凡庸でありふれた転生者達の小話   作:血涙鬼・彼岸

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ちょっとしたアンケート入ります


第六話 悪魔といふもの(多分基礎編)

 

三人が自分の彼女のことについて喋っていた

A「俺の彼女は顔はかわいいんだが性格が超悪いんだ」

B「俺の彼女は俺と付き合い始めてから10キロも太ったんだぜ」

 

C「俺の勝ちだな。俺の彼女は性格もルックスも最高。唯一の欠点はメシアンってことぐらいだ」

 

A、B「「俺たちの方がまだマシだったか(Cから距離を置きつつ)」」

 

(ガイア連合式メシアンジョーク集の一節より)

 

 

さて。一夜が開けて早朝一番から温泉に行き、朝はあまり多くは食べずに*1腹七分で抑えてから昨日飲んで気に入ったガイアチャイを魔法瓶に入れて貰う……基本的にガイアカレーをスープジャーに入れて異界に赴く俺たちの姿が多い。いやおにぎりやナンも持ってゆく者ばかりだからやはり彼もそれに倣って今日のカレーとおにぎりのセットをお弁当として持ってゆく事にした。ちなみに魔法瓶やスープジャーは流石に日曜雑貨や生活用品を売ってくれる方の売店で買って来た

 

持ち込むものは昨日迄で入手した装備出来る武具防具一式とスパルトイ入りと空の封魔管二本に緊急時の消耗品一式、小さなリュックサックにタオル、制作班伝統*2のガイアチャイ入り魔法瓶(容量300㎖)と500㎖水筒入りの水、お弁当のガイアカレー入りスープジャー(容量500㎖)にお握りが二個、後は戦利品を入れる為の丈夫な頭陀袋(容量90ℓ)を二つ、後は簡易的な治療キットと地図用方眼紙やメモ帳と筆記用具、懐中電灯とメタルマッチ、後はもしもの時の非常食にガイア連合特製エネルギーバー(カレー味)を2本、そしてガイア連合に加入した際に必ず貰える転生者専用デザインの携帯用エネミー・ソナーがインストールされたハイエンドガイアフォンを一台……今はこのぐらいで良いだろう

 

今から入る『訓練用異界・浅層部出入り口付近』は初心者が異界に慣れる為の練習場みたいなもので存在する悪魔も非常に劣化した『悪霊:ゴースト(物理耐性無し)』や『地霊:スダマ(スキル無し)』に『外道:スライム(呪殺以外全て弱点)』という辛うじてLv1という雑魚しか存在しない場所なので身体を慣らす為には良いだろう

 

こう書くと単なるゲームの雑魚によるヌルいチュートリアルに見えるかも知れないが……前に一度僅かながらも『悪魔とは如何なるモノか?』については語った筈だ。そして『ストレンジジャーニーという作品においての悪魔との初遭遇』がどんな結末を引き起こしたかを皆様も思い出して欲しい

 

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前にも一度言ったが、あえてもう一度言わせて貰おう

 

悪魔とは『如何に弱かろうと熊の如き力と蜚蠊にも似た素早さとしぶとさを備えた惨虐無惨凶悪無比な悍ましき怪物』である

 

しかもこの怪異どもは厄介な事に只人の眼には視えず認識も出来ずという有り様だ。想像してみると良い、貴方が『目には見えない、しかし最低限ですら羆の様に強く凶悪で奸智に長けた悍ましい人喰いの化け物』に遭遇したらどうなるかを?

