アイに天才の兄がいたら、上手く行くんじゃね?   作:にゃん໒꒱

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届かない叫び

『三日も来ないの寂しいよー』

 

「はー」

 

流石に無視できないか?

それに、アクア達になんか言われるだろう。

もし、社長まで行けば今は仕事がないのはわかるだろう。

 

病院にいかに理由として、ずっと籠って作曲してたから。

大丈夫。完全に騙せてるはずだ。

 

騙せてる?あれは、夢だろ。

そうだ。夢だ。

 

大丈夫。

こんな、病室の前で突っ立てる方がやばいだろ。

 

へーき。へーき。

 

山口 真を演じればいい。

無口だけど、どうしてもアイのことが大切で。守りたくて。

口うるさいけど、結局は甘い。

アイの一番の理解者。

 

コンコン

 

「あ!来てくれたんだ。良かった」

 

「はー。あんだけ、メールが来たらな。

通知で集中できねぇよ」

 

「えー。だって、あの時は毎晩電話か、できなくてもメールしてくれたじゃん」

 

「そうだが。もう、大人だろ。20歳」

 

「ひどーい」

 

ほら、大丈夫

アイがソワソワしてて、明らかに様子が変で不穏だけど。

 

「社長に聞かされたけど、復帰するんだろ」

 

「もちろん。だって、ファンの皆にも愛を届けたいじゃん」

 

「あっそ。また、危険な面にあっても?」

 

「勿論。また、助けてくれるでしょ?家族じゃなくても」

 

「なに言ってるんだよ。アイドルなるついでに」

 

「書面上ね」

 

「どうしたんだよ?」

 

俺が取れる行動は、しらを切り続けるしかない。

 

「そのまま、返す。

なんで、明らかに嘘をつくの?」

 

「人が心配してあげて」

 

「話した内容覚えてるでしょ」

 

「何のことだよ」

 

「最初の見舞い。じゃあ、答えてよ。私と話したと病院の外に行くまでの間」

 

「熱中」

 

「今、5月だよ?」

 

「日本じゃ夏の温度だよ。四季なんて無いようなもんだろ。

仕事が終わって、結構急いで」

 

「だから。そんな、嘘つか」

 

「嘘じゃねぇよ!

なんも話してないし、聞いてなんかない」

 

あれは夢だ。

うそだ。

嘘なんだよ。

 

「そんなに現実逃避して楽しいの?」

 

「何だよ」

 

また、止めろと叫ぶのを飲み込んで、精一杯にらめば。

 

「やっと嘘やめてくれた」

 

なんで笑うんだよ。

 

「覚えてるよね。別に怒ってないよ。

真は良く私に言うけど。人付き合いとかが壊滅なんだよ。

一番知ってるでしょ!

だから、分からないの!

真みたいに寄り添って話を聞いたりできないの!

でも、嫌なの!

やっと。やっと。本音で喋ってくれるようになったのに嘘で逃げないでよ!」

 

痛いほどの悲鳴。

そうだ。

一番、俺が分かってる。

アイが話すの下手なのも。不器用なのも。

なのに、必死なのも。

 

「知ってるよ」

 

「じゃあ。じゃあ。こっち、みてよ!

真になにがあったかなんて知らないよ!

教えてくれないんだもん!」

 

「それとなにが」

 

「彼女は。

『楽な方に逃げないで』って言ってたんだよ」

 

「逃げてなんかない!

なんだよ。さっきから、分かった顔で?

ふざけんなよ!

俺は正しいんだ!なにも間違ってない。

愛なんかにうつつ抜かして、死にかけたバカの言葉を聞かないといけないわけ!

なんも頼んでねぇだろ」

 

「なら。なら、ちゃんとみてよ!」

 

「ミテルヨ」

 

ずっと。ずっと。囚われて。

いっそ、忘れたら楽だと思うけど。

忘れなくて、真似て。

どうにか、残そうと思って。

 

どんなに愛想を良くしても、違うから。

余計に虚無感が増して。

 

何も逸らしてない。

逃げてなんかない。

ちゃんと。みてるよ。

 

「見てないくせに!馬鹿!馬鹿!

真のばぁか!」

 

アイの目からポロポロと涙が溢れる。

ここで、帰ったらアイの言う、逃げるになるのだろうか。

それだけは嫌だった。

でも、どうにかできる答えなんて持っていない。

 

結局、この日は面会終了までなにも喋らずにいた。

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