八男ニキのくしゃみ。それに連動するかの様に
ビュオオオォツッ!!!
不可思議な事に弾けるポップコーンが吹雪に変わり、この会議室を襲う緊急?異常?事態が発生した
「ちひろネキ!?危ない!!!」
「り、琉球ニキ!?」
この中で一番か弱いちひろネキ。一応覚醒済みではあるがそれでも護るべき対象だと偶々円卓の隣に居た琉球ニキが身を盾にしてちひろネキを突如現れた吹雪から護る。他にも近隣に居た沖縄支部の面子も少し遅れてちひろネキの盾になる……自身から起きた『謎の吹雪』にびっくりしていた八男ニキ以外は
「……えっと?今の『コレ』って何でしょうかショタおじ?」
「……まぁ、一先ず八男ニキには『おめでとう』かな?」
ショタおじは何時ものアルカイックスマイル……と言うには喜色の強い笑顔で八男ニキに告げる
「これは君の『本霊』に纏わるエピソード再現だよ……いやまさかこんな珍しい本霊持ちを見れるとは驚きも驚きだよ」
不可抗力とはいえちひろネキに抱き付いてその柔らかく芳しい肢体を無遠慮に触っている事実に気付いて慌てて彼女の拘束を解く琉球ニキとそれに気付いてドギマギしているちひろネキ……前世含めて基本的にあまり男っ気の無い人生だったらしくこういう『ヒロインムーブ』には耐性が無いらしい
「八男ニキの本霊は……恐らくは『アメリカ建国の巨人』だろうね。八男ニキには建築や開拓、整地に天性の才能があるみたいだし、それに何より……」
琉球ニキとちひろネキの何気にストロベリーな状況を横目で、しかしショタおじ基準でガン見しながら『後で絶対ちひろネキに茶々入れる!』と、自身の後継者問題ガン無視ダブルスタンダードな決意を内心に隠して
「待ってくれショタおじ、八男の本霊が『アレ』なら何故あいつは魔術師なんだ?『アレ』ならあいつは純ファイターだか狂戦士の類になってないとおかしくないか?」
銀剣ニキがそう反論を入れる。自身や仲間達の本霊を嘗て報道部員として鳴らして来た地道ながらも確実な調査技術で調査を一番行って来た……やはり割り振れる時間不足であまり上手くはいかなかったが
銀剣ニキが調査に失敗した理由は調査時間の不足以前に……そもそも『本霊診断』という行為は比較的分かり易い部類の聖者ニキのものですら非常に難易度が高く、ショタおじですら解析が難しい『複合本霊型』がやたら多い沖縄チームの本霊診断は未だその道の初心者である銀剣ニキ達には非常に難しいだろう
「銀剣ニキの意見は尤もだよ……多分だけど八男ニキの本霊は『魔術神混じり』、要は琉球ニキやガンスミスニキとは別系統の複合本霊何だろうね?」
ショタおじは銀剣ニキの疑問にそう答えて周囲を見回す。会議室に居る者達は固唾を呑んでその次の言葉に注意を払う
「今の音は何だ!!」
「確か……ショタおじと沖縄支部が使っている会議室からだ!!」
「おい何だこの冷気!!?」
辺りが騒ぎ出す……それはそうだ、我らがガイア連合の首魁たるショタおじが居る会議室に謎の吹雪が吹き荒れたならそれは『襲撃』……の前に『沖縄支部か誰かがショタおじにドンパチ仕掛けた』と考えるのがガイア連合という組織である。実際には事故だがこと今回に限ってはそう間違ってはいないだろう
「……さて、そろそろ皆。特に八男ニキには勿体ぶらずに『答え合わせ』と行こうか?」
小声で『騒ぎになったらお開き確定だしね?』と呟きながらショタおじは続ける
「八男ニキの本霊は……先程挙げた『アメリカ建国の巨人』こと『民霊:ポール・バニヤン』だね。何らかの北欧系魔術神混じりだから分かり辛かったけど」
ショタおじによる非常に衝撃的な発言、その言葉を聴いて何処かで『合点が行った』と言わんばかりに内心が納得する八男ニキ……救援部隊が会議室の扉を蹴破る音が響く