 

『強力な現代兵器を盲撃ちにでもすれば非効率的ではあるけど倒せる?』とか考える者も近代には居たが……連中は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という厄介な特性がある為その手段も意味は殆ど無い

 

そんな化け物にも幾つか弱点があり、その一つに()()()()()()()()()()()()()()()()()()()というものがある。その理由は悪魔とは『高次元の情報生命体』と悪魔研究者らは悪魔を評している辺りにある

 

とある悪魔研究者曰く、我々の存在する世界を『物質界』、悪魔の存在する世界を『情報界』とよぶが……この情報界の存在が物質界に顕現するには莫大なエネルギーが必要になる、例えるならば我々が海中に入るなら酸素ボンベを装着したり、潜水艦などに入って空気を確保したりといった理屈でそのエネルギーが必要になる。一応、我々が泳いだりする様に体内のエネルギー(酸素)だけで暫く活動は出来る筈だ

 

悪魔にとってこの世界は……我々風に例えれば『酸素は殆ど無いが、ある意味大金脈がそこかしこにある場所』みたいなものらしいが、それについては『悪魔が必要とするエネルギー』について語る必要がある

 

悪魔が求めるエネルギーは俗に『生体マグネタイト』と呼ばれるこの物質界に存在する()()()()()()ならば必ず持っている生命エネルギーの一種である。そしてそれは『激しい感情』による揺れ幅によって強く発せられるという性質がある

 

故にこの生体マグネタイトというエネルギーは感情の振れ幅が大きい生物……即ち人間が一番強く、悪魔は人間の持つ生体マグネタイトを求めてこの物質界を侵略しようとしたり物見遊山したりと様々な理由で向かおうと企む

 

そしてこの生体マグネタイトの影響なのか?一説ではこの人間から流れてくる生体マグネタイトの影響でこの情報生命体らは神や悪魔、妖精妖怪、果ては噂話の怪人などの『人間が認知するガワ』を得たという説もある

 

……逆に、この情報生命体の元からのガワを認識した人間が『神や悪魔を生み出した』という説もあり、この二つの説だけでなく様々な説が悪魔研究家達に論争されているらしい。学者先生らしく無学者には念仏か何かにしか聞こえない異様に複雑な言葉の殴りあいで

 

まぁ、兎に角『悪魔は別次元から来た来訪者でこの世界での存在維持には生体マグネタイトというエネルギーが必要不可欠』、そして『悪魔は生体マグネタイト確保の為に人間を襲う』という事を簡単に覚えておけば良いだろう

 

故に悪魔は基本的に人間を襲う存在であり、その感情の揺れ幅を激しくする為なるべく長く惨たらしく人間を嬲り殺す事が多い。連中からすれば『料理をやっている感覚』か何かだろうか?

 

尤もこれは短絡的かつ頭の悪い悪魔の手口であり、比較的穏やかな悪魔なら絵本のお化けか何かの様に人を脅かして出た感情を食うものや小さな手助けからの感謝を食べるタイプの悪魔も時には存在する。中には自身を信仰させてその信仰から生体マグネタイトを得る要領も頭も良い悪魔も更に少数ながら存在する

 

故に、この物質界は『悪魔にとっての大金脈』という訳だ

 

だが、基本的に人の世に来る悪魔は大概は『惨虐な人喰いの化け物』ばかりなので基本的に駆除する必要がある……が、それをやるには一体どうする?鉄砲だろうが爆弾だろうが認識出来なくては使っても同士討ちになる可能性があるだけでいっそそんな武器なぞ投げ捨てて逃げた方がまだ建設的な相手にどう対応する?どう認識する方法を得る?

 

ヒントは……このガイア連合と其処に集い修行を重ねる者達の存在だ。彼らは何故に前に描写された様な破茶滅茶な修行を重ねるのか?それは『人間が悪魔に最低限挑めるステージ』に辿り着く為である

 

覚醒さえ出来れば悪魔を『観る』事は最低限出来るし、幾らか身体精神も強化され……そして、運が良ければ『悪魔に挑む為の牙』も得られる可能性だってある

 

少なくとも覚醒さえ出来、そして悪魔に対する武器が有り、相手が挑んで辛うじてでも勝ち目のある悪魔であるなら……普通ならばそれを人は『奇跡』と呼ぶのだが、外部ではごく極稀にその奇跡を拾って辛うじて生き残った者達は実在するがやはりその幸運だけでは長続きしないから生き残り続けるのは更に希少だと言える

 

