モブリコ辺境暦   作:杖雪

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9月にいろいろ考えた ④

 多分、間に合わないだろうとルミナ先輩は言っていた。

 まあ、確かに間に合わないだろうねと私も思っていた。 

 

 私と風待先輩が暮らす下宿がある十与浜から内箕駅までの数キロを自転車で走り、その後は一時間に二本しかない単線である智多新線に乗って、終点の春川駅で名古屋行きに乗り換えて一駅。どれだけ急いでも、目的地の弐豊駅までは相当の距離がある、相応の時間がかかる。

 

 本来ならば、私たち諸咲支部の管轄外、あまりに遠い、他支部の町。私は急いで自転車を漕ぎ漕ぎ内箕駅までたどり着き、なんとか出発前の電車に飛び乗ることに成功する。そのおかげで、弐豊駅には想定より半時間早めに到着することができた。

 

 いまだ蝉の声が響く駅のホームを出た私は、走って現場まで向かう。これなら間に合うかもしれないと期待を込めて、残暑厳しい市街地を、私は駆ける。

 

 今回の任務は、チンピラ3名の排除。不倫相手の女性から別れを告げられ、逆上したチンピラ。怒りと殺意を露わにした彼は今、急遽呼び集めた仲間を引き連れ、女性とその夫が住む自宅に向かっているらしい。

 普段ならば、DAはこのような些細なもめ事などには首を突っ込まない。激怒したチンピラと、激怒した旦那様との殴り合いなど、地方新聞の三面記事にもならないからだ。

 

 しかし今回、チンピラ仲間の一人は、猟銃を手にしているという。

 わずか一丁の猟銃。そのためだけに、DAは動いた。

 

 かつて真島が国内にばらまいた、多数の銃器。その回収は、遅々として進んでいないらしい。そのためDAは銃火器を使用した犯罪について、かなり神経をとがらせている節がある。

 

 実際に、銃を手にした犯罪者の数は、ここ最近増加傾向にあるようだ。私も以前モブリコ寿司に来たお客様から、東京下町のとある喫茶店に、拳銃を持った強盗が乱入してきたという話を聞いたことがある。偶然そこにいたファーストリコリスとセカンドリコリスが、即座に強盗を取り押さえたそうだが、ただの押し込み強盗風情がハンドガンを所持していたという事実に、私はこの国の治安が悪化しているのではないかという猜疑心を抱いたものだ。

 

 平和維持の最前線にいるDAならば、治安についてはなおさら憂慮していることだろう。それだけに銃を使った事件、特に籠城事件や逃走事件など、ニュースのトップを飾ってしまうような大事件は、事前に阻止したいのだろう。組織の末端にいる私でも、その程度の推測はできる。

 

 現場に向かうまで時間がかかる以上、不倫相手の家に押し掛けたチンピラたちが屋内で発砲し、住人に死傷者が発生してしまうのは仕方がないが、せめて人質を取って籠城するような事態や、猟銃を乱射しながら住宅地を逃げ回るような事態になることだけは阻止するようにと、現場付近の地図や家の間取りといった情報とともに私のスマホに届いた、DAからの正式な任務指示メールには書かれていた。

 

 屋内での発砲が発生するということ、それはつまり、そこに住んでいる旦那様と奥様の生死は特に問題にしないということだ。冷たい話ではあるが、伊勢湾側の下宿に住む私がどれだけ急ごうと、弐豊町の近くに住むチンピラたちの方が先に現場に到着するのだ。罪のないご夫婦の生命は、なるべくなら守ってあげたいが、距離的な問題だけはどうしようもない。

 

 だいいち今私が向かっている弐豊町北部は、諸咲支部ではなく空港島支部の管轄である。現場までの移動に時間がかかるのは、私の責任ではない。

 

