アイに天才の兄がいたら、上手く行くんじゃね? 作:にゃん໒꒱
「あー。バラエティーに出たくなかったー」
控室で嘆いていても、しょうがないけど。
社長に、アイの復活1番の仕事を盛り上げるために宣伝してこいということで、バラエティーに出ることになった。
といっても、酒を飲みながら話す深夜番組。未成年である俺は、ジュースらしい。
いや、役者だがら演技だけでとはいかないのはわかる。
でも、バラエティーは正解がない。それに、俺自体にキャラはない。
なら、演じればいいとなるが。
猫をかぶるのは仕事を潤滑にするにはいいが、テレビ映えはしない。
いや、一つ案はある。
それは、ガチガチのサイコパスキャラで固めること。
でも、したくない。
あまりにもあの映画の反響が良すぎた。
それに、これの番宣でもある。
「どうしたんですか?真さん」
「えー。俺、役者しかしてないから、演じないでテレビって初めてなんですよ」
「大丈夫だよ!
真くんは良い人だし平気だよ」
「テレビ受けがね」
「大丈夫だ!自然体でいればいい
それに、何か憧れとかないのか?それを演じれば」
「透先輩まで。強いていうなら、アイのキャラはすごいと思いますよ」
「あー。私もライブに行ったけど凄かった」
「ありがとうございます」
あー。まじで、サイコパスぽく?
だから、素ぽく?それに、身内で演じているのを混ぜるか?
「ま、案ずるより産むのが易しって言うからな!」
「まあ、頑張りますよ」
その時、ちょうどディレクターが呼びにきた。
やるか。
どうせ、テレビ。ガチであり、フィクションだ。
「いやー、全部持ってかれたよ」
「俺としては、変なイメージがまたつきそうで、胃が痛いです」
「あんな話するからでしょ!」
「まあ、女装好きよりマシですけど」
はー。結局、素に最低限の常識をつけて乗り切った。
まあ、ディレクターも楽しそうだったし、仕事としては良いだろう。
「あれはしょうがないよ。
だって真君、普通の女の子より可愛いもん!華奢だし!」
「抱き付かないでください、透先輩、助けてくださいよ!」
「良いじゃないか!じゃ、俺は帰るぜ」
「あ」
助けてくれないのかよ!
「ねー。もう、夜遅いし。泊まらない?
電車だもんねー」
あーも。知っている。
芸能界はそういうもんって。人間ってそういうもんって。
「そういうの興味ないんで。俺も帰るんで」
「もしかして、初めて?
私、大丈夫だよ?」
あー、もう。
どうする?
正直、力ずくで暴れればここからは逃れる。
でも、逃げて?これからに、響いたら?
なら、演じればいい。
俺はあの大嘘つきを騙せる人間だ。
先輩に目線を合わせて、口付けする。舌でノックして、引っ張り出す。
そして思いっきり。噛みつく。
「痛!」
「先輩?
俺が本当に、サイコパスで。カニバリズムなら、どうします?」
「え」
「先輩?
そんな怯えないでくださいよ。冗談じゃないですか」
「もう!びっくりさせないでよ!」
「先輩こそ、俺だって驚いたんですよ?
番組でお酒が飲めるって言っても、ここまで酔っ払ちゃダメじゃないですか。
やばい大人に捕まったら、どうするんですか?」
「ごめめんね?」
「ま、良いですけど。先輩とはこれからも、仕事仲間として仲良くしたいので。
今回のことは水に流しましょ?」
「・・・。そうね」
「じゃ、帰りましょ」