隣の席の赤新さん   作:トモットモ

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赤新さんは調べたい

「えっと……。赤新さん、ちょっといい?」

「パクパク」

 赤新さんはメロンパンをパクついて、牛乳のストローをチュ~とする。

 現在昼休み。僕の所属する文芸部の部室で僕は赤新さんとお昼を食べているんだけど……。

「タコさんウインナーとウサギさんリンゴは一体なんて言っているの?」

 僕が何を言っているのだろうか?

「もぐんちょもぐんちょ」

 赤新さんはおかかおにぎりをもぐんちょもぐんちょしている。僕はブロッコリーを食べながらその答えを待った。

「ゴクン。ぷはー。それはね……」

 やがて食べ終わった赤新さんはピシッとタコさんウインナーとウサギさんリンゴを指差す。

「ああ、ここがシャバの空気か。俺がウインナーにタコ化された時はそりゃあもう、真っ暗でジメッとしたところだったぜ」

 何か始まった。赤新さんは淀みなく続ける。

「わあ、ここが月が見える僕の特等席。ここまで来るのに亀のやつとの追いかけっことか柿の種合戦とか色々あったなあ」

 僕は黙って聞いていた。何のこっちゃだったからだ。ただ1つ分かるのは……。

 赤新さんは可愛いということだ。

「よかったらどうぞ」

 僕はお弁当に付いていた爪楊枝を取り出して、赤新さんにタコさんウインナーとウサギさんリンゴをおすそ分けした。爪楊枝があったのは多分まあ、その方が落としたりするリスクが減るからだと思う。

「ええのんか?」

 赤新さんはちょいと小首を傾げる。僕は、うんと頷いた。赤新さんは爪楊枝を持って暫しタコさんウインナーを見つめる。そして目を閉じて言った。

「許せオクトパス!」

 プスリとタコさんウインナーに爪楊枝がぶっ刺さる。というかこれタコさんじゃなくてウインナーだからね?

「パクッ。……ん~、うまうま」

 赤新さんはタコさんウインナーをよく味わいながら、うんうんと何度も頷いていた。

「ウサギさんリンゴもどうぞ」

 僕がそう言うと赤新さんは手を出して待ったをかけた。

「ちょっと待って。ウサギさんリンゴが何か言っているよ!」

 だそうです。赤新さんは続けざまに喋り出す。

「あれ? タコっぴはどこ行ったんだろう。あ~、分かった。地平線の彼方だ!」

 また地平線の彼方来た。

「じゃあ私が連れて行ってあげるよ! 地平線の彼方へ!」

 赤新さんがウサギさんリンゴへ向かって言う。

「ホントに!? ありがとう! 僕と千歳ちゃんで一緒に行けるなんてドリ~ムみたいだよ!!」

「!!」

 僕は、急に出た『千歳ちゃん』という言葉にドキッとした。名前……か。ウサギさんリンゴ、赤新さんの事、千歳ちゃんって言ってるんだ……。凄いな。

 何だかウサギさんリンゴに感心してしまった。

「許せラビット!」

 ウサギさんリンゴは爪楊枝でグサリと刺され、赤新さんにあえなく食べられた。

「シャクシャク。……ん~、瑞瑞しいね」

 赤新さんとタコさんウインナーとウサギさんリンゴの共演を見届けた僕でした。




赤新さんとタコさんウインナーとウサギさんリンゴの即興劇でした。パチパチパチ。またあるかもしれません。
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