基本的に只人が悪魔に遭遇して生き残る可能性は……先ず無いだろう。被害者は無残に凌辱されて身体を生きたまま切り刻まれて踊り食いされる程度で済むならまだマシな話で、更にはその過程の果てに魂すら貪り喰われる末路さえあり得る。中には女は孕み袋に、男は労働奴隷にしたり、捕まえた子供を洗脳したり『脳缶』なる悍ましい措置の果てに生体マグネタイトを搾り取ったりとやりたい放題の悪行三昧を貪る『最大手の極悪淫祠邪教集団』までこの世には存在する

 

なら『日本の霊能事情は今どうなっているんだ?』という話にもなるが、それはまぁ後々に話すことになるだろう。今は『悪魔というもの』についてと『それに最低限でも挑む為に必要な事』についての話だ

 

『彼』や他の俺たちの様に生きたまま地獄を巡る様な修行を重ねてでも覚醒を目指すのは……今挙げた脅威に対応し、それぞれの故郷にある脅威の涌くポイントである『異界』を封じたり滅ぼしたりする為に強くなる事が目的だからである。少なくとも自分や僅かな親しい者達を救う自助努力で動いていると思えば宜しいだろう

 

彼もまた、ガイア連合盟主(通称:ショタおじ)が管理する訓練用異界の中に入り浅層出入り口付近で先ずは注意しながら多分永い付き合いになるだろう手駒のスパルトイを管から出す

 

青白く見える生体マグネタイトの燐光を放ちながら現れた骸骨兵士はきちんと彼に向かって直立不動を保つ

 

 

「よし、先ずは俺の護衛を頼む。『行け』と言ったら積極的に攻撃に出ろ、いいな?」

 

 

頷く骸骨兵士、辺りを探索しながら例のガイアフォンに映し出されたデータを見ていると、ガイアフォンに向かうデータに変動が走った。今までは緑色になった画像と静止していた『真・女神転生のマップアイコン』みたいなグラフィックだったが、そのグラフィックがくるくる回転しだしている

 

『悪魔が近くに存在している』という通達だ

 

このエネミー・ソナーというアプリは空気中の生体マグネタイトの量と悪魔の内包する生体マグネタイトの気配を測定してグラフィックに投影するというアプリだ

 

基本的に容量が非常に多く必要になる為、このアプリを有効活用するには専用の機器*3が必要になるが、簡略化したバージョンであれば先に挙げたハイエンドガイアフォン(所属転生者専用特別モデル*4)ならば殆ど全ての機能をオミットすれば辛うじて起動出来るぐらいには容量の軽量化やハードの強化で簡易版エネミー・ソナー専用スマホ程度の実用化に漕ぎつけた……実際スマホと言うよりは『携帯エネミー・ソナー』と言った方が正しいかも知れないが

 

『未覚醒者はこれが反応したら直ちにその場から逃げてガイア連合に連絡する』という意図と、感知能力の低い覚醒者の感覚補助などの目的もあってこれは配られている。基本的に自助努力をモットーとはしているが、やはり根本的に同じ転生者には甘い組織である、もしもこの機能がいらないならばオミットして普通の超高性能スマホとしても使える、一線級の覚醒者達はそうしている者も多いが、偶に現地民である身内に護身道具として譲る者も居るから『これの所有者=ガイア連合の転生者』とは限らないから注意が必要だ

 

携帯エネミー・ソナーは簡略版だけあって基本的に短距離にしか対応出来ない代物*5ではあるが、それでも辺りのMAG*6濃度を測定出来る機能はありがたい代物ではある

 

青が安全地帯、緑が所有者なら比較的安全だが異界内部だと宣告するMAG濃度、黄色になると充分な警戒が必須な濃度、赤は危険、直ちにその場から撤退するべきレベルといった具合で、そしてマップアイコンが回転しだしたら悪魔の接近を意味するので要警戒といった具合だ*7

 

その反応を確認し、前から現れた『悪魔』の姿を『観』てそれの姿を正しく確認する事が出来た。いや、気配だけなら溝が腐った様な酷い汚臭で丸わかりではあるが

 

