憑依先がヴライとかマ?   作:明太子餅

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悪い事したら痛い目に合うもんだ

 あの後無事に合流し祝杯を上げて夜にもう一度仕切り直しで宴会をした。

 その時はハクやクオンに何なんだお前はって詰め寄られたが、力が強くて人より俺は大きいから! って無理やり誤魔化した。

 全然納得していなかったがそれ以上問い詰められる事はなく、宴会を楽しんだ。

 

 そして今はヤマトに向かって歩いている最中。

 

「ホロロロッ」

「わぷっどうしたココポ。構って欲しいのか?」

 

 白いモフモフの巨鳥が全身で甘えてくるのを難なく受け止める。

 俺の体は大きいからなんとかなるがハクだったら今頃倒れているな。

 デカいからちょっと大変だがこのモフモフ感を味わえるなら問題ない。寧ろ役得まである!

 

「だ、大丈夫でしょうかゴンベエ様」

「問題ないでさぁ。ほらよしよーし」

 

 顎辺りをこしょこしょと掻いてやると嬉しそうに鳴くココポに自然と笑みが出来る。

 

「ココポがこんなに懐くなんて、ハク様もそうでしたが珍しいです」

「ホロロロ~♪」

「ふふ、よかったねココポ」

 

 うーんこのモフモフと清楚系美少女の絵は控えめに言っても最高じゃね?

 眼の前の光景を脳内メモリに保管しつつ、少し前まで怖がられていた事を思い出す。

 

 最初の方こそルルティエ嬢には怖がられていた。少し、いやかなり落ち込んでいたがココポが全身タックルしてきたのを受け止めて撫で回している姿を見てからは警戒心が解けたのか、話しかけられるようになったのよね。

 ココポまじ天使ってことだ。

 

「ゴンベエ様は凄いですね。ココポを受け止めきれる人は今までいませんでしたから」

「いやぁ鍛えているもんで!」

「ほんと、ゴンベエって凄いよね。もしかして名のある武士(もののふ)だったりして」

 

 ルルティエ嬢の後ろにいたクオンが意味深な眼差しを向けてくる。

 やめて、探ろうとしないで!

 

「ふふ冗談かな。貴方ほどの男はあまり見ないから気になっちゃって。そういう意味ではウコンも気になるけど」

 

 ビクンッと先頭を歩くウコンが肩を揺らすのが見えた。

 聞き耳立ててたなアイツ。

 

「お、お~いクオン、ゴンベエ」

 

 荷車から控えめな声でハクが声を掛けてくるがクオンはニッコリ微笑んで無視している。

 なぜそんな事をするのか、それは全身を布で隠した二人組がハクの体に密着しているからなのか。

 嫉妬しているんかな。クオンってなんだかんだで乙女だよね。

 

 クオンが反応してくれないからかハクが俺に助けを求めてくるが、俺はサムズアップして口だけ動かして『頑張れ』とエールを送ると、ハクも口だけで『薄情者』と言い返してくる。

 だってあの二人って鎖の巫でしょ? 今はまだ関わるのは良くなさそうだし、すまんなハク。

 

 項垂れるハクを見ながら道中二人の美少女達と楽しく話していると、複数の気配を感じる。

 

 こりゃあ囲まれているな。

 

「ゴンベエ」

「大丈夫だ。気づいている」

「ど、どうしたのですかお二人共」

 

 小声でクオンが注意を促してくるのを見てルルティエ嬢が不安そうに語りかけてくる。

 

「んまぁ囲まれているんだが、大丈夫だ。いざとなったら俺やウコンがどうにかする」

「なら安心かな。ルルティエは私が守るから安心してね」

 

 ギュッとクオンがルルティエ嬢を抱きしめる姿に尊みを感じつつ、これから起こるだろう“茶番”に注目する。

 

 茂みから現れたのは賊達、左右には弓を構えた者たちがこちらを見ている。

 正面には見事なスイカを持った少女が腕を組んで立っていた。

 ポンコツな義賊だけど真っ直ぐないい女ことノスリだ。

 

 彼女の命令で俺達は縄で縛られてしまったが、まぁ大丈夫だ。

 なぜなら彼女らはウコン、いやここではオシュトルと言ったら良いのか。アイツとは協力体制を築いているからな。

 これはもう一つの賊達、そうそう今目の前に現れた片目が傷で塞がっている男モズヌを捕らえる為の布石ってことだ。

 

「へへ、こりゃあとんでもねぇ上玉が二人もいるじゃん? 最高じゃん」

 

 モズヌが呑気にこちらに近づいてくると下品な表情で二人を見ると、ルルティエ嬢が怯えた様にクオンの胸に顔を埋める。

 おいてめえルルティエ嬢を怖がらせたな?

 

「ひぃ!?」

 

 思わず殺気を滲ませて睨んでしまい、モズヌが腰を抜かして後退る。

 やべ、ちょっとやり過ぎた。

 

「頭!?」

「あ、ああ慌てるじゃあねえじゃんよ。こ、この俺がビビっているわけねぇだろ?」

 

 くっそビビり散らかしてるんだが。

 そう思うのは俺だけじゃないようで怯えていたはずのマロロまで首を傾げていた。

 

「おいゴンベエ。お前ならこの状況なんとか出来るんじゃないのか?」

「んー出来なくはないが、犠牲者が出る恐れがあるから今は待機だな」

 

 荷車から出されたハクが小声で現状の打破が出来ないかと聞いてくるが答えはノー。

 勿論これはモズヌ達を捕らえる為にわざと捕まったフリをしているんだが、これが本当でも流石に動けない。

 

「まぁ流れに身を任せておけば今はいいさ」

「えぇ? そんなんで本当にいいのか?」

 

 ハクが不安そうにしているが、俺は問題ないと言い切り目を瞑る。

 すまんな俺が動くと色々台無しになるから堪忍やで。

 

「ンギャァァア!!

