追記・本選出場者の人数に矛盾が出るので一部修正しました。
全国バトルカップ予選、一つの災難はあったが推薦と抽選から選ばれたプレイヤーたちが集う、頂点を目指す大会である。
ここに選ばれるまでが運次第であり、実力ある者は推薦という形で予選に参加できる。
なお、極一部の者はシード枠で本戦に参加できる。
ユウキは推薦によって予選に参加することが出来たのだ。
「ユウキくん、頑張ってね~」
「予選落ちだけはやめろよ~」
「当然!全勝してやる!」
車で予選大会の会場まで送ってもらったユウキは母親と姉のキボウ、姪のミライに見送られて歩みを進める。
ようやくここまでこれた。12歳になるまで参加できない全国バトルカップに参戦できるため致し方なく見送っていた大会だ。
今回ばかりはデッキの中で大人しくしてもらっている『ボンバードラゴン』も興奮している。
まだ見ぬ強敵が待ち構えているのだ、期待しないほうがおかしいだろう。
「よし、いくぞ!」
そうして意気揚々と会場に足を踏み入れ受付を済ませる。
番号を受け取ったら指定のブロックへ移動して時間になるまで待つ。
一体どのような相手が現れるのか、どのように戦おうか。
知り合いは居ないため、じっくり周囲を観察してみる。
視界の端にとても見慣れた黒めな服を纏った人物がいた。
見ないふりをした。
「おや、ユウキ君。同じブロックとは奇遇ですね」
ユウキは膝をついた。
「終わった…………!どうしろってんだよ…………!」
『ユウキ、諦めは肝心です』
「諦めねえよ!?」
「そうです、諦めたら全て終わりですよ」
「おっさんが言うとシャレにならないっての…………」
ユウキが知る限り無敗の彼が居た。
そもそもユウキが知る彼のバトル数が少ないのもあるが、ウェロと呼ばれる少女相手にも一切の負けを見せたことがない人が現れたら絶望するのも頷ける。
もし彼とバトルする事になったらどうなるのか?
絶対手加減してくれない。だって寄せ集めデッキとはいえウェロ相手に一度も負けていないのだから。
一方的に恋慕しているユウキはいつ気づくのだろうか。恋は盲目とはどう言う事なのかを。
「本戦に出場できるのは予選終了までに一定数の勝利を収めた者のみ。そこからスイスドロー形式でブロックごとに3人の勝者が本戦に出られるという仕組みです。ここまで理解していますね?」
「もちろんだ!」
「全国には4つの会場、集まるのは12人と4人の特別枠。そして全国で放送されるのは準々決勝からの選ばれた8人です。プレイヤーはたくさんいますがお互いに頑張りましょう」
「何でそんな解説口調なんだ?」
「久しぶりに出場するので確認を」
どのような事情があって参加していなかったのかはユウキは知らない。
元がつくとはいえ管理局のお偉いさんだったなんて覚えているはずもない。
そんな会話もあったが、彼らは基本的に待つことしかできない。
『ただ今より、対戦の組み分けを発表します。それぞれ指定された席へ移動お願いします』
「おや、時間になりましたね。健闘を祈りますよ」
「おっさんこそ、今度はおっさんのデッキをボコしてやるからな!」
互いに本戦への出場を目指し、一度分かれる。
良くも悪くも運が良い者が集まる予選なのだ、実力者がちょっとしたきっかけで敗退するというのはよくあること。
だから油断しない。ユウキは姉にどやされるため、彼は家に置いてきた相棒が荒れ狂うため。
それぞれの思惑がある中、予選が始まる。
各々席につき、デッキをシャッフルして指定の位置に置く。
静かな時間だ。知り合いが居ないと広い会場は気まずい空気が流れそうだ。
しかし、各々が闘志をたぎらせて勝利という目標を目指してここにいる。
『参加者が席についたことを確認しました。対戦を始めてください』
アナウンスと同時に皆デッキからカードを5枚引く。
「「「「「「「「「「「
全国バトルカップ予選、長い1日が始まる。
〜●〜●〜●〜●〜
「通報があったと思って来てみたら、どういうことですか?」
「「「「「「「「「「「
「ちゃっかり勝ってるし…………」
「まあまあ、彼ら彼女らにも悪気はないので問題ないでしょう」
「大ありですが?」
神宮寺ソノカはDブロック予選会場の近くの警備を担当していた。
そこで黒のカード使いが現れたという通報を受け真っ先に駆けつけたのだが…………
「別にいいじゃん」「黒のカードを使う人って毎回出てるわけだし」「ダメなのー?」「その割に通ってるけど?」「なんでなんでー?」「何もしてないもーん」「そうだそうだー」「安全だもーん」「危害ないもーん」「カードゲームは自由だもーん」
「その、この子たち全員で一つの参加者として扱っているのですか?」
「そうですね、ですが珍しくないでしょう?『相龍者』とか『ふたご星』も2人で1人のプレイヤーですよ」
「…………前例がある分だけ困ります」
件の黒のカードを使っているのが子供、しかも顔や髪形、服装までが全く同じの子供である。
頭髪は黄色ではあるが頂点が黒とプリンのような配色で、顔もちゃっかり整っている。しかし、目は黒とこの土地の人間に合うような色をしていた。
「やっぱり出番早いよね」「僕たち特別枠?」「でも本戦出る予定だし…………」「まだ何も明らかになってないから苦し紛れだよ」「どうせしばらく帰ることできないしゆっくりしよう」「お腹すいたー!」「僕たちが一番!」「勝つもーん」「お金のために!」「どやっ」
「…………何がどうやってこの人数を一人として会場入りさせたのでしょうか?」
「ソノカさん、よくある事です」
「ない…………こんなことよくない…………」
どっちの『ない』なのかはさておき、10人の子供たちはどのような判決が下るかキャッキャとしながら待っている。
危機感があるのかないのか分からない存在ではあるが、ただ物ではないことは分かる。
なにせ、『黒のカード』を使って堂々としているような常識はずれが正規に抽選予選を突破してここにいるのだから。
「…………待ちなさい、抽選予選?」
そういえば居た。そこで寛容にしている彼ともう1人、いや1通あった。
報告は上がっている、謎の成分でコーティングされていて火事を免れたハガキがあったと。
「まさか、貴方達がハガキをコーティングしたの?」
「そうだよー」「僕たちがやったよー」「でも燃えるのは知らなかったもん」「よそうがいー」「でもでも、僕たち本編へ参加できるんだから結果オーライ!」「目につくようにしただけなんだよ」「えっへん!」「どやどや」「運が良かったー」「なんであれ起きたんだろ」
一切悪気もなく、なおかつ黒のカード本人というのにちゃっかり人型をとっているため判別は難しいのだ。
気づいているのは彼だけであり、2回目のソノカは子供達の正体は分からなかった。
『猛毒殺両生類オタマ』、10話縛りを飛び越え普通に登場。
様々な協議があった末、オタマ達は参戦出来ることになった。
何故なら全国バトルカップは黒のカードで優勝できるほど甘い場所ではない。
「「「「「「「「「「
そのブロック内で本戦出場のための登竜門として存在を許された。
保証人の存在が大きすぎて許されていいのか分からないラインだが、許さざるを得ないのだ。
何故なら保証人として彼がついたのだから。
「「「「「「「「「「「
主人公「私が許しました」
6主席「貴方ほどの人が言うならまあ…………」
改めて一度忘却されてしまった自分の師匠となる主人公を、主人公がまとめた資料で詳細を知ったため強くいえないソノカさんでした。絶対胃が痛くなってる。
感想をいただけると励みになります。