 よりによってこんな日に、来年1月の国際会議に向け、空港内の会議場で警備の予行演習をしていた空港島支部。生真面目すぎる空港島リコリスたちは、全員そろって空港に出向き、その日に開催されていた小さな会議を当日の大会議に見立てて、この炎天下の中、実戦的な訓練に励んでいたらしい。

 

 そのおかげで、私は今、炎天下の住宅街を走っている。支部内の最重要地点である空港内の安全を守るのもいいが、それ以外の地域の平和を切り捨てていいというわけではない。支部内の地域全体を均等に見守り、地域で暮らす人々全員の安全を守るのが地方リコリスの心意気ってものだろう。と私は内心で愚痴を言いながら、町中で鳴くツクツクボウシの声を背に、現場へと走る。

 

 私の愚痴に呼応するかのように、住宅街の奥に生えていた電波塔が、白昼になお輝く光を先端から放つ。空港島支部の不甲斐なさに、電波塔も怒っているらしい。

 

 9月は、いまだ夏である。走り続けるうちに、私の体から噴き上げる汗が、太腿を伝い足元に垂れてくる。外で体を動かすたびに肌が感じる、この季節特有の不快感。しかし、私は流れる汗を気にも留めず、ペースを落とすことなく町中を駆け抜ける。

 

 急いだおかげか、思ったより早く現場に到着しそうだ。これならば、チンピラたちが家の中で騒ぎだす前にたどり着けるかもしれない。逆上しているチンピラたちが発砲する前に、彼らを排除できるかもしれない。私は微かな希望を抱き、速度を速める。

 

 遅かった。

 

 現場に到着する直前、立ち並ぶ住宅の先に、目指す家の屋根が見えたその時、一発の銃声音が鳴り響いた。

 

 夏の気怠い午後、人影のない住宅街に響く銃声。家壁に張り付き鳴いていた数匹のセミが、慌てて空中へと退避する。

 

 間に合わなかった。私は走る速度を落とさずに目的地の家の前までたどり着くと、門壁を飛び越え玄関横に貼りつく。

 

 玄関扉の奥に人の気配はない、待ち伏せはないと判断した私は、腰ポケットから消紋クリームを取り出すと、素早く手に塗り付ける。

 市販のリップクリームのケースを模したスティック容器に固形充填され、色も香りも固さもリップクリームそのものに偽している消紋クリームは、手や指に塗り付けると、10秒ほどで特殊な合成被膜に変化し、指紋と掌紋を完全に隠蔽する。本来は証拠を残さない暗殺を専門とする分校リコリス向けに開発された装備らしいが、いかなる状況にも対応できる万能選手であることを求められている私たち本部卒リコリスにも、この小道具は当然のように配備されている。

 

 効果時間は15分程度。その後は皮膚の酵素に反応し、水と二酸化炭素に生分解されて消滅してしまうため、任務開始直前に塗布しなければならないのが欠点である。もっとも、任務後に被膜を剥がしたり手を洗ったりする手間が省けるので、見方を変えれば欠点ではないのかもしれない。

 

 10秒で手や指全体に消紋クリームを塗り付け、10秒で乾かす間、私はドア横の壁に後頭部を付け、屋内の音を静かに観察する。両耳と後頭部の三点で音を探る、観捫泰と呼ばれる特殊な聴音術。かつて山中で樹木に後頭を付け、大気と地面の振動を捉え山中全ての足音を聞いたという伝説を持つ、芳野大岑山の修行僧たちが生み出したこの秘術に、幼少時から特殊な聴音訓練を積んできた本部卒リコリスの聴力が加われば、この程度の一軒家ならば、内部すべての動向を音として探ることができる。私は、スマホに送信されていたこの家の間取りを頭の中に思い起こし、聞こえてくる音の位置と種類を脳内の図面に書き込んでいく。

 

 玄関、廊下、人の音無し。

 一階廊下奥のリビングルーム、人間3名が言い争う声と室内が物色される音有り、会話は3名とも男の声。さらに床の近くで、すすり泣く女性の声。

 その他の部屋及び二階、人の音無し。

 

