何も知らない鳴坂和人くん(22)   作:スティック/糊

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一瞬だけミスって投稿しちゃった(震え声)

誤字報告感謝です。


ワールド進行度さん!?

 

 

 

 グローバル・ゲーム・コンペティション。通称GGCまで残り2週間を切った―――の水曜日。

 

 

 

 

 

 先週の金曜日にリィンとの決闘以来まだログインできていない。

 

 

 

 ちょーっとだけ幕末に反抗心を燃やしてしまったからである。

 

 ええ、土曜日のPN:シズレナに一発入れるまではやると決めたからである。

 

 

 

 昨日ようやく、シズレナの左腕を落とした。

 

 「……まじかぁ」

 

 とシズレナに発言させられたので満足。

 

 ちょこちょこ絡んでくるYuukiも二回目以降は一切妥協しないぞと中々の強さだった。

 

 

 

 八葉一刀流一矢報いたり、と大変満足していたのだが「え、ごめん。私八葉の元流の流派でちょっと別物」と言われちょっと泣いた。

 

 憂さ晴らしにYuukiボコった。

 

 いくら切り伏せてもこの人たちウキウキで向かってくるので怖い、幕末怖い。

 

 

 

 まぁ、二人とはフレンド登録したが今後ログインするかは不明。

 

 シャンフロでリィンさんにまた負けたら入るんじゃないだろうか。

 

 

 

  

 

 和人はシルヴィア・ゴールドバーグカスタム用のカスタム作成に取り組んでいた。

 

 

 

 レクトの社員さんが飛んでアメリカで採寸とヒアリングをしてきてくれたのだが、うん。

 

 

 

 既存の反応速度チェックテスターではオーバーするヤベー反応速度と言うことだけは分かった。

 

 キリトも加速使わずにテスターのメーターぶっちしたことがあるので、そんなこともあるかと彼女が来日する日までに動作確認ができる最上値、和人のフル加速の数値に耐えうる反応速度キャパを作り上げた。

 

 どうして反応速度弄るのに電子交流耐久値の最適値探して新しく基盤の金属選定せなアカンねん(半ギレ)

 

 アクセルリングの経験なかったらちょっとした詰みやぞ。

 

 

 

 ええ、お陰で金額換算したらスーパーカー買える金額になっちゃった…わ、わぁ…

 

 レクトで出してるフルカスタムの最上位モデルでも今のとこ国産の〇EXUSの〇Sくらいなのに。

 

 

 

 これでキャパオーバーしたらすがすがしい負け、と出来る限りのことをしたとキリトは満足気である。

 

 いつ来てもよし!と言う気持ちで翌日曜には来日するらしいのでひとまず完了。

 

 

 

 これで重村教授案件もデモを行う予定が月末になったのでそれまでにライブに関する機械の配置計画を立てなくては。

 

 リィンの奥さんことアリサさんとも会談ががが―――

 

 

 

 

 

 

 

 で、何用でしょうか。

 

 そろそろシャンフロできるぞーて喜んでたところなんですけども。

 

 

 

 弊社の応接室。

 

 営業部企画課の社員とその背後に推定プロゲーマー的な方がいらっしゃる。

 

 

 

 電脳大隊(サイバー・バタリオン)、左様で

 

 

 

 和人は来客の前でありながら腕を組んでだいぶ不遜な態度である。

 

 

 

「松永さん、急すぎない?」

 

「…本当にすみません」

 

「レクトの方から仕事あった時、私ちゃんと連絡したよね?先週の月曜日にご依頼を受領しました、こちらのスポンサー業務関係の問題で受けないといけない仕事は今週の金曜日までにまとめてくださいって」

 

「はい……」

 

「今何曜日」

 

「翌、水曜日、です」

 

「ですよね?期日から5日オーバーなんですよ」

 

 

 

 電脳大隊サイバー・バタリオンは弊社がスポンサーの一角を担う企業で、国内の最強チームの一角であると言う。

 

