全肯定しただけなのに   作:蓮太郎

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日常回は難しいね。


28.ドラゴンさんちのボンバーさん

 

 俺、津久葉(つくば)ユウキ!『ライジングイリュージョン』が好きな小学5年生!

 

 今日も最寄りのカードショップでショウマとカイトとバトルするんだけど、今日はちょっと…………いやかなりヤバい事に巻き込まれてる。

 

 それはというと…………

 

「お母様、おやつはまだありますか?」

 

「あらー、ごめんなさいねぇ。おやつは一日一種類って決まってるのよ」

 

「ユウキ、おかわりを買ってきてください」

 

「ダメって言われただろ!?」

 

 俺の切り札の『ボンバードラゴン』が人っぽくなって家に居座ってる…………!

 

 朝起きて横を向いたら裸のお姉さんがいて、びっくりして声を上げたら『ボンバードラゴン』だって名乗り出すし、そんな不審者に母さんは全く気にしてないし、何が何だかわからない!

 

 逃げるように学校に行ったのはいいけど、窓の外を見るたびに学校の外にチラリと毛布みたいなのを纏った『ボンバードラゴン』が彷徨いているし、警察だか管理局だかに職質されてて気が気じゃなかった。

 

 おっさんが通りかかって助け舟を出してくれなかったら大変な事になってたぞ…………

 

 それで下校時間になって直ぐに『ボンバードラゴン』を回収して家に帰ったけど堂々としすぎだろ!

 

「さっきから思ってたけど母さんは何でカードが人になってるのに気にしてないんだよ!怪しいだろ普通!」

 

「キボウちゃんもよく擬人化したカード達を連れて遊んでたわよ」

 

「姉ちゃん何してんだ!?」

 

 知らなかったそんな事実。姉ちゃんと俺は8つも歳が離れてるけど全然知らなかったその事実。

 

 確かに姉ちゃんは友達が多かったけど、それを踏まえたらいくらか人じゃないのが混ざってたのか?

 

 3歳とか4歳の頃の話とか覚えてねえよ!姉ちゃんは結婚して家から出たし、あれ、義兄ちゃんは人…………だよな?

 

「そういう事ですよユウキ」

 

「どういう事だよ」

 

「まあまあ、ボンバーちゃんでいいのかしら?」

 

「ボンちゃんでもドラちゃんでもいいですよ」

 

「二つ目のはダメだろ」

 

 一つ目もダメな気がする。どうしてだ?

 

 それはともかく、しれっと『ボンバードラゴン』が居座る感じになるんだけど本当にいいのか?

 

 カイトやショウマにはなんて言えばいいんだよこれ!

 

「ところでユウキ、いつものみんなとは遊ばないのですか?」

 

「……………………えっと、自分が何かわかってて言ってるか?」

 

「私は『ボンバードラゴン』です」

 

「うん、だよな?で、角と尻尾はどうするんだよ?」

 

「何のことですか?」

 

「普通にしてたら目立つってんだって!」

 

 百歩譲ってコスプレって言えばごまかせるかもしれないけどさ!俺がコスプレしてる人を連れてるってのは恥ずかしいんだって!

 

「ボンバーちゃん、ユウキは大人のお姉さんと一緒に歩くのが恥ずかしいのよ」

 

「む、ユウキ、そうなのですか?」

 

「うぐ、そ、そうだよ!」

 

 意を決して、顔が真っ赤になってることを自覚しながら叫んだ。

 

 だって恥ずかしいだろう!今日校門前でほぼ裸で彷徨いてたやつが急に居候になるって!

 

 カイトは何も言わないかもしれないけどショウマの目が怖くなる!前にカイトがスケベイラストのカード持ってきた時やばかったもん!

 

「お母さんの服貸してあげるから、ちょっと待っててね」

 

「感謝しますお母様」

 

「母さん!?」

 

 何でさっきから母さんはそっち寄りなんだよ!?

 

 おかしいのは俺なのか!?俺が何か間違ってるのか!?

