全肯定しただけなのに   作:蓮太郎

58 / 70

よく来てくれた。残念だが、盛り上がるバトル描写などはじめからない。だまして悪いがそういう作風なんでな。対戦開始から終わりまでの描写には死んでもらおう。


58.負けたら重い罰はよくある

 

 10ターン、それが何を意味するか。

 

 急にこの場面を言われたらすぐに思いつかないだろう。

 

 だから、ここはあえてこれを言わせてもらおう。

 

「素晴らしい…………ウェロが登場してここまで持ちこたえるとは。成長しましたね」

 

「負け確の盤面を作っておいてそれをいうかぁ!?だいぶ鬼だよなアンタ!?」

 

「いいえ、ジョウタロウさん。理想はウェロが出た次の手番で決める事でしたが、君はここまで耐えた。それはとても素晴らしい事です」

 

 準々決勝、彼は天下原ジョウタロウと対戦することになり、互いに切り札を出しながら坊主捲りの如くカードを出し合い、その結果『悪神ウェロボラウス』を超えることが出来なかった天下原ジョウタロウのリソースが無くなってしまい防御不可能になってしまった。

 

 よって、後は『悪神ウェロボラウス』の攻撃を受けるのみである。

 

「では、締めるとしましょう」

 

 最後の言葉に『悪神ウェロボラウス』は動く。

 

 数多の腐った蛇の集合体が全く同じ動きをし、一つの生物であるかのように振る舞い、ジョウタロウの元へと迫りゆく。

 

 彼の脳裏によぎるのは『教団』の信者の末路。念入りに叩き潰され消滅した巫女だった少女の両親がどうなったか。

 

 自分もあれを食らうのかと覚悟して身構える。

 

 だが、『悪神ウェロボラウス』からは目を逸らさない。負けは負けでも気持ちだけは『次は勝つ』というような目をしている。

 

 覚悟を決めたジョウタロウの前まで来た『悪神ウェロボラウス』は急にぴたりと止まった。

 

 そして…………

 

『なんぱ二失敗シマクッテ手当タリ次第二声ヲカケテひっとシタト思ッタラ相手ガおかまデ連レ込マレ洗脳サレ同ジおかま二ナッタ馬鹿ガここ二イルゾー!!!』

 

「うぎゃああああああああああっ!?」

 

 ありったけの大声と共にジョウタロウは吹き飛んだ。

 

 『悪神ウェロボラウス』の音圧に負けたともいえるが、自分が隠しておきたかった過去を暴露されたショックが非常に大きかったのか物凄い勢いで後方へ吹き飛び転がっていく。

 

 そのダメージ、まさに無限大。

 

 公共かつ全国に放送されている試合で暴露された過去に打ちのめされジョウタロウは打ち上がった魚のように痙攣して動けなくなった。

 

「これで決着ですね。対戦ありがとうございました」

 

 最後の攻撃が決まったことを確認した彼は、丁寧に一礼する。

 

 決着がついたというのに間抜けな暴露を聞いた司会や観客も唖然としていたが、勝者が決まったことで歓声を上げる。

 

『き、きまったー!天下原ジョウタロウ、なんかよく分りませんし聞き取れませんでしたがライフ全損!勝者、元8番隊主席ぃー!』

 

 オ、オオーッと困惑混じりの歓声だったが。

 

「む、むごい…………」

 

「ひ、ひどい…………」

 

「あの人に勝てなかったらあんな感じで暴露されるってマジ?」

 

「良かったなキボウ、お前は弟に負けてるから当たることないぞ」

 

「その弟が負けたらバラされる可能性あるんですけど?ユウキ、こいつに勝ったら負けるのは許さないわよ」

 

「俺に託すのか姉ちゃん!?しかも相手はミスターコンバットだぜ!?」

 

「ははは、私を乗り越えてこそだよ少年!」

 

 そんな試合を特別観戦席から見ていたユウキ、キボウ、そしてミスターコンバット。

 

 一回戦を勝ち抜き準々決勝の相手がミスターコンバットこと統也カズトという強敵と共に見ているのは不自然かもしれないが、カズトのフットワークが軽いだけである。

 

