これはびっくりだ。
まさか赤新さんも寝たふりをしているとは……。
「あ、あの……」
「…………」
だめだこりゃ。うんともすんとも言わない。
僕は気まずくなって頬に1つ汗を垂らす。
「吉川君」
「えっ、あっ、はい!」
急に呼ばれて僕は背筋をピーーーーーーン! と伸ばした。
「……私、変かな?」
「は、はい?」
突然何を言い出すんだ赤新さんは。
「やっぱり……変、だよね」
赤新さんは心なしかシュンとしている。僕はちょいと首を傾げる。
「ちょっと変なのって……変なのかな?」
僕は、ポツリとそう零した。
「…………」
赤新さんは、少し目を見開いて僕のことを見つめる。そんな状態が数秒間続いた。
「あ、えーーっと……僕の顔に何かついてる?」
いたたまれなくなり、ついそう訊いた。
「う、ううん! 何にも! ただ少し……意外だったから」
「意外?」
何が意外なのだろう……。
「まさか……変を……しな……て……」
ブツブツと赤新さんが何か言っているようだったけれど、声が小さすぎて途切れ途切れにしか聞こえなかった。
キーンコーンカーンコーン。予鈴がなった。間もなく授業が始まる。
授業中の出来事だ。ふと隣の席を見ると赤新さんがせっせっとルーズリーフに何やら書いていた。板書かな? その割にはあんまり黒板見てない気も……。
赤新さんが何やら書き終わり、ふぃ~~と満足気な息をついている。まだ授業終わってないけど……。板書まだ続いてるし……。
すると、クルッと赤新さんが僕の方を向いた。そ~~っと僕の方にルーズリーフを差し出してくる。
な、何だ何だ?
僕は困惑しながらも、おずおずとルーズリーフを受け取る。そこにはこう書かれていた。
『後でノート見せてください。よろピクルス。あとお昼のおかず、あげても大丈夫ですか? 隠蔽工作をしようと思う所存なのであります。どうぞ』
いや、ツッコミどころ多すぎない?
ノートを見せる……まあ、これは現在進行形で板書が取れてないからだろうけど。ちなみに今も板書中。
よろピクルス。……ギャグ? ワーオモシロイナーー。
お昼のおかず……何かによるよね? ダークマターとかきたら困っちゃうかも。でも、いいな。
隠蔽工作……。これが一番意味不明。お昼のおかずに関係あるのかな?
どうぞ。トランシーバー風に言われても。
僕はざっと読み、サラサラとペンを走らせる。ピッ、とノールックでルーズリーフを隣の赤新さんへ。
赤新さんがそれを受け取る気配を感じた後、僕はすぐさまノートにカリカリとメモをしていく。
アイディアを思いついたらすぐメモを取る癖があるのだ。ところで……。
「…………」
何やら視線を感じる。隣の赤新さんが僕を見ていた。授業に集中しなさいな。
ルーズリーフには了承の旨と僕の《とある希望》が書かれていた。
ぼっちあるあるです。寝たフリ使えます。赤新さんは何て言っていたのか? 吉川君のとある希望とは? 次回もよろピクルスです~~。