 

 

「はぁ、えーっと電脳大隊(サイバー・バタリオン)でしたね。戦犯コイツ、以上」

 

「一週間見間違えてしまったんです!」

 

 

 

 泣き落としを開始した松永に心底呆れた目をした。

 

 

 

「なに、本来だったら金曜日までに仕事確認して今日には納品できたと思うんですけど」

 

 

 

 そんな一週間前とかのギリまで仕事を残しておくわけがないだろう。

 

 運送事故のヤラカシのバックアップ程度やぞ。

 

 

 

「何その土下座、来客が居る中でやるとか私が悪者みたいじゃん」

 

「決してそんなつもりは!」

 

 

 

 電脳大隊の人困ってるの見えません?

 

 人前なら泣き落とし効くとかお考えで?

 

 テメェは反省文書いてこいと蹴りだし、残された電脳大隊の選手の相手をすることに。

 

 

 

「で、確か魚臣選手でしたか」

 

「は、はい!魚臣慧です!」

 

「弊社のバカのやらかし大変申し訳ございませんでした」

 

 

 

 一応、一応VR関係の責任背負ってるので謝らなければなるまい。

 

 

 

「い、いえ」

 

「今回計画したVRチェアはレクト社の企画物です、中身は私ですが。今からだと間に合いそうもありません。今回の詫びです、外部に流出はさせないでくださいね」

 

 

 

 そう言って一枚の記録ハード、実質的なゲームソフトを机に置いた。

 

 

 

「こちらは…?」

 

「私の想定するシルヴィアゴールドバーグのモーションをプログラミングしたいわば仮想SGとなります」

 

「―――えッ」

 

「GH:BからGH:Cに移り変わる際にゲームエンジンが大きく変わったと聞きます。それを加味したうえでの仮想SGミーティアス。難易度を通常時、ハイテンション時、想定される最大混沌値の3種です」

 

「あ、ちょ、その…?」

 

「ぶっちゃけた所、魚臣選手急に新しいデバイスあっても一週間では万全の状態持っていけないでしょう?反復練習の徹底、相手の弱点メタの研究を繰り返す。攻略サイトは隅まで見るタイプ。こういった情報の方がお好きかと」

 

「―――ッ、正直ものすごく有難いです!」

 

「なら良かった。そのソフトの中身は14日で自壊するようになっていますので、ぜひ攻略なさってください」

 

「ありがとうございます!」

 

 

 

 そしてお帰りになられる際に

 

 魚臣選手に“自分のこと認識してくださっていたんですか”

 

 何て言われたので“昨日直近の試合50本視聴しただけです”と答えてた。

 

 また、弱点をどう見るかとの話もあり“アドリブに非常に弱い。初見でセオリーから外れた動きされると弱そうですね”と答えておいた。

 

 魚臣選手はウグッと胸を押さえた。

 

 

 

 だから既知を増やしてください、と。

 

 

 

 

 

 さて、久々に徹夜で頑張ったので仮眠しよう。

 

 

 

 魚臣選手は想定される最大混沌値を攻略した後に出てくるお遊び要素に気付けるだろうか。

 

 

 

 

 

 それはそれとして松永のやらかしはチクった。

 

 

 

 

 

 〇

 

 

 

 

 

 

 

「なんであの人自分でゲームだしてねぇの…?」

 

 

 

 格闘ゲーム出してたら死ぬほどやりたいんだけど。

 

 帰宅後、仮想SGミーティアス、難易度を通常時に負けた魚臣慧が休憩のためゲームからログアウトしてからの第一声である。

 

 

 

 彼がトレースモデリングしたシルヴィアゴールドバーグの操作するミーティアスは、本当に本物が画面の向こうで操作しているとしても信じかねないレベルだ。

 

 確かに魚臣慧にとって一番欲しいものだ。

 

 

 

「これ、シャンフロエンジンっぽいのにシャンフロエンジンじゃない感じ」

 

