アリスの海洋大冒険《目指せ人智のその先へ》   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

10 / 20
メアリと水泳の授業

 ワロン島も暖かい季節になってきた。

 

 基本的に冬にも雪が降ることは無いし、他の島を経験しているお父さんやお母さんはワロン島は年中暖かくて凄く過ごしやすい島だと言われている。

 

 で、暖かい季節になってきたので海開きが行われた。

 

 だいたい寒くなる冬までの6ヶ月は子供達が海で遊ぶことが許される。

 

 というより冒険の授業もこの期間は3年生までは海で授業を受けることが多い。

 

 ワロン島で生活するにしても、島を出て海を旅することになっても泳げなければならない。

 

 子供の頃から泳ぎの練習をする意味でも海での授業は重要なのだ。

 

 私達子供達は水着になり、浅瀬でぷかぷか浮いたり、泳ぎの練習する。

 

 海に出る時には他のクラスや他の学年の子供達や教官、先生方も海に来て見張りをしてくれるのでよほどの事が無ければ事故も起きない。

 

 まぁ海があれている日とかはそもそも海に来ないし……。

 

 私とメアリちゃんは直ぐに泳げるようになったが、アナちゃんはなかなか泳ぐ事が出来ず。水に浮くボールを掴んで泳ぐ練習をよくしていた。

 

 アナちゃんは水が怖いってよりはどう動けば良いか分かってないだけだと思う。

 

 私とメアリちゃんが補助をしながら泳ぐ練習をする。

 

「そうそう! そのままバタ足して」

 

「体を浮かせる時は足を動かして浮力を確保する感じで……そうそうできてるよ!」

 

 時にはジーク教官やリリー先生にも泳ぎ方を教わる。

 

「塩水が目に入って水の中を見にくいねぇ……よしリリー先生のクラスを集めるか」

 

 ジーク教官はリリー先生のクラス……私達のクラスの人達を集めると水の膜を作る魔法を教えてくれた。

 

 潜水服って呼ばれる服の頭に装着するガラスでできた被り物を水で作るイメージって言われた。

 

 ジーク先生は水魔法が使えないので実演はリリー先生がしてくれたが、水の球体を頭にすっぽり被っている感じだ。

 

 水上だと周りの様子がよく見えないけれど水中になると海水と同化して見やすくなるし、空気を閉じ込めるから少しの間は息継ぎ無しでも呼吸ができるらしい。

 

「アクアボール! おお! できた」

 

 私は先生のやった魔法を見様見真似で使ってみるとでき、海に潜水してみると確かに水中も良く見ることができる。

 

「お魚さんいっぱいだ」

 

 海の中が見渡されるようになったので見ると魚がいっぱい泳いでいた。

 

「確かに少し潜ると息苦しくなってくる……」

 

 私は潜水を辞めて海面に出ると、アナちゃんが砂浜でメアリちゃんに水の球の作り方を教えていた。

 

「アリス! コツとかないの?」

 

 浜辺に戻った私にメアリちゃんがコツを聞いてきた。

 

「コツかぁ……強いて言うなら球体にこだわる必要は無いことかな」

 

「球体じゃなくてもいいの?」

 

「うん。四角にしても良いと思うし、潜水時間にこだわらないなら目の周りだけを水で覆うってのでもいいの。中を空洞にして水で空間を作るだけだから」

 

「なるほど……試してみるわね」

 

 私がアドバイスするとメアリちゃんは目の周りだけに水の膜を作り、顔を海水の中に浸けると直ぐに顔を上げて

 

「見えた見えた! 魚がいっぱいね!」

 

 メアリちゃんも上手くできたみたいだ。

 

 そのまま球体の大きさを大きくしていったらメアリちゃんも水の球の魔法を使えるようになった。

 

 メアリちゃんの場合は魔力総量がまだ少なくて私みたいに潤沢に水が生み出せないから膜が上手く張れなかっただけだった。

 

 メアリちゃんもアナちゃんも首まで覆う水の球だと2回で疲れてしまうので目の周りだけ覆う水の球の魔法で効率化した。

 

 私達は上手くいっていない子に目の周りだけのやり方を教えると皆できるようになり、リリー先生からこれを応用すると目を守る魔法に応用できると言われた。

 

 私がやったのがまさに目を砂等から守る魔法なのだとか。

 

 もっとも水を挟む為に水上では逆に見にくくなるのでもう一工夫が必要とも言われた。

 

「工夫をするとゴーグルの魔法と呼ばれる物になるわ」

 

 とリリー先生から言われた。

 

 水魔法が使えない場合にはゴーグルを買うことで防塵から守るのだとか……。

 

 水中でも視界が確保されたので皆潜水して遊ぶようになり、溺れかけた子供が先生方に救助されるってのを繰り返して泳ぎをマスターしていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ある日の魔法の授業で魔道具を用いた授業が始まった。

 

「魔道具は魔力を用いて様々な現象を行う道具の総称ね。ダンジョンから発掘される魔道具もあったりするわ。ただ私生活で活用する魔道具は魔道具屋の職人さんが作ったりしているわ。専門性が高くて魔道具を作るのは複雑だけど魔力を放出できる人なら魔道具作りで職を得るって選択肢もあるのよ」

 

 リリー先生は風を放つ送風機という魔道具に手を触れるとプロペラが回り風が生み出された。

 

「今日は実際に簡単な魔道具を作ってみましょうね」

 

 とリリー先生は皆に小さな魔道具を作るキットを配る。

 

 私は説明書を読んでテキパキと魔道具を組み立て、魔弾を作る要領で魔道具に魔力回路を付与する。

 

 魔法を付与するというの実際には魔法で道具に魔力回路を書き込む作業である。

 

 弾丸に魔力を持たせるのも魔力回路に魔力を蓄えさせているに過ぎない。

 

 まぁその魔力が均等じゃないと動作不良だったり威力不足になるわけだが……。

 

 私は弾丸への魔力付与でそこら辺は慣れていたので簡単にミニ送風機を完成させて、先生に見せると合格をもらい、手間取っている子や上手くいかない子の手伝いをする。

 

 メアリちゃんとアナちゃんも私の手伝いが無くても完成させて先生に合格点を貰っていた。

 

 ただとある男子が魔道具作りに詳しかったらしくて回路を勝手に弄って風力を無理矢理上げて遊んでいたが、先生が注意しようとした瞬間にプロペラ部分が耐えられずに吹き飛んで、私にプロペラが直撃した。

 

 グサリとプロペラが右のほっぺたに突き刺さり、血がダラダラと出てくる。

 

「アリスちゃん!」

 

 慌てたメアリちゃんが回復魔法をかけるが、全快させるには魔力総量が足りずに血は止まったが中途半端に治ってしまった。

 

 先生は慌てて保健室に連れて行って保健室の先生がもう一度治癒魔法をかけてくれたが、傷跡が残ってしまった。

 

 改造して遊んでいた男の子は勿論、未熟な腕で治癒に失敗したメアリちゃんも先生にこっぴどく叱られて、私に謝られたが、メアリちゃんは私を助けようとしてくれたので怒ってないと伝えた。

 

 男の子には普通に怒ったが。

 

 お陰でほっぺたに傷跡が残ったが、鏡で見ると案外悪くないな〜と思うのだった。

 

 家に帰るとお父さんとお母さんは私の傷跡を見て驚いていたが、事情を説明すると男の子にも同じ目に合わせてやると激高したお父さんをお母さんが宥め、ただ女の子に傷跡はよろしくないからと化粧のやり方を教えてくれるのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。