何も知らない鳴坂和人くん(22)   作:スティック/糊

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誤字報告感謝。

あっさり風味。


一方その頃

 

 クラン:アインクラッド攻略組

 

 シャングリラフロンティアサービス開始当初からさらっと結成された謎多きクランである。

 盾大好き団長:ヒースクリフ

 刀マニア:クライン

 鈍器:エギル

 短剣テイマー:シリカ

 鍛冶師:リズベット

 狙撃手:シノン

 直剣:ユウキ

 直剣:アリス

 直剣:ユージオ

 

 基本前衛ばかりの異色のクランである。

 トップクランとは呼ばれぬものの、プレイヤースキルの習熟度が並外れており最速でフィフティシアに到着したのもこのクランだとネットではもっぱらの噂だ。

 

 並外れたプレイヤースキルあるからヒーラー要らないでしょと言う脳筋説を押すものもいる。

 

 表立って多くのことをしている訳ではない、何か目的をもってやってるかどうかもわからず、ただ最速でエリア制覇をする異色のクランである。

 真実か定かではないがクランメンバーが全員レベルキャップ解放前カンストであるLv.99であるとかないとか。

 

 そんなクランに最近4名の追加が現れたことはまだ知れ渡っていない。

 

 直剣:リーファ

 鎌:ミト

 レイピア:アスナ

 情報屋:アルゴ

 

 クラン内平均年齢めっちゃ下がったな、なんて話題にはなっているが当然話題になんて上がっていない。

 

 基本自由主義でログインしたらパーティー組むか、くらいの緩さであるがVRにかける熱意だけは非常に高い。

 

 

 そしてネットではアインクラッドってなんだ?と雑談チャットでたまにネタに上がっている。

 このクラン名のせいでSAO発表が少し遅れそうになる事態に発展するとはクランメンバーは誰も考えていなかったのでだ。

 

 

 

 〇

 

 

「はい、居残り組集合」

「言い方があるんじゃないか」

「ほんとそれ」

「じゃんけん…じゃんけんにさえ負けていなければ新大陸…」

「私はイン率低いから引いただけだし」

「私は武器破壊率の高いバカのお守りなんですけど」

 

 シノンの掛け声で現在新大陸行きの船第2陣にあぶれたクランメンバーは集まった。

 

 集合したのは、シノン・ユージオ・アリス・ミト・リーファ・リズベット。

 場所はアインクラッド攻略組が実質的に占有しているフィフティシアの洋館。

 その他は今頃新大陸行きの船の上だろう。

 

「で、どうしたのさ集合かけるなんて珍しい」

「ユージオ、アリス、ミトあんたたち何か隠してるわよね」

「「「な、ナンノコトカナー」」」

 

 ユージオがシノンに尋ねると、かなり鋭い攻撃が帰って来た。

 

「え、あんたらなんかやらかしたの?」

「そ、そんな。僕らがそんなことする訳ないじゃないか」

「そ、そうですよシノンさん。ちょっとイン率低くて熟練度低めかなー?なんてツッコミを食らうかもしれませんが、鎌マイナー過ぎて情報ないんですよ?」

「そうだぞシノン。私たちはやましいことなどな、なないに決まってるではないか」

 

 リズベットが咎めるように3人に問いかけると3人は分かりやすく動揺しながら答え、それを見てリーファは察した。

 

 

「キ リ ト」

 

「グッ」

 

「あー、ついに見つかっちゃったかー」

「リーファあなたも知ってたのね」

「ほら、私からは紹介しませんって言ってたので無罪です」

 

 さらっと保身に走るリーファ。

 それにシノンは、まぁ身内だから知っててもおかしくないか、と無罪判定をした。

 

「え、どういうこと」

「こいつらちゃっかりキリト捕捉完了してるのよ」

「は、はぁ!?え、ちょ、どうやって!?」

「はい、説明して」

「そ、その前にシノンが気が付いた理由を聞きたいんだが」

 

 シノンが確信したようにリズベットの疑問に答えた。

 当然リズベットは混乱した。

 

「私、GGC現地勢なの。楽しそうだったわね、2日目終わり」

「白状するか」

「あ、そこなんだ」

 

 シノンは簡潔に答え、アリスは致し方あるまいと答えることにした。

 リーファは詳細を知らなかったので、そのタイミングかと一人納得した。

 

 そうして始まった説明。

 GGC会場近くのマックで偶然キリトとぶつかり、アリスがCV.松〇と特定。

 ちょっと離れた所からスニーキングミッションして別作品の転生者と思われる人たちとの会話が聞こえキリトの単語を耳にする。

 そこでほぼ略確定していたが、2日目の会場でミトの隣に座ったことでこれ声かけられるよな、と実行に移したと夫妻は説明した。

 

「で、ミトは?2人よりも先に知っていたみたいだけど」

「その、キリトの妹さん中学から仲が良くて、で、でも知ったのは夏休み入ってからだから!リーファとリアルで偶然会った時!」

「ミトはその時か。私じゃなくて和兄の実妹。私からすると従妹ね」

 

