医者志望が行く教室へ 作:LOW
翌日、龍園や腕に自信があるやつらが絆創膏や湿布をつけて登校してきた。放課後残っていたであろう山田は無傷だ。
日に日に傷が増えていく龍園はそれでもなお頻繁に山田に声をかけ喧嘩を吹っかけている。
4月最終日。
「良く聞け。俺はアルベルトをくだした」
まだ逆らうなら龍園の軍門に降った山田を相手にしなければならない。それがどれだけ無謀なことであるかこいつらは分かっている。
「後は神宮司お前だけだぜ?」
「生憎だが誰かの下につくのも従う気もねえ」
「なら放課後、特別棟に来い」
あそこは誰の目にもはいらねえ。暴力を振るうには絶好の場所だ。
「逃げずにきたか」
放課後、特別棟に行くと既に龍園や山田、石崎が待ち構えている。
「お前が呼び出したんだろ」
「クク、そうだったな。再警告だ。俺に従え」
「同じ事を言わせるな」
俺の意思は変わらねえ。竹刀を構える。
「どうやら痛い目を合わないとわからねえらしいな。やれ、石崎」
「悪く思うなよ」
石崎は拳を突き出してくるが当たる前に竹刀を首目掛けて振り下ろす。当たった直後石崎は崩れ落ちる。
「驚いたぜ神宮司。なんの躊躇いもなく首を狙うなんてな」
「やられる前にやっただけだ」
「やれアルベルト」
龍園の指示が飛ぶ。山田の攻撃をまともに喰らえばダウンする。カウンターねらいで石崎と同じように首目掛けて振り下ろしても対処されるだろう。ならバックステップで距離をとる。
たたみかけるように左拳を振るってくる。いくら鍛えていようが急所は存在する。敢えて俺は山田に接近し竹刀の柄頭を顎に喰らわす。
声にならない声が山田から漏れ痛みながら倒れ込む。
「安心しろ。脳を揺らしただけだ」
本気でやれば顎が砕ける。
「アルベルトを倒すとは御見逸れしたぜ」
敬意を表すように拍手をする龍園。
「まだやるつもりか?」
「当たり前だ」
龍園が左拳を繰り出してきた。後方に飛び避けるが竹刀を掴まれ引っ張られる。俺は瞬時に竹刀から手を離す。
「これでお得意の剣術は封じたぜ」
確かに竹刀が無ければ剣術は発揮できねえ。だが龍園お前は勘違いをしている。
俺は顔を目掛けて右拳を繰り出す。龍園は左手で防ごうと構える。だが右拳はフェイク。蹴りが龍園の脇腹に直撃する。
立て続けに攻撃されるのを回避するため距離を取ろうとする龍園の腕を掴みみぞに膝蹴りを入れる。
「……カハ」
前のめりになったところで踵落としを喰らわす。俺はうつ伏せになった龍園の首後ろに左膝で体重をかける。左腕を背中に周して左手の甲を手前に引く。
「お前の負けだ」
「今はお前の勝ちだ。だが最後に勝つのはこの俺だ」
どうやって山田を下したのか気になっていたが不屈の精神が関係していたのか。強い相手でも隙は表れる。そこを突き最後に逆転し勝つ。
俺は龍園の上から立ち上がり鞄の中から湿布を取りだし気絶している石崎の首に貼り付ける。
「下に付く気はない。だが俺とお前が組めばやれるかもしれねえ」
「クク、あくまでも対等な関係ってことか」
「俺は先に帰らせてもらう」
5月最初の始業チャイムが鳴った。
「これからホ-ムルームを始めます。質問を受け付けたいところではありますが見てもらった方が早いでしょう」
坂上は筒から白い紙を取り出し広げ黒板に貼り付けた。
Aクラス940
Bクラス650
Cクラス490
Dクラス0
「分かっている生徒もいるかもしれませんがこれは各クラスの成績です」
Dクラスはある意味予想通りというべきか。
「そしてクラスのポイントは毎月振り込まれるお金と連動しているわけではありません。このポイントの数値がクラスのランクに反映されます」
Cクラスが651ポイント以上保有すればBクラスに昇級するということだ。
「そしてもうひとつ伝えなければいけないことがあります」
追加で貼り出された1枚の紙。そこにはCクラスの生徒全員の名前、横には数字が記載されている。
「これは先日行われた小テストの結果です」
分かっていたがCクラスは勉強ができないやつが多すぎる。平均は55点前後。
「この学校では中間、期末テストで1科目でも赤点を取ったら退学になります。赤点の算出方法は平均割る2です」
小テストで言えば27点未満の生徒は全員対象と言うことわけだ。
椎名は90点と2番目に点数が高い。
「そして恩恵目当てで入学した生徒がほとんどだと思いますがAクラスしか得られません」
俺が伝えただけあって慌てるやつはすくない。
「ひと通り伝えましたが質問はありますか?」
「この50万はどこからでたポイントだ?」
「神宮司くんとの契約です」
龍園がクラスの王になると宣言した放課後、俺は坂上と取り引きを行った。黙ってる代わりに150万プライベートポイントを要求。そしてクラス全員に口止め料として50万。
「なるほどな」
「中間テストまでは後3週間。赤点を取らずに乗り切れる方法があると確信しています」
坂上は教室を後にした。
「改めて言うがこのクラスの王になった龍園だ」
「俺は認めねえ。神宮司こそがリ-ダ-になるべきだ!」
こいつは龍園に反発しまくっている時任。Cクラスでは珍しいタイプだ。
「クク、まだ懲りないか時任」
「当たり前だ。お前よりも神宮司の方がリ-ダ-に相応しい。あの言葉は嘘だったのかよ神宮司!」
時任は俺が下に付いたと思い込んでいやがる。時任だけじゃねえな。
「誰がいつ下に付いた。俺は一言も言ってねえ」
「宣言したってことはそういう事だろ!」
「ゴチャゴチャ言ってねえで、黙って従え。