全肯定しただけなのに   作:蓮太郎

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45.楽しみか、勝ち負けか

 

「いえーい!」「15戦14勝!」「本戦進出だー!」「ぴーすぴーす」「参加賞ちょうだーい」「売りにいこー!」「今夜は煮込みハンバーグだー!」「今レストランとか行かないのとか思ったな?」「子供10人で夜の飲食店に入れるわけないじゃん」「お腹すいたー!」

 

「おめでとうございます。ユウキ君も本戦進出ですね」

 

「全戦全勝したオッサンに褒められてもな…………」

 

「それでも15戦14勝です。猛者が集まる大会でこの成績は誇るべきですよ」

 

「その一敗もオッサンにつけられたものだけどな!」

 

「「「「「「「「「「

そーだそーだ!

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 ぶーぶーと抗議を垂れる少年少女らに対しても彼は微笑みを崩さず、余裕を持った態度でそこに居た。

 

 全国バトルカップ予選、優勝者はもちろん彼であった。

 

 15戦15勝、圧倒的な力量を持って戦う相手を全員ねじ伏せている男である。

 

 1つのデッキから多種多様な戦略を繰り広げ、1つのルートを潰したとしても即刻リカバリーをかまして逆転の一手を放ってくる。

 

 今更ながら、単一の色で構成されているデッキが多い中、多色であり全てのカードが一枚ずつというハイランダーな使い手というあまりにも対策されにくい傾向にある。

 

 しかし、全て1枚という事は望むカードが引き辛いということでもある。

 

 それでも彼は自分が思うようにカードを引き、相手の動きを妨害しつつ一撃を狙ったりチクチク削ったりする臨機応変な対応。

 

 ユウキは対応しきれず敗北し、オタマ達はショウマ戦と同じくデッキ切れという脆弱性を即座に突かれ敗北。

 

 何度もバトルしているユウキはともかく、1回しかバトルしたことがないオタマにすら的確に弱点を把握して攻略する姿はプレイヤーとして最上位と言わざるを得ない。

 

 ユウキも数回しか見たことがない彼のプレイングを見てどう攻略すればいいのか糸口を掴めてすらいない。

 

 恐ろしいことに、これはまだ彼の実力の一端に過ぎない。

 

 何故なら、『悪神ウェロボラウス』がまだ控えているからである。

 

「と、ところでウェロちゃんは?来てる?もしかして見てる?」

 

「いいえ、留守番をしています」

 

「え、なんで?」

 

 純粋な疑問であった。

 

 予選大会とはいえ全国バトルカップ、未来の優勝者が産まれるかもしれない戦いを早い時から見られるのに居ないのは不自然である、というのがこの世界の認識である。

 

 ただ、見にきていないのがよりにもよって『悪神ウェロボラウス』なのだ。

 

 いつでも、どこでも潜める蛇を持つ彼女に留守番と言ったところで多分どこかで監視している可能性は高く、今までなら近場だけだったからこそ何もしなかったが全国バトルカップ予選というやや遠出のためどこかにいる事を彼は確信している。

 

 そして『悪神ウェロボラウス』も彼が予選を突破できる事を確信しているため表に出てこないだけなのだ。

 

「そ、そうか…………」

 

「本戦はどうしても長丁場になりますので、その時は必ず来ますよ」

 

「本当か!?」

 

「ええ、何せ数日かけて行われる大会ですので、参加者は皆、運営が提供するホテルに泊まることができますので」

 

 本戦は参加証と言わんばかりに出場者に好待遇のホテルや食事、場合によっては市場ではあまり出回らないレアカードが売買できる特殊なショップまで臨時で開かれる。

 

 いや、なんでそんなカードショップがそんなタイミングで開かれるのかと聞かれても困る。実際、ここで売られるカードの殆どが精霊入りで強力ないわくつきみたいなものなので限定販売という事情があるにはあるのだが。

 

 それを目的に本戦へ出場を目指すくらい人が居るほどなので、超高額にはなるが質は間違いなく保証されている。

 