 リーファの補足でシノンの情報データベースに新情報が追加された。

 だが、それと同時に一つの疑問も生まれる。

 

「あれ、ミトと明日奈、アルゴ3人とも同じ学校よね。中学校からってことはキリト妹とも交流があるんじゃないの?どうして明日奈キリトにたどり着けてないのよ」

 

 その言葉にミトとリーファは凄い速度で顔を横に逸らした。

 

「――ほら、話しなさいよ」

 

 すっごい面白そうなオーラがするじゃない。

 

 シノンのちょっと悪い顔にミトとリーファは“はっ”とした表情をした。

 その表情にシノンはさらに悪い顔になった。

 

「えーとですね」

「明日奈、タイミングが悪い事に定評があると言いますか」

「選択肢で二択を大体外すと言いますか」

 

 

 

「え、何、尽く正解のある二択を外して会うこともできずにキリト妹に嫌われているって、なにその面白、じゃなかった可哀そうな展開!もっと早く教えてよ」

「あ、野生の愉悦部だ」

 

 二人の説明を聞いたシノンはゲラ笑い。

 ミトとリーファは気まずげな表情。

 リズベットも明日奈に同情をした。

 

 ツーベルク夫妻はアッ、と気まずい表情になった。

 

「つまり、今ミトはごめゆい成らぬごめ明日状態ってこと!?」

「え、それはない。私の守備範囲±2歳までだから」

「ちっ」

「え、なんで私今舌打ちされたの」

 

 せっかく冬の薄い本が厚くなると思ったのに、と言うシノンをいったん置きほかのメンバーが話し始める。

 

「リーファは親類だから昔から。ミトはキリト妹経由でつい最近、金髪夫妻はついこの間のイベントで、と」

 

 リズベットがまとめたことに4人は首を縦に振った。

 

「で、キリトはどうだったの」

「原作知識なしだって」

「転生者ではあるようだ」

「掲示板はうっすら把握してるけどいきなり内輪の中に入るのは、としばらく見ない方向だそうです」

「私は特にそこら辺の情報有りません!」

 

 なるほどね。

 リズベットがそう言い、続けた。

 

「で、一緒にシャンフロプレイしたのは」

「僕とアリスだけかな」

「私は和兄の実妹とはちょくちょく」

「上に同じ」

 

「とりあえずシャンフロで小出しでクランメンバーと合わせて行って次第にクラン入りとか掲示板にインの抵抗を減らす方針だ」

「採用」

 

 そうしてキリトとの接触方針が居残り組の中で勝手に決まった。 

 ……居残りしてるんだからこれくらいバチは当たらないでしょう、とリズベットが考えた時にふと察した。

 

「あー、これがアスナの二択外しってことね」

 

 キリト君なら新大陸に最速で行っているかもしれない、と新大陸行を決したアスナをふとリズベットは思い出してしまったのだ。

 ミトとリーファは重く首を縦に振った。

 

「と言うかミトのGGCのチケットも元は明日奈のよね」

「はい…制服でGGC会場に行ってれば妹と同じ学校の子かなくらいは認識されたと思うんですけどね」

「……やばいわね」

「やばいんです」

 

 シノンがふとミトのチケットの出先を思い出してもそうであった。

 

 現在キリトの存在判明組として転生者掲示板とは別に現実のアプリケーションでのチャットグループが誕生した。 

 

 “すれ違う明日奈を見守る会”

 

 

 〇

 

 

 

 キリトが箱根の温泉に癒された週の土曜。

 

「最新技術で遊びたくない?」

「え、スッゴイ遊びたい!」

 

 何やかんやで数か月ぶりに会う従妹と、家でルルーシュの平和な世界線同人を書いていた妹をその単語で釣った和人は妹ら2名を連れて魔改造セーフハウスへ向かった。

 

「ここって……なんか倉庫っぽいような雰囲気とデザイナーハウス的な不思議な建物だね」

「俺の遊び場だ」

「やることの規模がおかしい」

 

 流石にあけっぴろげにセーフハウスと言う訳にも行かないので雑な誤魔化し方をしたが概ね間違ってないので良しとする。

 

「最新技術ってどんなの?」

「見たらわかるぞ」

 

 シャッター付きの車庫に車を止め、玄関に向かう。

 

「どうわぁ!?あ、何、ロボット武者!?」

「帰還:セーフモードを一時解除」

 

 そう言えば玄関にミニエモン待機させていたのを忘れていたと思いつつ、入るように和人は促す。

 

「……和兄、なんか技術力がファンタジーの域に突入してない?」

「ん?気のせいだろ」

 

 従妹の直葉にツッコミを貰うもスルー。

 ミニエモンにこの二人の入場登録を行う。

 

「……家をロボットが守る時代かぁ…」

「侵入者が来てもテイザーガンで一時的に足止めしてくれるぞ」

「法には?」

「触れてない」

 

 そんな会話をしつつ、遊び場ことARカメラ配置部屋に案内した。

 

「うわ、ナニコレ3Dのモーションキャプチャでもするの?私新体操くらいしかできないよ?」

「ちゃうちゃう。こいつを付けな」

 

 部屋に案内するとキャッキャはしゃぐ真登香とこいつやったな、という表情の直葉。

 

 そして出てきた端末を見て直葉は完全に察した。

 

 これ原作で運動能力的に出番ナーフされたオーディナルスケールのヤツ!