 

 

 あのシャンフロを再現できるのかあの人。

 

 

 

「……通常時でこれなんだから想定される最大混沌値ってどうなってるんだろ」

 

 

 

 魚臣慧は一ゲーマーとして当然の疑問を胸に、想定される最大混沌値に挑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

「なんであの人自分でゲームだしてねぇの…?」

 

 

 

 魚臣慧は天丼の様にあまりにも高いハードル、決してクリアできないとは思わせないその調整具合に宇宙猫を背負った。

 

 

 

「2週間じゃ全然足りないよ!」

 

 

 

 鳴坂博士はGHのファンメイドゲームみたいなものですから、と笑って制限を付けたと言っていた。

 

 電脳大隊の爆薬分隊の担当の人がおいしいチャンスをうっかりしたと聞いたときはどうなるかと思ったが、別のとんでも無いものをお出しされて冷静になる暇すらなかった。

 

 ……この人の作る他のゲームめっちゃやってみてぇ!

 

 

 

 格闘ゲームにおいて勝率日本一のゲーマーにそんな衝動を抱かせつつ、身内以外に初のお出しとなる和人の本気で作ったゲームの消滅時間はジワリと進んでいく。

 

 

 

 

 

 〇

 

 

 

 

 

 仮眠から起きた和人は役人の素早い仕事ぶりに感動した。

 

 

 

 ざっくり言うと松永のやらかしに対する処分だ。

 

 2ヶ月間基本給1割減給。

 

 

 

 そんなものか。

 

 法律的にできる減給って一割くらいだもんな。

 

 役職付きはその限りでは……

 

 

 

 電子回覧板に閲覧記録サインを入れ、総務に回した。

 

 

 

 

 

 残りのメールもざっと見て処理できるものを処理して帰路に着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どーよこの服」

 

「ん、お嬢様感ある清楚な感じだな」

 

 

 

 深澄さんと買い物行って、図書館デートしてきたんだーと笑顔で話す妹に楽しそうで何より。

 

 

 

「兄さん、今度友達連れてきてもいい?」

 

「ん?ああ、実家までだと学校から距離あるか。別にいいぞ、たまり場にするのは勘弁な」

 

「わかった」

 

 

 

 見られて不味いものは大体自室か入るなルームに鍵かけて置いてあるので大丈夫だろう。

 

 

 

 友達と遊ぶのか、協力対戦ゲームとかパーティーゲーム用意してみるか。

 

 

 

「また妙なゲーム浮かんでない?と言うかそろそろ私にもあの棚のゲーム解禁してよ!」

 

「えー、ちょっとグロかったりだいぶ男臭いゲームばっかだぞ?」

 

「私もそれなりに色んな神ゲーからクソゲーまでやってるけど、兄さんのゲームは間違いなく神ゲーなの!」

 

「……コードギアスIFSSやりたいだけだろ」

 

「そう!中々の紛争ゲーだけど、限られた条件下のみ発動する強制力とか!あのコックピットに載るロボット!」

 

「ルルーシュとスザクの夢女になっただけやんけ」

 

「は?アレに落ちぬ女などいないが?」

 

 

 

 兄的に思春期の妹の性癖ぶっ壊してもうたと、あまりやらせたくはない。

 

 ギアス能力の再現を頑張った結果、現実までフィードバックしないようにキャリブするのすっごい大変だったんだからな。

 

 

 

 

 

「寝食忘れてゲームに浸る未来しか見えん、却下」

 

「そんなぁ…」

 

 

 

「とりあえず原作アニメは作ったからこれで我慢しておけ」

 

「わーい!」

 

 

 

 

 

 はっ、うっかり妹を甘やかしてしまった!

 

 

 

 

 

 ちゃうねん、職業体験VR【アニメ編】でアニメーターから声優までエディットしてNPCの作業を監修して作るゲーム出来たら楽しいよなと、前世のアニメ再現に走ってしまっただけなんや!

