隣の席の赤新さん   作:トモットモ

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赤新さんは調べたい

 シャアアアアア! 僕は軽快にペダルを漕ぐ。

「おお、結構気持ちいい」

 僕が風を浴びながら、そう零すと後ろの荷台に横座りしている赤新さんがほうと息をついた。

「は~楽々だ」

 絶妙なバランス感覚でウトウトしている赤新さん。普通に凄い。僕は前を見て安全走行を心がける。

 もうすぐ学校に着く。なんだかあっという間だった。というかこれってもしかしなくても……

 ぎゅっ。僕の制服の裾を掴んでいる感触が。もちろんバランスを取るためだっていうのは分かっている。それでもドキドキは加速している。

 きっ。僕は正門の近くでブレーキをかけた。

「着いたよ。赤新さん」 

「そうだね~~。はわわわわわ~~」

 赤新さんは、頷いた後に盛大に欠伸。本当に眠たそうだ。

「だ、大丈夫?」

 よっこいせと僕と赤新さんは自転車を降りる。

「うん。昨日夜更かし麩菓子しちゃって」

「なるほど」

 麩菓子って安くて美味しいよね。

「今日はね、校内で調査をするんですね、ハイ」

「調査?」

「アンケートってやつでござい」

「ああ、なるほど。部活動の一環?」

 僕がもしかしてっと思って尋ねると、赤新さんは得意気に指をLの形にして言った。

「ザッツライト」

 そのライトはRの方じゃないかと思うけど、赤新さんはあまりにも得意気だった。あまりにも、微笑ましかった。一応僕は言った。

「多分、Rの方じゃないかな?」

 すると、赤新さんはハッとして言った。

「そ、そうかも」

 ムニャムニャしながら言う赤新さんは今朝もとても可愛らしかった。

 

「私は恥を掻きました」

 昼休み。英語の授業が終わった直後、赤新さんが開口一番僕にそう告げた。

「へ?」

「ザッツライト……Rじゃん!」

 バン! と机にチクショー! の意思を示す赤新さん。結構豪快だ。

「うん。そうだね」

「なにゆえこれほどややこしいのか?」

 ぎぎぎと首をこちらに向ける赤新さん。

「いや、まあ、そうだとは思うんだけど……」

 僕はそこで急に言葉に詰まる。

「む~」

 赤新さんは、若干頬を染めている。

 得意気な赤新さんがあまりにも微笑ましく、且つ可愛く見えた、なんて本人の前で言えるわけないじゃないか。恥ずかしすぎる。

 僕が書いている小説には主人公がヒロインに対してどう感情を伝えればいいのか悩むシーンがあるけれど、正に今の僕がそれだ。正解が何か分からないからこそいろいろ試してみたいと思っている。

 僕は、せっせこと参考書と筆記用具を机の中にしまい、弁当箱の入った風呂敷を取り出す。

「本日は学校内でお召し上がりですか?」

 赤新さんはファーストフードの店員さん風に僕に聞いてくる。様になってるなあ。

「あ、はい。そうです。部室で食べようかと」

「かしこまりました」

 何が? 僕がポカンとしていると、赤新さんが立ち上がる。

「さあ、行こう。地平線の彼方へ」

 いや、どこまで行くつもり? 僕は赤新さんがてっくらてっくら歩いて教室から出ていくのを慌てて追いかけていった。

 




LとRはややこしい。赤新さんは可愛い。次回もよろしくです。
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