何も知らない鳴坂和人くん(22)   作:スティック/糊

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探索.2/AR

 

「ここがイレベンタル」

「いつも思うけど町の名前って少し噛みそうなネーミングしてるよね」

「雑なネーミングですね」

「僕らも整合騎士なら雑なそのまんまナンバーなんだけど」

「それもそうですね」

 

 イレベンタルには朽ちた巨剣像と言う物が存在し、オタク的にはこれに中身が抜けているだけの巨大ロボットの素体的なモノではないのだろうか、なんて考えてしまうものだ。

 最終決戦で真の姿を現す、的な。

 

 ……これ、削っちゃダメかな。

 なんとなくレア鉱石にも見えるそれを削り取ったらNPCからの好感度はゲロ下がり待ったなしだろうと自重した。

 

 

 イレベンタルには特に用はないなとセーブポイントを更新することもなく無果落耀の古城骸に向かった。

 

 

「さっきまでいた所が工業地帯で、ここが戦場だったところ。あのでっかい手があるでしょ、アレが一体何なのかを調べるためにライブラリが出来たと言われているらしいんだ」

「サンキューwikiジオ」

「……それ、流行ってるの?」

「なんというかシンプルにユージオはそういった役回りが似合っているのだと思います」

「それ、喜んでいいの?」

「こう、生真面目で頼みごとを断るのが苦手そうな人畜無害さと言うか色々な要素がですね」

「アリス!?」

 

 ここでルビーを取り出していればウッキウキで過去の出来事も話してくれるのだろうが、それはまた今度のお楽しみとしておこう。

 

「まぁ、wikiジオ的に付け足すならユーザーの間では『最低80レべ』『後衛も自衛できないと即死』『魔法使い絶対殺すマン』なんて呼ばれるユザーパー・ドラゴンがエリアボスだよ」

「斬ればいいならどうにかなりそうだな」

「またキリトのバフ期待してます」

 

 この脳筋どもめ、ユージオは愛する妻の脳筋ぶりと別の世界線では幼馴染の戦闘狂っぷりに、幕末がすべて悪いのではと他責思考にすらなりかけた。

 

 無果落耀の古城骸はそれなりに入り組んでいるというか倒れている遺跡群が行く手をとても邪魔していると言った風貌。

 wikiジオ曰く、あの巨大な突き刺さった手を目印にしておけばまず迷わないとのこと。

 東京でスカイツリーを目印にする手法みたいなものか。

 

「ここ、個人的にワイバーン狩りが出来て好きなんですよね」

 

 そう言いながらアリスはサクサクとワイバーンの首を刎ねていく。

 確かに楽しそう。

 

「アリスは何というか原作ではドラゴンライダーだったから、ここでもどうにかドラゴン乗り回せないか結構な頻度でここら辺に現れては挑戦しているみたい」

 

 うちのクランにはもう一人ドラゴンテイマー目指しているのがいる、とのこと。

 がんば。

 

「…水晶群蠍より経験値美味しくないな」

「そりゃそうだよ?!」

 

 ワイバーンの首をスポンスポンと切り落としていると、現れた。

 

簒奪者の竜(ユザーパー・ドラゴン)!」

 

「しょっぱなから空飛ぶし、接近して武器奪ってきたりするから注意して」

「了解」

 

 

 

 

「激闘でしたね」

 

 ユザパった(出番がカットされるの意)

 

「僕も何度も戦ってるけどここまで簡単にユザーパー・ドラゴン狩ったことはないよ」

「魔法や武器はパクられるけどまさかスキルには適用されないのは助かったね」

 

 バフスキル【英雄作成】が大活躍でした。

 キリトも、最速で翼捥げば楽なんじゃねと言う思考の元、lv.99になった時生えてきた花の効果のいくつかが自己バフだったことを思い出した。

 カウンター的使用法を思いついたので【陣地作成】で足元固めて【八葉一刀流:神気合一】でバフって【一番華】その戦闘で一番最初に与えるダメージ倍率上昇させ、【剣弁開花】で花の意匠を持つ武器のダメージ計算数増加、【剣舞[葬送]】にて一定のステップを踏むことで自己バフを盛って、迫って来たところに【螺旋大樹】で最小回転で回り込み、翼を切り落とした。翼と言うには滑空用のヒレみたいな感じだったため腕二本切り落としたと言うことだ。