 状況を音で確認した私は、手のクリームが乾いたことを確認した後、ドアノブを静かに回す。

 施錠はされていない、私は音一つ立てることなく、玄関に侵入する。

 

 武装した敵が立て籠もる一軒家への単独侵入。本来ならば、扉の背後に仕掛けられたトラップを警戒しなければならないが、私はあえて、基本的な手順を無視して屋内に入った。

 実戦の勘所を知らない新人リコリスは、手順を遵守しなくてはならない。しかし今回のターゲットは、ただのチンピラども。彼らがいくら殺害覚悟で乗り込んできたとしても、荒事の最中に第三者が潜入してくることまで想定していないだろうというのが一つ。室内の音から、まだ被害にあった夫婦の内、少なくとも女性の方は生存している、手遅れにならないうちに、早めに駆け付けなければならないというのが一つ。以上二つから、私は基本手順より時間を優先したのだ。

 

 奥のリビングルームに向かい、静かに歩を進める私。轡田衆修験八方大山踏が一つ、待担踏と呼ばれる特殊な走法を元に作られた、DA独自の無音歩行無音疾走術。見た目は普通に歩いているだけなのに、まったく靴音のしない、リコリス独自の歩き方。音を消し、気配を消し、殺意を全て消しながら、私は背中に背負ったサッシェルバッグから、グロック36を取り出し、サイレンサーを取り付ける。

 

 リビングに入ると、予想通りの光景が視界に入る。家の外で発砲音を聞いてから、ずっと頭に描いていたそのままの光景が目に入る。

 

 この家の主人であろう、普段着姿の若い男。彼は今、死体となってソファーからずり落ち、絨毯の敷かれた床に横たわっている。

 胸元には、血の大供華が咲いている。至近距離から散弾銃で撃たれたのだろう、広く大きく穿たれた胸の銃創。小さくささくれた衣服と、大きくめくれた胸の肉を、流れ出る血で染めあげた家主の胸部は、雑な点描画で描かれた巨大なバラの花のように見える。

 心臓は既に止まっているようだ。胸元のバラから流れる血は、もはや勢いもなく、床に敷き詰めた薄色の絨毯を、鮮やかな赤色に染め上げている。

 

 男の横には、震える手で猟銃を持つ男。この家のご婦人と浮気していたチンピラのご友人の、二人の内の一人だ。

 残りのお友達は、チンピラと一緒になって、リビングの引き出しを漁っている最中のようだ。銃声を聞き付けた近所の住人たちが騒ぎ始める前に、金目のものを奪って逃走する予定なのだろう。

 

 猟銃を持った仲間の足元には、震え泣きながら座り込む、この家の若奥様。金目当てとは知らずにチンピラに騙され、不倫関係となってしまった可哀そうな女。彼女は今、代償を支払っている。騙されたとはいえ、うかつにも悪人と縁を持ってしまった代償を、今支払っている。払ったお代は、幸せな家庭生活。取り返しのつかない、高価な代償。

 

 主人が倒れている床の手前には、背の低い接客用のテーブル。厚い板で作られた高級そうな机の上には、まだ湯気の立つコーヒーが注がれたコーヒーカップが、仲良く5つ並んでいる。

 

 私の眼は、ほんの少しの間、そのコーヒーカップを見つめる。

 

 どうやらこの家のご主人は、いきり立ち激怒するチンピラたちをなだめようと、わざわざコーヒーを用意したらしい。チンピラ如き屑どもを、どうやら人として扱ったらしい。

 

 馬鹿が、と私は思う。

 

 世の中には、正面から対峙してはいけない種類の人間がいる。悪意と暴力しか取り柄のない人間、一片の良心もない人間、このような相手には、どのような対話も無駄である。どれだけ理を説いても、理性が無い故に理屈を理解できないし、どれだけ情に訴えても、心情が非情で薄情であるが故に情が働かないのだ。