 

 

 

 

 

 あ。R2まで出しちゃったけど大丈夫だろうか。

 

 復活も作らなきゃだめか?

 

 

 

 亡国のアキトも……マジ?

 

 

 

 

 

 なんというか夢女のエリートコース沼に膝位まで浸かった妹が誰かに布教を始めなければいい……いいな(希望的観測)

 

 

 

 

 

 翌日「お兄ちゃん!」とキレる妹に首をがくがくされる未来は…うっすら見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 〇

 

 

 

 

 

 

 

「久しぶりのシャンフロ!」

 

「……マスター暇だった」

 

「ああ、わるい。ちょっと剣士とのバトルがな…」

 

 

 

 数日ぶりのシャンフロへのログインになんか空気が美味い気すらする。

 

 

 

「まあ、いいですけど。バハムート出現以前に人界に出るのは危険だと推察し引っ込んでおきます」

 

「悪いな」

 

「またアヴァロンで出してください」

 

「わかった」

 

 

 

 インベントリのアイテムを確認しに入ると今日はルビーアタックはなく、アインスの悲し気な眼差しが地味に効く。

 

 今日はラビッツの兎御殿探索とレベリングだ。

 

 

 

 まずは手土産に色んな素材集めておこう。

 

 マーニ足らずとか笑えない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、クラウンスパイダーくんお疲れ」

 

 

 

 スキル投影のスペックチェックにクラウンスパイダーはナレ死した。

 

 凡庸的な剣ならMP少なく、アヴァロンの矢は結構MP持っていく。

 

 アヴァロンの矢は速度を求められない場合は実物番えた方が早い。

 

 実物装備しててもMPは自動回復してくれる。

 

 花の魔術師のスキル混ぜ込んで固定砲台ならそこそこ行けそう。

 

 

 

「【最上質の糸玉】ゲット」

 

 

 

 このままフォスフォシエへ向かう。

 

 フォスフォシエでセーブポイントを更新して歩き回っていると面白い話が聞こえた。

 

 

 

 

 

 で、奥古来魂の渓谷へ。

 

 瘴気が濃く、一定時間いると呪状態になるとか。

 

 水晶巣崖へ上る。

 

 普通に崖を登るのは面倒なので、いったん倉庫へ。

 

 

 

「あれ、どうされましたマスター?」

 

「ちょっと採掘しに高い所に。征服換装の楽さを考えてしまった」

 

「あ、はーい。ルビーちゃん了解」

 

「マスター私は?」

 

「アインスは、上に着いたら素材回収お願いするかな」

 

「了解。ちゃんと呼んでね」

 

「ああ」

 

 

 

 で、奥古来魂の渓谷に再び。

 

 

 

「【征服換装】」

 

「プロセス了解、いっきまーす!」

 

 

 

 毎回挟む必要があるのか変身バンク。

 

 そんな文句を言っても仕方がないので換装を終えると、空へ向かって飛んだ。

 

 

 

 

 

 魔法少女は飛べる。

 

 その事実に気が付いたのは先週の木曜辺り。

 

 

 

 ルビーは飛行にはセンスが要りますよぉ?と煽って来たが、こちとら何時間妖精の翼を生やして飛んできたと思っとるんじゃい、と即マスターしてやった。

 

 アインスはぱちぱちと拍手してくれた。

 

 

 

「前回も感じましたが前マスターより飛行が上手ですよね」

 

「ええ、私別の世界だと闇の妖精なの」

 

「 」

 

「っと、そろそろつくわ。右と左何か違うの…?ルビー?」

 

「あ、すみませんマスターの高度なボケにちょっと固まってしまいました。っと、右と左の違いですね。神代の後に形成開始が本格的になったようなので情報の古さがありますが、どちらかが攻撃に特化していて、もう片方に守りに特化した蠍が生息しています。基本レベルは100オーバー。珍しい鉱石や宝石が取れるそうですよ」

 

