何も知らない鳴坂和人くん(22)   作:スティック/糊

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誤字報告感謝です。


鳥面

 

「その、あなたは縛りプレイをするタイプの変態でしょうか」

「はぁ?!違いますけど!」

 

 

 そのセリフが出てきたのは悪くないとキリトは他責思考のように責任転嫁する。

 頭は青い鳥の面、上半身は裸。

 と言うか装備しているのは初期のR指定を守るためだけに存在するインナーに腰装備とは名ばかりのアクセサリーが付いているだけ。

 

 これを見たら“変態”か“ネタロールの走者”と言う感想しか出てこないだろう。

 

「コレ、呪で装備できないだけだから!こっちだって良い装備着てぇよ!」

「ソウナンデスね」

 

 そう言って彼は体に刻まれたアザの様な模様を指さした。

 あー強制的に縛られちゃってる方でしたか。

 

「あ、おま、なんだその残念そうな人を見る目は!」

「難癖付ける平成初期のヤンキーでしょうか」

「ちがいますぅー!」

 

 この青い鳥めっちゃ愉快。

 と言うか鳥の面が一体化しちゃってると思うレベルで顔面に揺れがある。

 

「ごめんなさい、これ詫び眼鏡」

「お、お?まぁ良しとしとくか」

 

 エマさんから貰った眼鏡ロンダリング。

 メガネ装着者が増えるなら彼女も許してくれるだろう。

 

「これアクセサリーじゃなくて頭装備か……ってめっちゃ性能いいじゃん」

 

 彼は、あっさりと鳥面を外して眼鏡を装備した。

 ……強いこだわりがあるとかではないんだね。

 

「あ、でも頭装備でパリィ出来ねぇから出番なさそうだな…」

 

 頭パリィis何?

 いや、眼鏡のフレームでワンチャン?とかすごい怖いこと言ってる。

 このサンラクって人怖い!

 

 彼は恐るべきメニュー操作で鳥の被り物に戻った。

 

「青い鳥に拘る…ラック重視?」

「いや、ラック俊敏優先の軽戦士ビルド」

「となるとその呪い結構最初の頃に受けた呪いな感じ?」

「ああ、そうだな」

 

 Lv.17の時だったな、と彼は言う。

 序盤でそんな縛りプレイを決めるとは、下手をしたらアカウントリセットしそうなものだが、それでここまでやっていると言うことは中々のガッツのあるプレイヤー、このラビッツで言うならヴォーパル魂強めの男ってところかな。

 

「あ、キミがウェザエモン討伐したって人?」

「そうですわ」

「あ、ちょ、エムル!?」

 

 そう言えばと気になって聞いてみると彼ではなく、エムルちゃんがそれを肯定した。

 

「別に情報集ろうって訳じゃないから」

「あ、そう」

 

 この様子を見るとラビッツ外では追い掛け回されているのかな。

 

「ただ、セツナさんは成仏できたのかなって」

「………え、知ってるの?」

 

 安心している彼にそう尋ねるとものの見事に目を点にした。

 

「秘匿の花園を偶然見つけてしまいまして。ウェザエモンには挑めてないの」

「下手するとウェザエモン戦被ってたってことかよ!?」

 

 ……なんか勘違い起きてるっぽい雰囲気だけどこっちにもその方が都合がいいから流してしまおう。

 

「その日はちょっと…別の剣士とバトルしてて、今日ログインしてからウェザエモンが討伐されたってヴァッシュから聞いたの」

「そういう事か」

「だからあの墓で嘆いていた彼女の無念はどうなったのか、それが気になっただけなの」

「ちゃんと笑って逝ったぜ」

「なら良かった」

 

 自分が踏めなかったユニークが故に、遠回しに情報をゲット。

 ……こっちのウェザエモン切ってみたかったなー、向こうのウェザエモンに頼めば再現戦できるかな。

 

「えーっと、お前も[兎の国からの招待]受注してこっちに?」

「いいえ、私は別のユニーク関連で」

「他にもあんのここ来るユニーク!?」

「みたいね」

 

 彼からしたら自分だけが握っていたユニークを他者にも見つかって焦っている、と言った所か。

 

「私は[兎の国からの招待]の発生条件を知らないから安心して」

「お、おう」

「察するとすれば、ヴォーパル魂が一定以上のプレイヤーにエムルちゃんみたいな案内兎が派遣される、ってところかしら」

「仮にこれが当たっていたとしたら察し能力がいいってレベルじゃねぇぞ!?」

「仮定は仮定、試そうとも情報の流布もしないわ」

「そうして頂けると非常に助かります!」

 

 なんか条件的にすごい、モノすっごい当たってる気がするとサンラクは震えた。

 

「……口止め代わりにうちのクラン入らないか?」

「私エンジョイ勢だからそう言うのはちょっと」

「断られたこん畜生!」

 

