憑依先がヴライとかマ?   作:明太子餅

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宴会は楽しいね(白目)

「「飲め歌え!! 我らは最強~!」」

 

 肩を組みながら馬鹿騒ぎをしているのはウコン(オシュトル)サコン(ミカヅチ)だ。

 楽しそうにしているのは良いんだけど、なんでウコンとサコンは裸になってるんだ。

 俺の後ろにはネコネが軽蔑した表情でウコン達を見ている。

 

「不潔です……」

 

 カオス過ぎんだろ……。

 

 こうなる前はもうちっとマシだったのに。

 

 

 

 

 

 

 オシュトルが夜に伺うと言う言葉を信じ、待っていたらウコンに変装したオシュトルが来た。

 原作知識がある俺はそれがオシュトルだと知っているが、今の俺は知らない訳で困惑する俺にウコンはあっさりと自分はオシュトルでこの格好は世に隠れて動くためのものだと答えてくれた。

 

 えぇそんな簡単に秘密を俺に教えていいの?

 それとなく問いかければ問題ないと返ってくる。

 なんでこんなにこっちを信用してくれるのかわからなすぎて逆に怖い。

 

 うんうん考えているとウコンが二人ほど追加で来ると言われて、誰が来るかと身構えていたら一人はウコンの後ろに隠れていたネコネだった。

 

 怯えているけど兄に背中を押されて戸惑いはあるが勇気を出して前に出てくるネコネ、ぎゃん可愛い過ぎて脳内メモリ即保存だったわ。

 

「ネコネです。よろしくなのです」

「我はヴライ。こちらこそよろしく頼む」

 

 屈み込んで手を差し出すと、おずおずとだが握ってくれた。

 

 ふぉぉぉおおおお!! お手々すべすべで小さいし可愛すぎて昇天しちゃう。

 ニヤけないように頑張って表情筋を引き締める俺にウコンは苦笑する。

 

「ネコネは人見知りでな。まぁ慣れるまでは気にしないでもらえると助かる」

「あ、兄様!」

 

 顔を真赤にしてポカポカとウコンの背中を叩くネコネに俺は心の中で感謝のお辞儀をした。

 

「んじゃ、早く白楼閣に行こうぜ」

 

 

 

 

 ウコンの案内のもと訪れたのは白楼閣、あの主人公達が寝泊まりしている伝説の旅館!

 館の中から老若男女の楽しそうな声が響いている。

 

「ここは俺の行きつけでな。美味い飯も酒もここに来れば味わえるぜ?」

「それは楽しみだな」

 

 ゲーム内でもハクとウコンが馬鹿騒ぎして楽しそうだったのを覚えている。

 あれを俺も体験出来るのかとワクワクしていると、ウコンがこっちこっちと部屋の案内をしてくれる。

 

「もう一人は既に中にいるみたいだから急いで行こうぜ」

 

 心なしか足取り軽く歩くウコンに疑問を感じながら、そう言えばもう一人来るんだったなと気づく。

 誰来んだろ? ネコネはまぁ妹だから来てもおかしくないが、もう一人ってウコンの状態で会う人だから限られているよな?

 

 最後の人は誰だろうなーと思考していると部屋に辿り着く。

 スパンッ! とウコンが襖を勢い良く開けると、そこには頭の天辺が剥げたお爺さんが酒を飲んでいた。

 

「漸く来たのか。遅いぞウっちゃん!」

「わりぃわりぃサっちゃん。ちょいと妹を紹介していて遅くなった」

 

 いぇーい! とハイタッチしてきゃっきゃっしている二人に、俺は呆然としていた。

 あぁいやそうだよね。ウコンと親密な奴なんてこいつぐらいだよね。

 

「おぉそこの大男が今回の主役かの? わしの名はサコン。よろしくの」

「ヴライだ。こちらこそ頼む」

 

 サコン(ミカヅチ)にガシッと手を掴まれた時、万力の力で締め付けられる。

 どうみても握手する力の込め方じゃないだろ!

