全肯定しただけなのに   作:蓮太郎

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盛り上がりすぎて難産でした。


65.爆裂!ボンバードラゴンと繋がる縁!

 

 ユウキのバトルは中々苦しいものであった。

 

 彼の猛攻、主に召喚した矢先に破壊や手札を捨てさせる行為など間違いなく場をコントロールするプレイングに翻弄され続けた。

 

 しかし、それでもユウキは喰らいつく。

 

 託されたカード、己が信じるカードを巧みに操り戦った。

 

 ユウキの脳裏にちらつくカード、『悪神ウェロボラウス』の存在が彼の無意識な焦りを募らせる。

 

 長期戦になればなるほど墓地にカードが溜まっていき、召喚条件を満たしてくる。

 

 その前に決着を付けたかった。

 

「私の墓地に30種類のカードが揃いました。よって、召喚条件が整ったため私はこのカードを召喚します」

 

 死力を尽くしたのはいいが、間に合わなかった。

 

「ようやく我の出番だな!さあ小僧、貴様が我ヲ越エ、こやつヲ倒セルカァ!?』

 

 角付き褐色幼女の肌を突き破るように、妙にグロさを感じる形で神が顕現する。

 

『ゲヒャヒャヒャ!カカカカッ!ケケケケケ!』

 

 悪辣な嘲笑を上げながら天へと上る腐りかけの蛇の集合体、生理的に嫌悪感を催す邪悪が宙を舞う。

 

 無限に生み出される蛇が他の蛇を喰らい、そしてさらに生まれた蛇がその蛇を喰らう。

 

 そして出来上がるのは無限()を模した集合体。空中に浮かぶソレは恐ろしくも神々しい。

 

 まさに打倒さねばならぬ悪神であることを見る者すべてに認識させる。

 

 まさに圧倒的な力、ユウキの盤面も全て更地になってしまったためひっくり返すのは絶望的だろう。

 

 しかし、ユウキは逆境と考えている。

 

 盤面がほぼまっさらなっている、それは対戦相手である彼も同じ。

 

 むしろ『悪神ウェロボラウス』しか居ないため妨害は無いであろう。

 

 故に、全てはこのドローにかかっている。

 

 このドローで解決しなければ全て終わり。とてつもない重圧、強者とはいえまだ小学生のユウキにプレッシャーがのしかかる。

 

「私はこれでターンエンドです」

 

 召喚したばかりのモンスターは基本的に出たターンに攻撃できない。それは『悪神ウェロボラウス』も同じであり、最後の猶予としてなぶる為に用意された仕様だ。

 

 しかし忘れてはならない。

 

 その僅かな猶予で勝利した男が目の前にいるということを。

 

「ユウキ君」

 

 彼はゆっくりと、たった一枚でありながら非常に重くなっているであろうカードに指を添えた少年に声をかける。

 

「信じてあげてください」

 

 何を、とは言わなかった。

 

 敵である自分に何故エールを送るのか?余裕だから?敗北したいから?

 

 そんなチャチな理由じゃない。そんな低俗な考えて彼はバトルに望まない。

 

 最高のバトルをしたいのだ。

 

「…………っしゃあ!」

 

 デッキから一度手を離してユウキは自分の両頬を叩く。

 

 気合いを入れ直し、自分が組んで、先人達から託されたカードが入ったデッキを心の底から信じた。

 

 ここで引くカードはアレしかない。そこから逆転する為にはさらに連鎖して呼び出すしかない。

 

 だが、ユウキは引けるという確信が出来た。

 

「いくぜ、ドローっ!」

 

 そして勢いよくカードをデッキから引き。

 

「来たぜ!爆発しろ、『ボンバードラゴン』!」

 

『グルァァァァッ!』

 

 盤面に叩きつけたカード、『ボンバードラゴン』の召喚宣言を行う。

 

 フィールドが大爆発を引き起こし、爆炎の中から勇ましく『ボンバードラゴン』の巨体が飛び出した。

 

 その勢いで天上に漂う『悪神ウェロボラウス』を1発軽く殴っていたが、別に攻撃でもなくただのパフォーマンスなので『悪神ウェロボラウス』は何も言わない。

 

 むしろ、この程度が効くと思っているのかという余裕を演出しているため計算のうちだったのだろう。

 

「『ボンバードラゴン』の効果発動!デッキをめくってこいつよりコストが低かったら場に出す!そして、もう一度デッキをめくって場に出た奴よりコストが低かったら出す!いくぜ、大爆発連鎖だ!」

 

『グオオオオオオオオン!』

 

 『ボンバードラゴン』が地面に両腕を叩きつけ、再び大爆発を引き起こす。

 

 この爆炎の中から条件が整ったモンスターが飛び出してくるのだ。

 

「いくぜ!1枚目!『超直情一線トッパ・ドラゴン』!」

 

『キタキタキタァ!俺様の出番だゼェ!』

 