こうして八男ニキこと『ヴェンデリン=バウマイスター』は自身の起源を識り、新しい力を得ることが出来たのである
続く
沖縄『え?八男ニキ達にちゃんと報酬払える?八男ニキ達の生活基盤とかも此処にあるし……そもそも八男ニキ達は日本に帰化済みのガイア連合所属だよ?』
『八男ニキ』
本名は『ヴェンデリン=バウマイスター』。元ネタは『八男って、それはないでしょう!』より。沖縄支部の俺たちらしく原作知識は一切無い上に舞台は比較的現代地球故に最初から原作もへったくれも無い状態だが何気に一部の原作設定が中途半端に成立している状態のドイツの片田舎から彼の物語は始まった割と珍しい海外生まれ俺たちの一人かつ『この作品に於ける六人の主人公の一人』
ドイツの『黒い森』付近の片田舎でその『黒い森』を代々管理保護する森林監査官の次男坊に産まれ、少なくともドイツでの暮らしから『原作』に於ける『最初の悪友』、『完璧超人な婚約者』、『高飛車お嬢様』、『腹ペコ怪力娘』、『破天荒筋肉親父』、『ちょい悪親父』と両親に原作五男な兄との縁はある。爵位もへったくれも無い一般……一応豪農の家系ではあるが貴族でも何でもないしそもそも現在のドイツに爵位はもう無い。比較的一般家庭の次男坊なのに何故か『八男ニキ』という当人には理解不能な謎コテハンを与えられる微妙な運命持ち
前世は享年三十半ばの若く巨漢な板前で、その若さでとある高級人気料亭の花板を勤められるぐらい優秀な板前だった。しかしその実力とそれに見合わぬ若さから嫉み逆恨みを買い杜撰な火事冤罪と直接的な殺害に遭い死亡……殆ど某サンデーの名探偵被害者みたいなクソ過ぎる理由が死因だった。ちなみに事件も冤罪も警察が次の日には解決して真犯人は即刻お縄になったそうな
今生では身長175㎝の中肉体型で比較的容姿は整っている部類ではあるが……大概は様々な意味で非常にイケメンな兄に比較されてしまう事は多かったらしい。しかし彼の彼女を筆頭に『彼の中身』を正しく理解して真剣勝負で彼を狙うハンターは故郷でも以外と多い様だ
家族関係は『原作』とは違い非常に良好。あまりギスギスした親戚関係も無く普通に仲の良い真っ当な家族関係を構築出来ていた。そして近所や学校関係でも基本的にやはり良好であり『原作』とは真逆のリア充をやっていた。その辺りは間違いなく『原作に於ける本来のヴェンデリン』としての側面もあるからだろう
痩せの大食いかつ未成年の時分から酒飲みのケがありしかもあの六人の中で一番の酒豪だが六人全員が最早枠レベルの大酒豪揃い故に本人すら生涯自身の限界を知る機会は無いレベル
偶に父親の酒をちょろまかしたりする悪さはやるが基本的には天性の料理人でありドイツでは記憶は戻らずとも前世から流れる料理人魂でドイツの地だろうが何だろうが構わず関係ないと独自の料理を編み出す事に明け暮れていた。その才覚とセンスは非常に優れたものでドイツでは何冊か料理本を書き上げて結構な人気を出してすらいた『料理の天才少年』だった……ちなみに貯めた印税は日本移住費用で全部消し飛んだ
料理だけでなく、父や兄を手伝って狩猟した獲物を手際良く解体したり畑を耕したり薪を割ったり木樵をやってみたりと色々やりながらドイツのエリートコースであるギムナジウム進学と其処でも成績優秀枠を維持する出来た息子としても頑張っていた……獲物の解体加工で父や兄の同僚や部下などからバイトで貢献したりしながらそれをアルバイトにするぐらいちゃっかり者でもあるが(そのアルバイト代は彼女であるエリーゼとのデート費用に費やされる)