「分った、ありがとう」

 

 

 

 別にボケた訳ではないのだが。 

 

 キリトは勘で右を選んだ。

 

 

 

 一面足場は悪く、セキエイの様な結晶があちらこちらに生えている。

 

 適当なこれ砕いてもアイテム判定になるのだろうか。

 

 

 

 しばらく散歩していると明らかに良いもん眠ってまっせ、と言わんばかりの採掘スポットを見つけた。

 

 

 

「アインスを呼ぼう」

 

 

 

 約束通り、アインスを呼びだしてルビーを渡す。

 

 

 

 同時変身は流石にできないらしく、キリトの変身を解いた。

 

 ……相変わらず女固定ィ…

 

 

 

 蠍が出てきたら様子見。

 

 危険がありそうだったら上空避難。

 

 

 

 そう決めてレッツ採掘開始。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こう言うのって大きな音を立てたら現れるよな。

 

 

 

「アインスバフお願い」

 

「了承。バフ構成“偽・螺旋剣”付与」

 

 

 

「行きます“偽・螺旋剣”!!」

 

 

 

 

 

 そして響き渡る轟音。

 

 

 

 飛んできた宝石の一つをキャッチ。

 

 お高そう。

 

 

 

 散らばった宝石を拾い集めようとしゃがんだりしようとしたのが足に当たると勝手にしまわれるような動作が発生した。

 

 ……便利収納機能キタ?

 

 

 

 チョンチョン、だんだんと顔を出してくる蠍を見つつ足で触れながらどんどんしまっていく。

 

 プレイヤーに接触判定あるとしまえるってこと?

 

 もしかして前所有者がこのインベントリア改造した結果か?

 

 

 

 ステップを踏むように、舞うように宝石を回収していく。

 

 

 

「あーこっちが守りが強い方でしたか」

 

 

 

 蠍:クリスタルスコーピオンが両手の鋏をボクサーが顔面をガードするような体勢のまま、にじり寄って来た。

 

 

 

 お試しで近づいてきただけだからここで撤収しても良いんだけど……やるしかないよね。

 

 

 

 

 

「ここ最近下剋上失敗続きなので、そろそろ成功させて頂きます!」

 

 

 

 弓を手に、アヴァロンの鞘を背中に。一振りの太刀を腰に。

 

 

 

「――ッ」

 

 

 

 初攻撃の感想はクソほど固い。

 

 先に武器の耐久値が逝ってしまいそうだ。

 

 

 

「これを弓で狩るとか言う縛りプレイも悪くないんじゃないの、クリスタルスコーピオン!」

 

 

 

 

 

 

 

 〇

 

 

 

 

 

 

 

「クリスタル祭りね」

 

「……機動が変態的過ぎますマスター」

 

 

 

 随分なレベル差で狩りまくったからかLv.が44から86まで上がった。

 

 ……何体狩ったかは楽しくなっちゃって覚えてないですね。

 

 

 

 アヴァロンの鞘の分け身を当てると花を咲かせ、クリスタルスコーピオンの視界をふさぐ。暴れるスコーピオン同士の同士討ち。が始まる。

 

 そこに関節のうっすい所に投影剣をズブリ。

 

 

 

 はい、簡単ですね。

 

 ……戦闘方法が卑怯ッ!

 

 と言うか視界的なものあったんだ、音で大体のこと判断しているんじゃないんですね。

 

 キリトは知らないが、アヴァロンの鞘の分け身はモンスターに当たった場合、そのモンスターの魔力を吸い取り花を咲かせる。食した水晶と大気中の魔力を取り込むクリスタルスコーピオンから魔力を搾り取るのは混乱を誘発させるには十分な方法だった。

 

 

 

 俺には無限のインベントリア。

 

 貯蓄しまくる蠍アイテム!

