何も知らない鳴坂和人くん(22)   作:スティック/糊

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誤字報告感謝なり


鳥アタマ

 

 よし、これ売ってマーニにするぞとウキウキでエイトルドの路地裏からラビッツに向かったキリト。

 

 リスポーンしていないので女性スタイルであることは気にしてはならない。

 

 【凱旋門錠:兎】にてラビッツを訪れるとラビッツの兎御殿の正面にある階段下にたどり着く。

 

 兎御殿まで来ると近くを歩いていたヴォーパルバニーにヴァッシュがいるか聞くと、おとうちゃ――お頭のご友人ですわ!とヴァッシュの所まで案内してくれた。

 エムルちゃんと言うらしく、彼女は“サンラク”と言うプレイヤーをこちらに案内したヴァッシュの娘さんだという。

 サンラクさんは私をしょっちゅう置いてけぼりにしてよくわからないことしてるんですの!とのこと。

 

 

 サンラク、ね。

 ちょうどすれ違っちゃったみたいだ。

 

 

 ヴァッシュと茶しながら随分と良いヴォーパル魂してきたじゃねぇかとおそらく通常で確認できない特殊ステータス的なものの上昇を褒められた。

 性別がころころしていることには一切ツッコミを食らわなかった。

 え、キャスターもよくやってたんで?

 

 で、こちらのウェザエモンさんが逝った話を聞かされたわけだ。

 

 ヴァッシュがアヴァロンにもいるのように、ウェザエモンさんもこっちにいたのね。

 あれか?あの時セツナさんの墓でクエストフラグ勝手に折ったときのアレか⁉

 

 ……もしかして俺、こっちのほう挑戦できない?

 

 ま、まぁ?あっちでバチバチにやりあってるからいいんですけども?

 何度でも軽率に挑めるのが強みみたいなところあるし?

 

 

 必死に強がったが、ゲーマーとしてやっぱつれぇわ。

 

 

「で、おめぇさん武器の一つに認められたみてぇじゃねえか」

「…あ、これですか?」

 

 ヴァッシュに言われ、先ほどなんかいい感じに暴れた青薔薇の太刀を取り出した、

 

「あぁ、こいつぁ俺等が随分と昔に作ってな」

 

 ヴァッシュがそれを手に取り、しみじみと呟く。

 ああ、向こうの俺等が焼き入れなおしたのかと太刀を見ながら言った。

 

「ちったぁ雪辱を果たせたみてぇじゃねえか」

 

 どこか嬉しそうにヴァッシュは言う。

 青薔薇の太刀、なんか透明感的にクリスタルっぽいなーなんて思ったけど、キャスター時代からの何かがある感じなんですかね。

 

「来な」

 

 ヴァッシュに案内されまた倉かな?

 と思いきや、今度は鍛冶場だ。

 

「おう、ビィラックいるか」

「どうしたんじゃ親父って、その太刀!」

「ああ、いい面になったからよ」

「い、急いで炉の準備するけぇ!」

 

 ……おっと?

 

「黄金独蠍に勝って来たんだろ、素材だしな」

「わかりました」

 

 ちょっとインベントリアに潜って、黄金独蠍の素材一式を取り出した。

 

「ああ、こいt―――おい阿呆、何やった」

「……すこしテンション上がりまして、黄昏のかけらを少々」

「……混ざり始めだからよかったものの、水晶巣崖がちょっとした地獄になるところだったじゃねぇか」

 

 ……ヤヴァイことしてしまったみたいだ。

 黄昏のかけら、ちょっとレア鉱石くらいにしか思ってなかったんだけども。

 

「このまま保有しているとまた気狂いしているときにやってしまいそうなのでヴァッシュに預けます」

 

 保有してる残りの黄昏のかけらをすべてヴァッシュに渡した。

 

「ああ、責任もって俺等がしまっておく」

「お願いします」

 

 そう言ってヴァッシュが懐にしまった。

 

 もしかしてですが、ユグドラシルで黄昏と言ったらラグナロク的なあれがあったかもしれないんでしょうか…?

