何も知らない鳴坂和人くん(22)   作:スティック/糊

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誤字報告感謝

ここ好き機能を使用すると作者の口角が露骨に上がるので軽率に使っていきましょう。


GGCの余波/探索

 GGCから一夜明け、和人はカムラに出社していた。

 

 地下の駐車場から降りてくる和人の足取りは非常に重い。

 

 GGC3日目は見ず、自宅で惰眠に耽っていたのだが、祖父母宅から帰省していた妹がこちらに戻ってくるなり一言。

 

「ちょ、兄さんネットニュースになってるよ?!」

「ふぁ?」

 

 そこで和人はGGC2日目のアフターパーティーにてのゴタゴタの終わりごろにstarRainがやらかしたのを知った。

 

 “博士の作ったキャラクターの実装待ってまーす”

 文面は英語だが緩い翻訳をすると上記のとおりである。

 

「訴訟案件絡まったらめんどくさいって…」

 

 シルヴィア選手が公衆の面前で言ったのだ。

 ……本当に勘弁してほしい。

 

 そう思い一応カムラの社有携帯を確認すると、とてもたくさんのメールが来ていた。

 すごい量の問い合わせが来てるですけど!?とのメール。

 

 ……お盆期間で一応会社は休みのはずなんだがな。

 なんて思いながらも想定されることの経緯をメール、会社のHPに公式声明文を出してもらった。

 

 実装はせんぞ。

 

 そんな和人の思惑とは別に、GHレーベルの日本支社がアポを取って来たという。

 ……え、断れない?

 

 カムラのアメリカ営業所の方でもすごいことになっててやばい?

 どう考えても俺の胃の方がすごい事になってると思う。

 アメコミの人気舐めてた。

 

 

 そんなことがあって和人の歩みはめちゃくちゃ重かった。

 

 8:30の出社時間を遅らせてやろうかと思ったが、一応は社会人。

 ものすごくいやいや出社した。

 

 責任は自分にあるんだけど今度からこんなサービス的な施策は絶対しない。

 そう和人は誓った。

 

 機密情報だからサクッとデータ消した。

 うん、そう言うことにしておこう。

 

 和人はこの面倒な状況から如何に逃げようかを考えていた。

 

 あの時しっかりと口止めをしておけばこんなことにはならなかったのに。

 

 一応自分が蒔いた火種なのでちゃんと火を消すなりしないといけない。

 これが社会人の辛い所である。

 

 皴皴のピカチュウのような表情で、営業開始時間と同時に飛び込んできたGH社のメディアミックス担当者との打ち合わせを開始した。

 

 

「初めまして、鳴坂博士。GHレーベル日本支社の日野と申します」

「どうも、鳴坂です」

「早速ですが博士のヒーローのコミカライズ!いえ、まずはGH:Cのキャラクターとして登場させてみませんか!」

「あ、そういう時間無いので」

 

 忙しい身なんやでと和人はさらっと断る姿勢に出た。

 しかし、日野は粘る。

 

「そこを、そこを何とか!」

「いや、検査用の一発ネタですし」

「私たちGHレーベルはその一発ネタが、ネイティブアメリカンなアメコミ育ちのシルヴィア選手をうならせた。そんなヒーローが見たいんです!」

「え、えぇ……」

「日本のみならず世界中の同人からネットワークまですべて漁っているアメコミジャンキーがそんな新鮮なネタ逃すわけないでしょう」

「え、えぇ……」

「類似作だと急に湧いてくる馬鹿は制圧します、ポリコレには屈せず決して改ざんなどさせません!なのでどうか、博士に過度な迷惑をかけることはこれっきりです。どうか、ヒーローを!」

 

 安易な土下座ではないキッチリとしたスーツの男の熱意に和人はあっさり負けた。

 

「はぁ……これに味を占めないでくださいね」

「ありがとうございます!博士の英雄は必ず、必ず守りますので!」

 

 テストに使ったものの調整を入れていない初期状態の物を机に置いた。

 

「ここにシルヴィア選手がテストに使用したモデルの入ったゲームがあります」

「おおっ!」

「5+EXのステージが用意されています。そのすべてを攻略するとステージの元になったキャラクターの設定資料が出てきます」

「……つまり?」

 

「ゲームをクリアしてから。まずはそこからです」

 

「やってやりましょう!」

 

 GHの日野は奮起した。

 必ずしもこのヒーローを表の世界に出して見せると。

 

「……Star Rainと協力させて頂いても…」

 

 だが日野はすぐに思い出した。

 あ、コレ格闘ゲームの全米一位が敗北した奴じゃん、と。

 

 これ一般社員が老人になってもクリアできないのでは…?