 

 

 

 しばらく金に困ることはなさそうだ。

 

 

 

「―――ッ、来るわ!」

 

 

 

 クリスタルスコーピオンを倒しまくると出てくるのか、ちょっと親玉的なのが出てきなすった。

 

 

 

金晶独蠍(ゴールディ・スコーピオン)!」

 

 

 

 モンハンで言う所の歴戦個体匂がするぞ…?

 

 

 

 

 

 こいつは、度を越してヤバい匂いがプンプンする。

 

 

 

「でも、貴方を倒したら大手を振ってこのクリスタルスコーピオンとか宝石持って帰っても許されるよね。いざ尋常に、勝負!」

 

 

 

 

 

 さっきの守り系の阿保っぽいスコーピオンとは違う、明らかな強キャラッ!

 

 

 

 あと、この水晶の名前見てひとつに気になったんだ。

 

 この水晶って、お前らの死骸とか排泄物らしいじゃん。

 

 

 

 その過程でうまい鉱石食ったりするんだろ?

 

 

 

 じゃぁ、この黄昏の欠片食わせたらどうなるんだろうな?

 

 

 

 

 

 キリトはちょっと幕末で脳がやられていた。

 

 

 

 強キャラを前にするとちょっとバーサーカーに足を一歩踏み入れるようになってしまったのだ。

 

 これを中和するにはポケモンあたりでもするしかないだろう。

 

 

 

 

 

 イベントリから黄昏の欠片を一つ取り出すと、金晶独蠍のヘイトが俺に全集中した。

 

 

 

「へぇ、これ好きなんだ。なら食べると良い」

 

 

 

 直径三センチほどの歪な欠片を金晶独蠍に向かってコイントスのように指で弾く。

 

 

 

 金晶独蠍は鋏でそれを取ろうとするほどに夢中だ。

 同族食らいの蠍が欲するその欠片は一体何なのだろうか。

 

 

 

 

 

「それが貴方の最後の食事ですので」

 

「華ノ太刀――緋薔薇」

 

 

 

 

 

 八葉一刀流の四ノ型【紅葉切り】をキリトなりにアレンジを加えた太刀である。

 

 

 

 

 

 隠密に優れた四ノ型【紅葉切り】

 

 抜刀し、すれ違いざまに音もなく切り伏せる技だ。

 

 

 

 

 

 それを幕末で脳をやっちゃったキリトはシズレナを伏せるためだけに、自身の持つ膨大な動きの最適化を目指した。

 

 何なら魚臣選手に渡したソフトも情報整理の残りカスでしかない。

 

 

 

 硬く理不尽な相手の四肢を捥ぐため、懐に入り込む歩法に注視した。

 

 

 

 

 

 太刀はインベントリアで眠り、若ヴァッシュによって使える程度に復活した一振り。

 

 素材は知らない。透けるような青い刀身にバラの模様の入った鍔が特徴の太刀だ。

 

 

 

 水晶巣崖に入り、アインスを呼びだそうとした時にこてんと何かを呼ぶように倒れたから、これを使う。

 

 

 

 持ち上がった大きな鋏を落とす!

 

 

 

 図体がデカいと死角がいっぱいできるな?

 

 

 

 まさか足の抜き方変えるだけでこんなに変わるとか思わないだろSAOのスキル教育にはなかったぞ。

 

 

 

 

 

 どんな無茶な体勢でもこの空間なら完璧な制御を行う変態が故にできた、現実ではできない一瞬とも取れない接地から繰り出す無音の居合!