 彼はこのラビッツの情報制限を意地でも行いたいらしい。

 ‥…[兎の国からの招待]ってそんなにうま味のあるクエストなのだろうか。

 

 ウェザエモンがあちらに居て、こちらにも。

 ヴァッシュがあっちにもこちらにもいるから、彼も秘匿されるようなモンスターの可能性があるという事か。

 

「なんとなく秘匿したい理由は察した。ウェザエモンとかタコとか歌姫とかそこら辺の情報で優位に立つ、クラン的な優位性も存在するという事でしょう」

「……え、何なのその察し能力!?」

「この程度普通よ」

「そんな普通あってたまるか!?」

 

 いやまて、鉛筆とかならやりかねないな?とサンラクは思考をリセットした。

 

「私の気が変わらない限り流布することはないわ。ここに人が増えたら困るの」

「お、おうそいつは助かるぜ」

「下手をすると普通に強いだけの人より奇抜で突拍子もないことしそうな人敵に回したくないもの」

「ま、まるでサンラクさんの奇行を見てきたような口ぶりですわ!」

「やっぱりそうなんだ」

「エ~ム~ル~!!!」

 

 お隣のエムルちゃんを絡めれば何でも情報を吐き出してくれそうだが、やりすぎて危険視されるとめんどくさい。

 エムルちゃんをモチモチしているサンラクを眺めつつ、どうしたものかと思考。

 

「ねぇ?そろそろ何か買っていってほしいのぉ」

「あ、ごめんなさい。スキル合成、だったかしら。まだスキルの確認が済んでないから秘伝書あったら貰える?」

「あらぁ、残念。ここにある秘伝書はこんな感じよぉ」

 

 そう言えばココは特技剪定所(スキルガ―デナー)だったことを思い出す。

 一応、本当に一応チュートリアルは受けたはずなのだが、町案内を受けるなりレッツラゴーしてしまったので簡単な流れしかわからないが、スキルとスキルを合体して新しいスキルを作るみたいなアレだったはず。

 ……あってるよね?

 

 半日前まではレベル50未満だった身ではどのスキルのレベルが上がってどんなスキルが増えたのかを確認しきれていないのだ。

 なので秘伝書のラインナップを聞いてみた。

 

 ズラッと並ぶのは致命〇術……名称的にどれも近接主体だ。

 

 ヴォーパル魂と言うのはこそこそしてないで正々堂々ジャイアントキリング的な感じなのかもしれない。

 ……使わない訳じゃないからね、色々な検証してみたいし――

 

「100万マーニで全部揃えられますか?」

「あらぁ!お金使い豪快な人好きよぉ」

「ブルジョワかお前!」

 

 ウッキウキで秘伝書を取りに行った銭ゲバさん……そういえばまだ名前知らないな。

 彼女が奥に入っていくのを確認しつつ、彼が落ち着いたことを察した。

 

「ちょっとフレンドがいい感じに買ってくれた素材があったのでリッチです」

「まさかお前新大陸組か!?」

「いえ?まだエイドルトまでしか行ってないけど」

「つまり、エイトルドまでの道のりに金策が!?」

 

 ……彼は金欠なのだろうか。

 

「あまり癖の強い稼ぎ方をするとメタ対策されるらしいけど、良い稼ぎ場ね」

「それ、教えて頂けたりとかぁ…」

「あなたならウキウキで見つけそうなところよ」

 

 キリトは彼が生粋のやべぇプレイヤーであることを察しているので、挑むのも時間の問題だと思われる。

 

「はぁい、用意できたわぁ」

「ありがとう」

「豪快にお金使ってくれたからぁ、オマケも付けちゃった」

「釣はいらないわ、持っていって」

「そうするわぁ!」

 

 オマケは後で確認しよう。

 

 

 オノレ、オノレ、ブルジョワジー!そんなことを言いながら床に丸まるサンラクをスルーし、特技剪定所を後に―――

 

「俺サンラク!フレンド登録しようぜ!」

「……あなたのテンションの上下でグッピーが亡くなりそうよ」

「え、ああ。この程度じゃグッピーしなねぇから大丈夫」

 

 そんな良い感じに親指を立てられても。

 後、俊敏凄いな。

 まぁ良いけど、とキリトはサンラクからのフレンド登録を受けた。

 

「ほーん、女のアバターなのにキリトって珍しい名前してるんだな」

「ええ、男だもの」

「……え、それで男アバターなのか!?」

「今のアバターは女性ね。ユニーク関係で性別をコロコロされる場合があると教えておくわ」

 

 これも口調ロックされている状態ね、とキリトはボトっと情報を零し、その場を後にした。

 

 

「いや、爆弾置き逃げしないで!?」

 

 

 無視して逃げるように彼の死角に入った瞬間【凱旋門錠:兎】を使用し、逃げた。

 

 サンラクはものの見事に逃げられ、ほんの少し自分を追っかけていたプレイヤーの気持ちがわかったような気がした。

 

 