 

 故に直ぐにアメリカ本社でコネのあるStar Rainの名を上げた。

 

「初回から一か月シルヴィア選手は禁止。それ以降は解禁と行きましょうか」

「その心は」

 

「テスト内容ゲロったペナルティーです」

「あぁ…」

 

 おそらく一番楽しみにしていたであろうシルヴィア選手に黙祷を捧げた日野は、ゲームクリアできないような奴に預けるキャラはいねぇと言われたのだと、和人に礼を言いカムラ社を後にした。

 

 日野はちょっと情報の先っちょだけでも、とプレイしダークヒーローな側面を持つようなスパイダーマンに心を撃ち抜かれつつ秒で敗北した。

 

 

 なお、この交渉の結末を聞いたシルヴィアは“ま、まぁケイに負けてこれからバカンスだから、最初の一か月ぐらいは耐えて見せるし?”と強がったがその目元にはうっすらと涙を浮かべていた。

 自身よりも長い事あのヒーローたちと争うであろうチームメイトへの嫉妬もわずかに存在したのは確かだ。

 

 一方魚臣慧はカムラのスポンサーに期間前にアクセス権が消失していることを問い合わせるも、博士が現地で最終戦を観た結果と返され泣いた。

 

 

 

 〇

 

 

 

「やぁキリト、なんだか大変みたいだね」

「もう二度とあの類のサービス精神は出さないことを決めた」

 

 シャングリラフロンティア内にて。

 完全に仕事で疲れ切った状態になりつつも約束の類いは果たすタイプのキリトはアリス・ユージオと待ち合わせをし、エイトルドから去栄の残骸遺道を踏破し、イレベンタル、無果落耀の古城骸を経由し旧大陸からの末、フィフティシアを目指すことに。

 深澄さん、もといミトは所用で参加できずとのこと。

 

 最近体を動かすことがストレス解消になっている気がする、とキリトは少し遠い目をしていた。

 

「さて、リアルは忘れてゲームだね。まずは去栄の残骸遺道のエリアボスであるオーバドレス・ゴーレムの討伐から」

「そうだな。暴れて落ち着くことにする」

「キリトは随分とアグレッシブなんだな」

「幕末に汚染された結果かもしれないな」

「浄化、浄化しなきゃ…」

 

 必死に幕末の汚染を除こうとする旦那と引きずり込むタイプの嫁と言う不思議な夫妻に巻き込まれながら去栄の残骸遺道を歩み始めた。

 

 

「僕とアリスは片手剣ベースの魔法剣士。レベルは99まで上げてあるから不測の事態には陥らないはずだよ」

「ああ、それなら俺はバッファーでちょうどいいな」

「「えっ?」」

 

 パーティーを組みながら自身の戦闘スタイルの話を始めた。

 キリトのJOBは完全に後衛職のため、前衛2に後衛1ならちょうどいいかと話したつもりだが、アリスとユージオは驚愕した。

 キリトが後衛?

 何ならスペキャを背負っている。

 

「後衛職、後衛職って言うと……あれ、原作のイメージが先行しすぎて後衛にいるイメージが一切起きない」

「銃ゲーで光の剣一本で弾丸切り飛ばすキリトが後衛…?」

「なんという言われよう」

 

 あ、でも剣も使うぞと弓と剣を取り出す。

 

「「戦闘スタイルがアーチャー!」」

 

 この夫婦息ぴったりだな、なんて思っていると弓と剣を出しただけでここまでリアクションしてもらえるとなんかうれしい。

 

「キリトが赤い弓兵だとするなら僕はcv的に指揮役になるんだけど…」

「お前もアーチャーにならないか」

「ならないよ?!」

「私は式部だからキャスターしておけばいいか?」

 

 ユージオがcvネタでツッコミを入れ始めたのでキリトは全力でボケ始めた。

 アリスも乗った。

 ユージオお前ぐだ男兼アルジュナちゃうんか。

 

「それはさて置き、メインはバッファー機能だ」

「赤い弓兵のバッファーとは」

「花の魔術師の方のバッファーだな」

「属性が玉突き事故起こしてるじゃん!」

「太刀も振るうぞ」

「いろいろ混ざりすぎだよ!二刀流の剣士どこ行ったの!?」

 

 赤い弓兵単体までが二刀流の許容範囲だと思うんだけど!とユージオがツッコミを入れてくれるのでキリトは大変気分が良かった。

 ボケが通じるって良い!

