アイに天才の兄がいたら、上手く行くんじゃね? 作:にゃん໒꒱
ん?誰かいる?
集中していたら、肩を叩かれた気がして、振り返ると。
「ちょ!中田先輩ですか驚かさないでくださいよ」
女優部門の売り上げ三番の中田先輩が肩を叩いてたらしい。
「ごめんって。一応、何度も声をかけたんだよ?」
「それはすみません。要件は?」
アイにもよく言われるが、過集中の癖は治さねぇと。
「この役、君ならどうする?」
まただ。練習に参加してから、センスがあると言われこの調子。
アイに興味を持ってという、小学校からのあるあるの人はいたが、そういうわけではないらしい。
苺プロでは、演技の練習の一つに即興劇というのがある。
そのお題だろう。
「親が嫌いな子は普通の子を拒絶する。ですか」
「もちろん、1分ね!」
1分の思考タイムと1分の演技タイム。
はて、どうするか。
相手は大人になればほっとくだろうから、ガキの年齢。
そしたら、自分もそうだろう。
なら、声はショタボで振りも大きく。
親が嫌いな理由は明記されていない。妥当に虐待で。
虐待で親が嫌いなら依存はしていない。ただの暴力系。精神的虐待ではない。
なら、精神的に反発的。でも、それで小1が質問はしない。
授業参観?いや、それじゃ矛盾。
親の好きなところの発表でいいだろ。
作文か、夏休みの宿題か。
「はい、終わりー。じゃあ、3、2、1」
「なあ。お前には。お前には分かるわけないのに。
踏み込んで来ないでよ。
お前らみたいに、プールに行ったとか。山に行ったとか。
そんなことが、普通だと思うなよ!
あんなゴミみたいな作文を面倒くさいって思うだけなのが!」
「僕は叶いもしない、そんな願いを持つしかないのに!
願えば簡単に叶うと思うなよ。」
で、ここから涙を足して。虚勢を張るように。
「なんか。なんか言えよ!
助ける、なんて言っといて、何も言わないなんて。
こっちが苦しいじゃないか!
何も知らないお前らが、分かった顔するんじゃねぇ!
お前らは。お前らで。勝手に遊んどけよ!
カット」
「これでいいですか?」
袖で涙を拭きながら、尋ねれば
「うーん、やっぱ凄い」
「ありがとうございます。
本当に急にどうしたんですか?」
「いや〜。今やっている監督から連絡があってね。いい子いたら、動画が欲しいて」
いや、そんなことなら先に言えよ。
まあ、その話が本当なら嬉しいが。
それこそ、1分を評価して何になるんだよ。
出たことがあるのがないからって。
といっても、言っても無駄だから。
「そうですか。マネージャに確認を」
「それは先輩に任せなさい!朗報をお待ちに!じゃあね!」
はー。嵐のように消えてった。