アイに天才の兄がいたら、上手く行くんじゃね? 作:にゃん໒꒱
そこそこの力で太ももに衝撃が走り、目線をパソコンから上げる。
ルビーがむすっとした顔でこっちを見ていた。
イヤホンを外せば。
「まだなの!!」
「作ってるよ」
アイとの話し合いの日を作るために、双子達にお見舞いに行くのを辞めてもらうように説得した。
アクアは大丈夫だった。問題は目の前のこいつだ。
結局、曲という物で釣った。
釣ったのはいいけど、こうやって催促してくる。
「なら、早く頂戴!早く歌いたい!」
「俺の仕事はあくまで俳優。時間ねぇんだよ」
監督に借りのお返しとして撮っている映画はもうすぐ終わる。
今度は月9のそこそこサブキャラの役がある。その準備もしないとだし。
嘘は言っていない。
「だけど、約束したじゃん!」
「だから、作るって。まじで、この我儘どうにかならないわけ。
アクア」
「俺だって仕事あるんだよ」
あの後、アクアは五反田監督経由で仕事を得た。
どうせ、父親の情報をとでも思っているが。ちなみに、話し合いの後昔の携帯は処分した。
あと、アイが使っているのをアクアになかなか渡さなければ、時間稼ぎになる。
その間か。そこまで贅沢言わなくても、アクアが自由に動けるぐらいに成長する前にはアイによってどうにかなってほしい。
「俺よりマシだろ」
「子供と大人、比較して恥ずかしくねぇーのかよ」
「別に」
「大人気ないって言うんだよ!」
「はー。言うなら、俺今作業してんの。
早く欲しいなら静かにしろ」
「静かなら自室か事務所でやれよ」
「構想は本人見た方が浮かぶから、こっちで作業しようと思って」
「なら諦めろよ」
「うるせぇのはうるせぇ」
「ひどくない!?」
「なら、大人しくしとけ」
イヤホンをつけて、作業に戻る。
ーーーーーーーーーー
「はい。これでいい?」
あれから、1週間。
何とか、アイが帰ってくるまでに終わった。
取引したことはバレたくない。バレたら、絶対いじられる。
ルビーが言うという高確率で起きそうなことは、考えないとする。
「聞かせて!聞かせて」
「はい、はい」
イヤホを引き抜いて、音量を上げる。
さっき、保存したファイルを再生する。
「おお!凄い!
めっちゃ、アイドルの曲ぽい。
あ。でも!速くない?」
「アイの曲で三番目より少し遅いぐらいだし。ちょっとだろ」
「えー。まあ、確かにそんなもんだけど。
歌いにくそう」
「しらねぇよ。
歌いやすい曲を作るなんてひと言も言ってないだろ」
「そうだけど!」
「アイドルやりたいって言うなら、歌自信あるんだろ
これぐらい歌えろ」
「そういや、ルビーが歌った所聞いたこと無いな」
「歌えるよ!」
「雨模様」
「任せて!」
「アイドル止めろ」
「なんでよ!」
「誰が聞いても音痴」
「練習するし大丈夫!」
アイよりわがままじゃないか、これ