 

 いつぞやの語り手を失った悲しきオタク…の暴走する側に落ちたキリトはノリノリである。

 

「ま、しっくり来るいい感じの両刃片手剣が見つからなくてな、知り合いの鍛冶師にでも頼んでみるつもりだ」

「あ、そういう事ならうちの鍛冶師にも頼めるよ。名匠だから腕は確かだよ」

「そうか。古匠じゃないなら神代武器持ち込むわけにもいかんだろ」

「いや初耳ワード!?」

「鍛冶師ジョブ付けた状態でサブジョブに考古学者突っ込んで魔力運用ユニットでレガシーウェポンを調べて仕組みを理解するとなれるジョブだ」

「情報過多!」

 

 GGC前に古匠となったビィラックとの雑談で知った情報である。

 情報料に水晶群蠍の素材置いといた。

 “水晶群蠍のありがたみをワッチは忘れそうになりそうじゃ”なんて言っていた。

 

「ちなみに魔力運用ユニットはここの地下で見つかるらしい」

「ちょっとうちの鍛冶師のお土産に取りに行きたいんだけど良いかな」

「いいぞ」

 

 知らぬ間に古匠と言う未知の情報が与えられることの決まったL氏。

 

「もしかしてだが、キリトはライブラリ以上にヤバい情報をいっぱい持っているのではないか?」

「ライブラリ、とは」

「知らないのか?」

 

 そう言ってアリスはライブラリと言うこのシャンフロの情報を片っ端から集める考察クランの説明をしてくれた。

 ウィキ何それおいしいの、なキリトは完全に初耳な情報である。

 

「wikiは見ないタイプか?」

「完全にドン詰まりするまではゲーム内で拾った情報で楽しむ派だな」

「とりあえず、ユニーク関連の情報はむやみに零さないのが吉だ」

「承知した。やはりサンラクの所もだがクランが情報を囲うのがベタなパターンらしいな」

「いや、ちょっと待って。今サンラクって言った!?青い鳥の面にリュカオーンの呪を受けた裸族の!」

「ん、ああクランに誘われた」

「それだけ情報持ってればそうもなるよ」

 

 あー、サンラクってプレイヤーはクラン立ち挙げたのか、とユージオはうなだれた。

 と言うか墓守のウェザエモンを倒したことはみんな知っている系なのか?

 そう思い質問するとシステムがクリア者のアナウンスをすると言う。

 サンラク・オイカッツォ・アーサーペンシルゴンは今皆が血眼になって探しているらしい。

 サンラクはあまりにも見つからないためプレイヤーの間ではツチノコと呼ばれているらしい。

 ……ラビッツに居ればそりゃ普通のプレイヤーには見つからないか、とキリトは納得した。

 

「今は[墓守のウェザエモン]って言うユニークモンスター、一度しか倒すことのできない7つの最強種と呼ばれるモンスターの内完全に未確認の一角が突然倒されててんやわんやって感じだよ」

「ユニークモンスターの情報を持っているだけで狙われる、と言う事か」

「そう言うことだね」

 

 キリトはユニークモンスター、おそらくアヴァロンにて遭遇したモンスターたちのこちらの姿のことかと察した。

 自身のユニークは徹底的に秘匿する方向に持っていくことにした。

 

「深淵のクターニッド・天覇のジークヴルム・冥響のオルケストラ・夜襲のリュカオーンの4体の存在をライブラリが存在を確認していたのだが、そこに突然の墓守のウェザエモンだ。大慌てにもなる」

「このユニークモンスターってやつは俺tueeeキャンセルする程の難易度と呼ばれていてね。このゲームがサービスを開始して約一年、誰も倒せていなかったと言えばその程度が分かるかな」

「私たちは致命的に遭遇できていなかった感じですね」

 

 リュカオーンには何度か遭遇できたが基本的に皆雁首揃えてアタッカーまみれなので、とアリスは言う。

 天覇のジークヴルム・夜襲のリュカオーンは目撃情報が多いらしい。

 深淵のクターニッド・冥響のオルケストラはまだ目撃情報なし、とのこと。

 

「そんな感じだったんだ」

「まさかだけど、持ってるとか言わないよね?」

「タコと歌姫(ボソ)」

「もー!しっかり持ってるじゃないか!」

 

 こいつ面白。

 

「あ、モンスター寄って来たから殲滅してくるね」

「ユージオ右よろしく」

「オッケー」

 

「【英雄作成】」

「え、ナニコレバフの上昇率どうなってるの!?」

 

 そしてモンスターとエンカウントしたことでサクッと2人は狩り始めたので、今まで使う機会のなかったバフを使用してみることにした。

 テキストとしては対象者の大幅なバフ。

 だが実際にはそれともう一つの効果をもたらした。

 魔力でできた不確かな形の武器の生成だ。

 

「魔力剣、なるほどこれなら[金木犀の剣]ッ!」

 

 [金木犀の剣]……?

