初めて戦闘シーンを書かせていただきました。やはり難しいですね。
突如鵺野先生の呪文?のようなもので俺の中から「雷獣」と呼ばれる妖怪が出てくる。
『なんじゃ貴様。妾の眠りを妨げおって……ただではおかぬぞ』
「しゃ、喋ったぞ‼︎」
動物っぽいから全然話の通じないやつだと思ったが違うようだ。
だが、最初から機嫌悪そうなので話し合いには期待できないだろう。
「雷獣よ!なぜこの子に取り憑く!」
鵺野先生は雷獣に向かって問いただす。
「簡単な話じゃ。此奴は凄まじい霊力を持っておる。その霊力は貴様の数倍はあるじゃろうなぁ。今はまだ覚醒しておらぬが妾の妖力で刺激すれば自ずと目覚めるじゃろうて」
「や、やはりそうだったのか……」
「え⁉︎俺初耳なんですけど」
正直言って霊とか見たことなかったし、最近まではそういう類のものは信じてなかったんだけどマジか⁉︎
『此奴の霊力を喰らえば妾はさらに強くなれる。もはや妾に勝てるものなどおらぬじゃろうて。もうすぐそれも叶いそうじゃというのに……邪魔をするでないわ‼︎‼︎』
雷獣は大きく吠え、それが衝撃波となり鵺野先生を襲う。
「ぐああ!」
「鵺野先生‼︎」
「こ、これはなんて凄まじい妖力だ!想像以上だぞ」
『当たり前じゃ。妾は雷獣の中でも突然変異。此奴の霊力なしでも雷獣最強と断言できるぞ』
ハッタリか?でもこれが本当なら先生に勝ち目はあるのか?
俺は雷獣から放たれる威圧に圧倒されて少し不安になる。
「大丈夫だ。雷獣最強でも俺には切り札がある」
そういうと鵺野先生は手袋をはめた左手を掲げる。
「宇宙天地 與我力量 降伏群魔 迎来曙光 我が左手に封じられし鬼よ、今こそその力を……示せ!!」
鵺野先生は手袋を外すとそこには人間の手ではなく筋肉繊維に似た紋様と腱の筋が走り、鋭い爪が生えた謎の手が現れる。
『な、なんじゃと⁉︎それは鬼の手!』
「ご明察!今ならこの鬼の手で引き裂かないでやるからこの水晶玉に大人しく封印されるんだ‼︎」
鬼の手?あれがあればあの雷獣も倒せるのか?
希望が見え始め少し安堵するが……
『うぐぅ……鬼の相手などごめんじゃ。だがしかし!これならばどうじゃ』
「なに⁉︎」
雷獣はまた俺の中へと戻ってゆく。
「うっ⁉︎」
雷獣が中に入ると唐突に眩暈がして倒れてしまう
「大輝――!」
意識が朦朧となり、やがて俺は意識を失ってしまった。
*
「しっかりしろ!大輝!」
鵺野先生は必死に大輝を起こそうとするが全く反応がない。
「これは一体……ぐっ⁉︎」
大輝をどうするか考えようとした瞬間鵺野先生は切り裂かれる。
「そんな……ま、まさか」
『そのまさかじゃ』
大輝は起き上がるが様子がおかしい。
『ふははは!小僧の身体を乗っ取ってやったぞ!これで攻撃できまい』
「卑怯だぞ‼︎」
『ふんっ、卑怯でかまわん。勝てばよかろうなのじゃ!』
「くそっ、くらえ!白衣霊縛呪 ‼︎」
鵺野先生は経文を使い身動きを封じようとするも
『効かぬわ!雷爪‼︎』
雷獣は雷を纏った爪で経文を切り裂く。
「な⁉︎ 白衣観音経が!」
『これで終わりじゃ!死ねい!雷刃‼︎』
雷獣は雷を纏った斬撃を飛ばす。
それをガードするため鵺野先生は鬼の手を突き出す。
「はぁ――!」
かろうじて雷獣の攻撃を防ぎ切るが鬼の手は傷つき血を流している。
『――⁉︎まさかその鬼の手、完全には使いこなせておらぬな。見たところ1割ほどの力しか出せておらぬようじゃな』
本来の鬼の力であれば雷獣の攻撃では決して傷はつかない。雷獣はそれに気付きほくそ笑む
『本来の力を出せぬ鬼の手など恐るるに足らんわ。直接切り刻んでくれる!』
そう言うと雷獣が乗っ取っていた大輝の肉体は脱力し、中から雷獣が出てこようとする。
『さて、どう料理してくれようか――ん?』
突然、大輝の中から大量の霊気が溢れ出す。
『なんじゃと⁉︎ぬ、抜け出せぬ!まさかこれは結界⁉︎』
「大輝の霊能力が目覚めたのか!」
雷獣は大輝の身体から抜け出せなくなっており無防備になっている。鵺野先生はすかさず鬼の手で仕留めようとするが雷獣にダメージは与えられても倒すまでにはいかない。
『ええい!邪魔をするでないわ‼︎』
雷獣は怒り狂いあたりに雷が落ちる。
鵺野先生はこのままではいずれ雷獣は抜け出す考え、とある決意をする。
「できればこんなことはしたくないが……やむを得ん!」
鵺野先生は鬼の手に力を込める。
「宇宙天地 與我力量 降伏群魔 迎来曙光 迎来曙光 吾人左手 所封百鬼 尊我号令 只在此刻 この子の肉体に雷獣を封じたまえ‼︎」
『は、離せ!やめるんじゃ‼︎』
鵺野先生は鬼の手を使い雷獣を大輝の身体に押し戻し、鬼の力で封印に成功する。
「よし!一旦封印はできたか……」
*
「ん?ここはどこだ?」
俺は確か雷獣の除霊をしてもらっていたはずなんだが気づいたら真っ白で何もない空間にいた。なんだここ?死んだのか俺。
「お――い!誰かいないのか――!」