 

 突然モズヌの情けない叫び声が森に響く。

 どうやらノスリの胸を触ろうとして指をへし折られたのだろう。哀れなり。

 

 モズヌ達のコントが終わると早々に積み荷を持って賊達は去っていった。

 

「ホントに問題なかったな。その代わり積み荷は犠牲になったが」

「それはこれから取り返すから大丈夫さ」

 

 ウコンがこの一連の流れがそもそも作戦の内だと説明するとマロロが自分は何も聞いてない事に気づき、酷く落ち込んでいた。

 

「いやマロロこれはだな」

「あーあマロロ可哀想~」

「だよなぁ~マロロは信じてたのにな~」

「おいオメェら話をややこしくするな!」

 

 俺とハクが悪ノリするとウコンが怒鳴る。

 

「いいんでおじゃる。マロは役立たずでおじゃるから……」

「いやそんなこたぁねぇ! おいオメェらもいい加減悪ノリするのをやめろ!」

 

 もう少し弄りたかったがこれ以上は本当にマロロが可哀想だからやめとくか。

 

「安心しろマロロ、お前に言わなかったのは信じていたからだ。大事な親友(ダチ)だから敢えて言わなかったんだ」

「それ結局言わないほうが良いからってだけじゃないか?」

「しっ!」

 

 ハクに正論を言われたがマロロには聞こえていなかったのでセーフ。

 

「マロは役に立っているでおじゃるか?」

「おいおいマロロ、お前ほど博識で有能なヤツを自分は知らないぞ。な? ウコン」

「お、おうそうだぞマロロ。あんちゃんの言う通りだ」

「ハク殿、ウコン殿ぉ」

 

 ハクとウコンの言葉に漸く持ち直したのか、マロロに笑顔が戻る。

 

「やっぱりこいつチョロいな」

「あんちゃん存外ひでぇ奴だな」

 

 ハクのセリフにドン引きしつつウコンはこれからの行動を話した。

 討伐隊と合流後、賊共の拠点を叩く。ハク達にはルルティエ嬢の護衛を頼む。大きく分けてこんな感じだな。

 

「ここまで面倒になるなら一緒に来なければ良かったぞ」

「まぁそう言うなよ。ちゃんと褒美は約束するからよ」

 

 ウコンの言葉に観念した様子のハクは息を吐き出しつつ了承した。

 

「そんじゃ、俺とゴンベエは討伐隊と合流するぞ。あんちゃん達はあっちで身を隠しててな」

「後でまた話そうぜ」

 

 俺とウコンはハク達に手を振ると、森の奥に入っていく。

 さてと……ちょいと暴れるかな。

 

 

 

 

 

 

 今日という日まで全てが上手くいっていた。

 拠点をあっちこっちに変えることでヤマトの兵士共から逃げおおせたし。

 頼れる頭についていけば危険な事でもなんとかなった。

 

 色んな商団を襲い金品を山程奪ってやったんだ。あの商人共の怯えた表情、傑作だったぜ。

 奪った金で女を買って酒を飲みながら馬鹿騒ぎをしたもんだ。

 あぁ最高だった。

 そう、最高だった。

 だったのに……。

 

「「「助けてくれぇぇええええ!!!」」」

 

「何なんだよ。これは」

 

 男の目に映る光景は非現実的なものだった。

 ヤマトの兵士達を迎え撃つ為に用意されたバリケードは最早意味を成していない。

 

 たった一人の男に全てがぶち壊されたのだ。

 

「なんであの男が……なんでいるんだよ!」

 

「豪腕のヴライ!!!」

 

 人がボールのように吹き飛ぶ光景は、賊達にとって悪夢である。

 上から弓矢で狙っても全て手で落とされる。まるでハエを手で振り払うかのように。

 なら数で押し潰そうとすれば、拳一つで全員が大砲の様に吹き飛ぶのだ。

 

「か、頭はいないのか!?」

「どこにもいねぇよ! いつの間にかいなくなったんだ!」

「なんだと!? あの野郎逃げやがったのか!!」

 

 唯一頼れる頭がいない事に気づいた山賊達の動揺は計り知れない。

 

「ちくしょう。ここからだって思っていたのに」

 

 山賊達が絶望している間に暴君が目の前に飛んでくる。

 

 ズンッ!!

 

 あの巨体が嘘のように高く飛び、高台にいた山賊達の前に現れる。

 

「汝らはやり過ぎたのだ。聖上がおわすこの国で悪事をやることがどういう意味になるか。知らぬとは言わせんぞ」

「あ……あぁ」

 

 そこには憤怒の表情で立つ鬼がいた。

 絶対的な暴力、破壊の化身。

 自分達はなんて愚かな事をしてしまったのか。

 

 山賊達は眼の前の絶望を前に、あまりの恐怖で次々と失神していった。

 

「あ、あれ? 我まだなにもしてないんだけど」




じゅびまぜん。風邪でダウンして更新遅れてしまいました。
感想評価いつもありがとうございまする。
これからもあまり間隔空けず投稿できるように頑張りまっする。
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