 だが俺は手に力を敢えて込めず、涼しい顔でサコンを見つめる。

 

 するとどれだけ力を込めても意味がないと悟ったのか、サコンは力を抜いて放す。

 

「やるじゃないかお前さん。ワシの握力にびくともしないとは」

 

 いやメチャクチャ痛かったけどね。

 

「御仁もさぞ名のしれた武士と見受ける。会えて光栄だ」

 

 俺の言葉に目を見開き絶句した表情をするサコンに、ウコンが腹を抱えて笑っていた。

 

「だっはっは! サっちゃんダセェな。どうせネコネに良い顔したかったんだろ?」

「な!? 何を言っておるか!」

 

 顔を赤くして激昂するサコンにまぁまぁとウコンは手を出して竦める。

 

「取り敢えず席について美味い飯、酒を飲もうぜ!」

「なんか釈然とせんが、まぁいいわい。ほれ、そこの巨漢もはよこっちにこんか! お嬢ちゃんはワシの隣に来てもええんじゃよ?」

「兄様の隣にします」

 

 が~ん! と落ち込むサコンを視界に収めつつ俺も席につく。

 机の上には既に豪華な刺し身やら揚げ物やらがわんさか乗っている。酒も人数分ちゃんと置かれていて、正直今すぐにでも飲んで食べたいが、まずはウコン達に感謝を言わなくちゃな。

 

「この場に呼んでくれたことに感謝する」

 

 座ったまま頭を下げれば、ブハッ! と吹き出した笑いが出る。

 ゲホゲホ言いながらウコンがすまんすまんと笑いながら言う。

 

「何と言うか、アンタは修羅みたいな人だと思っていたんだ。何者にも左右されず孤独に己を強くすることだけを考えている。そんな修羅に。だけど実際にこうやって話してみれば違うことがわかる。正直誘った時はどうせ断られると思っていたんだぜ?」

 

 ……気まずいッ。だって俺ヴライであってヴライじゃないんだもん。

 

 けどここで俺が馬鹿正直に実はヴライじゃないんだって言っても信じてもらえないし、証明することもできないから、俺は無難な返しをすることにした。

 

「己の考え方を一度見直そうと思っていてな。今までは武を極める事だけを考えていたが、それだけではいけないと最近になって漸く気づいたのだ」

「ほぉ、因みに何故見直そうと思ったか理由を聞いてもいいかの?」

 

 サコンの少し踏み込んだ質問に俺は必死に理由を考える。

 

「力だけで解決出来る事はあるが、全て力で捻じ伏せれば反発が起き必ずどこかで綻びが出る。他者の理解をせずにいればやがて己は人ではなく化け物になり、ヤマトに厄災を齎す存在に成り果てるだろう」

「それは断じて許されない。帝を守るのは当然、そしてその帝の膝下にいるヤマトの民も守るべき存在だ。こんな当然の事を我は最近になって理解できたのだ。恥ずかしい話だがな」

 

 ありもしない妄想の戯言を話している事に心の中で嘘ついてごぺぇぇえん! と某海賊団狙撃手の様な号泣していると、ウコンは真剣な表情で口を開く。

 

「ヴライ、アンタは確かに気づくのが遅かったのかも知れない。だが、それでも気づくことが出来たんだ。ならこれから頑張ればいいんじゃねぇか?」

 

 太陽のような笑顔に罪悪感がががが。

 

「ふん、あの剛腕のヴライが殊勝な態度じゃな」

「人として、漢として成長したってことだろ?」

「世の中色々な事が起きるが、今回は特におかしなことが起きたもんじゃ」

 

 ウコンとサコンのシリアスな空気に俺は恥ずかしさで顔を覆いたくなった。

 だって全部でっち上げの嘘なんだもん。なんならちょっと厨二病みたいなこと言ってるし。それをこうも真剣に受け取られちゃうと羞恥で憤死しちゃうよ!