 ああ、UW最初の破壊不能オブジェクトのそれだ。

 確かに刀身を無数の花に変える金木犀の剣はこの花の魔術師との相性はとても良い。

 瞬時に再現するとか、すごいな。

 

 彼女は何らかの要因でUWで生まれたキリトの幼馴染だったと言うことか。

 フラクトライトの複製をUW内のNPCと交友させてみる的な感じかな。

 

「え、あ、ちょアリスズルい!」

「残念ですがこればかりは」

「くっ、僕だって武装完全支配術(エンハンス・アーマメント)!!」

 

 ユージオは剣を地面に突き刺すと去栄の残骸遺道に良く出現するらしい無数のゴーレムを瞬間凍結させた。

 対象物に氷の様な青薔薇を咲かせ、それが枯れ落ちると同時に氷は砕け散った。

 

 え、何それ知らない。

 

「初めて振ることが出来ましたが、良いですね」

「まさかできるとは思わなかった」

 

 

 あらかたの殲滅を終えキリトが効果はぶっちゃけよくわかっていないとゲロったところ【自身の記憶に紐づく強い武装の限定的再現】と言うことに落ち着いた。

 ……そんな記憶を読み取れるような出力の装置作ったっけ。

 …作ったかも。

 フラクトライトの実験前にユートピア社からの要求で[ユーザーの知識量]を定義するためのシステムの骨組み作ったからこれできる?って言われて超微粒の電子パルス利用して認識できるように作ったわ。お陰でゲーム内でユーザーがそのこと忘れると反応しなくなる鬼畜仕様になったけども。

 

 まさかここでそれを認識する機能がこんな所にこぼれてくるとか思わんやん。

 

 でもその機能って最初期世代には積んでないから割と新しめのVR機器使ってるぞこの夫婦。

 ……最初期VR機器ユーザーはどうしたのかって?

 そこはユートピア社の領分なので知らないですね。

 

「ほかのバフテストも良いか」

「「もちろん」」

 

 その後2種のバフも試した。

 

【陣地作成[アヴァロン]】

【重ね模した理想郷[レイヤー・オブ・アヴァロン]】

 

 ……Lv.99に盛るもんじゃねえわ。

 

 二人に好評だったのは【英雄作成】

 バフ値的には重ね模した理想郷の方が圧倒的に上なんですけど。

 バフよりも武器振るってればプレイヤースキルがモチーベーションと共にゲロ上がりする?

 左様で。

 

 去栄の残骸遺道で使うには些かオーバースペックな模様。

 

 

 

 マップを探索していると地下を見つけた。

 地下へ何のためらいもなく飛び込んでいった二人を追うようにキリトも飛んだ。

 

「去栄の残骸遺道は神代の工業団地みたいなものでゴーレムが出てくるのはその名残、みたいなことを聞いていたけど、ここまでSFな施設があったんだね」

「これは神代はもっとメカメカした感じと言う事か。プレイヤーの乗れるロボットとか出てくるのだろうか」

「パワードスーツはあるらしいぞ」

「え、あるの!?」

 

 そんなキリトの情報お零しをしつつも明らかにトラップ臭のする扉までの道を歩く。

 すると明らかに地上のゴーレムとはレベルの違うであろうゴーレムが。

 バランスが明らかに上位な感じしていて4つの腕を持っている。

 

「行くよアリス!」

「ああ!」

 

 とりあえずバフなしでプレーヤースキルでも見てもらうね、と軽快に二人は飛び出した。

 

 二人のメイン武装は片手剣。

 色合いが気に入っていると武器性能よりも武器ビジュアルを優先しプレイヤースキルのゴリ押し勢とのこと。

 

 ……くっ、そろそろ暴れても良いよな。こいつ強そうだし。

 キリトはそろそろ動きたくなったので乱入するように二人の背後から叫ぶ。

 

「スイッチ!」

 

 その言葉で二人は綺麗に脇に避けてくれる。

 

「【華ノ太刀・緋薔薇】!」

 

 納刀したままの太刀を持ち、すれ違いざまにモンスターの4つの腕を切り伏せた。

 

「では、天誅」

 

 キリトが腕を跳ね飛ばすとそれを見たアリスが首を跳ね飛ばした。

 

「多少は歯ごたえがありましたね」

「いや、キリトの太刀にツッコミ入れようよ」

「そうですね。全体的に青いデザイン、一瞬見えましたが刀身にバラの意匠がありました」

「【青薔薇の剣】の太刀バージョンみたいなものじゃないか!?」

「ん、これか。ユニークで手に入れた」

 