その比較的穏やかだがやや生き急いでいる様な日々は……彼女であるエリーゼに伸びたメシア教の邪悪な魔の手により喪われた。その頃には記憶をある程度取り戻した彼は知人や彼女の身内の伝手と貯めに貯めた未成年にしてはある貯蓄やらで彼女を連れて日本に逃走する事に成功した。勿論その成功にはエリーゼの実家やカトリック派閥の協力が有ったからである
避難地である初音郷にて『俺たち』である事が判明し、即座に山梨第一支部送りとなり……後は皆様もご存知の通りである。こんな経緯から日本に来た為、そもそも信心薄い気性だったがこの件で一神教への信心は完全に喪失している上に激しいアンチメシアンとなる。そして日本での経験によりその嫌悪感は深刻極まりない憎悪に変わりガイア連合でも一際激しいメシアンスレイヤーにまで拗らせてしまった
家族や近類縁者、恩のある彼女の伯父やその相方、遠くに引っ越してしまった他の幼馴染(実はその伯父さんや相方の弟子として保護された状況に有る)をメシア教や悪魔から護るために沖縄という過酷な環境を復興して生活拠点とする為に今を必死に頑張っている状態……身内や他守るべき存在だけでだいたい百人以上存在する為受け入れが出来る沖縄に根を張る決意を固めてこの状況に至る
戦闘スタイルは純魔術師であるが、修練で学んだ古式悪魔召喚術をメインに体術に杖術、狩猟で学んだ弓術や猟銃の扱い、それと一応ナイフコンバットも出来るが『ナイフは狩猟道具』という拘りからあまり武器としては使いたくないらしい……前世は包丁で刺し殺されたからだろうか?
ちなみに剣の才能は殆ど無い様だ……『原作』の因果によるものだろうか?だが斧やハンマーといった工具を武器として扱う才能は非常に高い(真なる本霊の影響)
シキガミは『自立思考式魔法杖型:アルフレッド』。要は殆ど『魔法少女リリカルなのはに於けるインテリジェントデバイス』みたいな代物であり、日本語と独逸語を使い分けられる武器型シキガミ……元ネタは原作に於ける彼の師匠である。製作者達が真剣にオススメしたネーミングだが非常にしっくり来たからその名を採用した。ちなみにこのシキガミの本霊は霜の巨人の一人にして泉の守護者ミーミル。これは『八男ニキのもう一つの本霊』に纏わる因縁によるものである
普通に打撃武器、いや何なら槍としても使えるが……その真価は『魔術サポート』に有り、このアルフレッド自身も高い判断力で登録された魔法を行使して主をサポートする事が得意。ちなみにその名前通り男性人格であり『人間化』などには一切興味が無いタイプの武器型シキガミでもある。但し『待機形態』は存在し、普段はガイアフォンに似た形状のスマホ型になっている
彼の本霊は『民霊:ポール・バニヤン』。アメリカ建国と開拓を司る建築の巨人にしてアメリカやカナダの重要な民話主人公。その性質からその痩せの大食いぶりや極めて高い地変魔法への適性、整地や開拓適性が発現している
また、彼の血筋には非常に薄れたものではあるが『北欧神話の主神の血脈』が存在し、近年のメシア教の跳梁跋扈対策になれと目敏く自らの末裔に宿る非常に強力な魂に自身の気合いを入れた分霊を放り込んでちゃんぽんにしてしまった結果今の八男ニキが誕生した
もしもその『ちゃんぽん状態』にならずに普通に『本霊:ポール・バニヤン』だったら前世同様に『田亀源五郎デザインみたいな容貌の毛もじゃ巨漢(勿論純粋なノンケ)』になり、大鉞担いだ狂戦士スタイルかつ巨大化を駆使するパワーファイターになっていただろう
