アイに天才の兄がいたら、上手く行くんじゃね? 作:にゃん໒꒱
アイがこっちに来て2ヶ月。
アイは基本的に俺と行動している。
まあ、うざいけど、わざわざリスクを犯してまで突き放す必要がないわけだ。
どこか、あの瞳に面影を感じたくなってるからじゃない。情が湧いてしまったわけじゃねぇ。
いや、何もしなければ施設の人に何を思われるかわからないので、いつも通り面倒みのいい人を演じていた。
なのに、あいつは俺に少しは開いているみたい。
本性を見せる気はないらしいが。
「アイ、まだいるのか。門限だぞ」
門の前で座っているアイに声をかける。
「・・・」
アイのお母さんが釈放された3日目。
施設の人に引きずられるように戻ってくる。
俺からしたら不思議でしかない。
虐待をされていたんだ、迎えに来ないに決まっているじゃないか。
それとも、小説みたいに、それでも・・。ってやつか?
「アイ。戻るぞ」
「・・・」
はー。こういう例はなかったから。わからねぇ。
人の感情なんて分かりたくもない。
大きな音は苦手らしいので、呼びかけるように言うしかない。
「真くん、特別に。門限延長しといてあげるから。
二人で話てくれるかしら?」
「わかりました」
厄介ごとは他人かよ。
言われたからにはやらなければ。
歩いて、アイの横に座る。
「今日は延長だって。俺つきだけど」
「・・・」
あの瞳じゃない。ほんと最初の頃の。
「おーい、聞いてるなら返事してくれ」
「真君は、愛ってなんだと思う?」
は?急にこいつなに言ってるの。
待ちすぎて、頭のネジ飛んだ?
「愛なんて、ただ生命本能に理由をつけただけの感情」
「?」
「子孫を増やす。えーと、子供を作るらないと人間は絶滅するだろ?
それを防ぐためにある本能に名前をつけただけ」
愛なんてこの世にはないと言うのは、可哀想で少しだけオブラートに包んだ。
「ふーん」
自分で聞いといてなんだよ。
とはいえ、これは大事そうだ。
「アイにとって愛って何?」
「・・・。わからない。
でも、知りたい」
だから、待ってるのか。
子供を迎えに来てくれることが、愛かもしれないから?
愛されたくて、愛してるから待つんじゃない。
ただの強い執着を持っている。
あー。なんなんだよ。
優香お姉ちゃんと同じ瞳なのに、俺と一緒って。
多分、これが突き放せない理由だ。
あの頃の俺に似ている。狂ったよう『生』を求めていて。
でも、どこか諦めていて。
同じ目にあって欲しくない。
はたからみたら、自分と似たものを見つけて情が湧いたようなものだろ。
でも、俺の感情は違う。
これは俺が救われるための償いだ。
他でもない星野 アイを救う。
そうすれば、きっと。きっと。
「アイ、愛を知りたいなら母親は諦めろ。こねぇぞ。
それに、違うって自覚しているだろ」
「そうだね。帰ろっか!真?」
「急に呼び捨てかよ」
「えへへ。いいじゃん!仲良くしようね」
「まあ、ほどほどにな」