日輪の半龍人   作:倉田 創藍

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「小説家になろう」に最新話を、「カクヨム」にて同作を章ごとに、こちらへは定期的に更新していく予定です。


断章10  芽吹きの武芸都市

 武芸都市〈ウィルデリッタルト〉は、鋼業都市〈アイゼンリーベンシュタット〉から凡そ数百km(キリ・メトロン)南東に位置している。

 

 その為、鋼業都市より春の訪れも早く、鋼業都市領主パトリツィア・シュミット侯爵との大衆浴場建造に係る取引を終えたランドルフ・シルトとその護衛の森人ケリアとプリムラが帰参した頃には、すっかり暖かな日差しと過ごしやすい気温に包まれていた。

 

 彼ら3人が出発した頃には見えなかった植物達もいつの間にか花を咲かせ、緑葉は彩度を増して青々としている。

 

 また、工事の先発隊と共に彼らが武芸都市へ帰参したのは丁度、アルクス達”鬼火”の一党が芸術都市行きの魔導列車に飛び乗った日と同日であった。

 

「では兄様達は、またご活躍なさったのですわね?」

 

 場所はシルト領、領主館隣に併設されている練兵場。

 

 トビアス・シルト伯爵の娘イリスは祖父へ問うた。

 

 手にはアウグンドゥーヘン社発行の号外、ミリセント・ヴァルターによる記事が握られている。

 

「うむ。アルクスが首魁を一騎討ちで捕らえ、貨物船に載せられていた虜囚を魔族の三名が解放し、ラウラ嬢、ソーニャ嬢が違法取引の証人を保護し、また関わっていた武芸者達を打ち倒したぞ。素晴らしい働きだった」

 

 ランドルフは瞳をキラキラさせている孫娘のふわふわの茶髪を撫でつつ、にこやかに応えた。

 

「にしても、相変わらずド派手な活躍っぷりねぇ」

 

 イリスの後ろから記事を覗き込んでいた『黒鉄の旋風』副頭目の女性剣士ハンナがそう言うと、

 

「ええ、凄かったわよ? あの子達、軍隊でも止められないんじゃない? ってくらい暴れてたもの」

 

 金の短髪を太陽に輝かせたプリムラはそう返した。

 

 長い間、護衛として拘束することになってしまった為、ランドルフは帰って来て早々に遅くなった理由を教えに来たのだ。

 

 こういうところで風通しの良いところもシルト伯爵が代々領民に慕われている所以である。

 

「元々並の軍人では止められん一党だがな。それでも全員が更に強くなっていたぞ」

 

 プリムラの恋人であるケリアは同じく金色の髪を揺らして満足そうに頷いた。

 

 後輩であり、同胞の魔族である彼らの纏っている武威は大いに彼を刺激したらしい。

 

「何かあったのだろうと心配はしてましたが、まさかそんな大ごとになってるとは」

 

 父が戻ってきた昨夜に簡易的な報告は聞かされていたトビアスは眉間に皺を寄せた。

 

 『月刊武芸者』はまだ発刊されていないし、前世の日本と違って通信技術はそこまで発達していない。せいぜい緊急(戦レベルの)用大型魔導通信機が有力な南部貴族の幾つかに与えられている程度。

 

 新聞社ですらおおよその概要しか載せていなかったのもあって、父からの詳細報告はありがたいのだが――……重大に過ぎる事件であり、また甥っ子とその仲間達が巻き込まれていた事実は「素直に喜べない」というのが本音である。

 

「うむ。しかしアルクス達のおかげで事件は見事に解決した。侯爵閣下からいずれ報告があろう。閣下からの呼び出しをアルクスが二つ返事で蹴った時は肝を潰したがな」

 

 ランドルフはそう言って苦笑いを浮かべた。

 

 事件を解決した立役者なのだから褒賞式なりなんなりに呼ばれるのは当然のことである。が、彼らの人柄を知るトビアスはそちらには然して反応を示さず、”蹴った”という言葉に反応した。