この『ちゃんぽん状態』の副作用として……能力の性質が完全に魔術師寄りになり、ポール・バニヤンとしての代表的な権能である『怪力』と『巨大化』を喪失している。しかし魔術神としての莫大な魔力や剣の才能を除いた戦闘センスや様々な魔術適性を対価として獲得している。また逆にその『北欧神話の主神』ことオーディンの『知識を得る為に片眼を失う』という因果は先の『怪力』と『巨大化』が代わりとなり、また『必ずフェンリル狼に喰い殺される』という因果も『根本的にポール・バニヤンが本霊』という事で『相対すれば不利』程度に抑制出来てはいるらしい
このポール・バニヤンには『自身の食べたポップコーンの食べカスを吹雪だと勘違いした動物達が巻き込まれて凍死した』というエピソードが有り、それがあの会議にて再現されてしまった事がきっかけで八男ニキの霊基が判明したという次第である……『ショタおじの火でBBコーンを炙った結果出来たポップコーン』という霊的に非常に強力な代物であった事と恐らくはある種の運命力の発生、それに何より八男ニキ当人の修練が追いついた事が結び付いた結果起きた珍事だと思われる
その結果八男ニキは『ほぼ無尽蔵に豆や豆のスープを生成する能力』に目覚めたという訳である……ある意味では聖者ニキに近い特性持ちだとも言える。一応豆に比べれば制約はあるがかなり無尽蔵気味にパンケーキやポップコーンを生成する能力でもある。ポップコーンは『魔法に寄らぬ非常に特殊な超広範囲氷結攻撃』に使えるから大概は食べるよりその攻撃の残弾に使うべきだろうこれらは『湖いっぱいの豆スープ』、『ポップコーンの吹雪』と呼ばれるポール・バニヤンの権能である。彼一人の存在で間違いなく沖縄本島一つの最低限の生活インフラは保証出来るだろう。少なくとも彼の意向次第だがほぼ無償で飽きるぐらいの豆スープにはありつけるだろうから
ポール・バニヤンには『ベイブ』という青い牡牛の相棒が存在する……本来ならば彼の権能で常時召喚可能な相棒だったが、この『ちゃんぽん状態』になった事で『キャパシティオーバー』となりその霊基分が弾き出されて彼の幼馴染の一人となる『腹ペコ怪力娘』に乗り移ってしまう結果になってしまう。その幼馴染が常に腹ペコかつ怪力無双なのはそのせいであるが、元々非常に高い霊的素養という下地と比較的戦士向けの適性が『ベイブの受け皿』になった様だ(『原作の因果』なら彼女は彼の護衛故にまぁ間違った様相ではないだろう)
後『自身の本霊』を理解した事で『体内のエネルギー。要はカロリーを魔力に変換する能力』に目覚め、またまた身体が非常に丈夫……要は『肉体異常耐性』を獲得し、更には『一般的なデビルシフター並の悪食耐性』も獲得出来た。これと沖縄支部必須技能『食没』を組み合わせればほぼどんなものでも、それこそ毒食だろうが金属食だろうが可能な体質となっている。但し八男ニキの舌は非常に鋭敏なので不味いものは即座に吐き出すのは料理人の宿業宿痾だろう
ちなみに彼の好物は『自身の彼女が作ってくれた手料理』。彼女の愛情もさることながらその料理の才能が八男ニキを魅了しているそうな
同じ黒札との人間関係は基本的に悪くはない……が、基本的にアンチメシアン関連の友人?むしろ同胞関係が目立つ辺りはご愛嬌。後はジャンニキを筆頭に料理人な俺たちとの相性も非常に良く、今生で思い出した整地開拓土建等々の技能適性から土方ニキみたいな工事人俺たちの一員として活躍も行っている。半終末期辺りには同じ沖縄黒札のゴッフニキ辺りと組んで不定期料理チャンネルを配信したりもしている。何気に主婦や食いしん坊達から人気がある動画になっているそうな
また、非常に珍しい『前世での縁に再会出来た俺たち』の一員でもある……再会の相手とはそこまで深い縁では無いが、まぁ間違いなく『良い縁』だと言い切れる。何しろ『彼の料理人としての技量に惚れ込んだ店の常連』かつしかもその相手が何を隠そうあの『セツニキ』である