 

 俺が頭を抱えているうちに『ボンバードラゴン』は母さんの服に着替えを済ませて俺と一緒にカードショップに行く事になっていたのであった…………

 

 語りってこんな感じなのか?国語の教科書を真似てみたけど。

 

 

 

 

 

〜●〜●〜●〜●〜

 

 

 

 

 

「誰!?」

 

「誰だ?」

 

「『ボンバードラゴン』です」

 

「わーわーわー!親戚だけど変な姉ちゃんがついてきたんだよ!」

 

 いつもの三人、それに加えて角付きの女性が1人。

 

 何故か尻尾はどういう原理かは不明だが仕舞えており変なカチューシャをつけてる程度の認識まで落ち着いている。

 

 いや、変なカチューシャも可笑しいのだが小学生の友達にギャルっぽい赤髪のお姉さんの親戚(大嘘)が現れたら困惑するのも当然だろう。

 

 表情はほとんど変わっていないのだが、ふんすと周囲の効果音が『ボンバードラゴン』の感情の豊かさを現せている。

 

「…………で、この人は結局精霊か何かか?」

 

 半目になってるショウマが小さな声で呟く。

 

 まさか初見で当てられるなど思いもしなかったユウキは目を丸くした。

 

「な、何でわかって…………」

 

「俺のとこにもいるからな」

 

「あ、僕のところにもいるよ」

 

「嘘ぉ!?」

 

 知らなかった事実を知り驚愕、地味に仲間外れにされていた事に疎外感を感じたユウキは口をあんぐりと開けた。

 

「まあ、普通隠すよな」

 

「僕のところに来た精霊は、その、『リュウグウツカイのオヒレ』だから…………」

 

「あー…………」

 

 カイトの主力の一枚である『リュウグウツカイのオヒレ』は元々露出が多い衣装をした女性のカードであり、それが現実にあるとなれば言いづらいのは分かった。

 

「じゃあコレみたいに服とか着せたりはしなかったのはどうしてだ?」

 

「誰がコレですか。『ボンバードラゴン』です」

 

「……………………あの人、すぐ脱いじゃうから」

 

「お、おお…………」

 

 それを言われたら何も言えなかった。ユウキの『ボンバードラゴン』はまだ服をしっかり着てくれているのでマシな部類である。

 

 そもそも、モンスターは基本的に服を着ていない。人型のモンスターは着ていることが多いが元々人ではないモンスターで衣服をまとっているのは殆どいない。

 

 でも『リュウグウツカイのオヒレ』は人型なので単に露出狂なだけである。

 

「…………なんか変な秘密が出来たな俺たち」

 

「…………うん」

 

「待て、俺を仲間外れにする気か?」

 

「だってショウマくんの精霊って『鉄壁のロイヤルガード』だもん」

 

「マジ?あのかっこいい騎士が?ズルだろ」

 

「何で敵に回るんだよ!?」

 

「むむむ、私も負けてられません」

 

「何に!?」

 

 ギャーギャーと今日も騒がしい信号機三人組(赤、黄、青と髪色が信号機カラー由来)+α。

 

 今日も今日とて次なる大会を目指してバカ騒ぎしつつも全国バトルカップへ進めようとする。

 

「おやおや、『ボンバードラゴン』ですね」

 

「何で奴がこっちに来ているのだ?」

 

 その遠くで二人がデートしていたのだが、触らぬ神に祟りなしと彼らを微笑ましく見て通り過ぎるだけであった。

 

 




〜信号機トリオの精霊達〜
『ボンバードラゴン』
大人のお姉さんだがクソボケ。表情はあまり変わらないが感情豊かで周りを振り回すタイプ。
特技は爆発オチ。爆発オチなんてサイテー!

『リュウグウツカイのオヒレ』
大人のお姉さんだが露出狂。カードでも水着に等しい姿だったがそれでも脱ぎ足りない様子なので基本的にカードの中で大人しくしている。
特技は潜水。実は魚族でも人魚でもない。

『鉄壁のロイヤルガード』
全身甲冑のイケメンお兄さん。
保護者というのが相応しくショウマを陰ながら護衛している、のだが友人周りの精霊がスケベすぎる事を気にして胃を痛める日々を続けている。
特技は皿回し。ランスの扱いを極めすぎて宴会芸に手を出した。


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