 

 そのような人物が逆上した時に、一般市民がとる方法はただ一つ、逃げることである。

 

 この主人も、チンピラたちが襲ってくるという電話内容は、妻から聞いて知っていたはずだ。それならば、速やかに逃げるべきだった。貴重品を持ち出し、施錠して逃げるだけの時間的余裕はあったはずだ。

 

 それなのに、この家の主人は逃げなかった。それどころか、人間の屑を屋内に招き入れ、コーヒーを出した。

 

 馬鹿が、と私は思う。

 

 おそらくこのご主人は、善良な人だったのだろう。妻の罪を許し、チンピラと和解しようとした。もしかしたら、男たちに向けて頭の一つも下げたかもしれない。

 話し合えば、わかってくれる。同じ人間だ、心を開けば、わかりあえる。

 そう信じて、男たちと対面したのだろう。警察に通報することもせず、激情の赴くままに発露されるチンピラたちの罵声に耐えたのだろう。

 

 その結果が、一発の銃声。凶暴な人間は、相手が優しい人間だとわかると、ますますつけあがる。何も言い返さない、ただ謝るだけの主人に向かって、彼らの暴力性は、さらにヒートアップしたのだろう。彼らの脳内を駆け巡り、心地よく増幅する激怒の荒波。自らの口が叫ぶ罵声によって自己過熱され続けた殺意が、沸騰点を迎えるまでの間、どれほどの狂気がこのリビングルームに渦巻いていたのだろうか。

 その間、主人は耐えたのだろう。チンピラたちの心に、理性の灯が光るのを、ずっと待っていたのだろう。

 

 馬鹿が、と私は思う。

 

 しかし、立派だ、と私は思う。

 

 妻を許し、相手の良心を信じた結末は、散弾による死だった。

 ご主人の説得は、チンピラどもにとって無駄な時間だった。わざわざコーヒーを淹れたのも、ただの無駄な時間だった。

 

 だが、その無駄な時間は、無駄ではなかった。

 

 その時間のおかげで、チンピラどもが家から逃げ去り、街中に消え去る前に、私が到着できたのだ。

 

 名前も知らないこの家のご主人。彼が必死の努力で説得を続けたことが、結果的にはチンピラ達の逃走を食い止めてくれた。事件の拡大を防いでくれた。

 

 その努力、無駄ではなかった。

 その努力、無駄にはさせない。

 

 多分今頃は、天国に行く準備を整えている最中であろうこの家のご主人。

 

 少し待っていてくれ、少し見ていてくれ。

 

 あなたが庇った妻の命は、今から私が守る。

 あなたを殺した敵の命を、今から私が奪う。

 

 平和な家庭を突然襲った、理不尽な暴力。武器を持った相手による、一方的な射殺。

 

 あの時と同じだ。あの日と同じだ。

 

 私の脳裏に、電波塔の影が浮かぶ。赤い世界、幾十層幾百層の朱泥に塗られた赫漠たる世界に滲んで浮かぶ、電波塔の黒い影。無音の輪郭、無形の轟音が、私の脳裏を駆け巡る。

 私の脳内が、熱くなる。私の体が、燃え盛る。なぜ私の心が燃えているのかは、自分では理解できない。多くの感情、様々な感情が一気に押し寄せているため、思考の一つ一つを精査できないのだ。数百人の人間が一斉に叫び出したため、それぞれが何を訴えているのかわからないのと同じ感じだ。

 いや、これは比喩ではない。実際に私の背後で、何かが叫んでいる。千に近い数百の何かが、私を通して何か叫んでいる。空気が熱を帯び、震え、砕けるほどの大叫喚。

 

 私は、天井を見上げた。

 

 電波塔だ、電波塔が見えた。私の電波塔、幻の電波塔が、高く大きく聳えている。

 