「2枚目!『陽冥海皇リヴァイア・サン』!」

 

『悪神よ、我が威光を見よ!貴様の最期となる陽である!』

 

「3枚目!『八大天使 ホイミエル』!」

 

『こうして君と戦えること、私は光栄に思うよ』

 

「4枚目!力を貸してくれ姉ちゃん!『希望戦士ライトレイ・ヴァルキュリア』!」

 

『無様な戦いは見逃さないわよ!』

 

「5枚目…………クッ、途切れた!」

 

 最後に引いたのは『キング・ザ・ドラゴン~龍頂点王装束~』、先ほど出した『希望戦士ライトレイ・ヴァルキュリア』のコストよりも大きいカードである。

 

 これで『ボンバードラゴン』による召喚は途絶えてしまったが、これだけでも十分展開できた。

 

 ただ盾を並べて終えただけではない。最後に引いた『キング・ザ・ドラゴン~龍頂点王装束~』は手札に加わり次のターンに更なる召喚を可能にしている。

 

「爆発連鎖は終わったけど、俺のターンはまだ終わってないぜ!『希望戦士ライトレイ・ヴァルキュリア』は出た次のターンが終わるまで場に居るモンスターを離れなくさせる!ウェロちゃんに攻撃されてもこいつらは破壊されないし、効果でも退くことは無い!」

 

『私の盾は、何人たりとも傷つけることはできない!』

 

 『希望戦士ライトレイ・ヴァルキュリア』の持つ盾が輝き、ユウキのモンスター達の身体が神秘的な光に包まれる。

 

「『八大天使 ホイミエル』の召喚時効果!俺のライフを回復!さらに『陽冥海皇リヴァイア・サン』の召喚時効果で俺は更に2枚ドロー!」

 

『傷を癒して万全に、と君はよく言ってたっけ?』

 

『我が光は優しさの光!新たな恵みを与えん!』

 

 傷ついていたユウキの手札とライフが回復する。先ほどまで劣勢だったと思えないほどの爆発力をここぞと見せつけているのだ。

 

「そして!『超直情一線トッパ・ドラゴン』は召喚したターンに攻撃出来て、こいつの攻撃は防御されない!」

 

『ッシャア!ぶっ飛ばしていくぜええええええ!』

 

「いっけえ!『超直情一線トッパ・ドラゴン』で攻撃だ!」

 

 ジェット機を模したドラゴンである『超直情一線トッパ・ドラゴン』が壁となる『悪神ウェロボラウス』を無視して加速する。

 

 壁にぶつかればただで済まないスピードで、防御させる間もなく彼の上空を飛びすれ違いざまに一瞬、しかし高火力のブレスをぶちかます。

 

「おやおや、おやおやおやおや」

 

『キサマァ!我ヲ無視スルトハいい度胸ダ!』

 

『へっへーんだ!悪い神様も、俺様のスピードにゃあ敵わないってなぁ!』

 

 きぃぃん、と航空機のような音を放ちながらとんぼ返りしていく『超直情一線トッパ・ドラゴン』は捨て台詞を吐いてユウキの場へと戻っていく。

 

「素晴らしい、たった一枚からよくここまで巻き返しました」

 

「へ、盤面が消えたくらいじゃどうってことないぜ!(それでも、まだ届いていない!)」

 

 建前としては言ったが、本音を言うと焦っていた。

 

 今の一連の行動により不利だった状況がようやく元の状態に戻ったに等しい。

 

 ライフも回復したとはいえ、まだ彼の方が上という状況、そして次の手札でなんらかのアクションを仕掛けてくるのは想像が付き、次のターンに『キング・ザ・ドラゴン~龍頂点王装束~』を召喚しつつ一斉攻撃を仕掛けても辛うじて彼のライフは残る。

 

 特に最後のライフしか残っていないプレイヤーは必然的に強くなる。

 

 決して後に引けないほど、最強の座を争う者たちは強くなる。

 

「俺はこれでターンエンド!」

 

 規模的観測かもしれないが、このままターンを返したとしてもすぐに負ける可能性は…………そこそこある。

 

 この盤面でモンスターを介さない戦いをされるとどうしようもないからだ。

 

 しかし、『悪神ウェロボラウス』がいたとしても手札一枚で何らかの返しを受ける可能性も低い。

 

 何故なら彼のデッキはハイランダーデッキ、基本はコンボを組んで戦うため常に複数枚のカードが必要となる。

 

「では、私のターン」

 

 ついに回ってきた彼のターン。

 

 彼は一体何のカードを引くのか?どのような戦術が飛び出してくるのか?

 

 次回、乞うご期待!





うわーん!バトルが盛り上がるにつれて長くなるので分割します!(本音)

でも一気に歴代主人公のカード達が姿を見せるのはかっこいいと思います。『キング・ザ・ドラゴン~龍頂点王装束~』も次回必ず出します(ネタバレ)。

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