『エリーゼ=ホーエンハイム』
八男ニキの幼馴染兼彼女、八男ニキと同じくドイツ生まれドイツ育ちの旧伯爵家令嬢(ドイツに『子爵位』は無いから原作設定より繰り上げ)にして祖父が『法皇位』に最も近い立ち位置に有るカトリック枢機卿というカトリック名家のある意味極みみたいな一族の至宝たる娘
ちなみに旧貴族かつ名家の御令嬢であるから正式な名前は『エリーゼ=フォン=ホーエンハイム』と貴族号が付くが現在ではナンセンスと曽祖父の代で意図して外されている
勿論『原作持ち』であり八男ニキと同じく『八男って、それはないでしょう!』のメインヒロインが原型かつその再現性は非常に高い存在だと『この原作と彼女の為人を知る黒札達』は保証している(八男ニキの前世享年は1996年故にそんな知識は先ず有る筈も無いだろう)
長く肌理細かいストレートの金髪に最高純度の紫水晶みたいな瞳を持つ、欧州基準ではやや小柄ながらも大概の同性が憧れるダイナマイトバディー。『T160.B95.W58.H89(推定G)』という凄まじいモノをお持ちの御令嬢である……その発育の代償に十歳の頃から常にブラのサイズには悩まされて来たそうな。その悩みを共有出来る友人が沖縄で増えた事を真面目に喜んでいるとかいないとか?
基本的に敬虔なカトリック教徒であり、ドイツでは一応真っ当なカトリック教会で修道女として活動していたが……その美貌と献身的な善き修道女ぶりが災いしてメシア教やその腐敗神官(原作の豚公爵やその取り巻きみたいな輩)などに目をつけられる羽目に陥り幼馴染の少年(八男ニキ)主導の日本亡命にて還俗から日本移住を行う事となる
彼女が修道女として頑張る傍ら、その幼馴染の少年は料理人として技を磨きながら猟師、木樵、解体職人など様々な仕事を巧みに行っていたが、相方にして恋人である少年(八男ニキ)は山梨修行から帰還による再開時には自身より更に、遥かにもの凄い進化を経て大きな男になって帰って来て彼女を惚れ直させて来たそうな
一神教に纏わる神学なら今すぐ講師が務まるレベルで知識があり、その辺りの見識なら『一般的な修羅勢が教わりに来るレベル』だと言えるぐらいの代物だと言える。また様々な家事技能に長じており、前世が『ミシュラン三つ星保有高級料亭の花板』かつ根が料理バカな八男ニキが真剣に惚れ込む料理の天才でもある『天は二物も三物も与える』のある意味好例
しかし……そんな彼女にも欠点はあり、先ずもの凄い下戸であり絡み酒の大トラ化を引き起こす酒癖の悪さが挙げられるだろう。うっかりやらかした彼女の伯父もその件には心底反省したらしい。後ついでに『ハンドルを握るとスピード狂になる』という一面もあり、日本きっての車社会である沖縄では間違いなく深刻な弱点となるだろう(免許がまともに取れないのは致命的なハンデである)
何より一番深刻な欠点?は……彼女の霊的根源であり霊質である『聖母の素質』だろう。作中では既に『資格』を自ら放棄しているがその非常に高い『ほぼ黒札級の霊的才能:才能限界レベル60代』という破格の才能も併せてメシア教や他多神連合などにバレても非常面倒な事態に陥る為要注意な娘でもある
その霊的素質により治癒・回復・破魔・結界といった所謂『僧侶系魔法』に非常に高い適性があるが結構運動音痴故に白兵戦は戦鎚による護身以上の期待は出来ないタイプ……だったのだが『とある天使殴り専門預言者な転生者』の教導により後々物理系でも結構『化ける』事となるだろう