 

「わ、我のことはもういい。せっかくの料理が冷めてしまうぞ」

「それもそうだな。それじゃあ改めてコップに酒を入れてっと」

 

 とくとくとくと瓶ビールを人数分(ネコネはフルーツジュース)をグラスに注ぎ込むとウコンがコップを掲げる。

 

「明日の事は忘れて今日はとことん飲み交わそうぜ!!! 乾杯!!」

 

「「「乾杯」」」

 

 楽しい宴会が始まった。

 

 

 

 

 

 

 そう、楽しかったんだよな……。

 

 眼の前の惨状に俺は顔を顰める。

 ウコンとサコンが裸踊りを始めてるよ。

 いやね、もしここでネコネがいなければ俺もやぶさかではないんだ。

 けどここには愛くるしいネコネたんがいる。そんな中でこんな愚行、俺には犯せねぇ。

 

 ネコネは敬愛するお兄様だがこの姿には流石にそのフィルターも意味をなしていない。

 というか極寒とも言えるほど冷たい目で見てる。

 

「あーネコネ。後の面倒は我が見る。だから汝は先に部屋へ戻れ」

「え、ですがそれではヴライ様に面倒が掛かるのです」

「気にするな。もう夜も遅い。後のことは我に任せよ」

 

 安心させるように胸をトンッと叩いて、少しおどけたように胸を張ると彼女はクスリと笑う。

 

「ふふ、ヴライ様って怖い人だと思っていましたが、優しい方なのです」

「我の顔は強面であるからな。良く女子供には怖がられるのだ」

 

 そういって大げさに肩を落とすとコロコロと笑い声を出すネコネを目にし、俺の脳内にミッション・コンプリートの文字が浮かぶ。

 美少女の笑顔は五臓六腑に染み渡るぅ。

 

「ではお言葉に甘えて部屋に戻るのです」

「そうするといい。足元に気をつけるのだぞ」

「はいなのです。それではおやすみなさいです」

「あぁおやすみ」

 

 綺麗なお辞儀をした後ネコネは部屋を後にした。

 

 ふぅこれで何も気にしなくてよくなったな。

 

「お~いヴライ。俺の妹と仲良くなってるじゃねぇか」

「おい貴様、ネコネに気に入られたとでも思ってるんじゃないだろうな?」

 

 おわ! 酒くっさ。こいつら飲みすぎてへべれけになってやがる。

 つうかサコンお前素になっているぞ。ジジイ言葉忘れてるぞ。

 

 俺の呆れた視線にサコンは怪訝な顔をした後、おもむろに頭に手を置くと。

 

「はいパカーンッ! なんとジジイではなく左近衛大将ミカヅチでしたー!」

 

 カツラを勢いよく外したのだ。

 それを見てウコンは大爆笑しているが、俺はどう反応すればいいかわからず固まっていると、サコン改めてミカヅチはニヤリと不敵に笑う。

 

「どうせ貴様にはバレていたからな。ネコネがいない今隠す必要もないと思ったのさ」

「やはりか。俺からは何も言ってなかったが」

 

 ウコンが感心したように頷くが、俺は意味がわからなかった。

 いや知ってはいたけどさ。え、そんなにわかりやすい表情でもしてたのか?

 ミカヅチの観察眼に冷や汗を流していると、彼らは気にした様子もなく会話を続ける。

 

「あのヴライとこうやって酒を飲み交わすとはな」

「確かに、少し前までなら考えられないことだ」

「でもまだ全てを曝け出してない。だよな? サっちゃん」

「そうだな。ウっちゃん」

 

 突然首をぐるりとこちらに向けると、二人は徐々にこちらに近づいてくる。

 

「さぁヴライ、お前も脱げ。全てを開放するんだ」

「貴様の事は認めている。だから脱げ!」

 

 目を光らせて手をワキワキさせて迫りくる二人に俺は心のなかで叫ぶ。

 

(いいやぁぁあああああ!!!!)

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