 そんな相手にユウキは緊張していなかった。姉であるキボウを倒し勝ち進んだのだからどのような強敵が前に立とうが今更なのだ。

 

 というか、ほぼ確実に先ほどジョウタロウを下した彼とぶつかるのだ。

 

 緊張程度でどうにかなるものならとっくに狂い散らかしている。だって相手は常勝不敗なのだから。

 

「うっし!おっさんもだけどおっさんに負けるつもりはないからな!」

 

「その意気…………待て、私の事をおっさんと言ったか今?」

 

「姉ちゃん、行ってくるぜ!」

 

「行ってら~。ほら、ミライもユウキおじちゃんに行ってきなさいって」

 

「あう~」

 

「待て、俺、いや私のことおっさんって言ったな?おい、待て!」

 

 既におっさんとよばれてもおかしくない年齢のカズトだったが認めたくないものはみとめたくないらしい。

 

 なお、ちゃっかり結婚してるし子供もいるためカズトは間違いなくオッサンである。

 

「ぐぐぐ…………バトルで説教だぞ少年!」

 

「もういい年なんだから無理しちゃダメだって」

 

「だぁれがいい年だ!娘もようやく中学生になったんだぞ!」

 

「…………私もいつかああなるのかな」

 

 妙に醜く若さにしがみついているようにも見えたカズトにキボウはそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜●〜●〜●〜●〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っしゃあ!いっけえ『ボンバードラゴン』!」

 

『グルオオオオオオオオ!』

 

 『ボンバードラゴン』がフィールドに爆破の拳を振り下ろし、爆発音が会場に響き渡る。天運が彼に味方するように、8コストの『ボンバードラゴン』から景気よく7コスト、6コストと連鎖爆発が巻き起こる。

 

 連鎖に次ぐ連鎖、そして最終的に並ぶ8体のモンスターがユウキの場に並んだ。対してミスターコンバットの場に居るモンスターは4体、そのうち守りとなれるのは2体。

 

「最初に捲れた『スピード・スター・ドラゴン』は場に居るだけで全員に速攻を与える!一斉攻撃だ!」

 

『グルル、ウオオオオオオオオオ!』

 

 人間態と比べたら野太いが、いや、人間態が妙にかわいらしさがあるのがおかしいのだが、覇気ある雄叫びと共にユウキのモンスター達、それに加えてキボウのエース(・・・・・・・)である『希望戦士ライトレイ・ヴァルキュリア』がミスターコンバットへと攻撃を仕掛ける。

 

「くっ、防御…………いや、もう耐えられんな」

 

 可能な限り手札と場から成す戦略を考えたが、ライフを守り切るすべはなかった。

 

 次世代が成長していることに歓喜しつつ、そして次はどう勝つか考えていた。

 

「少年!今回のバトルは私の負けだ!だがな、一度勝っただけで調子に乗ると痛い目を見るぞ!」

 

「恥ずい昔話の事ですか?」

 

「いや、それはあいつが言ってるだけで違、うおあああああっ!?」

 

 最後に訂正を入れようとしたが『ボンバードラゴン』の爆発で最後まで言えなかった。

 

『グルル…………爆発オチ、最高』

 

「いや、その姿でも喋るのかよ!?」

 

 実はドラゴン態で人の言葉を一度も喋ったことがなかった『ボンバードラゴン』にツッコミをいれるユウキ。

 

 一応だがまた1人最強格を打ち破った試合なのだが、何とも締まらない終わりであった。

 





あの後ジョウタロウは担架で運ばれました。オカマ化洗脳は黒のカードの仕業だったのでバトルしたら治ったよ。
ミスターコンバットこと統也カズトも担架で運ばれました。全身包帯巻きになるよ。
『悪神ウェロボラウス』には流石に全部伝えてない。トドメを刺すときに教えているよ。
それでも主人公は歴代主人公達の弱みを握り続けてるよ、逆らえないね。
そしてユウキのパワーアップの元は歴代主人公よエースを試合ごとに託されてる感じです。色?属性?エースだから関係ない。

感想をいただけると励みになります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。