アリスの海洋大冒険《目指せ人智のその先へ》   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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アリスとギルド船と冒険者ギルド支部

 雨季の時期が終わる頃には生徒達の間でも勉強を真面目に受けている子とそうでない子、予習、復習をしている子、そうでない子、魔法の練習をしている子とそうでない子、体を毎日動かす子とそうでない子の差がどんどん現れてきていた。

 

 私はメアリちゃんが治癒魔法の勉強を受けている間にその日の復習や宿題を終わらせて、時間があればジーク教官や他の教官と一緒に追加のトレーニングを行い、家に帰ったらお母さんやお父さんが仕事をしている工房内で魔力付与の練習や銃についての勉強をして、貯水タンクがいっぱいになるまで水を入れると魔力がすっからかんになるので、そこから筋トレをしてお風呂に入って柔軟をしてご飯を食べて、明日の準備をして眠る。

 

 寝るときも少し回復した魔力を全身に行き渡らせるイメージで眠るとまた魔力切れを起こして気絶するように眠りにつく。

 

 そんな毎日を送って半年も経つと他の人よりも目に見えて違いを実感する様になっていた。

 

 一番の違いは筋力が凄い付いたことで、今まで足が見違えるほど速くなった。

 

 100メートル走だと今までは18秒かかっていたのが16秒まで縮まったし、腹筋も薄っすら割れるようになった。

 

 そして食欲も増して、今まで以上に食べるようになり、ご飯をおかわりしたり、おかずの量を増やすようになった。

 

 体重も増えたが身長も伸びているのでトントンだろう。

 

 そして食事量が増えたことで魔力総量も大幅に増えた。

 

 今までの魔力総量だと貯水タンクを1杯半位満タンに水を満たすのが限界だったが、現在は貯水タンク4杯分水を入れても魔力が余るようになった。

 

 その分魔法の練習に当てられるので魔法の練度がどんどん上がっていった。

 

 多分学年で1番魔力総量と魔法の練度が成長している実感がある。

 

 王子様達にも負けないくらいだ。

 

 私とほぼ同じ生活サイクルをしているアナちゃんやメアリちゃんの順調に成長しており、2人も貯水タンクの水を満タンに入れられるようになったと喜んでいた。

 

 まぁ家ごとに貯水タンクの大きさはマチマチだが、商売の関係で人の出入りが多いメアリちゃんの家も、食堂をしているから調理に水が大量に必要なアナちゃんの家も、そして鍛冶屋だから水で鉄を冷やしたりするので水が大量に必要な私の家も普通の家庭よりは貯水タンクの大きさは大きい。

 

 それを満タンにできるだけの水を生み出せる様になったということは2人は私の半年前の魔力総量を持った事を意味する。

 

 リリー先生曰く、産まれた時から魔力を持っていたわけでない2人は凄い成長速度と褒められていた。

 

 普通なら2学年の後半で身につけられる魔力総量らしい。

 

 毎日すっからかんになるまで魔力を使って、クタクタになるまで筋肉を酷使しているのが急成長の原因だろうと教えてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 夏のピークから比べると少し涼しくなり、秋が近づいてきたと感じる気候になってきた頃、農家の子供達の欠席が目立つようになった。

 

 作物の収穫の季節になり、農家の子供達は収穫作業で駆り出されて学校で勉強どころでは無くならしい。

 

 この時期は授業内容も新しい事を覚えるというより今までの復習に近い授業が繰り返された。

 

 勉強を進めてしまうと農家の子供達が戻ってきた時に習熟度に差がでてしまうからだ。

 

 ただ進んでいる子を更に伸ばすのも先生や教官の務めであり、放課後とかは新しい事を教えてくれた。

 

 例えばジーク教官だったら希望者を引き連れて島に停泊するギルド船の中を乗艦させてもらって見せてもらったり、各島にある冒険者ギルドの支部についての説明を受けたりした。

 

 ギルド船も冒険者ギルド支部もどちらも冒険者ギルドが管理する船と建物であり、業務内容は冒険者からモンスターの素材やダンジョンの鉱石を買い取って業者に売ること、支部には島の人々からのお願い事と言う名のクエストが出ることもある。

 

「ギルドから活躍を認められると個人とパーティーにそれぞれランクが与えられるようになる。ランクが与えられていない時は見習い。ランクを与えられたらギルド船に乗れるようになる」

 

「ランクはFランクの銅級(カッパー)、Eランクの青銅級(ブロンズ)、Dランクの鉄級(アイアン)、Cランクの銀級(シルバー)、Bランクの金級(ゴールド)、Aランクの白銀級(プラチナ)、Sランクの魔銀級(ミスリル)と7段階に分けられるな。見習いを入れると8段階か」

 

「ジーク教官、どうすればランクが上がるのですか?」

 

 男の子がジーク教官に質問する。

 

「いい質問だ。それはどれだけギルドに貢献したかだ。ギルド内で評価がそれぞれあるらしく、俺も詳しくは知らないが、ある日素材を売っていたら昇格を伝えられたりするんだ」

 

「ちなみにジーク教官のランクは幾つなの?」

 

 これまた別の男の子が質問する。

 

「俺はAランクの白銀級だな。ドラゴンを倒せるようになればAランクは確実だな。Sランクの魔銀級はそれこそ国を複数救ったとか個人でドラゴン討伐を達成したとかにならないとSランクには成れないな」

 

 私が手を挙げて

 

「パーティーのランクもあるって言っていたけどそれはどうやって決まるの?」

 

「ん、ああそれはパーティーメンバーの平均ランクで決まる。例えばAランクが3人、Bランクが1人の4人パーティーだった場合そのパーティーのランクはAランクだが、Aランク2人、Bランク2人だったら低い方の平均でBランクになったりするんだ。そしてパーティーランクと個人ランクの安全マージは2つ差があると思った方が良い。パーティーでCランクのクエストが出ていたら個人で挑むならAランクの実力が無いと危ないし、逆に個人でAランクのクエストならパーティーならCランクのパーティーなら十分ってことも多い」

 

「大抵のクエストはパーティー前提だがな」

 

 そうジーク教官は付け加えた。

 

「と、ここまでは冒険者ギルド支部についてだったが、ギルド船については更に変わってくる。船に乗るだけならランクがあれば乗れるが、クエストでは無くどれだけダンジョンから素材を持ってこれるかが評価の対象になり、金を稼ぎたかったり、未知の食材を食べたいならギルド船に乗り込んだ方が高い利益を得ることが出来る」

 

「色々なパーティーと船の中での共同作業になるから……向き不向きはあるが、未開のダンジョンの方が希少な素材が多かったりするし、間引きされていないから安全は保障できないが、その分だけのリターンもでかい」

 

「当たりのダンジョンを引ければ一攫千金が夢じゃないのが僻地のダンジョンだ。まぁその分だけ苦労はするがな」

 

 ジーク教官とかも同業者で一攫千金を当てて冒険者を引退した者達を数多く見てきたらしい。

 

 そういう人達は農地を買って牧場を営んだり、商売を始めたり、冒険者時代の能力を生かして悠々自適な第二の人生を送るらしい。

 

 たまに、金遣いが荒くなって貯金を使い切り、また冒険者に戻る者もいるらしいが……。

 

「どちらに進むかは人それぞれだ。1つの島のダンジョンを拠点にしていても、個人でDランクまで上がれば普通の生活はおくれるからな。どの様な人生をおくりたいかよく考えて、船で旅するか支部で頑張るか決めると良い」

 

 ジーク教官は力強い声でそう言うのだった。

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