憑依先がヴライとかマ?   作:明太子餅

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鈍感な兄と素直になれない妹

 どうも、暴れすぎてオシュトルに怒られてシュンとしていたヴライだ。

 まぁやり過ぎ感はあったと思うが結果的に賊達が早々に降参した事でこちらの被害は軽微で済んだから、許してヒヤシンス。

 心の中では大分フザケたけど表面上はキリッとした顔で謝ったのだが、残念ながら許してくれなかった。

 

 無念なり。

 

 森を滅茶苦茶にした罰として整地するように言われた。ぐぬぬ、一応俺の方が偉いのに。

 そうそう実は八柱将って右近衛大将よりも地位は上なのだ。だから俺に命令する権利は本来ない。

 けど、俺もちょっとやり過ぎたな~とは思っていたから甘んじてその罰を受け入れた。

 

 穴だらけ、折れた木々が散乱する現場。

 一人でこれやるのか……と、どこか遠い目で見ていたらなんとオシュトルの部下が複数人手伝うと言ってくれたのだ。

 まさかの言葉に男泣きしそうになったわ。これもちょくちょく差し入れや鍛錬の時に激励や一緒になって鍛錬したおかげかな。

 

 最初の頃はそれはもうビビられていたからな。

 挨拶すれば「はひぃ!」なんて悲鳴が上がっていたし。

 それと比べればこうやって手伝いますって声を掛けられる程度にはこちらに気を許してくれているんだ。

 

 なにはともあれオシュトル隊との協力でなんとか整地を終えたのは太陽が沈んだ後だった。

 オシュトル隊の皆に感謝と今度お礼をする事を伝えて、俺は速攻ゴンベエに変装して白楼閣で行われている宴会に顔を出した。

 

「お、やっときたのかゴンベエ。遅かったな」

 

 ハクが酒瓶片手に揺らしながら言うと、他の連中も俺が来たのがわかったのかウィースと軽い挨拶が来る。

 くっそぉ。本当なら俺も今頃宴会で楽しんでいたはずなのに。

 どんちゃん騒ぎで大いに楽しんでる連中に若干不満を抱きつつハクの隣が空いていたためそこに座る。

 

「ほら駆けつけ一杯だ」

「悪いな」

 

 とくとくとくと盃に酒が注がれる。

 おっとっとと盃一杯に入れられた酒を俺は一気に飲み干す。

 

「くはぁ。うん、美味い」

「ほほぉ良い飲みっぷりじゃないか」

「体が大きいのは伊達じゃないからな」

 

 ハクに見せつけるようにマッスルポージングしていると後方から声が掛かる。

 

「おうゴンベエ、俺が命じた仕事はしっかり終わったようだな」

「自業自得ではあるが、流石に疲れたぞ」

 

 ウコンは俺の疲れた表情に苦笑する。

 いやホント疲れた。肉体労働は基本的に得意ではあるがそれでもキツかったからな。手伝ってくれたオシュトル隊の皆にはちゃんとした礼をしなくちゃいけねぇよマジで。

 

「おぉ~ゴンベエ殿ぉ~来ていたでおじゃるかぁ~?」

「よぉマロロ、また随分と酔っているな」

「酔ってないでおじゃるよ。まだまだこれからでおじゃる」

「いや無理がありすぎるだろ。白いのに赤いぞ顔が」

 

 もう既に出来上がっているマロロに冷静にツッコミを入れていると気づく。

 あれ、ネコネが来ていないな。

 

「おいウコン、ネコネは呼んでないのか?」

「あん? まぁ後でも大丈夫だろ」

「おいおい、そりゃあ可哀想だろ。今からでもいいから家に行って一緒に来い」

 

 俺がそう言うとウコンはちょっと悩んだ後、まぁそれもそうかと頷き立ち上がる。

 

「んじゃ、ちょっくら行ってくるわ」

「おう。別に急がなくてもいいからな~」

 

 ふぅこれでよし。あいつ妹を大切にしているんだがちっとばかし配慮に欠けるというか、ノンデリな部分があるんだよな。

 妹が独り立ちをしたんだと思って接しているからかも知れんが。

 まだまだネコネは幼い。甘えられるなら甘えたほうがいい。ネコネたんが笑顔になれるならそれが一番なのだ!