 

「呼び出しを”蹴った”とは、何か理由が? パトリツィア……――侯爵閣下は、爵位の割に砕けた方だと思いますが」

 

 鋼業都市の領主パトリツィア・シュミットは士官学校時代、トビアスの後輩だった女性だ。

 

 侯爵家生まれなどとは思えぬほど闊達としていたはずである。ちなみにその夫ライナー・シュミットは同級生で親友とも言える間柄だ。

 

「特になかろうて。心底面倒臭そうな顔で幾つも言い訳されたと兵が報告しておったからな」

 

「アルクス君……」

 

「ああいうところはユリウスの血を引いておるよ、まったく。久しぶりに胃がキリキリしたぞ」

 

 トビアスが額を押さえ、ランドルフが腹部を押さえる。

 

「たはははっ! あ、いや、すいません。あいつら相変わらずだなぁと思って」

 

 快活な笑い声を上げたのはイリスに借りた記事を読み終えて丁寧に返した『黒鉄の旋風』頭目レーゲンである。

 

 敬語も随分上達していた。

 

「なに、構わぬよ。仲間を長期間借り受けた恩もあるしな」

 

「いえいえ。期限は決めておりませんし、無事に戻ってきたんなら言うことなんてありませんよ」

 

「この記事によると兄様とマルク様は大怪我を負ったとありますが大丈夫ですの?」

 

 そう問うたイリスは淡褐色(ヘーゼル)の瞳に不安を浮かべている。

 

「あの二人なら大丈夫だ。マルクは見た目より軽傷らしくて翌日にはケロッとした顔をしていたし、アルクスの方も二日は絶対安静状態だったが、我々を見送るときは平気そうだったからな」

 

「そうね。見た目より二人とも頑丈だから大丈夫よ、イリスちゃん」

 

 ケリアとプリムラはイリスの頭を撫でてそんな風にあやした。どうにも本当のアルの妹のように感じて可愛がってしまうのだ。

 

「それなら良いのですけど……。ふぅむ、それはそうとマルク様の看病はしたかったですわね」

 

「っ!!」

 

「息子よ、早う娘離れせぬか」

 

「い、いえ、父上、これは父親として当然の心配で――」

 

 乙女な吐息を「はふぅ」と漏らす孫娘とそれを見てやきもきする息子にランドルフは溜息をつき、

 

「ところで、あの二人はどうしたのかね? 孫たちのような鍛練をしているようだが」

 

 練兵場の中ほどで剣と槍を交えている二人――剣士のヨハンとエマを見て訊ねた。

 

 二人とも使っているのは刃がついた真剣で、揃いの金属盾に火花を散らしていいる。

 

「あー、ええと……焦ってるんです」

 

 苦笑いを浮かべてハンナは答えた。

 

「焦ってる? 武闘大会でもあるのかね?」

 

「いいえ、そうじゃなくって……”鬼火”の一党が行く先々でデカい功績上げてるでしょう?」

 

「そうだね。彼らのお師匠様が怒ってたよ。『ちっともそういう話はしない!』ってね」

 

 これにはトビアスも同意する。

 

「やっぱり言ってなかったんですね。あっと、まぁ元々あの四人は四等級じゃ収まらない強さだったし、ラウラちゃんとソーニャちゃんも記事を読む限りじゃ、実力をどんどん上げてますから――」

 

「なるほど。等級が追いつかれるかもしれぬ、と考えておるわけだな?」

 

 ふむふむと頷いていたランドルフがハンナの言葉を引き取る。

 

「はい。『黒鉄の旋風(うち)』は三等級ですけど、あの二人はまだ個人じゃ四等級ですし、昨日プリムラとケリアから詳しく聞いた話なら功績も溜まってそうですからね」

 

「それで鍛練というわけだな」

 