 

 ―――気にしないことにしよう。

 

 

 

 英傑武器の再構築。

 

 それがヴァッシュの行った工程らしい。

 

 刀身は少し細く、透き通っていた箇所に赤と紫のバラがツタは細い金色で棘が星の様に伸びている。

 鍔のデザインが平面的なものから、立体的な青薔薇に。

 柄は太刀の拵え。

 

 

 キリトの内なる少年心が揺さぶられ、感動した。

 

「【青薔薇・哿(エネイブル・ハーツ)】それがこいつの名だ」

 

 前の名前も廚二くさくて嫌いじゃなかったんだけど、災難から可能性に変わったのはちょっとムネアツ。

 ネーム的に弱くなってるとか言ってはいけない。

 

「いつかは世代を食えるようになりゃ、またコイツは姿を変えるだろうよ」

 

 そんな意味深な言葉をヴァッシュは残し「俺等(おいら)はちょいと出かけてくるぜ」と何処かへ行ってしまった。

 

 鞘、無いなったな。

 

 アヴァロンの鞘に納めておくか。

 

 アヴァロンの鞘を出して、納刀。

 

 ……鞘、お前可変式だとは察してたけど太刀も収まるんだな。

 

 タチ、猫、鞘、元鞘、誰でも受け止める、う…頭が……

 

冗談はさて置き、腰に太刀さして、抜刀。――うん、満足。

 

 

「――――」

 

「大丈夫?ビィラックさん」

 

 

 目玉が零れ落ちそうなほど、ポカンとしている彼女に声をかけるが言葉にならないように口をアワアワとさせている。

 

 

「そ、そそそそそそそそお!?」

「バグった」

 

「その鞘!見せてくれ!」

「あ、はい」

 

 

 ―――ビィラックは3分程だいぶヤバい顔でそれを眺め続けた。

 

「・・・」

 

 

 ―――ビィラックはさらに5分ほど刀身を抜いてだいぶヤバい顔でそれを眺め続けた。

 

「はぁはぁ」

「ちょっとまて」

「―――はっ!?」

 

 

 ―――ビィラックは息を荒げそれを舐め始めそうになったので、流石に止めた。

 

 

「す、すまんの。昔話に聞いただけでまだ見たことなかった太刀が、伝説に包まれて、その我を失ったんじゃ」

「お、おう」

 

 ……武器キチだ!

 

 キリトはビィラックを武器キチカテゴリーに振り分け、覚えた。

 

「ん、なんか失礼なこと考えんかったか、わりゃ」

「気のせいよ。ウッドフェアリー」

 

 ビィラックにそっとジト目を向けられたので誤魔化した。

 

「まぁええ。親父の友人ならそんなもんじゃろ。親父に任せるほどのもんじゃなければワシが直しちゃる」

「助かるわ。あ、兎御殿で換金できるところってある?」

「それならピーツのとこじゃな」

 

 

 

 

「こんにちは行商人さん」

「……あ、誰か思ったらあんときのあんちゃんか。何時の間に玉とったん?」

 

 すこし移動してピーツを見つけた。

 あの後ごっつ大変やったんやからなーと言うピーツのぼやきを聞いた。

 

「とったというか別の所に隔離されたというか…まぁいいでしょ。次に会う時は多分戻っているわ」

 

 さよか、なんて言われつつ水晶巣崖にて獲得したもろもろを買い取れるか聞いた。

 

「んー、買い取りが出来んことはないんやけど、宝石匠に頼んだ方がええなコレ」

「そっか」

「あ、兎御殿で用済ますんならエフュールねぇちゃん紹介したるわ」

「それは有難い」

 

 

 

「エフュールねぇちゃん客やでー」

「あら、鳥の人とは違うてお父さんのご友人はこっち来てくれはったんやな。おいでやす」

 

 鳥の人‥…ああ、サンラクと言うプレイヤーか。

 彼も似たようなことをしているみたいだ。

 

「お忙しい所すみません、こちらお近づきの印に」

「あらあら、そんな気を使っていただかんでも」

「自分には手に余るものですから、要らんようならお手数ですが適当に投げといてください」

「そこまで言われたら受け取らんとうちがわるぅなるわ」

 

 キリトの経験上、京ことばの人にはとりあえず下手に出て後悔することはない。

 

「ワイにはなんかないん?」

「ああ、忘れてた。ご紹介ありがとう」

 

 そう言って適当な宝石をアイテム欄から取り出しピーツに渡した。

 おおおきにーとそれを受け取るや否やピーツは帰っていった。

 