その物体はまるで……青色の汚水みたいな粘液から幾らかの骨らしき物が見え隠れしている辛うじて人形に見えなくもない、とでも言えばよいものかと思慮する様な何か?だろうか、そう評価するしかない悍ましい物体である

 

『外道:スライム』

 

物質界に顕現する事に失敗した悪魔の末路のうち1つ。本来の悪魔としての自我や能力をほとんど全て喪失した最低最弱の雑魚悪魔であり、自身が嘗ては如何なる存在だったかすらも忘れ果てて今生き残る為のMAGを求めて彷徨う惨めで哀れな化け物だ

 

攻撃方法は……一応は存在する手足を振り回す事や粘液を敵に押し付けて溶かしたり体当たりを仕掛けたりする事ぐらいだろう、そして基本的な特技は『体当たり』だけで、耐性は『魔法全般弱点、呪殺耐性』……正に雑魚中の雑魚である

 

しかし、如何に悪魔基準で雑魚中の雑魚だからと言って油断はしてはならない。何度も何度も口を酸っぱくして言うがこのスライムこそが『如何に弱かろうと熊の如き力と蜚蠊にも似た素早さとしぶとさを備えた惨虐無惨凶悪無比な悍ましき怪物』である

 

これが、彼とスパルトイが今から挑まなくてはならない『悪魔』についてのデータだ

 

まず幸いスライムは彼らに未だ気付いてはいないので、彼は急いで前にスパルトイを立たせて前衛に充てる、そして口訣を切って自身に与えられた手札である『初等電撃魔法:ジオ』を唱える

 

飛び交う電光がスライムを灼き、激しいダメージを与える。スライムが苦痛から余人にも超人にも理解出来ぬ苦痛の叫びを上げる、そしてすかさずスパルトイが短槍でトドメを刺す

 

スライムは仄かな青白い燐光と運良く一枚の金貨……魔貨を遺して消えた、つまり勝利である

 

その金貨を恐る恐る拾い、リュックサックの中の頭陀袋に入れて保管する。その金貨の重みが今までの苦労や苦痛を超えて此処まで来れた対価だと思うと胸が高鳴る、高鳴るが今は未だ自身もスパルトイもLv1の雑魚に過ぎない事を思い出して自戒する

 

さて、これからが本題である。少なくともこの浅層のこの地域ならばちゃんと闘えるという現実を理解出来た

 

ならば、最低限自身だけで……出来れば魔法抜きでスライムぐらいは倒せるレベルになるまで自主訓練を重ねながらスパルトイを強化しつつその動作など目に付いた、気になった処をレポートに記して制作班に提出する必要だってある。テスターとしての職務を果たしつつ修行を重ね、そして嫁シキガミ(ルカ)の身請け料を支払う為にも今が踏ん張り時だ

 

 

「さぁ、狩りと修行の時間だ!」

 

 

漸く、最初の一歩が踏めた

 

 

 ※:今回は基本的にデータ変化は無し

 

長い準備……いや、本来の霊的組織なら準備だけで十数年はかかるからこれでも速成過ぎるぐらいではあるが、ようやく最初の一歩は踏めた、ちなみにスライムが一魔貨とはいえアイテムを落とすのは割とラッキーな話だったりする

*1
ジャンニキの忠告、実戦時に空腹なのも不味いが満腹でもまた不味い

*2
ミルク砂糖増し増し、別名『少佐ニキスペシャル』、更に激しく増すと『銀時スペシャル』になる

*3
要はCOMPとかアームターミナルとかみたいな専用機器

*4
後に『黒札モデル』と呼ばれる仕様

*5
だいたい50m、正式版なら200mは対応出来る

*6
生体マグネタイトのこれからの略称

*7
初代ソウルハッカーズのエネミー・ソナーグラフィックを連想すればわかりやすいだろう

貴方は『その作者の他作品キャラが別作品にも出る事』は大丈夫ですか?勿論、そのキャラはその作品式にコンバート済みですが

  • 大丈夫、やってくれ
  • 駄目だ、やってはいけない
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