 思っている以上に後輩達の昇級が早くてかなり焦っているらしい。

 

 特に昨夜、宿へ帰ってきたケリアが興奮気味に語り尽くしたのが効きまくっている。

 

「さてと、んじゃ俺も参加するかね」

 

 レーゲンはそう言ってやたらとやる気満々な様子で背を向けようとした。そこにケリアがズバリとツッコミを入れる。

 

「我々に憧れて武芸者になった、と言う二人に触発されたのだろう?」

 

「あら、そうなの?」

 

 プリムラはクスクス笑い声を漏らした。

 

 あの二人とはディートフリートという薙刀遣いの青年と魔導技士という珍しい肩書を持つレイチェルという少女のことだ。

 

「ばっ、ばかなこと言うな。俺ぁいつだって鍛練漬けの生活さ」

 

 レーゲンは二人の方を見ずに誤魔化しにかかる。

 

「『紅蓮の疾風』だったわね。名前も私達に憧れてつけたんでしょ? 昨日からニヤニヤしてたもんね」

 

 ハンナはそんな恋人の顔を微笑ましそうに覗き込んだ。

 

 彼らとてそれなりに知名度のある一党だが、名指しで憧れていると言われたことはない。三等級の武芸者一党はそれなりに存在するからだ。

 

「し、してねえ」

 

 レーゲンが恋人から、ついっと視線を逸らす。ぶっちゃけ図星である。今日だって朝から無駄に筋トレに励んでいたりするのだ。

 

「「「…………」」」

 

「わ、わかった認めるよ! けどハンナだって嬉しいだろ!? あの時助けた二人が俺らに憧れて武芸者になったなんて言ってくれたんだぜ?」

 

「ふふふっ、そりゃあね~。でもレーゲンほど素直に喜んじゃいないわよ? 武芸者は危険と隣り合わせでもあるんだからね?」

 

「そりゃま、そうだけどよ」

 

「でしょ? でもそうね、憧れ続けられるようにはなりたいわよね」

 

 母性を感じさせるハンナにレーゲンは我が意を得たりと激しく同意した。

 

「そうだろ! だから鍛練に励むんだよ。はしゃいでるとかじゃ、ねえし」

 

 しかし、語尾が怪しい。

 

「はいはい、わかってるわよ」

 

 頼りになる男の可愛い部分を見てハンナは楽しそうにクスクス笑う。そこへエマとヨハンの双子が駆け込んできた。

 

「ハンナーっ! 私の『気刃の術』まだ!?」

 

「俺のも早くしてくれ!」

 

 双子の要求内容は至極簡素(シンプル)

 

 アルに渡された『気刃の術』、その独自を魔術に対して教養のある副頭目に早く創ってくれと頼んでいるのだ。

 

 途端にハンナが不機嫌そうな顔に豹変する。レーゲンはそろりと一歩下がった。

 

「アンタ達ムチャ言わないでくれる!? 創って欲しいなら少しは手伝いなさい! 私のだってまだなのよ!」

 

 ちなみにようやく今ハンナ自身の独自を組み立てている最中である。

 

「だって難しいんだもん」

 

「付け焼き刃じゃどうにもなんねえんだもん」

 

 どこか似た顔でハンナに任せるとほざく双子。

 

「コイツらっ!」

 

 ハンナは「うがーっ」と怒りを露わにした。

 

「ま、まあまあ。けどあれだぜ? さすがにあそこまで高度だとお前にひと通り習った俺でも着いていけねえぞ?」

 

 レーゲンは荒れる恋人を何とか宥めようと肩に手を置いてみる。

 

「ふぅん。アルクスがイリスちゃんに渡した手作りの教本でとーってもわかりやすく理解できたレーゲンでも?」

 

 しかしハンナの返しは先ほどの母性は何だったのかと言うほどヘソ曲がりな皮肉であった。

 

 これは『黒鉄の旋風』がイリスの護衛と訓練相手を務めるようになってすぐの話である。

 

