何も知らない鳴坂和人くん(22)   作:スティック/糊

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誤字報告感謝

アニメで確認するまで秋津茜の発音を誤解していたので懺悔です。


少年心

 

 社会人にもなんちゃって夏休みが存在する場合がある。

 

 それは大体お盆前後。

 

 和人の場合はGGCの関係で一部の社員と共に少しずれた時期になる。

 社員、と言うよりもカムラの技術顧問にカテゴライズされているので少し違うし取ろうと思えばがっつり休みを取るなど容易だ。

 

 今現在カムラに籍を置いているのは仕事のしやすさがデカいだろう。

 社員に部品発注や面倒な取引関係を投げられるし。

 

 やろうと思えば自分で会社を作ってウハウハコースもできるが、基本自分の時間優先主義の和人は今の働き方が嫌いではなかった。

 

 

 

 今年の八月上旬から中旬は混沌としていた。

 和人はしみじみとそう感じながら箱根にある会社の保養地の温泉で羽を伸ばしていた。

 

 

 和人の前世は海のない関東北部育ちで有ったため温泉と言えば草津温泉派閥であったが箱根も悪くないと溶けていた。

 

 古き良き、少し歴史を感じる温泉旅館で内湯に露天と満喫していた。

 

 

 この旅館はカムラとの保養地契約をしているため社員は格安で泊まることが出来る。

 それに付随して宿のVR関係は結構充実している。

 

 つい最近和人が役員にプレゼンしたAR式室内ゴルフは悪天候でも楽しめると中々の好評だ。

 今回はそういった機器の実稼働調査と言う名目も含まれているが、実質的な休暇だ。

 

 

「アンケートチェックするかぁ…」

 

 立派な客室のなんと呼称していいかわからない窓際で雑に瓶ビールを開けながら調査資料データの閲覧を開始した。

 

 アンケート結果はおおむね好評。

 オーグマーが視界に入るのが少し気になる、と。

 機械補正で見えないようにしてしまおうか。

 

 取り付けバランス。

 頭を勢いよく動かしてしまう時にちょっと気になる、と。

 アジャスターのように切り替えもいいかもしれないが、外装関係はキリトの専門外。

 会社のデザイン部門に投げる。

 

 

 バッテリー持ちは特にいう事と言うことはなさげ。

 

 眼鏡ユーザーにはちょっと邪魔、と。

 

 体験した医療従事者から、難聴等の補助機能として大変興味深く感じたと……まぁ、外音取り込み機能で風の表現に拘ったところもあるがそれを合成して認識させているからそういった分野への活用もありか。

 営業部に話聞いて来いとメール。

 

 特許関係の相談も、っと。

 

 ゴルフのスイングスコア機能も結構好評みたいだ。

 モーション関係は強いのでこれはうれしい所。

 

 一緒に遊びに来た子供や孫にはゴルフは難しいので家族向けの物もほしい、か。

 

 ARアーチェリーとか作ってみるか。

 糸の張っていないカーボンの弓でARで触れているように感じさせる。

 これならスペース的にも余裕を持って遊べるかもしれないな。

 

 ……縁日。

 

 AR縁日とかどうだろうか。

 旅館との協力が取れれば夕食後の時間帯とかで縁日再現。

 

 ARと相性の良い物は基本的にそのスペース内で完結するものだ。

 

 ちょっと提案資料出してみよう。

 

 

 

 〇

 

 

 

 観光地来てまでゲームかよ。

 昼に酒飲みのんびり昼寝。

 美味い夕食食ってシャンフロしていた。

 

 数日前、またしてもユニークシナリオクリアのアナウンスを聞き逃したことをキリトは悔いていた。

 

 俺のログインしてない時に限ってそういう話進むじゃん。

 そう思いながらも、キリトは自分よりも後に兎御殿に招かれたという秋津茜と言うプレイヤーを紹介したいとサンラクに伝書鳩を貰い、待ち合わせのため兎御殿近くの広場に来ていた。

 

「初めまして!秋津茜です!」

「うっ、陽」

「キリトは陰の物だったか」

 

 待ち合わせ場所に到着すると二人は既に集まっており、初手無垢な太陽の攻撃を食らった。

 基本的に限りなく陰よりの中性なキリトはあまりにも純真な挨拶に敗北した。

 

 え、こんな明るい子がVRゲームするのか…?