 

 

 

 

 

 スキルバフもなく、クリティカル判定を持ってその二つの鋏は地面へ落つ。

 いや、花の魔術師の花バフはあったかもしれない。

 

 

 

 

 なおここまでスキルなしの人力TASである。

 

 

 

 

 

「その良いもの食べてたお口から全バラです」

 

 

 

「―――」

 

 

 

「ごめんなさい、毒は効k―――毒じゃないみたい、でも関係ない」

 

 ただ切り伏せるだけなのだから。

 

 

 

 

 

 金晶独蠍の尾の先端から毒――否、変換液とも言える消化液が出る。

 

 だが、キリトはアヴァロンの鞘の効果によっておおよその効果を無効化している。

 

 

 

 消化液を受け、透き通る刀身に毒が回ったように色味が変わる。

 

 

 

「悪い花ね」

 

 

 

 ああ、この武器の使い方はこれらしい。

 

 

 

 消化液の影響か変質した刀から無数の棘のツタが伸びる。

 

 

 

 一瞬麻痺毒を貰ったような痺れが回るが、一瞬で消えた。

 

 

 

「斬るよ【青薔薇(カラミティ・ヴァベル)】」

 

 

 

 呼応するようにその刀はHPを吸う。

 

 それはアヴァロンの鞘の回復スピード以上の吸収速度。

 

 アヴァロンの鞘のお陰で、少し耐久出来ているだけとも言える。

 

 

 

「【陣地作成[アヴァロン]】」

 

 

 

 これで、どっこい。

 

 

 

 陣地作成も効果時間が限られている。

 

 

 

「漢なら黙って気合一閃!」

 

 

 

 お前今女の子やんとかのツッコミはいらない。

 

 

 

 両方の鋏が無くなって視野が広くなってよかったですね。

 

 

 

 尻尾一本ではできることが限られているでしょう。

 

 八つの足で頑張りますか?

 

 方向転換どころではないでしょう。

 頑張って刺すには的が小さいでしょうに。

 

 

 

「ヴォーパルストライク!」

 

 

 

 

 

 金晶独蠍を貫通する一本の線が伸び、ポリゴンとなって散った。

 

 

 

 

 

 

 

「装備勝ちってとこかな」

 

 

 

 

 

 

 

 【青薔薇(カラミティ・ヴァベル)】を納刀すると薔薇は幻想のように消えた。

 

 

 

 

 

「短期決戦にはいいかもこれ」

 

 

 

 ここ数日太刀を振りまくっていたので、妙におさまりがいい。

 

 毒を吸わせ名を呼ぶことでツタが使用者を次第に覆う。

 

 一度使用開始すると戦闘終了までHPを吸い続け成長し続ける。

 

 使用者のHPを吸いつくすと砕け散り、再度使用可能まで2日。

 

 

 

 STM(スタミナ)とAGI(敏捷)に吸収したHPの定数に合わせて増加、と。

 

 

 

 自動回復アイテム前提運用じゃねぇかこれ!

 

 

 

 

 

 

 

 まぁ、運よく使える構成をしているので、使うが。

 

 

 

 キリトはドロップアイテムを回収しつくし、隠密のように奥古来魂の渓谷へ降り、瘴気に隠れながらエイドルトへ向かい、セーブポイントを更新した。

 

 後レベルがカンストした。

 

 

 

 

 

 

 

 〇

 

 

 

 

 

 

 

「おめぇが居ねぇ間にこっちのウェザエモンは眠りについたとよ」

 

「わ…わぁ」

 

 

 

 数日、剣士と渡り合ってたらこっちの剣士、倒されてました。

 

 

 

 ……まぁ、私違う方のウェザエモンさんとバトルする予定まだあるからいいんですけどね(強がり)

 

 




・アヴァロンの鞘と花について。

 アヴァロンの鞘の分け身をモンスターにぶち込むと花を咲かせます。

 あれ、これポケモンのやどりぎのたね…

 モンスターから咲く花はモンスターの種族細別によって様々。
 その花を採取するとやばい能力が出現することも…?

 花なので基本的に時間制限と耐久能力がくそシビア以外はぶっ壊れ。

 キリトは今のところ気が付いていない模様。

・キリトの今後の7つの最強種戦について。

 キリトはユニーククエストAnotherを受注している関係で通常のユニークシナリオを受注することが出来ません。
 クリアすれば受注できるんじゃないですかね。
 
 なお、ツチノコPよりもやばい事象を水面下で起こしている模様。
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