 かつて見た電波塔より高い、昔見た電波塔より大きい。今まで見たどの幻より巨大な塔。その土台は弐豊町を覆いつくし、その頂は空の彼方に霞んでいる。あまりに大きさに、塔として把握できないほどの、圧倒的な幻影。

 

 二重露光した写真のように、現実と幻覚が重なり合う。天井という実在を押しのけ、電波塔という非実在が、目の前に迫る。

 私の背後にいる大勢の何か、感情の渦としてしか認識できぬ何か達が、一斉に電波塔を見上げた。本当に見上げたのかわからないが、少なくとも私にはそのように感じた。

 

 数百もの、何か達。それらの感情が、ひとつになった。皆が、ひとつの言葉を叫んだ。

 

 あの時、それらが一そろいになり何を叫んだのか、今となっては全く思い出せない。あれほど強い幻覚を見て、あれほど強い感情を背中に感じたにも関わらず、ただその言葉だけが、その一言だけが、世界の果てを探しても、空の果てを見つめても、まるで最初からなかったかのように、見つかる気配すら見つからないのだ。

 

 あの言葉は、なんだったのだろうか。あの感情は、なんだったのだろうか。私は今でも、この日のことを思い出すたびに考える。

 しかしあの時は、この激情を忘れることがあるなど、思いもしなかった。ただ、背後にひしめく多くの念、前に迫る大きな電波塔に心を揺さぶられていた。

 

 私は、叫んだ。ひとつの言葉を、叫んだ。背後で叫ぶ、様々な激情を代弁するかのように、数百もの思いの塊に、声帯を貸すかのように。

 

 部屋が、震えた。私には、そう見えた。

 

 部屋の皆が、私を見た。

 部屋の皆が、驚いた顔をしている。

 

 そうだろう。

 潜入訓練を積んだリコリスが、無言無音、完全に気配を消して入ってきたのだ。そのリコリスが、いきなり感情を露わにして、叫んだのだ。皆が見つめるはずだ、皆が驚くはずだ。

 亡くなった家の主人、その死体の傍らに座り込んでいた嫁の目が、驚愕で大きく見開かれる。大きく開けられた口から、金属のような絶叫が迸る。

 

 化け物に遭遇したかのような、恐怖の絶叫。旦那の死よりもなお怖い存在を見てしまったかのような、甲高い絶叫。

 三人のチンピラ達の血走った目も、また大きく見開かれる。ただのリコリスである私、ただの少女である私が、突然姿を現した。それだけのことなのに、それだけのはずなのに、彼らは皆、この際に出すべき驚きの感情を、必要以上の修飾を添えて表しているかのように私には見えた。

 

 誰だてめえらは! と一人のチンピラが叫んだ。

 来るなっ! 来るんじゃねえ! もう一人のチンピラが絶叫する。

 なんなんだよぉこいつら! あと一人のチンピラが戸惑い喚く。

 

 突然の乱入者である私に、どうやら混乱している様子の三人だったが、人をひとり殺し、精神が荒立っているのだろう。私に向けられている視線には、明らかな殺意が込められているのが感じ取れる。

 殺すという悪意が、目線を通して振動のように私の体に伝わってくる。

 

 かつて8月の浜辺で感じた、敵意の視線、殺意の視線。あの日と同じ、黒い視線。

 

 それでいい、と私は感謝する。三人のチンピラに、感謝する。

 

 ターゲットから、殺意を向けられた。

 それならば、殺す言い訳になる。

 殺しても、心の痛みは少ないだろう。

 

 凶器を持った男たちからの殺意の視線を向けられるという、本来ならば歓迎できない状況に、私はわずかな安堵を感じながら、彼らに向けて、片手に持った拳銃をゆっくりと突きつける。

 

 

 初めて人を殺した夜から半月後。

 私はまた、人を殺す。

 

 大きな大きな電波塔の前で、私はまた、人を殺す。

 

 

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