「……なんやうちの弟がご迷惑かけとるみたいでえらい恥ずかしいわ」

「彼はああいうものだと思っているのでお気になさらず」

 

 

「それでぇ、どういった御用なん?」

「水晶巣崖で色々取って来たのはいいんですが、活用に困ってまして」

 

 金策になると思ってちょっとよく出し過ぎたみたいです、とキリトが言うとエフュールはキリトが取り出したいくつかの宝石を選んで摘まみ上げた。

 

「うちもあまりマーニ持ち合わせてるわけやないから、物々交換でよろしければ好きに持っていっておくれやす」

「あ、そうだ。この素材でこんなの作れますか?」

「どれどれ…?」

 

 キリトが街で見かけた紙束の一部にさっとイラストを描き起こした。

 

 名付けてSDランスロット。

 コードギアスに登場するかっこいい機体ランキングで上位に君臨するランスロットをSDガンダムのようにデフォルメしたものだ。

 

 妹のご機嫌取り用?

 それ以上はいけない。

 

「ああ、これならできますよぉ」

 

 その言葉にキリトがガッツポーズを取ると、エフュールはでもこれだと貰い過ぎになって舞うから、とアクセサリースロットを開けてくれるという。

 

 キリトは既に有するアクセサリースロットはインベントリアで埋まっていたため、その申し出は有難かった。

 

 キリトがリィンに眼鏡を貰ってすぐに装備できなかった理由がそれだ。

 エマさんから貰った眼鏡?あれは頭装備。

 絶対に眼鏡をかけさせるという圧を感じたね。

 

「ちょっぴりちくってしますねぇ」

 

 と言いながらいつの間にか眼鏡を装備したエフュールに数か所とんと叩かれた。

 

 ……これがアクセサリースロット解放される感覚、不思議だ。

 

 

 キリトはエフュールに何日か経ったら来てくださいねと言われ、エフュールの店を後にした。

 

 

 

 〇

 

 

 

 さて、金策をどうしようか。

 

 ダメもとでエマさんに「水晶巣崖のアイテム買い取りませんか」と連絡を入れたら「あ、助かります」と買ってくれた。

 

 そこそこ良心的な価格で。

 取りに行くのめんどうな時はまたお願いしますね。

 あ、倒せないとは言わないんですね。

 昔取りすぎてメタ対策された?どんだけ狩ったんですか。

 

 水晶巣崖の水晶は色々付与しやすいので、とまた新しい眼鏡を貰いつつ、金策は解決した。

 エマさんにはカモが要るらしくマーニには困っていないので眼鏡によさそうな素材はいくらでも買い取るという。

 

 クリスタルスコーピオンの素材10セットと宝石をいくつかを下ろし、16億マーニを手に入れたキリトは宇宙猫を背負った。

 

 

 

 〇

 

 

 

 大金を手に入れたキリトは一億マーニ以外をインベントリアに突っ込んで再びラビッツへ。

 兎御殿に一歩足を踏み入れた瞬間、転移魔法を食らった。

 

「あらぁ、マーニたくさん持ってる匂いをしてるじゃなぁい。スキルの秘伝書はいかが?」

 

 キリト、銭ゲバ兎との初邂逅である。

 

 特技剪定所、それがこの場所の名前らしい。

 

「……また新たな銭ゲバ被害sy――げぼぁ!?」

 

 そしてそんな様子を暖簾越しに見る上裸の鳥アタマ。

 

 あ、でっかいフラスコ顔面に打ち当てられた。

 

「さ、サンラクさぁん!」

 

 あ、エムルちゃん彼がサンラクなのね。

 

 

 

 




・サンラクについて

 墓守のウェザエモン討伐後エーテルリアクターをビィラックに修理できない?って聞きに来るついでにスキルまとめに来た所。

 旅狼の結成直後くらい。
 キリトがエムルに遭遇できたのは偶然。

 キリコ状態が初邂逅なので再度通常時のキリトと遭遇するとあるぇ?する。
 そのタイミングはルルイアス脱出後なので「え、アレの存在(青の聖杯)知ってたのかあいつ」ってキュートな鳥目で膝を着く。

 ツチノコさんよりツチノコしてるので滅多に会えない模様。

・エマさんのカモ

エマ「はい、天秤出してください」

??「おかのした」
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