 

「なんだそのネコネって、ウコンの家族か?」

「そうだ。年の離れた妹だな。しっかりもので可愛いぞ」

「ウコンに妹か。全然想像できん」

 

 ハクが腕を組んでうんうん唸っているとマロロが得意げな表情で語り出す。

 

「ネコネ殿は凄いんでおじゃる。数年に一度しか合格者の出ない殿試を史上最年少で合格した天才。なのでおじゃるが年齢の都合上今はまだ学徒扱いでおじゃる。でも年が経てば解決する事、きっとその頃にはもっと凄い方になっているでおじゃる」

「お、おう」

 

 物凄い勢いで話すマロロに少々引きつつも頷くハクに俺は笑う。

 マロロは年下であるネコネの事を尊敬しているからな。だからこそこれだけ饒舌に話したくもなるって訳さ。

 

「まぁ来たらよろしくしてやってくれ」

「ん、それは別にいいが、自分より女性陣にお願いしたほうがいいだろ」

「それもそうか。クオン、ルルティエ嬢もこの通りだ」

 

 俺達の話に聞き耳を立てていた二人に頭を下げる。

 

「勿論いいかな。私も個人的に友達になりたいし」

「わ、私なんかで良ければ」

「あんがとよ! んじゃネコネ達が来るまでもっと飲もうぜ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまんなネコネ、迎えに行くのが遅れちまった」

「全く遅すぎるのです。でも、来てくれたからもういいのです」

 

 兄様が帰って来る日だから今か今かと待ち続けていたらもう夜遅く、どこにふらついているのかと探しに行こうとした時に兄様が帰ってきた。

 どうやら酒を飲んでいるみたいで、恐らく白楼閣で飲んでいたに違いないのです。

 

「兄様酒臭いのです」

「そうか? いやぁ悪い悪いちょいとばかし飲んでいたからな」

「飲み過ぎは体に良くないので程々に、です」

「いや悪いがこれから一緒に白楼閣に来てもらうぞ。酒はまぁちゃんとセーブするからよ」

 

 言うが早いかそう言って兄様は私の体を抱きかかえるとスタスタと歩く。

 

「あ、兄様! これはその、恥ずかしい、のです」

「ん~? なに恥ずかしがるこたぁねえさ。昔からいつもやっているだろ?」

 

 も、もう兄様はもう!

 私は顔が赤くなっているのを隠すように兄様の肩に顔を押し付ける。

 

「お、なんだネコネ。大きくなったがまだまだ兄ちゃんに甘えたくなったか?」

「~~ッ! し、知らないです」

 

 全く私の気持ちも知らないで。

 わっはっはと笑いながら歩く兄様を恨みがましく思いながら気づく。

 普段の兄様なら私の迎えに来ることもなく宴会をしていたのではと。

 

「そういえば兄様、なんでこんな夜になってから迎えに来たんですか?」

「え? あーっと、それはだな」

「もしかしなくてもヴライさん、いえゴンベエさんに言われたからじゃないですか?」

 

 ギクリと肩を揺らす兄様に私は溜め息を吐き出す。

 

「普段の兄様なら宴会をした後に帰って来るので、もしかしたらと思いましたがやっぱりそうなのですね」

「いや忘れていた訳じゃないんだぞ? ただもうネコネは子供じゃねぇと思ってだな」

「それでも、帰ってきた時は顔ぐらい見せて欲しかったのです……」

 

 私は思わず寂しさが表に出てしまう。きっとこれは兄様の面倒を増やす行為、でも、それでもこの気持ちに嘘をつくことは出来なかった。

 

「すまねぇネコネ。寂しい思いをさせちまった。罪滅ぼしじゃねぇが今日は一日一緒にいよう」

「仕方ないのでそれで許して上げるのです」

 

 自分の顔が今、兄様に見えていないのは良かったのです。

 だって、こんなニヤけた顔見られたら恥ずかしいから。

 

 

 

 

 

 

「「叩いて被ってジャンケンポン!」」

「おらぁああ」

「しぬぅぅう!?」

 

