アイに天才の兄がいたら、上手く行くんじゃね? 作:にゃん໒꒱
はー。
嫌な夢だった。
けど。ある意味良い機会だろう。
不平等とか、正義感とか、罪悪感じゃない。
俺の行動は俺のわがままによるもの。
お姉ちゃんもアイも傷つける。
あれだけ凄い人に傷を負わせれば、俺の価値があったことになる。
黒に染まったら、どんだけ白を足しても白くならない。
しょうがないんだよ。
けど、目も覚めちゃったし水でも飲むか。
部屋から出ると、夜中の暗闇に合わない青白い光がこぼれていた。
「おい。アクア?」
「どうしたんだよ」
後ろにさっと隠したけど、見え見え。
暗証番号ね。
「それを解除して、どうするわけ?
お前らのお父さんに会って復讐でもするのかよ」
「ッ!
そんなわけないじゃないか。子供がそんなこ」
「お前。いや、お前らは普通じゃねぇだろ。
4歳児が完璧な応急処置しないし。病院の件、知ってるわけねぇだろ」
「それが君となにが関係あるのか」
それが素ということか。
「別に。そんなこと意味がないと思うけど。
ただの。現実逃避だよ」
堕ち切ってないのに、まだ生きてるのに。
こっちに来るのは癪だった。
「はぁ?
お前に何が分かるんだ!
大事な人が殺されかけたんだ。主犯はまだいる。
また、殺されるかもしれないだろ」
「そんなことアイが求めてるって言うのか?
4年。そんな長い間過ごして、そんなことも分からずに復讐?
笑えるな。
ま、壊す覚悟があるなら好きにすればいいさ」
「・・・」
ほら。
堕ち切る覚悟もねぇのに、一丁前に復讐なんて言うなよ。
「何も言えねぇじゃねぇかよ」
「お前には分からないだろ!
体を喰らう感情に!このを感情をどうすれば良いんだよ!」
「そんなの知るか」
俺だって分からないんだから。
分からなくて。誰も教えてくれなくて。
俺は堕ちた。
堕ちるしかなかった。
「は」
でも。お前はまだ、片足を突っ込んだんだろ。
なら。戻れる。
「強いて言うなら、幸せなんじゃねぇの。人を愛して。希望を持って生きる」
あの人が最期に残した言葉。
俺が知っている唯一の答え。
その方法はわからない。
でも。
「アクアは独りじゃねぇだろ」
「なら。どうするんだよ。
また。また。やるかもしれないだろ」
「そりゃあ、またするだろうなあの人は」
あの人と俺は鏡写しのよう。
ある意味、あの人の方が正しいのかもしれない。
欲望のままに動けるのだから。
でも、俺はアイがいたから。
壊すばかりじゃないアイを見てきたから。
同類でも知らない。
「なら!」
「復讐じゃなくて、守るために行動すれば。
証拠を集めて、警察。それで、良いだろ」
「だけど。俺は」
「まあ、時間をかけて考えれば」
話をして、水を飲む気も失せて部屋に戻る。