「ウェロも本戦を楽しみにしています。ユウキ君、君の活躍も期待しています」

 

「おう!俺だってウェロちゃんにいいとこみせてやるんだからな!」

 

「その前にキボウさんの圧に耐えることを頑張りましょう」

 

「お、おう!姉ちゃんにも負けねーんだからな!」

 

 浮かれた未来から現実に戻されたユウキは汗をダラダラと流しながら宣言した。

 

 最強と名高い姉はやっぱり怖い。年齢差が8歳も離れている上に散々負かされてきた相手には委縮するのは当然だろう。

 

 しかし、今までそういった環境で敗北し続けていた頃のユウキとは違う。

 

 恋した相手にいいところを見せたいという甘酸っぱい感情を武器に立ち上がるのだ!

 

 なお、肝心の相手は鬱陶しくなってきた頃にユウキを去勢して衰えさせようと考えていたりする。

 

 そして密かに居なくなっているオタマ達。参加証と参加賞だけを受け取り去っていったようだ。

 

 先ほどから地味に困窮していたようなことを言っていたので足早に換金しに行ったようだ。

 

 元の姿は蛙であり、そしていつでもサバイバルできるはずなのだが、文化的な生活が大好きで離れられないくらい馴染んでしまっている。

 

 人型になっているのもその名残か、それとも両親の血か。はたまたそれ以外か。

 

 真相はオタマにしか分からない。深層でしか分からない。

 

「では健闘を。キボウさんによろしくと伝えておいてください」

 

「おう!」

 

 元気よく返事をしたユウキは立ち去る彼の後ろ姿を見送った。

 

「…………あれ、俺って姉ちゃんの名前、おっさんに言ってたっけ?」

 

 ふとした疑問を持ったが、自分の姉は超有名人であるため気に留めなかった。

 

「おーい!ユウキくーん!」

 

「あ、カイト!ショウマ!」

 

 観戦スペースで試合を見ていた友人たちが彼に駆け寄ってくる。

 

 そう、これはまだ青春の一幕。若い彼らの未来はこれからになる。

 

 頑張れ現主人公。君の前に立ちはだかるのは強敵だ。

 

 そして、脳が破壊されることが確定しているユウキの未来に幸あれ。

 

「なんか、黒のカードを使ってるやついたけど、本当に大丈夫だったか?」

 

「あー、あれは…………よく分らない」

 

「なんだか、あの感じは覚えがある気がするけど…………」

 

「いやいやいや、観客席からだったら分かるだろ?なんか騒ぎにもなってたし」

 

「…………どうだっけ?」

 

「…………あれ、なんだっけ?」

 

「お前ら嘘だろ?」

 

 まるで記憶に残っていない現象に、ユウキは困惑するしかなかった。

 

 そんな彼らから離れた位置に白装束が居たことに、誰も気づいていない。

 

 人知れず、白装束は会場を離れ、消えてもよい相手を選び、乗っ取ろうとする。

 

 あのプリン頭な少女達(その内3人、いや3匹が雄である)という違和感を持つ存在とすり替わった場合、元々違和感は持たれているのでそれ以上の違和感を持たれ辛くなる。

 

 『虚無』の力を利用すれば記憶の改竄や成り替わりなど容易い事。

 

 『虚無』に仕える者は暗躍する。来るべき本戦に備えt「おやおやおや」

 

「勝手はいけませんよ。彼らは、彼女達は正当に権利を得た者達です」

 

 そう、忘れてはならない。

 

 万物に悟られぬ『虚無』に対して、その主神を打倒した者がいることを。

 

 されど『教団』ですら忘れてしまっている存在を。

 

「『虚無』の方々、私と一つ話をしませんか?」

 

 子供を守るのは大人の役目であるという事を、彼は一度も忘れたことは無い。

 





ラスボス一派vs裏ボス(裏ボス無し)、勝手に戦え!

「「「「「「「「「「
それより僕たちの台詞が少ないんだけど?

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「「「「「「「「「「
逃げるなー!

」」」」」」」」」」

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