 ただいま絶賛たたいてかぶってジャンケンポンゲームをしている。

 選手は俺とハク、因みにさっき叩く側だったのは俺な。残念ながらハリセンは空を切ったが。

 

「おいゴンベエ! ちょっとは手加減しろ! 自分の首が取れたらどうする」

「でぇじょうぶだ。ドラ◯ンボールでよみげぇる!」

「いや意味わからんのだが!?」

 

 焦った表情のハクに黄色い声援が飛んでくる。

 

「頑張れハクー!」

「が、頑張って下さい!」

 

 クオンとルルティエ嬢の応援とかいいなぁ。

 それに比べて俺は。

 

「ゴンベエの旦那~!ボコしちまえ!」

「そうだそうだ! あんな美少女達に応援されるような男はいっぺん地獄見せてやれ!」

 

 ん~見事な嫉妬である。

 けど気持ちはわからなくはない。

 

「ハク、お前には悪いが勝たせてもらう」

「いやもう負けでいいから。終わり終わり!」

 

 やってられんとハクがその場を離れてしまう。

 その行動に周りの男共が盛大にブーイングをすると。

 

「じゃあお前らゴンベエの叩きを真っ向から受け止められるんだな?」

 

 その一言で黙った。

 おいそれでいいのかお前ら。

 

「おーい帰ったぞ!」

 

 スパンッと襖を勢いよく開けて現れたのはウコンとその後ろに隠れたネコネ。

 どうやら結構な大人数にネコネは気後れしているようだ。

 

「おぉ!? ネコネちゃんだ!」

「今日も一段と可愛いぞー!」

「俺達のアイドル! ネ・コ・ネちゃーーん!!」

 

 酔っているのもあるがそれがなくてもこいつらならこれぐらい騒ぎそうだ。

 ネコネはものすご~く嫌な顔をしつつもウコンと一緒に俺の近くに座る。

 

「ゴンベエさんありがとなのです」

「んあ? 別に俺は何もしてないと思うが」

「ふふ、ゴンベエさんはやっぱり優しいのです」

 

 ありゃこれはウコンの奴早々にバレたな。まぁ今までの行動を思えば自明の理か。

 そっとウコンに目を向けると気不味そうに顔を逸らしていた。

 ダメダメお兄ちゃんだな全く。

 

「ま、まぁまぁその話は置いといて、ネコネ紹介したい奴らがいるんだ。ちょいと来てくれるか?」

 

 この空気に耐えられなかったのか、ウコンはささっとネコネの手を掴むとハク達のいる場所まで行ってしまった。

 

「ウコン殿は不器用でおじゃるな~」

「確かに一見器用そうに見えてアイツは不器用だな」

「でもそこがウコン殿の魅力でもあるのでおじゃる」

 

 のほほんとした顔でマロロは何度も何度も頷いているとやがて顔が徐々に青くなる。

 あ、このバカ吐く気だな!?

 

「ちょ、マロロ待てよ。待てだからな」

「き、きもぢわるいでおじゃ」

 

 もう一刻の猶予もない事を悟り、俺は適当な大皿を手に取りマロロの口に寄せる。

 

「これで一回吐いちまえ」

「吐くのはも、申し訳ないで、おじゃ」

「あぁいいから。俺の方で謝っておくから取り敢えず吐いて楽になれ」

 

 俺の言葉にもう我慢するのも厳しかったのか、マロロのダムは決壊した。

 えずくマロロを介抱しているとウコンが声高々に妹自慢大会が始まっていた。

 ちなネコネはウコンの膝の上に抱えられていて、顔どころか全身真っ赤なんじゃないかと思うほど羞恥でプルプルしている。

 

 うん可愛い。

 

 その横でハクとクオンはなにやら痴話喧嘩をしているのか尻尾でハクの顔を締め付けている。

 それ見てオロオロするルルティエ嬢に周りの男共は爆笑していた。

 

 色々とカオスな空間だが実に平和で良いことじゃないか。

 願わくばこれがずっと続いていけばいいなぁ、なんて思ったり。




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これからも更新頑張りまっする!!
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