 

 キリトのVR機器販売ユーザーの統計学を見ると男性の割合の方が多いイメージが強い。

 そのためこんな無差別初恋ハンターみたいな空気感の子がゲームをしている…?と強い衝撃を受けた。

 

「失礼。俺はキリト、後衛で弓弾いてるよ」

「そうなんですね。私は忍者やってます!」

 

 元気、元気な体育会系っ子だ。

 

「と言う訳でこちらの秋津茜はうちのクランに入ったがキリトもどうだ」

「え、キリトさんも同じくクランに!?」

「ぐっぅ―――今、他のクランにも誘われていてね。すまないがお断りさせてもらおう」

「チッ」

 

 あ、この青い鳥アタマ舌打ちしたぞ。

 あれか、真なる陽キャを前にすれば折れるとでも?

 

 ……俺が成人前の学生だったら致命傷だったぜ。

 キリトは大人の理性で耐えきった。

 

「そうですか、それは残念です」

 

 く、小動物系も兼ね備えているだと!?

 

 ―――妹のあざといおねだりに慣れていなければ危なかった。

 

「秋津茜に屈しない、だと?!」

「社会人は強いのだよ」

「くっ」

 

 キリトはサンラクの攻撃を凌ぎ切った。

 それはそうとフレ登録はした。

 

「で、クターニッド倒したんだって?俺は普通に仕事してたから聞こえなかったけど」

「お、おう。社会の闇を見た気がするぜ」

 

 サンラクは少し引いた。

 あれ、あの時間って社会人仕事するような時間でしたっけ、と。

 

「って、そうだ!キリトお前青の聖杯の効果知ってたなお前」

「知らんぞ?……そうか、青の聖杯と言うアバターの性別変換アイテムが存在するのか」

「くっ、相変わらずの察し能力の高さ!」

「え、キリトさんもクターニッドの聖杯と同じ効果のアイテムをお持ちなのですか」

「あー、そんな感じのアイテムだよ。やっぱリスポーンしないと効果切れない系?」

「はい、そうです!」

 

 これはエムルとはまた違った情報の吐かせがいのありそうな子だ。

 ……お兄ちゃんセンサー的には妹とさほど歳の変わらぬ少女には攻撃できそうにないのでしないが。

 

「とりあえずユニークモンスター攻略おめでとさん」

 

 そう言ってキリトは一つのアイテムを取り出した。

 

「可愛い後輩にはこれをやろう」

「これは…?」

「忍術系スキルの秘伝書」

「わぁ!ありがとうございます!」

「え、俺には!?」

「初手トラップ張ってくるような奴にはない。心洗って出直してきな」

「あの、これってどんなことできるんでしょうか!」

 

 そんな、と膝を着きorzかましてるサンラクを放置しつつ秋津茜の質問に答えることにした。

 

「んじゃ、軽く実演な【影分身の術】」

「あ、ドッペルゲンガー!」

 

「んで、【水面走り】」「【木付】」

「木に垂直に立ってます!水面にも立てるんですか!?」

 

「からの【飛雷神の術】」

「え、あれ、瞬間移動ですか!?」

 

「【螺旋丸】」

「すごい!すごい!」

 

「って言うのが半分くらい。後のは全く忍んでないド派手な技だな」

「私、しっかり使いこなして見せます!」

「おう、頑張れ」

 

 早速使ってみたいので!と解散になった。

 サンラクorz続行中。

 

「じゃ、そう言うことで」

「いやちょっと待てぇい!」

「ちょい待ちキャンセル!」

 

 そう言ってつかみかかろうとするサンラクをひょいひょいと避ける。

 

「え、ちょ、俺これでも俊敏だいぶ振ってるんですが?」

「動きが分かりやすくて避けるのがとても楽だぞ」

 

 そう言うとサンラクは分かりやすくムッキーとキレ始めた。

 鳥なのにサルとはこれ如何に。

 

「なら俺の本気を見せてやる!」

「い ら ん」

 

 サンラクが謎のやる気モードに突入したので、【八葉一刀流:無手】、つまりは無手による攻撃、もしくは剣技の再現で動く前に制圧する。

 

 警察全面監修:緊急時対策VRよありがとう。

 今めっちゃ役に立ってる。

 

「ちょ、スッゴイて慣れてません!?モシカシテポリスメン!?」

「んや、会社勤め。警察全面監修:緊急時対策VRおすすめしておくぜ」

「なにそのクソゲー臭するタイトルめっちゃやりたい!」

 

 あ、クソゲーマニアだったか。

 つまりこの変態スタイルを苦にしないのはクソゲーの慣れ…?