 〇

 

 

「スキルチェック、スキルチェック」

 

 キリトは【凱旋門錠:兎】でラビッツを離れ、その後すぐに再度ラビッツに戻った。

 とんぼ返りしているとは思うまい。

 出るときはどこからでも出られるが、入場場所は固定であるため兎御殿前の階段下に着いたキリトは慣れたようにその場を飛び降り、ヴァッシュに案内してもらった開けた空間にてアヴァロンへ飛んだ。

 

 

 

「マスター、戦術機扱いが荒くないですか?」

「気のせいよ」

 

 ヴァッシュに土産として途中の町で買ったニンジンをお供えし、広大なアヴァロンにてキリトはスキルチェックを始めた。

 

 

 PN:キリト

 Lv.99 extend

 

 job:花の魔術師

 subjob:赤き弓兵

 

 HP(体力):55(+50)

 MP(魔力):125(+500)

 STM (スタミナ):105

 STR(筋力):55

 DEX(器用):60

 AGI(敏捷):65(+13)

 TEC(技量):60(+60)

 VIT(耐久力):51

 LUC(幸運):105

 

 スキル

・投影

・千里眼

・陣地作成[アヴァロン]LV.3

・高速詠唱

・重ね模した理想郷[レイヤー・オブ・アヴァロン]

・英雄作成

・桜→桜花 NEW

・霞

・薔薇

・百合

・馬鈴薯

・杜若 NEW

・菖蒲 NEW

・紫陽花 NEW

・カーネーション NEW

・紋枯 NEW

・剪定[花]NEW

・一番華 NEW

・剣弁開花 NEW

・遮光 NEW

・アインクラッド流:ホリゾンタル

・アインクラッド流:ホリゾンタル・アーク

・アインクラッド流:ホリゾンタルスクエア

・アインクラッド流:バーチカル

・アインクラッド流:バーチカル・アーク

・アインクラッド流:バーチカル・スクエア

・アインクラッド流:ソニックリープ

・アインクラッド流:ヴォーパルストライク

・アインクラッド流:ノヴァ・アセンション

・アインクラッド流:ライトニングフォール

・アインクラッド流:メテオブレイク

・アインクラッド流:スピニングシールド

・八葉一刀流:螺旋

・八葉一刀流:疾風

・八葉一刀流:業炎

・八葉一刀流:紅葉

・八葉一刀流:残月

・八葉一刀流:緋空

・八葉一刀流:無

・八葉一刀流:無手

・八葉一刀流:観の眼

・八葉一刀流:神気合一

・八葉一刀流:七ノ太刀・落葉

・八葉一刀流:八葉一刀・無仭剣

・華ノ太刀・緋薔薇 NEW

・剣舞[葬送] NEW

・クイックトス NEW

・螺旋大樹 NEW

 

 

 ……ほんとにスキルいっぱい生えてきた(棒)

 

 スキルは確かプレイヤーの行動の影響で生えたり進化するんだったか。

 そう考えるとあまりスキルを使っていないな。

 つい、人力でどうにかしようとしてしまう悲しき幕末のニュービーの名残か。

 華ノ太刀・緋薔薇、スキルとしてそのまま認識されるのか、すごいなシャンフロ。

 

 こう見ると、リィンさんだいぶ豪華なものくれたな…?

 和人は魚と試合の結果がこれになったと思うと少しばかり申し訳なさを覚えてしまう。

 

 頂いた技は腐らせないようにしなければ。

 

 片っ端からスキルチェックを行い、見間違えかと思った剪定[花]は魔力を消費し、疑似的にその場でプランニングできるようになってしまった。

 半分人力TAS染みたことを要求されるが、これバレたらまずい。

 

 キリトはしばらくアヴァロンに籠ることを視野に入れた。

 

 




・剪定[花]

 花の魔術師:固有スキル
 一つの動きを用いるスキルと[花]のスキルをMP消費することで合成した特殊スキルとして発動可能。 


・特技剪定所お支払いについて
 アニメ、漫画等の内容に割引込みで30万マニーくらいかもしれない。
 されどアニメの「ひみつ」枠を捏造したいそんな思いで男の100万マーニ
 銭ゲバの好感度はシンプルに上がった。


・ステータス計算について
 
 サンラクのLV.1時のステータス項目合計141を参考
HP(体力):30
MP(魔力):10
STM (スタミナ):20
STR(筋力):10
DEX(器用):15
AGI(敏捷):10
TEC(技量):15
VIT(耐久力):1
LUC(幸運):30

  +

 レベルアップ値98 1につき5ポイント 98*5=490
 Lv.99到達ボーナス 50ポイント

 =アレ。

 アバロン内での遭遇ボーナスはありません。
 ステータス値はガバってたりおかしいな……
 となったらサイレント修正するかもしれません。
 (+○○)はジョブ補正。
 武器と防具補正、征服換装補正も含んでいない状態になります。
 
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