やはり俺と周囲の人間関係はまちがっている。   作:黒河桔梗

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またまたノリで始めました。


声を大にして言うが囀二色は不良ではない。

第一に俺は不良じゃない。

 

これは単なるモノローグではない明確な事実であり周りの連中が騒ぎ出した次第が根源だと断言してやろう。

やれ高校生になって入学して隣を素通りした上級生にさえ不良だ!と怖がられた。

俺は何もしていないただ横切っただけでなんという仕打ちだ、末代まで呪ってやろうか………といっても呪術のやり方なんか知らないが。

 

 

そう俺、囀二色(さえずりにしき)はただ誤解を受けているだけだ。特別チャラチャラしてるなんて事もない、ただ少し言葉足らずで服装が乱れている程度の今時の高校生なら比較的誰でも服装の乱れだとかそういった生活の乱れなんてあって当たり前、なのに何故俺だけ見逃してもらえない。

 

このかた酒と煙草と女に手を出したことはないぞ。

いや、なんか言ってて悲しくなってきたんだけど…。

 

泣いていいか?泣いていいよな?

ってか俺なんかダサくない?メンタル豆腐並みとか泣ける。

 

とまぁ冗談はこのくらいにしておいて。

まさかこの俺がそんなみみっちいことに縛られてる男だと思ったか!!俺はそこまで小さい人間じゃない、特別偉大な人間でもないがな!ほら俺ポジティブだろうが。

 

 

 

 

 

「お。今日も部活か彩加?」

 

「うん。二色は今日も付き合ってくれるの?」

 

そう、何を隠そうこの囀二色のマブダチ兼幼馴染である戸塚彩加は目を見張るほどの美少女。

だがその実態は男の子である、いやまぁそこそこに付き合いは長いから今更戸惑ったりそういうのはないぞ?ないぞ?

なんで二回言ったかは、聞くな分かるだろうが馬鹿野郎ッ!

 

 

「俺なんかで良かったらいつでも練習に付き合ってやるっつーの!」

 

任せとけ!と胸を叩いてやるとありがとうと嬉しそうに笑う彩加にドキッとしたのは内緒だ。

だって俺達友達だし、そういう一部の方々が喜びそうなネタみたいな関係じゃないし?大変健全な友達付き合いさせてもらってますよそりゃ。

 

クラスメイトの連中は俺にビビって近寄ってこないが彩加は違う、困ってれば俺の所へ相談しに来るし手に負えない頼み事をされた時には俺を呼ぶこともある。

さすが幼馴染、お互いをフォローすることには慣れてるっつーかやっぱり家族ぐるみの付き合いは伊達じゃない。

おかげで俺は毎日充実した日々を送っている。

 

 

「俺はいつだってお前の味方だからな!」

 

「ふふっ、やっぱり二色は頼りになるね」

 

「だろ?俺やる時はやる男だしな」

 

 

 

これでも結構手先だって器用だし割と評判いいんだぜ?

誰に言われたかって聞かれたら彩加にとしか答えられないけどよ。

もしかしなくても俺の交友関係果てしなく狭いんじゃ…いや、そんな馬鹿なことあるわけが、

 

 

「どうしたの?」

 

「えっあ、いや、なんでもねーよ心配すんな!ちょっと考え事してただけだって!」

 

「でも二色困ってるんじゃない?」

 

なんだと。

彩加にバレてる!?ある意味困ってはいるがこれは俺の問題というか、俺にしか解決出来ないっていうか他人にはどうにも出来ない壁というか…つまりなんていうの。

 

 

「いやいや!態々お前の手を煩わせる必要もないことだし気にすんな!」

 

むしろ今俺自身が戸塚彩加という友達の手を煩わせている!

それは駄目だ!クラスメイトに相談を持ち掛けられるだけの友達がいないんだけどどうすればいい?なんてマジなトーンで聞いてみろ流石の彩加でも引くぞ。

 

頭を掻きながら冷静に頭を働かせてみる。

成績もそこそこに良い点取れる頭を持っていても友達がいないという事実はどうすることも出来ない。

その現実を受け入れて次に何をすればいいかなんて分かるはずもない、現時点で俺、囀二色にいるのは幼馴染である戸塚彩加だけだ。

 

つまり今のポジションを守ることが俺にとって最大のミッションだ。

本当に必要なものは一握りでいいというのが良い例かもしれない。だから必要以上に求め過ぎるのは間違ってる、だったら俺が友達なんてものに縋ろうとしてるのもおかしいってことになる。

 

一般論じゃ、間違ってなくてもその枠に自分に当て嵌めていいのか?俺はさっき言ったばっかだろうがみみっちいことに頭を悩ませてるなんて柄じゃねぇ。

 