 

「あ、お前なんか失礼なこと考えただろ!」

「気のせいだ」

 

 直感も強め、と。

 

「じゃ、お疲れ」

「って、何あっさり帰ろうとしてんだオラァ!」

「チッごまかせなかったか」

 

 とりあえず動くな、正座、とキリトが圧を掛けながら言うと割とあっさりと行動に移す。

 ……こいつ反省し慣れてる。

 だいぶ問題児なのでは?

 キリトはサンラクに対してそう訝しんだが、サンラクのリアルは普通に進学校で好成績を残す優等生である。

 

「あの、質問よろしいデショウカー」

「どうぞ」

「さっきのスキル何」

「忍術系のスキル」

「あんな忍術スキルwikiでも見たことねぇんですけど!?」

 

 後忍術スキルのくせに忍んでない!

 サンラクの至極御尤もなツッコミを食らいながら、キリトはえ、でも忍術ってこういう物だろ?とNARUTOで忍者の価値観が崩れているため首をかしげるにとどまった。

 

「え、何、俺がおかしいの?」

「こんなアクションゲーおとなしく忍ぶわけないだろ」

「……確かに?」

「じゃ、そう言うことで」

 

 

 キリトは手元の苦無を雑に多方面にぶん投げ、その内の一つに【飛雷神の術】で飛び逃げた。

 苦無は投影製のためその内消える模様。

 

 

「また逃げられた!?」

 

 

 

 

 キリトはふとした閃きでNARUTOの忍術再現したら面白いやろなとアホなことを考えついた。

 

 そうして出てきたのは[創流の素体]

 思い付きスキルを作成するには便利なアイテムである。

 

 そうして色々なスキルの使いながら様々なNARUTOの技の再現を行った。

 だいぶ力業だし、既存のスキル併用で新しいスキルを作ろうとすると、まさかスキルのリキャストタイムまで同じにしなければいけないとか半端なく鬼畜仕様。

 

 それでもやりましたけどね。

 

 【飛雷神の術】が一番の鬼門だった。

 【螺旋丸】は正直イージーモード。魔力放出スキルをコントロールスキルでまとめて疑似再現を数度繰り返しただけだ。

 この男、さらっと言っているが魔力放出コントロールとか無理ゲーみたいなものである。

 

 【水面走り】【木付】もNARUTOの術の習得訓練を参考にしているが、よほどのイメージ能力が高くなければ再現など不可能である変態の所業である。

 そこで案外役に立ったのが魔力運用ユニット。

 魔力の流れをわかりやすく可視化し、非常に有用であった。

 

 【飛雷神の術】はどのように再現したか。

 

 魔法少女って便利だよね。

 ルビーを使用した力業である。

 

 影分身は致命刃術【水鏡の月】の利用によって対象者と同一系統の動きを可能とした。

 半分AIが操作しているようなものであるが。

 

 中々やべーことをしててキリトは【木の葉流】を完成させた。

 

 そのほか後半の技は全く忍んでないし、MP消費がえげつないので出番は早々ないだろう、なんて考えるがこの男MP回復手段をたくさん持っているのでヤバい固定タンク化し始めた。

 

 12個一気に作らなきゃいけないのが大変ネック。

 キリトはそんなことを考えながらNARUTOごっこで遊んだ。

 

 その内BLEACHごっこも始める。

 

 

 〇

 

 

 シャンフロからログアウトし、再び旅館の風呂へ。

 

 今度は部屋に備え付けの露天風呂だ。

 時間を気にせず入れるのが良い。

 

 NARUTOの技再現でキリトの少年心に火が付いた。

 

「プラモをスキャナーで読み取って、自分のプラモを操縦してバトル、したいよな……」

 

 少年の夢とも言える計画をキリトは始動することとした。

 

 スキャナーの強い会社探すか、それとも作るか。

  

 

 キリトは月を見上げてちょとした野望を持ったが、多分寝たら忘れている。

 

 




拙者、秋津茜のCV.にテンション上がりまくった模様
オルフェンズのクーデリアやんけ
リボーンのバジルやんけ
5D'sの龍可やんけ
ダンまちのヘファイストスやんけ
と無事昇天した模様。
秋津茜ちゃんカワイイヤッター


それはそれとして賛否両論起きそうな話の展開が降ってきまして、天が書けって言うから衝動のままに書いて“ま、まぁヒロインが本決まりルート確定する訳じゃないからええやろ()”の精神で予約投稿ポチちゃった懺悔。
どんな話かって?明日奈の敵が増える話。
寝て気が変わったらその話は消えてるよ、うん。
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