俺に取り憑く妖怪が鬱陶しすぎる   作:シキDX

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第三話 転校

 

 

雷獣との戦いから数日後俺は童守小に転校する事になった。

 

 理由は2つ。

 一つ目は、もともといた学校で化け物呼ばわりされ始めたからだ。

 

 雷獣は俺の中に封印されたので人に触れる事で電気が流れる事は無くなったが、俺がクラスメイトを病院送りにした事実は変わらない。

 

 封印が解けない限り同じ事は起きないと思うが、それでも不安なのだろう。

 

 石を投げつけるやつも出てきたので、もはやあの学校に俺の居場所はないと嫌でも痛感した。

 

 二つ目は、単純に鵺野先生が俺に霊能力を教えるのに手間がかかるからだ。

 

 俺がいる町は童守町から結構距離がある。電車を使っても数十分以上かかってしまうぐらいだ。

 

 それと、前に霊能力を教えるために来てくれた時、財布を見て唸っていたのだ。……多分金欠なんだろうな。

 

 自分のためにも、先生のお財布事情のためにも俺は転校を決意して、両親に相談した。流石にいきなり引っ越すなんてできなかったが、童守町に住んでいる叔母さんがいるためその人の家に居候することとなった。

 

 *

 

 俺は今、叔母さんが経営しているらしい喫茶店に行くため童守町に来ている。

 

 前に来た時はわからなかったが町中至る所に霊がいる。脳みそが見えているものや腐っているもの、目玉が飛び出しているものなど全体的にグロテスクだ。多分ほとんどが悪霊だろう。

 

『……この霊の数、異常じゃな。この街は退屈しなさそうで一安心じゃ』

 

 雷獣を封印して以降、こんな感じで事あるごとに精神世界から語りかけて来る。周りには聞こえないらしいが、眠ってる時まで話しかけて来るのはマジでやめてほしい。

 

『妖怪は皆夜型なんじゃ。我慢せい』

 

 なんで俺が我慢しなくちゃいけないんだよ。おかげさまで今日は寝不足だ。

 

 それにしてもこれだけ霊がいれば襲って来そうだが、その気配はない……何故だ?

 

『妾の気配にビビっておるのじゃろう。感謝するがいい』

 

 今の俺の霊力はほとんどを雷獣の封印の維持に使っている。この数日の修行で霊力をある程度コントロールできるようになったがそれだけでは悪霊の相手なんてできないだろう。こいつに感謝するのは癪だが助かっているのは事実だ。

 

 『お主が死ねば中にいる妾まで死んでしまう。そんな死に方はごめんじゃからのう……む!もう着いたのではないか?』

 

 雷獣と心の中で話している内に目的地である叔母が経営している喫茶店に着いたようだ。

 

 名前は「喫茶店 オーガスタ」

 レトロな雰囲気のお店でカツサンドが美味しいらしい

 

 まだ、閉店はしていないはず。とりあえず入ってみるか。

 

 お店の扉を開けると鈴の音が鳴りコーヒーの匂いが漂って来る。

 

「いらっしゃいま……あれ?今日だっけ?」

 

 女性の声が聞こえたので目を向けるとカウンターには母さんに似た人が立っていた。おそらくこの人が俺の叔母である明美さんだろう。

 

「久しぶりだねぇ。元気にしてた?」

 

「今日からお世話になります」

 

「堅苦しいね、敬語なんて使わなくてもいいのに」

 

「……それじゃあ遠慮なく」

 

 どうやら叔母さんは気さくな人のようだ。これなら変に気を遣わなくて助かる。

 

「もう閉店だから、早速家に案内したげるよ」

 

 そう言うと叔母さんはエプロンを片付けて荷物を持ち出入り口へと向かう。

 

 どうやら閉店作業はすでに終わっているようだ。俺が来ることを忘れているようなそぶりを見せていたが案外準備がいいんだな。

 

 俺はそう感心しながら叔母さんに着いていった。

 