誰かいないか確認するために大声で叫ぶも何も返ってこない。ここでは本当に俺一人のようだ。
「う、嘘だろマジでしn――」
『うるさいのう!少しは静かにできんのか!』
突然後ろから怒鳴られて、振り返るとそこには青い袴の巫女服を着た白髪に獣の耳をつけた女の子がいた。よく見ると手足に足枷がつけられている。
「うわっ⁉︎いるんなら最初から返事しろよ!」
『そんなもの妾の勝手じゃ。指図するな』
ムカつくなこいつ……。ん?まてよ、この喋り方はまさか……。
「まさかとは思うがその喋り方ひょっとして……雷獣か?」
『なんじゃ今更気づいたのか?鈍いのうお主』
いやおかしいだろ‼︎なんで凶暴そうな獣がこんな女の子になってるんだよ‼︎
『くくっ、驚いておるようじゃな。それも仕方あるまい。前に言ったじゃろう。妾は雷獣の突然変異であると』
「それだけ?」
『それだけじゃが?』
マジでそれだけっぽいな。
雷獣の外見はいったん置いておいて別の質問をする。
「まぁ、それも気になるけどここってどこなんだよ。さっきまで雷霆神社にいたはずだろ」
『ここはお主の精神世界。妾は鬼の手によってここに封印されたのじゃ。お主が邪魔をしなければこんなことには……』
ずいぶん落ち込んでいるようだが正直言って自業自得である。
「邪魔ってなんだよ。俺何もしてないんだけど」
『なぬ⁉︎では無意識でやったのか!』
「だからなんのことだよ」
どうやら俺がいない間に色々あったらしい。
雷獣は見るからにイライラしていたが突然何か閃いたようにニヤリと笑う。めっちゃ嫌な予感がする。
『面白いことを思いついたぞ。これから封印が解けるまでお主の内側から妖力を与え続けて妖怪化させてやる。お主とあの鬼の手の男への嫌がらせじゃ』
「何!……どういうこと?」
『時間はかかりそうじゃが妖怪化すればお主の自我は消えてしまうじゃろう。そうなれば結界は消えて妾は自由の身。もちろん妖怪化が嫌なら即座に封印を解いてもらってもかなわぬぞ』
「な⁉︎封印なんて解くかバカ!だったら俺が妖怪になる前にお前を倒せるぐらい強くなってやる!」
俺には凄まじい霊力があるとさっき言っていたはずだ。もしそれが本当なら修行次第ではかなり強くなれるかもしれない。
『ほう?大きく出たのう。いいじゃろう。ならば完全に妖怪になる前に一度手合わせをしてやろう。なかなか面白そうじゃ』
雷獣は嬉しそうに手を差し出す。
「ああ、約束だ」
俺は差し出された手は握り雷獣と約束を交わす。すると、突然雷獣は思いっきり手を引き耳元で囁く。
「……逃げるでないぞお主」
「当たり前だ!」
この勝負負けられないな。後で鵺野先生に相談しよう。
『もうそろそろで時間のようじゃな』
雷獣はそういうとあくびをして寝そべってしまう。もしかして寝るのか?自由だなこいつ。
なんて考えていると後ろから引っ張られるような感覚がして強引に現実に引き戻される。
*
「――⁉︎目を覚ましたのか!」
気付くと俺は病室で寝ており、驚いた鵺野先生に声を掛けられる。おそらく俺が気を失っているに病院に連れて行ってくれたようだ。
「鵺野先生!俺さっきまで雷獣と話してたんだよ!」
「何⁉︎どういうことだ……とりあえず詳しく説明してくれ」
「わかりました」
俺は先程の精神世界で起きたことを鵺野先生に話す。
「なるほど……封印はしてあるから前みたいに帯電体質ではなくなったが、いずれ君が妖怪化してしまうか封印を解くか選ばなくてはいけなくなったのか……」
「そうです先生。俺は妖怪化する前に雷獣と戦う!」
俺は先程の固めた決意を鵺野先生に聞かせるが……
「正直言って賛成はできない。たとえ君が雷獣に勝ったとしてもその頃には妖怪化し掛けた後遺症は残ってしまい、半妖になってしまうだろう。そうなってしまえば君は多くの辛い思いをすることになる。な―に心配要らないさ!今度こそ俺が勝つ!」
おそらく鵺野先生は封印を解いて雷獣と再戦するつもりだろう。何か秘策があるのかもしれないが俺だけただみているだけなんてできない。
鵺野先生は俺のことを心配してくれているようだが俺の意思は変わらない。
「ごめん鵺野先生。俺はずっと人に頼ってばかりは嫌だ。先生も戦うなら俺も戦う!雷獣に勝つためなら俺は半妖にでも化け物にでもなってやる‼︎」
「ははっ。これは何を言っても通じなさそうだな。仕方がない、君が雷獣に勝てるように俺もできるだけサポートしよう」
「てことは……!」
「ああ、君に霊能力者としてのノウハウを教えてやろう!」
どうやら俺の思いが通じたようだ。
「ありがとう。鵺野先生!」
「ああ、細かいことはまた、後で決めよう。今は休んでおきなさい」
そう言うと先生はこの病室を後にした。
これで俺も強くなればなんとかなるかもしれない。
絶対に雷獣に勝って見せる。頑張るぞ‼︎
一応雷獣が人の姿をしているのにはもっと詳しい理由があるのですがそれはまた後ほど。