 

 カウンター構築出来ちゃったな。

 キリトはガハハと笑ったが、簒奪者の竜の翼を一撃で落とすとか一体…とのリアクションだった模様。

 

 翼がなければ楽なヤツ、と簡単に終わった。

 金木犀の剣と青薔薇?の力でフルボッコ。

 

 後衛職とは一体なんだったのか。

 アリスとユージオは思考を放棄した。

 

 

「何はともあれ、旧大陸の端っこ最後の町フィフティシアだね」

 

「サードレマから延びる他の道も確認しておきたいな」

「ああ、その時はもちろん手伝うよ」

「今日も良い時間だしな、目的通りここで解散としよう」

 

 時刻はすっかりと良い時間帯となり、うっすらと朝日さえ昇り始めていた。

 エイトルドからフィフティシアまで一晩でこれたなら上出来ではなかろうか。

 

「二人とも今日はありがとう」

「ああ、こちらもようやく夢の金木犀の剣を触れたような気がしてとても楽しかった」

「僕も同じくって感じ。今うちのクランメンバー新大陸へドナドナ中だからそのうち紹介させてよ」

「ああ、わかった」

 

 そうして3人は宿屋に向かい、それぞれセーブポイントを更新しログアウトした。

 

 

 

 〇

 

 

 

 翌日、和人は在宅ワーク。

 

 朝一でGH社からの公式声明で『GGCアフターパーティーにてシルヴィア選手の発言の件について』と言う名目で、現在GH:Cの追加コンテンツとして協議中ですとの発表があった。

 

 頑張ってクリアを目指してくれとEXステージはもはやクリアさせる気がないだろのお祭り状態をいつクリアになるだろうかと優雅にエスプレッソを楽しんだ。

 

 GGCが終了したのである種のメイン仕事であるVR機器の調整案件は来週からなので今週の仕事はだいぶ緩やかだ。

 

 ライブ案件はだいぶ進み、ものすごい気合の入ったもモデリングが送られてきてこれをライブ会場で問題なく動かせということだな?と言う挑戦状をたたきつけられた気分になりながらキッチリと仕上げた。

 天下の音響機器メーカーとの打ち合わせも始まった。

 

 現実でのドームでの演出及び、VRドームの演出の調整表現等もどこまで現実とのギャップを減らすのかそこらへんの話を教授にぶん投げ、和人はオーグマーを弄るため設備としてそこそこ長い事放置したセーフハウスの工事に取り掛かった。

 

 寸法通りにプレカットされた資材が届いたのでチマチマと組み始めた。

 会社に申請などしていないので個人的な出費だが、遊びには金を使わないとなと言う思考の元、和人の日曜…ではないが大工仕事は始まった。

 

 だが、作業内容として一人ではどうしても無理があった。

 故に、人手が居ないならロボットを使えばいいじゃない。

 それが和人のたどり着いた工事を一人で行うプロセスである。

 

 少しずつロボットの部品を発注し、ミニエモンと名付けた2/3サイズのウェザエモン風のロボットを作成。

 仮人格プログラムを作成し、大工手伝いの〈家守のミニエモン〉の完成である。

 大工仕事以外は自宅警備を行ってもらう予定だ。

 テイザーガン付けちゃった。

 

「ミニエモン、グループAの資材を搬入開始」

「承知:資材をA-4に搬入を開始する」

 

「そこのボルト締めて」

「承知:適正トルクの算出、締め付けを開始する」

 

「資材の微調整、3.6センチ切断して」

「承知:周辺安全規格外行動のため3m以上の退避を求める」

 

 ミニエモン使える、使えるぞ!