 当時すでにイリスとの親交があった『黒鉄の旋風』は魔術を教える教師をハンナに、近接戦闘やそれ以外を残りの5人が担当することになった。

 

 その時イリスがこれに沿って教えてくれと頼んだのがアルクス謹製の魔術教本である。

 

 ヴィオレッタ仕込みの最新の研究内容まで取り入れた教本は、術師というより魔導師を育成する為のものでは?と思わせるほど先進的で、かつアルによってより噛み砕いた表現を用いられていた。

 

 出すとこに出せば出版もメじゃないほどの代物である。

 

 それを使って魔術を学んでいたイリスはいつの間にやらレーゲンくらいの知識は身についており、また魔力の質こそまだまだであったものの術の構成やそれに伴う下地はしっかりと出来ていたのだ。

 

 しかしハンナはあくまで金銭的に裕福な家で生まれ育ったというだけである。

 

 高等な教育を受けてきたとは言え、魔導学院を出たわけでもなければ高名な魔導師に知り合いがいるわけでもない。

 

 その為、教本の内容に度肝を抜かれたし読み込む時間も必要であった。

 

 イリスはそれを見て「やっぱり兄様達はすごいんだなぁ」くらいの感覚だったがレーゲンやケリア、プリムラは違う。

 

 驚いたし、自分達も授業を受けようと思ったくらいであった。

 

 その時にレーゲンが失言してしまったのである。

 

「昔ハンナに教わったけど、あれより全然わかりやすいな」と。

 

 ハンナはそれを根に持っているのだ。

 

「悪かったってハンナ。皮肉はやめてくれ、ついでに早く忘れてくんねえかな?」

 

「やーよ。……苦労して教えたのに」

 

「だからすまんって! 悪かったって!」

 

「ねぇハンナ。エーラちゃんが夜空に光の雨を降らせてたわ。私もあんな感じのやりたい」

 

「プリムラ、アンタ話聞いてた!?」

 

 唐突に要求してきた森人にハンナが目を吊り上げる。

 

「アルクスは蒼炎を纏ってこう、吹っ飛ぶように翔んでたぞ。私も風でああいうのがやりたい」

 

「より高度なこと言ってんじゃないわよ! 精霊に頼みなさいよ!」

 

 ケリアも恋人と同じように要求してみるが、よりハンナを怒らせただけだった。

 

「マジかあいつ。つーか魔法使ってねえのに一番暴れてんのはどうなんだ?」

 

「俺は驚かねえぞ。そのくらいならやるだろ」

 

「ヨハンに同じ。むしろあの運河を貨物船ごと凍てつかせたっていう凛華ちゃんにびっくりしてる」

 

 レーゲンが呆れると双子はそんな風に返す。

 

「どちらにしても『気刃の術』は我々の大きな切り札になるはずだ」

 

 ケリアがそう言うとハンナ以外はうんうんと頷き、そして口を揃えてこう言った。

 

「「「「「だから俺(私)達にも早くド派手なやつ創って(くれ)」」」」」

 

「アンタ達良い度胸ね! そこに直りなさい!」

 

 むきーっと怒りの声を上げて掴みかかるハンナと代表してポカポカ叩かれるレーゲン。

 

 そんな『黒鉄の旋風』を微笑ましく見つつ、イリスはトビアスとランドルフの方を向いた。

 

「お父様、お祖父様、(わたくし)お願いがありますの」

 

「うん?」

 

「お願いとな?」

 

 可愛い愛娘へトビアスとランドルフは顔を見合わせる。

 

「お願いってなんだい?」

 

「私、〈ターフェル魔導学院〉に通いたいんですの」

 

「え、魔導学院に?」

 

「はい。あそこの騎士科卒なら士官学校出と同等の待遇なのでしょう?」

 

 イリスの問いにランドルフは頷いた。

 