 

 

「でも……」

 

「でももクソもねぇ、俺がなんでもないって言ってんだから気にすんな!けどよ、その……心配してくれてサンキューな」

 

 

頬を掻きながら礼を言うと彩加はホッとしたような表情を見せた。

もしかしなくてもこいつは俺なんかのことを気に掛けてくれたんだろう。

特に人と関わりがなくても困ったりすることはないそれは戸塚彩加という友達が隣にいてくれるから。

だったら下手に取り繕ったりせず俺は俺のまま輪の中に飛び込んでいけばいい。難しいことは後で嫌でも考えられる。

 

 

 

「ほら!俺のことより彩加だろ部活行くぞ!」

 

「え?あ、うん」

 

クラスメイトが俺と彩加をチラチラと見ながら陰口を言っているのが見えた。

 

 

 

「ちょっと戸塚君ヤバイんじゃない?」

 

「囀って不良でしょっ誰か止めなよ!」

 

俺は不良になった覚えもなければ彩加に何か手を出すつもりもない、人のことを知りもしないでよく悪口ぶつけられるな最近の女子怖すぎんだろ。

もう今ので女子のイメージ上書きされたな、被害妄想の塊でしかないあと最終的にヒステリックに泣き叫ぶコレだな。

 

だが生憎とそんな奴等の相手をしている暇はない俺には彩加をサポートする名目があるからな。

無視だ無視!

 

 

 

「……二色」

 

「そんな顔すんなって!俺があの女子共のこと気にしてるとでも思ってんのか?」

 

彩加は本当に良い奴だ。

それこそ友達思いっていうのが一番しっくりくる。

自分より俺を優先する辺りとかすげぇって思うよ、俺も彩加相手だからこんな風に考えられてる気がするし。

他の誰かじゃまずこうはならないし、あっそうの一言で終わる。薄情な奴だと言われても仕方ないが外見だけで不良のレッテルを貼る連中に比べたらいい勝負だろ。

 

 

「本当にお前は心配性だなぁ」

 

ニッと笑顔を見せて平気だと頭を撫でてやる。

なんつーか俺にとっての彩加って癒しでしかない、あと気遣ってくれる妹的な?いや、でも彩加はこう見えて男の子だしな勘違いはよくない、しちゃいけない、するなよ俺。

 

 

「俺が本気で困ってたらお前に一番に話すっつーの」

 

心の声を読み取られないように素直な気持ちをぶつける。

おい駄目だろ俺、素直な気持ちぶつけても本音を悟られでもしたらどうする俺の平穏が一気に破滅するぞ。

俺だって歴とした男の子だっつーの、そりゃ可愛い子に話し掛けられたりすれば勘違いもする。

それが見た目美少女な男の子でも尚更。

 

「どうしたの?」

 

やめろ上目遣いで俺を見るな!

可愛いは正義だよなそこは認めてやるよ畜生っ!

 

「………なんでもねぇよ」

 

悶絶しかけた俺を許してください、この際罵倒されても文句言えねぇ。

彩加すまん、俺を殴れ、というか罵ってくれいつだって準備は出来てるから。

 

 

煩悩を打ち払うためにも行動あるのみ。

と、決意したもののそんなに簡単に煩悩を打ち払えたら苦労はない。

人間欲望に忠実なもんだ、そこに当然俺も当て嵌まる。

節度は大事だ。それは俺にも分かるが限度はあるだって俺は男子高校生だぞ?耐えろってのは酷ってもんだろうが。

 

 

 

「クソッタレがいいぜぇやってやる……」

 

「二色?」

 

 

これまでだってずっと耐えてきたんだ。

何を恐れる必要がある?そんなもんは考えるな可愛い女の子だろうが可愛い彩加だろうがそんなもんは幻想だ。

要するに無心でいればいいわけだろ。平気だ彼女いない歴=年齢の俺にこれ以上の苦痛があるとでも?ねぇよそんなもん。

よって俺の強靭な心が折れることはない!つまり前進あるのみ後退の文字はない。

 

さぁてそれじゃ今日も全力投球と行こうじゃねーか。

つっても野球はしねーがな、あくまで俺はサポートだ怪我しない程度に適度に行こう。

彩加を傷物になんて絶対出来ないし、最善の注意を払って。

 

 

 

 

「そんじゃやんぞー」

 

「お願いするね?」

 

「お、お、おう……任せとけっ」

 

 

どもってしまったが大丈夫落ち着け。

俺は囀二色。

大事な幼馴染のため一肌脱いでやろうじゃねぇか、ここでやらなきゃ男じゃねぇだろ!

 

ーーそして今日も俺は俺の日常を歩き始める。




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