 門番的モンスターをサクッと屠った3人はキリトの武器についてツッコミを入れた。

 

「うら、うら、うらやましい…」

「ユージオ、貴方直剣でしょう」

「それはそうでも透明な青いバラの雰囲気感じてうらやましいッ!」

「‥…水晶群蠍の素材ならいっぱいあるから、いるか?」

「え、水晶群蠍倒したのかい!?」

「斬るだけだぞ」

 

 ユージオはさりげなく水晶群蠍を攻略しているキリトに驚きを隠せなかった。

 そして斬るだけとあっさり言ってのけ、先ほどの動きを見る限り可能っぽいのがまた何とも。

 

 それはそれとして水晶群蠍の素材は貰い、クランの鍛冶師に依頼したろと決意した。

 

「ロック、されてるね」

「斬りますか」

「切断なら任せろ」

「なんでそういう方向に行くの幕末汚染組は!」

 

 誰もトレジャーハンターのジョブを持っていなかったため、じゃあ斬るとキリトが構えると扉は空いた。

 

「神代の武器がカギだったとかそういう落ちか」

「え、それ神代の武器なのか」

「おおよそ、そうらしいぞ」

「なんか驚くの疲れてきた気がする……ってラボだ」

「ラボだな」

 

 地下は結構盲点だったね、何ていう二人とラボ内を探してゆく。

 

 キリトは魔力運用ユニットを3基見つけ、二台パチって一台をユージオたちに渡した。

 

「これが魔力運用ユニット。VR機器被るみたいな感覚で装備すると情報が見れるらしい」

「こ、これが」

 

 二人に魔力運用ユニットを渡し、キリトはラボ内の面白そうなものを片っ端から[格納鍵インベントリア]にしまい始めた。

 

「……キリト、インベントリを最大拡張でもしているのかい?」

「いや、外付の倉庫。取り込むサイズ制限はあるけど実質的な無制限倉庫だな」

 

 そう言ってキリトは耳に装備した[格納鍵インベントリア]を見せる。

 

「そ、それもユニークかい」

「そうだな。ウェザエモンを撃破したサンラクも持っていたから7つの最強種関係で手に入るんじゃないk―――あ、良いもんあったぞ」

 

 そう言ってキリトは片っ端から回収、アイテム説明を見る中で一つの便利そうなアイテムを見つけた。

 軽率に放り投げられた木製の腕輪はユージオの手に収まった。

 

「着替鍵ドレッセリア……?」

「持ってる装備を簡単に切り替えられる変身ベルト的な奴だな」

「ユージオ、それ下さい」

「あ、うん」

 

 旦那から嫁の手に渡った。

 キリトの説明から奪取までの秒はあまりにも短かった。

 アリスはそれを受け取るとインベントリの中にしまっていた衣類をドレッセリアにしまい、変身を楽しんだ。

 ユージオは奥さんが楽しそうだからいいや、と思考を投げ捨てた。

 

「ここ、こんなにやばいものがたくさん埋まってるのか」

「片っ端から漁るのも楽しそうだな」

「……あまりやりすぎるとナーフされそうだから自重しようか」

「そうだな。目的のブツ手に入れたからさっさとエリアボス倒そうぜ」

 

 そう言ってキリトたちは地下から脱出。

 アリスは装備変更で結構MP持ってかれたとMPポーションを飲みながら壁ジャンプしながら駆け上がった。

 

 少し進むとあっさりとエリアボスは見つかった。

 

「あれがオーバドレス・ゴーレム、デカくないか」

「あの頭上のホイールぶち抜けば攻略完了の残念ボスだね」

「……まぁ、1年も続くオンゲなら攻略法は出回ってるか」

 

 キリトが【投影】にてホイールを支えている支柱をぶち抜き、戦闘はあっけなく終わった。

 

「時間計ってないけどRTA記録は出たんじゃないかな」

「参考までに聞くが、前記録は?」

「1分」

「本当にRTAじゃん」

 

 キリトは雑に攻略されるエリアボスに黙祷を捧げた。

 ドロップアイテムは手榴弾の様なゴーレム人形だった模様。

 

 




・着替鍵ドレッセリア

 収納してた装備を一瞬で切り替えられるやつ。
 原作者がTwitterで零してた設定のハズ……

 なんでBじゃなくて去栄の残骸遺道にあるのかって?
 壊れた遺機装がたまに見つかるなら、ドレッセリアが隠れミッキー的なノリで置いてあってもええやろの精神。

 多分サンラクが散策したのとは別の武器開発ラボ。
 後のニキネキ「指定された場所に行ってもない」
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