医者志望が行く教室へ   作:LOW

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入学

「Cクラスか」

 

 自分のクラスを確認した俺は教室へと歩き始めた。

 

 教室を見渡すと如何にも不良が意図的に集められた印象だ。自分のネ-ムプレ-トが置かれた席に座り鞄から読みかけていた本を取り出す。

 

「何を読まれているのですか?」

 

 隣の席に座っていた銀髪女子が聞いてくる。

 

「『カラマ-ゾフの兄弟』だ」

 

「フョードル・ドストエフスキーの最後の長編小説ですよね。私も読んだことがあります」

 

 著者だけでなく最後の小説と分かるとは相当小説が好きなんだろう。現に机に小説が置かれている。

 

「そうか」

 

 そう言い読み始めるが隣の女子はこちらを見つづける。

 

「あの私は椎名ひよりです。お名前を伺っていいですか?」

 

「神宮司改人だ」

 

「神宮司くんですね。同じ小説好きがいて嬉しいです」

 

 椎名の目に輝きが宿っているような気がした。

 

 始業を告げるチャイムと共にメガネをかけた30代後半と思われる男の教師が教室に入って来る。

 

「新入生諸君。私はCクラスを担当することになった坂上数馬だ。この学校には学年ごとのクラス替えは存在せず3年間君たちの担任となる」

 

 この学校には特殊な部分がある。よくある寮生活に加え在学中は特例を除き外部との連絡が一切禁じられていることだ。

 

 そしてこの学校ならではの特徴であるSシステム。

 

「今から配る学生証カ-ドは敷地内にある全ての施設を利用したり売店などで商品を購入するができる。身近でゆうならクレジットカードのようなものです。また学校の敷地内にあるものなら何でも購入可能となっています」

 

 学生証と一体化したポイントカ-ドか。なくしたら大変なことになりそうだな。

 

「施設では機械にこの学生証を通すか提示することで使用可能です。それからポイントは毎月1日に自動的に振り込まれており1ポイントにつき1円の価値があります」

 

 また1学年全員に10万ポイントが既に支給されているらしい。

 

「ポイントの支給額が多いことに驚きましたか?この学校は実力で生徒を測ります。入学を果たした君たちにはそれだけの価値と可能性があるということです」

 

 言うならば先行投資みたいなものだ。

 

「振り込まれたポイントをどう使うは君たちの自由です。必要無いの感じた生徒は譲渡してもらって構いません。ただしカツアゲのような真似だけはしないでください。学校はいじめ問題にだけは敏感ですから」

 

 戸惑いがある教室内で坂上はぐるりと生徒たちを見渡す。

 

「何か質問はありますか?」

 

 そう言うと俺を含め1人の男子が手を挙げる。

 

「来月も10万ポイント振り込まれるのかよ坂上?」

 

「龍園くん目上の人には敬語を使いなさい。結論を言えば応えられません」

 

 男たちは龍園に対して何を言っているんだという目線を向けていた。

 

「次は神宮司くんの質問ですね」

 

「他クラスは知らないがこのクラスはガラの悪い生徒が多い。意図的に集めたのか?」

 

「それも応えられません。後、神宮司も敬語を使ってください」

 

 俺の質問に対し本来なら『はい』か『あくまでも偶然』と応えるはずだ。なのに応えられないと言うことは何かがあるな。

 

「他に質問ないようですね。では良い学生ライフを送ってください」

 

 坂上は教室を出ていった。すると龍園と呼ばれた男が俺の方に歩いてくる。

 

「おい、どういう意図であの質問をした」

 

「それを言うならお前もだろ?」

 

 坂上は一度たりとも毎月10万ポイントが振り込まれるとは言っていない。

 

「クク、どうやらお前は他と違い賢いらしいな?」

 

 聞きたいことを聞けたらしい龍園は自分の席に移動した。

 

「神宮司くんはすごいですね」

 

「何がだ?」

 

「いえ、堂々と話されていたので」

 

 確かに龍園の見た目は不良そのものだろう。普通なら怖くて目を合わせることすらできない。

 

「慣れだ」

 

 かく言う俺も目つきが悪い方の部類にはいる。

 

 入学式を終え昼前には解散となった。

 

 俺は昼ご飯を先に済ませるべくコンビニに寄ることにした。

 

「うひょ-。カップ麺もすげぇ種類揃ってんじゃん、マジ便利な学校だよな-」

 

 コンビ二にはいると同じクラスの奴らがいた。そいつらは10万もあるからとカップ麺やお菓子、ジュ-スを次々とカゴの中にいれレジに向かっていった。

 

 店内を回っていると無料と書かれたワゴンが目にはいる。

 

「お、あったあった。これで少しはポイントが浮くな」

 

 するとネクタイの色が違う男が迷わずワゴンから日用品を手にとる。やはり振り込まれるポイントと関係がありそうだ。

 

 おにぎりを2つ手に取り会計を済ませ外へ移動する。

 

「お-怖い。お前クラスは何だよ。なんてな。当ててやろうか?Dクラスだろ?」

 

「だったらなんだってんだ!」

 

 赤髪と先輩らしき3人組が揉めているようだな。

 

「聞いたか?Dクラスだってよ。やっぱりな!」

 

「可哀想なお前ら『不良品』に今日だけは譲ってやるよ」

 

「逃げんのかオラ!」

 

「吠えてろ。すぐお前らは地獄を見るんだからよ」

 

 Dクラスと分かった瞬間態度を変え不良品と呼ぶしまつ。考えられることはCクラスは下から2番目ということだろう。

 

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