実は国際的に著名な『鍵盤上の姫君』とも呼ばれる同年代のピアニストファンであり、まさかその人物が生涯共に戦う戦友になるとは真面目に思ってもみなかったそうな。この感覚は音楽業界に関わる者達、ピアノが趣味な者たちと良く共通出来る話題となっているのが沖縄支部となる
その霊的適性や性質、沖縄支部の気風などもあり彼女は半終末期辺りには『メシア教被害者救済病院』の院長代理として務める事が多くなるが……勿論、機会を作っては【銃火暴風怨嗟域】にて修行兼清掃業務に勤しんでいるしまた半終末期の沖縄防衛戦でも医療部隊を率いて活動だってやる。また偶に暴走する救護ネキ(分身)の手綱を握る……一応『伯父』に似たマイウェイタイプだからか説得は出来るしその思想は理解出来るからまぁエリーゼは一応彼女の制御は出来るタイプだろう。多分
『クリムト=アームストロング』
代々……ナチス・ドイツ時代を抜いた旧貴族時代から軍閥貴族名家名門の一族。にして『ドイツの霊的最終兵器』とも呼ばれる筋骨隆々の偉丈夫。ナチス時代はナチス思想と敵対的だった為割とそういう意味でも『名家』として扱われる存在だったりする
2mを超える長身に鋼の様な逞しい筋肉、まるで燃え上がる炎の様な独特の髪型をした非常に特徴的な人物だが中身は更に破天荒な御仁であるがこの也で純魔術師だったりする……要は連理ニキや沖縄魔術師達と同じ戦士型魔術師である
為人は正にその也通りに豪放磊落かつ破天荒な(遠目で見ている分には)面白い人物であり、記憶が戻る前の八男ニキとも割と近い目線で会話出来る人物でもあったりする。またドイツという国への帰属意識は非常に高いが現状認識能力もまた高いタイプ故にガイア連合を『ドイツへの支援』が出来る限り裏切る気は全く無いタイプでもある
彼個人も何気に様々な術や秘儀があるらしく、所謂『ドイツ版葛葉ライドウ』みたいな扱いの存在だと思えばだいたい合っているだろう……流石にライドウ程の知名度や権限は無いしドイツの情勢はもうメシア教のせいで致命的故にそろそろ日本亡命を真面目に考える頃合いだと諦めている状況らしいが
妻子持ちだが常に産まれるのは男子ばかりだからか……一族でも数少ない直系の姪っ子であるエリーゼを猫可愛がりする特徴があり、その良い人である八男ニキも『姪っ子の婚約者』として非常に気に入っているらしい
また、数人ほど優れた霊能者の素養を持った子供達を預かり後述するブランターク氏と一緒に育成してその子供達を沖縄に送って保護して貰う予定を立てている……ちなみに信心は八男ニキに匹敵するほど絶無、しかも歯に衣着せぬ性格故に八男ニキよりその傾向が顕著に見える
『ブランターク=リングスタッド』
前述した『アームストロング氏』の相方。一応ドイツに居があるだけのフリーランス霊能者だがその奇縁によりちょくちょく様々な事件に巻き込まれるある意味ワトソン枠みたいな命運持ち
嘗ては酒好き風俗好きと……まるでスタンクニキの様な不良中年だったが、とある様々な奇縁の果てに若い嫁と結婚して娘が産まれてからは女遊びをきっぱり止めて割と真面目に暮らす様になったらしい
メシア教を筆頭に宗教家も権力者も大嫌いではある……が、今世界に起こる現実が見えている事もあり、ガイア連合の良くも悪くも個人主義的な気風は割と水に合う事もあって八男ニキの補佐として沖縄支部に所属してくれる様になる
だいたいレベル45ぐらいで才能限界を迎えた現地民の上澄みも上澄みの一例であり、沖縄支部の魔術師達にその経験を伝授する優秀な師範ともなってくれる逸材
アームストロング氏と共同で何人かの弟子を育成しているが、基本的に指導方針は真逆である為偶にその育成で討論になる事もある……が、お互いの方針には理解があるので致命的な諍いは一切起きない様だ