会場は私がフィールドに出たことで静かになった。
先ほどまでウェロを倒した時の熱狂ぶりはどこへいったのやら。
無理もありません、私の効果を今から説明しなければいけないのですから。
散っていったウェロの粒子が私に集まっていく、私の黒いパワードスーツへと溶け込み力となっていく。
これが
英雄は誰かが傷つかない限り、犠牲にならない限り現れない。
これまで幾度となく世界を救ったといえ、全てを救いきれた訳でもない。
犠牲があって英雄がある、どうしても断ち切れなかった因果です。
「ユウキ君、君が攻撃する前に、先に
彼ら、『レジェンド・ザ・ヒーローズ』の前に立ち塞がるように、私は続けます。
「このカードの召喚時、直前に戦闘で破壊されたモンスターを特殊装備としてこのカードの下に置く。このカードは特殊装備として装備されているモンスターの攻撃力と打点を得る」
指を一本立てて最初の効果を述べました。
手袋のようなスーツを着ているため機械的な音がなりますが、中はしっかりと生身ですよ。
「今の私は『悪神ウェロボラウス』を装備している状態、そしてその攻撃力と打点は…………」
「どっちも、無限…………!」
「その通りです」
人間サイズでも溢れる力は無限大。一応、私自身も攻撃力10001あるのですが、些細なことです。
「ちなみにですが、
「そんなっ!?」
ちなみに打点は0にすることは出来ますが、都合が悪いので黙っておきます。
ここでユウキ君が気づけるかどうかですが、そもそも打点を下げる効果を持つカード自体が滅多にないので対策のしようもないです。
何と悪い大人なんでしょう、でも勝つ為には必要なことです。
「このカードはモンスター効果および詠唱によるコストとして利用することは出来ない。つまり
この効果、無かったら割と詰んでいる盤面があるんですよね。
特に神様系のモンスターとバトルする際に互いに生贄を捧げなければ動けないみたいな効果があって、敢えて
普通に構築が悪かったのはともかく、私が即死しないための方便でもありますが。
「そして、
「…………え、待ってくれ、今のおっさんの攻撃力は」
「ウェロを装備しているので無限ですね」
「無敵じゃねえか!?」
自身の効果以外で攻撃力は下がらないのですが、如何せん一度だけでは心もとない。
なので、特殊装備による攻撃力上昇で攻撃力を上げる必要があったんですよね。
しかも特殊装備は戦闘破壊でしか装備できない
今までは攻撃力10万である代わりに戦闘では絶対に負ける『はったりサンドバっくん』というカードを利用していましたが、ウェロがいる事で無限のパワー、つまり攻撃力をいくら下げられようとフィールドから離れなくなりました。
まあ、この条件を達成するにはウェロが倒されることを前提としてるので余程なことがない限り有り得ません。
このような、本気の津久葉ユウキという主人公を相手取る場合のような。
「さて、ここからがメインです」
「もうお腹いっぱいだけど…………」
「
「……………………?」
「安心してください。
「?????????」
普通なら勝ち筋と思えるデメリット、しかしそれは大いなる間違い。
先ほど述べた『はったりサンドバっくん』を装備した状態では12回除去されたら私は敗北しますが、ウェロを装備している限り
過去には簡単に10回も除去を放ってくるモンスターは居ましたからね、そういうバトルではずっとヒヤヒヤしっぱなしでした。
ですが、今は違う。
脳が理解を拒んで思考停止しているユウキ君ですが、いや、よく見ると彼のモンスター達も宇宙を背景に固まっています。
ははは、コスモシリーズでもないというのに宇宙を映し出せるとは、素晴らしい。
「え、じゃ、じゃあ?おっさん、つまり、えっと、ま、負けない?」
「そういう事になりますね」
「ライフが0になっても?」
「0になった状態でバトルは続行されます。なお、ライフを削った分だけコストが増えるので本来使える最大コストプラス1を使用できます」
「デッキが無くなっても?」
「はい、カードが引けなくとも私は負けません。それに、墓地をリセットするカードはいくつかあるので無限に耐久もできます」
ここまで来ればお分かりでしょう。
本当なら『レジェンド・ザ・ヒーローズ』の登場という、新種のカードの出現という奇跡が起こった時点で敗北してあげたい気持ちはありました。
しかし、それはそれ、これはこれ。
私は示さなければならない。
「さあ、ユウキ君。バトルを続けましょう。新たなるカードを作り上げた記念日です、私の出来る限りの手を尽くしてあげましょう」
『レジェンド・ザ・ヒーローズ』がいる限り私の攻撃は通らないでしょう。
ですが、除去のしようもありますし、何ならデッキ切れ戦法や特殊勝利もあります。
仮面の下でにっこりと笑いますが、対照的にユウキ君、それに関するもの達は顔を青ざめさせているような気がします。
「ずっ…………ずっ…………」
「「「「「「「「「「「「
「ははは、カードを創造できなかった私はできる限りの手を尽くしただけですよ」
会場で一つとなった声に、
では、私がどうユウキ君を調理したかご想像にお任せしましょう。
『英雄ハイランド・マン』の唯一の弱点、それは新たにカードを創造出来ないこと。
(存在しない)原作主人公勢やライバル、ラスボス等の神話級のモンスターのようにその場で都合よくいいカードを創れないのが欠点です。
なので全てに対応できるハイランダー戦術を運命力でぶん回しするのが最適なんですよね、できるかんなもん。
できるから英雄なんです。
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