「うむ。魔導騎士なら士官学校卒と同じ尉官扱いだ。魔導師の資格を持っていれば最初から大尉扱いされる」

 

 これは主に領軍の軍人達を率いる階級であると示す為に貴族に必要とされる義務である。兵士とて人だ。命が簡単に消し飛ぶような場において戦いを少しも知らない者の言うことなど誰だって聞かない。

 

 その為に貴族の子息達はほぼ必ずと言って良いほど士官学校に通う。最初から跡を継がないと決めていたユリウスでさえ最低修学期間である3年はそこで過ごした。

 

 それと同じ扱いになるのがターフェル魔導学院の騎士科卒である魔導騎士だ。魔術に造詣の深い家などは士官学校に行かずにここを受験する。

 

 イリスは今年で14歳。もう2年もすれば士官学校からお誘いが来るか、縁談話が本格化してくる。大抵の貴族出の女性は自由が効くように士官学校へ通う。

 

 だからイリスは先に決めたのだ。魔導学院を受験したい、と。

 

「そうか。じゃあ受験したいんだね?」

 

「はい。私、自慢じゃありませんけどこれでも同年代より魔術の造詣は深いんですの。兄様とハンナさんのおかげで」

 

 頷く娘にトビアスはそうだろうなと心中で同意した。なんと言ったって雇った家庭教師が2週間で辞表を提出してきたのだ。

 

 アル達が武芸都市を旅立って少ししてのこと。ここで魔術の勉強をやめるのも勿体ないと最低限の知識と技術を教えてくれるよう家庭教師を雇った。

 

 しかしイリスに魔術を教えたのは()()『転移術』を扱えるヴィオレッタの直弟子アルクスである。

 

 家庭教師が見たのはアルやラウラを真似て術式の意味を考えつつ、()()()()()()調整しながら術を発動しているイリスであった。

 

 当然ながら少し良い教育を受けた程度の家庭教師が魔導師の卵のような質問を繰り出すイリスを教えられるはずもない。そんなわけで早々に泣きが入ったのだ。

 

 トビアスはひと月分の報酬と実は魔術に詳しい武芸者から色々と学んでいたということを明かして、家庭教師の精神を崩壊の危機から救ったのだった。

 

「良いのではないか? 受験の知識くらいはあろう?」

 

 ランドルフは好々爺の如く笑みを浮かべて息子を諭す。これが武芸者になりたい!とかだったら頭を悩ませていたところだ。

 

「ええ、ですね。じゃあイリス、今年受けるつもりかい?」

 

「いいえ、まだ兄様から貰った教本内容を終えてませんの。だから来年受けたいですわ」

 

 イリスはぶんぶんと髪を揺らしてそう答えた。アルが凝りに凝った教本はようやく半分の行程を過ぎた頃である。ハンナとああでもないこうでもないと言いながら教本から学ぶのはイリスにとっても楽しい時間だ。

 

「そうかそうか。頑張るのだぞ?」

 

「はい、お祖父様! ありがとうですわ!」

 

 ニコニコしている孫娘にランドルフは優しく微笑む。トビアスはなんとなく気になって聞いてみることにした。ほぼ確信がある。

 

「イリス、魔導学院に行きたいって言ったのはやっぱりアルクス君達がいるかい?」

 

「はいっ! 兄様達の後輩になったら面白そうですもの!」

 

「ふふっ、後輩か。確かに面白いかもしれないね」

 

「ええ! それに魔術も面白いと思い始めてきましたし、私もシルトですもの! その名に恥じぬ女になると決めたんですの!」

 

 その言葉にトビアスとランドルフは少々面食らってしまった。

 

 まじまじと見るとイリスの瞳にはやる気が漲っている。どうやら従兄達の活躍は彼女の精神的成長を大きく促してしまったらしい。

 

 トビアスはニッコリ笑うイリスに甥を彷彿とさせる新たな風を感じるのだった。

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