「そういえば姉さんから転校した理由については一切聞いてないんだけどなんでだっけ?」

 

 叔母さんの家に向かう途中でそんな質問をされる。

 流石に雷獣のこと言っても信じてくれないだろうし適当に濁すか。

 

「えーと……いじめとかそんな感じかな」

 

「あ――なるほどね……。まぁ童守小の子はみんな良い子だから……大丈夫‼︎」

 

 なんか変に気を使わせてしまった気がするが事実なので仕方ない。

 

「さぁここが今から君が住む家だよ‼︎どう気に入った?」

 

「いや、まだ中見てないんでなんとも……」

 

「そういう正直なところ義兄さん似だよねー」

 

 喫茶店オーガスタから歩いて大体5分、そこに俺がこれから住む家があった。ちなみに特筆すべき点はない普通の家だ。

 

「まぁとにかく中に入って休みなよ。明日から学校あるんだからさ。それに見るからに眠そうな顔してるし」

 

言わずもがなあいつのせいだ。叔母さんの言うとうりにしてさっさと寝よう。

 

「君の部屋は2階の奥の部屋ね。おやすみー」

 

「おやすみー」

 

 今日はしっかり寝れるといいな……。

 

『無理じゃな♪』

 

「……」

 

 *

次の日の朝、俺は今、職員室で一通りの説明を終え鵺野先生が担任をしている5年3組に向かっている。

 

「それにしても、おまえがオーガスタのマスターの甥っ子なんて意外だったな……」

 

「知ってるんですか?」

 

「ああ、あそこのサンドイッチ安くて美味しいからな。最近行けてないけど……」

 

 金欠かな?どんだけカツカツなんだこの先生。

 

「そうそう、今更なんだが俺はみんなからぬ〜べ〜って呼ばれてるんだ。おまえもそう呼んでくれ」

 

「わかったよ。ぬ〜べ〜」

 

 そんな話しているうちに5年3組についたようだ。

 

 *

 

「――というわけで。転校生の桑原大輝くんだ!」

 

「気軽に呼び捨てでいいよ。よろしく」

 

 教室を見渡すと個性的なクラスメイトが目に映る。後ろにいるやつに至っては骸骨みたいな見た目だ。明らかにこの世の者ではなさそうだが、そこらの悪霊とは違って無害そうだしスルーだな。

 

 雷獣以外のことはほとんど普通な俺が馴染めるだろうか。

 

「とりあえずあの空いてる席に座ってくれ。席に着いたら早速授業を始めるぞ」

 

 さぁ転校初日の授業だ気合い入れていかないとな。

 

 *

 

 授業が終わり休み時間になると2人のクラスメイトが話しかけてきた。

 なぜこの学校に来たのか聞かれたので少し悩んだが、ぬ〜べ〜のクラスだし大丈夫はず。俺はぬ〜べ〜を信じて何も隠さず話した。馬鹿にされないといいが。

 

「やっぱりこのクラスに来るだけあって色々あったんだな」

 

 雷獣の話を聞いて元気そうな男の子が驚く。

 

「信じるのか?こんな話」

 

「私達だって似たような経験あるからね」

 

 ツインテールの女の子は自慢そうに教えてくれた。

 

「そういえば自己紹介まだだったな。俺は立野 広。広と呼んでくれ。よろしく!」

 

「私は稲葉郷子よ。よろしくね」

 

「2人ともよろしくな」

 

 俺は既に教室入ってきた時に自己紹介したので省略したが3人で軽く自己紹介をした。

 

「ちょうどまだ時間もあるしみんなでサッカーしようぜ」

 

「お、いいね。やろう!」

 

 ボールを持ってみんなでグラウンドに向かう。

 馴染めるかどうか初めは心配していたがどうやら杞憂だったみたいだ。

 このクラスなら今の俺でも楽しくやっていけそうで一安心だな。




後ほど、意見箱みたいなのを活動報告で作る予定なので提案や質問もそちらでお願いします。
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