アイに天才の兄がいたら、上手く行くんじゃね? 作:にゃん໒꒱
アイ視点
「・・・。ほっとけよ。どう血の繋がってもない、書類だけの家族なんか心配してる暇があるなら、リハビリでもすれば?」
真は、そう吐き出して走って行った。
失敗した。
わかってた。
真の過去と愛についての話題は真の地雷だって。
そりゃあ、私は空気を読めないとか。対人関係の才能どこに置いてきたとか。
言われてたけど、施設にいる人で過去が明るい人なんていないことぐらいわかる。
少なくとも、自分みたいに親が普通じゃないか、いないかの二つしか選択肢にないんだから。
真の過去は知らない。
でも、過去に大切な人がいたのは何となく分かっていた。
時々、服の上から何か握ろうとする仕草をたまに見かける。最近は特に。
勘だけど、ペンダントかなって思っている。
けど、先ほど話した人で答えが出た。
真の顔と似ているし、きつい性格に隠れているけどちょっと優しい時とかの雰囲気とか似ている。
それに、真の演技。
真が確実に変わった『暗闇のメス』の時の雰囲気が似ている。
きっと、真の姉なのだろう。でも、きっともう死んでいる。
「どうした!」
必死に考えていると、社長たちが入ってきた。
「え?」
「ジュースを買ってたら、ママの部屋から大きな声が聞こえて」
「あー」
なんとなく。これは言っちゃダメな気がする。
「えーと。真と喧嘩しちゃって?」
「なんで。面会ギリギリで喧嘩するんだよ」
「えへへ。多分、もう病院の外出てる気がする」
入り口の階段がある方に走っていたのでいえば。
「じゃあ、探してこうよか?」
「あー。アクア、じゃあ頼む」
その数分後に戻ってきた。
「あ。さっきは」
謝らないと。
「さっきて何?」
「え」
前まで嘘か本当か確証を得られなくても、違和感程度はあった。
でも、踏み込むほどではないかなって、みないふりしていた。
だけど、今は完全に嘘だ。
そして、その目を見たことがある。
「なんだよ?
お化けでもみたような表情」
「ううん。もう時間でしょ。また来てよね!」
「時間が空いてたらな」
「もちろん!」
「お前ら帰るぞ」
ガラ
やけに大きく響いたように感じる。
あの瞳。
知っている。
壊れそうなのを無理やりどうにかしたような瞳。
「私が壊しかけた?」
もし。聞かなければ?
いや、それはダメだろう。
わざわざ、お姉さんが言ってくれたんだから言うべきなことのはず。
真が私に過去の話をする時どうしてったけ。
ずっとそばにいて。
ああ。きっと早すぎたんだ。
真がゆっくり私に寄り添ってくれたようにするべきなんだ。
自分から踏み込まずに、踏み込ませてくれるのを待つべきだなんだ。
でも、私は前も踏み込んで。
真に幻滅されることが嫌で、捨てられることが嫌で。
ずっと、聞かないでいたのは私だ。
それで、限界まで置いてたのは私だ。
愛を叫ぶのも最後の最期まで覚悟ができなかったし。
世間は完璧で最強のアイドルとか言われるけど。
私は、アイドルを除けば愚かな臆病者でしかない。