 ふ、まさか自分が真っ先に体験できるとは。

 

 これが身内の特権と言うやつだと直葉はノリノリだ。

 

「兄さんナニコレ」

「オーグマーと言う会社でその内発売されるかもしれないスマホに成り代わるかもしれないAR式携帯端末」

「AR…?兄さんVR専門じゃなかったの?」

「あー、俺がお世話になった大学教授の理論で構成されているが中身の大半は俺の設計だ。兄はメカトロニクス系に強いのだ」

「……もっと簡単に」

「ゲームできそうな機械には大体強い」

「なるほど」

 

 そんな会話をしつつ、直葉用に用意したメカニカル竹刀を渡す。

 

「ナニコレ」

「見た目は不格好だが重心と重量を一般的な竹刀と同等になるように設計したメカニカル竹刀だ。これを使ってARケンドーを体験してもらおうと思ってな」

「いいじゃん」

「じゃ、ソフトの立ち上げからな」

 

 そういって和人は数回瞬きするように促した。

 

「うわ、見えるものが一気に変わった!竹刀も普通の竹刀に見える!」

 

 そう言って直葉は軽快に竹刀の素振りを始めた。

 

「これならちゃんと胴着持ってきたのに」

「まだそこまでガチには作ってないよ。と言う訳で今回開発しましたプログラムテーマは“VRとARの融合”と言う訳で【龍宮院富嶽全面協力! VR剣道教室・極】をARで出来るようにしてみました」

「いやガチじゃん!―――和兄だいぶ吹っ飛んでるけど、そう言うの嫌いじゃない!」

「そりゃよかった」

 

  

 そう言って剣道女子インターハイ優勝者のAR剣道体験が始まった。

 

 

 

 

「んー竹刀、リテイク。レスポンスのラグ2フレ詰めてよ」

「あいよ。後でまとめて」

「りょーかい」

 

 一通り【龍宮院富嶽全面協力! VR剣道教室・極】を楽しんだ直葉は汗かいた、とシャワーを浴びに離脱。

 

 その間に真登香にポケモン体験をさせてみることにした。

 

「え、何この可愛い生物。兄さんのゲーム棚のパケで見たことあるけどこんなに可愛い生体なの?あ、触ってる感覚あるすごい!あ、あ、あ、可愛い!」

 

 ポケモンの覇者ピカ様を召喚し、存分にモフらせた。

 あ、この子電気出すの?静電気すごー!とご満悦の模様。

 

 静電気、静電気を髪や服など現実の表現に持ってくるのは難しい。

 そこはぬかったな。

 精々頬袋を触った時にパチッとした感覚を指先に持ってくるくらいだ。

 

 ……ポケモン世界のマスコット二大巨頭の片割れイーブイも召喚したろ

 パケで選ばれたからそう表現しているだけで他にも可愛いマスコット的ポケモンはたくさんいるが、サイズ感的にここら辺がお手ごろだ。

 

「今度は茶色いワンちゃん?なんだろ、これはこれで毛並みがいい…」

 

 まだ驚くのは早いぜ!

 そのノリのまま和人はイーブイの進化系をドン。

 

「え、え、このこのお友達?かわいいねぇ」

 

 ピチューとライチュウ、アローラライチュウも追加!

 

 妹はモフモフに埋もれてターンエンド!

 

 

 ポケモンのマスコットたち、妹の相手は任せたと和人は実際に直葉の稼働データを確認し始めた。

 個人差的にラグを感じることはやはりあるのか。

 瞬間勝負だと1フレームでも馬鹿にできないからな…。

 

 竹刀も中々の出来だと思ったんだがダメ出しを食らったので修正できるように、竹刀のデザインエディターも作っちゃう。

 

 多少なら感覚の方を弄れば修正できちゃうもんねー。

 

 

 和人はこっそりこの世界の技術進歩を確立させていった。

 表に出すかどうかは気分なのでだいぶたちが悪い。

 

 少なくともこういった調整の積み重ねでオーグマーはどんどんと精度を上げていくだろう。

 

 

 あれ、直葉着替えあんのかな。

 去年買ったドラム式洗濯機あるから大丈夫か。

 

 もふもふに埋もれて幸せ気味な妹に直葉の着替え大丈夫か確認してきてくれと声をかけておく。

 ……動く気あるか大丈夫かあいつ。

 

 そんなことを考えながら、次なるおもちゃの計画を始めた。

 

 暫くしてシャワー浴び終わった直葉は幸せそうに横になってる従妹を見てなんだコレとなったが和人にオーグマーを付けろとジェスチャーされ、覗くと大変羨ましい状況になっていたので直葉はニャオハ系のを出して貰いしばらく堪能した。

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