 

 いやー、建築業界に革新起きちゃうなー、絶対表には出さないけども。

 

 戦術機として追加アーム作れば一人で作業してもらうことも可能なのでは!?

 和人はミニエモンのバランスの再確認、出力上限値の確認をしサブアームを作ることを計画した。

 今後このミニエモンの活躍場所は不明だが、ロマンは止められないと作るだけ作るだろう。

 

 ミニエモンの活躍により和人はセーフハウスにARテスト空間を完成させた。

 

 ゆくゆくは性能の低いカメラでもできるようにしたいものだ。

 

 

 システムをくみ上げた部屋はバーレーコートの半面9m×9mとほぼ同サイズ。

 剣道の試合もこれくらいのサイズだったか。

 

 その空間の四方や天井に等間隔でカメラを設置した。

 現実で人のモーションをトラッキングするのにもぴったりだ。

 

 キリトはオーグマーを装備し、数回瞬きをして同期させる。

 

 テスト一回目は電気ネズミ氏。

 AR対象物を触れているかどうかの信号を操作し、まるで実際に触っているかのような感触を得られるかのテストだ。

 

 視覚情報も弄ってしまえばVR空間にいるのではないかと錯覚させることも容易。

 

 簡易ポケモンふれあい空間生成完了。

 ……ペットアレルギーとかの人に需要有りそうだな。

 

 そうなると部屋にソファーやテーブルを持ち込んでも問題なく動かせるようにトラッキングをするか…?

 AR投射物が机を蹴ってしまった時の再現性も欲しい…が流石に個人施設にそんなことを求めても仕方あるまい。

 

 

 

 見た目はサイバー竹刀と言った所だが、ARで情報補正するんだよぉ!の思考の元、38サイズの竹刀をARと連動し振動する仕組みも開発した。

 サイズと重さと重心を一般的な竹刀と同じようになるよう頑張った。

 

 ……従来の使い慣れた竹刀でもいいのだが、感覚を追求するとこうなった。

 

 はい、テスト2回目ARケンドーです。

 受けたり打ち込んだ時の感覚に気を付けて竹刀特有の音もしっかりと再現した……ハズ。

 

 一応中学校に上がる前までは剣道少年だった和人はバーチャル剣道をテストしてみる。

 こんな感じだったかな。

 

 おおよそ成功と言っていいだろう。

 

 この空間の目玉機能のテストを開始する。

 VRとARの融合だ。

 

 一部VRゲームソフトのフォーマットを弄ることによってAR空間でも実際に楽しめるを実現した。

 

 我ながら馬鹿なことをしている。

 

 【龍宮院富嶽全面協力! VR剣道教室・極】

 

 これをVRから現実空間へARに持ち出してみたいというアホな思考で生み出されたのである。

 

 

 和人は秒でボコされ、イラついたのでVRの方で完全クリアした。

 VRなら裏モードでもクリアできますし?

 

 和人は現実で久しぶりにがっつり汗をかき、さっとシャワーを浴びてミニエモンを自宅警備モードに移行し、セーフハウスを後にした。

 

 玄関に設置したワイヤレス充電台の上で正座待機させたが、光景が中々のシュールな絵面となった。

 

 

 TCG需要あるかもなー、和人はそんなことを考えながら気が向いたら遊戯王の再現と共にARデュエルできるようにと考えを進めた。

 

 




・〈家守のミニエモン〉について

 体長160㎝程
 メカメカしいロボットボディーをアヴァロンで出会ったウェザエモンの装備を少し改造した見た目をしている。
 
 200㎏までの重量の運搬が可能。
 トルク指定の締め付け作業、釘打ち、最少の切断、木工、鉋かけ、やすりかけ等を指示することで実行する。
 溶接作業はミニエモンの認識カメラにダメージが入るため除外。
 もうちょっといいパーツを作成できればガス溶接すら行うだろう。

 基本玄関にて正座待機、バッテリーの残量に応じて室内巡回とロボット掃除機の定期的なゴミ捨てを行ってくれる。


 継久里創世が見たら発狂もののとんでもねぇものが生まれた。
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